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【BL】―high school―

1 ::2006/04/17(月) 23:06:50
初めまして。夕といいます。
さっそくですがこの小説はBLです。
以下に当てはまる方は回れ右でお願いします。

・BLの意味が分からない
・BLとかありえん!!
・荒らし、中傷目的での閲読

2 ::2006/04/18(火) 00:35:12
主人公【羽田千空haneda-chiaki】
攻め。高2。野球部。
人見知り激しい子。仲良くなると笑ったりする。

ヒロイン笑【西宮ユウnishinomiya-yu】
受け。高2。可愛くてちっちゃい子。
明るい。泣かない子。癒しキャラ。

●概要●
2人の通う高校は私立で名門のお金持ち学校。
また高校野球の強豪校。
男女共学だけど西棟と東棟で男女別れてます。
ちなみに全寮制。

初めて書かせていただきます!
至らない点もいっぱいあると思いますがよろしくお願いします。
「おかしい」と思ったところがあったらどんどん言って下さい!


3 :スパ:2006/04/18(火) 19:08:05
期待あげっ

4 ::2006/04/18(火) 19:36:55
●スパさま●
あげありがとうございますvv
精一杯頑張るのでよろしくお願いします!


では、始めようと思います。




+++++++++++++++


桜が散って、もう一度咲いて、

もう一度散って、緑の葉が影をつくった頃


俺はもう あいつしか見えなかった。




5 ::2006/04/18(火) 20:44:00

寮からまっすぐつづく桜の並木道を、羽田千空は気だるげに歩いていた。

季節は夏。

夏休みを真近に控え浮き足立った生徒たちをよそに、
私立栄天(えいてん)学園野球部を今日もキツイ朝部活のメニューが待っている。

千空が挨拶と共にグラウンドに入ると、仲間はまだ一人も来ていない。

グラウンドは朝独特の空気に覆われ、しんと静まり返っている。


千空はその空気が大好きだった。


目を閉じて、深呼吸をする。

鳥の爽やかなさえずりが耳に優しく届く。

まるでこの世界には自分以外誰もいないかのような、
不思議な錯覚に陥る。

いつまでもこうしていられたら、と千空は静かに思った。


けど。
そんなこと、あるわけねェんだ。





「わああ!!」ドテッッ

空気を乱したのは、聞き慣れた声と音だった。

千空がゆっくり目を開けると、そこには見慣れた光景が広がっていた。

「やっちゃった!!」

勢いよくすっ転んだ野球部マネージャーの西宮ユウは、
言いなれたはずの言葉とともにがばっと起き上がった。

そして散らばったボールを慌てて拾っていく。

「・・・大丈夫?」

その声にユウはハッとして顔を上げた。

目の前には、しゃがんでボールを差し出す千空がいた。

「羽田くん!あ、ありがとう!」

照れたように向けられた笑顔に、千空は何とも言えない衝動に襲われる。


(可愛いな・・・)


ところどころバランスよくはねた綺麗な黒髪。
小さな顔には小動物を連想させる大きな黒目。
ボールを掴む細くて白い手。
華奢なからだ。

ユウはそこらにいる女の子よりも飛びぬけた可愛さを持っていた。

そして千空はその可愛い男の子に恋愛感情を抱いているのだ。


++++++++++++++++
ちょっとストップっっ







6 ::2006/04/18(火) 22:16:15
長い朝部活が終わり、千空とユウは校舎へ向かって肩を並べていた。

2人は同じクラスで、部活へも一緒に行ったりすることが多い。

というか千空が自ら仕向けている。

「今日5限目テストだね〜」

通る綺麗な声でユウが唸った。

それに反応して、千空は小さな頭を見下ろした。

聞けば身長は165ないのだと言う。

しかし本人は全く気にしない。

周りから頭をぐりぐりされてからかわれても、また照れたように笑うだけだった。

(そっれがまた可愛くて可愛くて・・・ッ)

「羽田くん?」

ユウの照れ笑いを思い出して黙ってしまった千空を、ユウが心配そうに覗き込んだ。

千空は夢から覚めたように目を見開く。

「あー悪ィ・・・」

とりあえずやや雑な謝罪の言葉を述べると、ユウはにこっと明るい笑顔を見せた。

「調子悪かったら教えてな」

その言葉に千空は一瞬間をおいてから、「おう」と低い声でこたえた。






教室に入ると、ユウはクラスメイトによる挨拶のシャワーを一気に浴びる。

「ゆーう」
「おっはよ」
「おーす。寝癖ついてんぞー」
「英語の課題終わった?」
「今日も部活あんの?」

それに比べて自分には適当なクラスメイトの挨拶に、
呆れながら一言まとめて返し席に着いた。

そして1人ずつに笑顔を向けて返しているユウを、ぼーっと眺めてみる。

同じ教室内なのにとてつもなく遠い気がして寂しくなった。

「ちーいちゃん」

聞き慣れているふざけた声に、千空はため息をつきながらあっさりシカトする。

「なあに見てんのぉ」

尚もからかうように続ける前の席の幼馴染は、口端を意味ありげに上げている。

それをちらりと見て、千空は頬杖をといた。

「・・・んだよ」

明らかに不機嫌そうな千空の声にも、長年の友人はちっとも怯まない。

「まぁた西宮のこと見て〜。さっさと告ったら?」

そんなことまで言ってのける。

「・・・無理。」

「そんなこと言ってっと誰かにとられるぞー」

「・・・うっせ」

そして、俺が告ってもとられるだろ、と付け足す。

それは自分とユウの関係がそっちの方向に進むわけがないという主張だ。

「わっかんねえよ?もしかしたらってあんじゃん」

「ばーか」

「キスのひとつもしたいでしょ?」

「・・・・」

(キスねぇ・・・)

感情があまり出ない顔を盾に、千空の鼓動は早くなっていった。






++++++++++++++++

すとっぷ↓ 



7 ::2006/04/18(火) 22:24:59
長い朝部活が終わり、千空とユウは校舎へ向かって肩を並べていた。

2人は同じクラスで、部活へも一緒に行ったりすることが多い。

というか千空が自ら仕向けている。

「今日5限目テストだね〜」

通る綺麗な声でユウが唸った。

それに反応して、千空は小さな頭を見下ろした。

聞けば身長は165ないのだと言う。

しかし本人は全く気にしない。

周りから頭をぐりぐりされてからかわれても、また照れたように笑うだけだった。

(そっれがまた可愛くて可愛くて・・・ッ)

「羽田くん?」

ユウの照れ笑いを思い出して黙ってしまった千空を、ユウが心配そうに覗き込んだ。

千空は夢から覚めたように目を見開く。

「あー悪ィ・・・」

とりあえずやや雑な謝罪の言葉を述べると、ユウはにこっと明るい笑顔を見せた。

「調子悪かったら教えてな」

その言葉に千空は一瞬間をおいてから、「おう」と低い声でこたえた。






教室に入ると、ユウはクラスメイトによる挨拶のシャワーを一気に浴びる。

「ゆーう」
「おっはよ」
「おーす。寝癖ついてんぞー」
「英語の課題終わった?」
「今日も部活あんの?」

それに比べて自分には適当なクラスメイトの挨拶に、
呆れながら一言まとめて返し席に着いた。

そして1人ずつに笑顔を向けて返しているユウを、ぼーっと眺めてみる。

同じ教室内なのにとてつもなく遠い気がして寂しくなった。

「ちーいちゃん」

聞き慣れているふざけた声に、千空はため息をつきながらあっさりシカトする。

「なあに見てんのぉ」

尚もからかうように続ける前の席の幼馴染は、口端を意味ありげに上げている。

それをちらりと見て、千空は頬杖をといた。

「・・・んだよ」

明らかに不機嫌そうな千空の声にも、長年の友人はちっとも怯まない。

「まぁた西宮のこと見て〜。さっさと告ったら?」

そんなことまで言ってのける。

「・・・無理。」

「そんなこと言ってっと誰かにとられるぞー」

「・・・うっせ」

そして、俺が告ってもとられるだろ、と付け足す。

それは自分とユウの関係がそっちの方向に進むわけがないという主張だ。

「わっかんねえよ?もしかしたらってあんじゃん」

「ばーか」

「キスのひとつもしたいでしょ?」

「・・・・」

(キスねぇ・・・)

感情があまり出ない顔を盾に、千空の鼓動は早くなっていった。






++++++++++++++++
すとっぷ↓ 



8 ::2006/04/18(火) 22:35:30
二重投稿失礼しましたッッ

さっそく新キャラ出てきたので紹介を。

【日比谷心hibiya-shin】
千空の幼馴染。飄々とした性格。頭いい。
野球部。男前。

大まかですがこんな感じです。


9 ::2006/04/19(水) 21:08:59

放課後。

今日の部活は雨天の為ミーティングになった。

栄天学園にはミーティング用の立派な特別教室がある。

そこで30分程監督の話を聞き、早々に解散となった。

しかし多くの部員は教室から出ず、固まって雑談を始める。

千空は教室から出て行ったユウを追いかけようとしたが、運悪く同級生に捕まってしまった。

「千空も話そうぜぇ♪♪」

そう言って始まった同級生の話題は、もっぱらユウに関してのことだった。

「つかユウまじ可愛くね??」
「やっべェよあれは!!」
「腰とか細すぎっ」
「つか目ェでかい」
「すっげ喘がせたい☆」
「なー!泣かれたりしたら止まんねェよ?」

ユウがいないのをいいことに、部員たちは好き勝手に盛り上がっている。

千空は壁にもたれながらその話をぼけーっと聞いていた。




その頃ユウがどうなっているかも知らずに。






+++++++++++++
きります;

10 ::2006/04/19(水) 23:46:23

  ユウは、一つの選択を迫られていた。




ユウが特別教室から出て、自分のクラスへ鞄を取りに戻ろうとしたとき。
後ろから声がかかった。振り返るとそこには見慣れた人物が立っていた。

「おう西宮。ちょっと話がある。ついて来い」

快活な笑顔でそう言う栄天学園野球部コーチに、ユウは応えてその背中を追った。

今年から栄天学園硬式野球部のコーチを務めている高梨連(れん)コーチは、
女子生徒にも大人気だということを聞いたことがある。
今年大学を出たばかりで年も近いし、何よりかっこよかった。
180cmを超える長身に整った顔立ち、明るい髪色の短髪は若さを示している。

教師ではない為授業を持つことはない。
その為部活の時間になると、男子禁制である女子棟の校舎から、多くの女子生徒が連見たさに顔を出していた。

そして連は野球部の部員からも人気だった。
教え方がうまいし、練習が終われば部員に対し気軽に話しかける。連に相談をもちかける部員も多かった。
何より本人もこの学園の卒業生で、在学中には甲子園に4番のエースとして出場したことがある。
プロ入りの誘いもあったらしいが、断って今ではこの学園のコーチを立派に務めている。


ガラッ

戸を開ける音にユウは顔を上げた。
いつの間にか目的の場所へ到着したらしい。
中へ入って行った連の背中を追う前に、戸の上のプレートを確認する。

(第三資料室・・・?)

なんでこんなところに、と思いながらもユウは連を追って中へ入った。
小さな資料室は薄暗く、両側の天井まである本棚によって妙な圧迫感を感じる。
連は長方形の部屋の突き当たりの窓枠に手をかけ、こちらに背を向けていた。

「鍵、閉めろよ」

その声はいつもよりかだいぶ低く聞こえ、ユウは一瞬それが連の声であることを疑った。

(鍵・・・?・・・重要な話なのかな・・・?)

ユウは疑問に思いながらも、不確かな理由をつけてたった今入って来た入り口へ戻る。


カチリ


しんと静まり返った部屋に、鍵を閉める音が響いた。
遠くで激しい雨音が聞こえる。

(朝は晴れてたのにな・・・。傘持ってきてないや)

ぼんやりとそんなことを思いながら、黙っている連に声をかけようと振り返った。


「・・・・!!」


心臓が止まりそうになった。


いつの間にか連は自分の目の前にいたのだ。
そしてユウを挟むように両手を戸にかけている。



そう。まるで逃げ場をなくすかのように。



+++++++
エラーが出たので2つに分けます;
改行が多い;;

















11 ::2006/04/19(水) 23:46:39
「・・・れ、んさん・・・?」

妙な空気が流れていることにユウは気づいた。
名を呼ぶが連は返事を返すことなく、ただ刺すようにユウを見据えている。
その目には普段の快活さはなく、矢のような鋭さと冷淡さが支配していた。
ユウはなぜだかそれ以上言葉を発することができなくなり、あわてて顔を落とした。

(連さん・・・?どうしたんだろ・・・。なんかいつもと違・・・)

「おい」

冷たい声にユウはびくりとした。
それは普段の連とは完全にかけ離れるものだった。

「顔そらしてんじゃねェよ」

「・・・・!」


ひやりとした。


ユウは早くなっていく鼓動を抑えようと必死だった。

(違う。きっとからかってるんだ。連さんはこんな感じじゃないもん・・・っ)

自分に言い聞かせ、顔を上げる。



その瞬間。




「・・・・ッッ」



ユウの目の前は連でいっぱいだった。
思考が停止し、目を見開いたまま、


動けない。


唇に初めての感触がぶつかり、続いて唇を割って入るモノを確認した。

「・・・・ッん・・・っ」

間を置いた後一気に恐怖感が体を貫く。ユウは反射的にぎゅっと目を閉じた。
口内ではユウに対しては未知の、「何か」が無用心に中を這いずり回っている。



何が起こったか、よく分からなかった。



気がつくと唇は開放され、ハアハアと荒れた息をつむぐ自分がいた。

「・・・ハァ・・・ッれん・・・っさ・・・」

名を呼んで見上げようとしたその時、いつの間にか着ていたシャツの前が開いていることに気づいた。

「・・・!」

サッと連の顔を見上げる。
目が合うと、連は冷たさを残した目つきのまま、口端を上げた。
そしてユウが口を開けようとした瞬間、連の腕が綺麗に伸びる。

「・・・れッ・・・・ッ」

自身の胸の突起を弄られ、ユウの顔は更に紅潮していった。

「・・・っ連さ・・ッやめ・・・っ」

必死で連の腕を両手で掴むが、ぴくりとも動かない。


下半身が熱くなるのを感じた。


それを見透かしたように、開いていた連の片手がユウのベルトへと伸びる。

「・・・!ゃ・・・ッやめてください!!」

精一杯の声を振り絞った瞬間、連の手が止まった。

「・・・っハァ・・・連さん・・・どうしたんですか・・・っ?」

ユウが必死で言葉を発すると、連はぞくっとするような微笑を浮かべた。

「選べ」

「え・・・?」

突然吐き出された言葉に、ユウは思わず聞き返した。

「お前が条件を呑むなら開放してやるよ」

「・・・条件・・・?」

連は不気味な微笑のまま、楽しむようにユウを見ていた。


ユウが知っている連は、もうどこにもいない。


「条件って・・・なんですか・・・?」

ユウは恐る恐る尋ねた。

「お前を解放する代わりに、羽田をレギュラーから外す。ずーっとな」

「・・・!!」

(羽田くんを・・・!?)


冷や汗が流れるのを感じた。


「・・・どうして・・・・羽田くんなんですか・・・?」

ユウが答えを探すように連の顔を見ると、連はニッと意地悪く笑って、ユウの耳に唇を寄せた。


「お前、羽田のこと好きだろ」

「!!」


すでに赤くなっていたユウの顔が更に色を濃くする。

「な、なんで・・・っ」

「いっつも羽田のこと見てたもんなぁ」

言って、連はユウの耳をいやらしく舐め上げた。

「・・・ッ」

「そんで」ユウは反射的に目を瞑り、続く連の声に肩を震わせる。


「俺はそのお前を見てたから」


「え・・・」


目を開けると、すでに微笑すら浮かべていない連がいた。




「選べ」






+++++++++
きります!


12 ::2006/04/19(水) 23:52:30
きれちゃったので一応出しときます;
++++++++++++++++++


「・・・条件・・・?」

連は不気味な微笑のまま、楽しむようにユウを見ていた。


ユウが知っている連は、もうどこにもいない。


「条件って・・・なんですか・・・?」

ユウは恐る恐る尋ねた。

「お前を解放する代わりに、羽田をレギュラーから外す。ずーっとな」

「・・・!!」

(羽田くんを・・・!?)


冷や汗が流れるのを感じた。


「・・・どうして・・・・羽田くんなんですか・・・?」

ユウが答えを探すように連の顔を見ると、連はニッと意地悪く笑って、ユウの耳に唇を寄せた。


「お前、羽田のこと好きだろ」

「!!」


すでに赤くなっていたユウの顔が更に色を濃くする。

「な、なんで・・・っ」

「いっつも羽田のこと見てたもんなぁ」

言って、連はユウの耳をいやらしく舐め上げた。

「・・・ッ」

「そんで」ユウは反射的に目を瞑り、続く連の声に肩を震わせる。


「俺はそのお前を見てたから」


「え・・・」


目を開けると、すでに微笑すら浮かべていない連がいた。




「選べ」






+++++++++
きります!


17 ::04/24(月) 20:17:14 HOST:i58-89-123-91.s02.a021.ap.plala.or.jp
●になさま●檸檬さま●まみさま●
あげありがとうございます!!
嬉しすぎてぶっ倒れますよー
頑張りますのでよろしくお願いします!



新キャラ出たので★★
【高梨連takanashi-ren】
野球に関してすごい人。頭いいです。
年は21か22(適当(ォィ
本文でもあった通りもてもてな奴。


+++++++++++++++++




遠い。



どんなに言葉を交わしたって、

どんなに肩を並べたって。


想う心は無機質。

生み出すモノなど、何もない。


君の為の存在になりたくて。




この気持ちが 君の為に なればいい――――












18 ::04/24(月) 20:47:45 HOST:i58-89-123-91.s02.a021.ap.plala.or.jp

鼓動の早さが最高潮になる前に、ユウは口を開いた。


「・・・分かりました」

冷たい目に標準を合わせて、俯いていた顔を上げる。

「俺でよかったら、好きなだけやりたいことやって下さい。
その代わり約束は必ず守っていただきます」

迷いのない真っ直ぐな目を向けられ、連は満足感と怒りの感情に襲われた。

「お前ほんとにアイツのこと好きなんだな」

湛えられた笑みは消え、鷹のような鋭い視線がユウを刺し・・

次の瞬間、すでにユウは連の手中だった。

一気に制服を脱がされ、陶器のような綺麗な白肌があらわになる。

「・・・っ」

これから起こりうる出来事に実感を覚え、ユウのからだに恐怖感という名の刃が容赦なく刺さった。


震えるからだ。

遠くの雨音。

高鳴る鼓動。


――――夢ならよかった


刹那、そんな事を思う自分がいた。





19 :まみ:04/24(月) 22:51:41 HOST:p97-dnb17tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜

20 ::04/24(月) 23:28:29 HOST:i220-109-140-247.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空は寮の自室にいた。

窓の向こうの激しい雨音に耳を傾けてため息をつく。

「明日も雨かな・・・」

ベッドに寝転がっていたシンは、その言葉を聞いて読んでいた雑誌から目を離した。

「どーだろーなー」

「なんかどうでもよさそうだなお前」

「ちーちゃんは部活グラウンドでできるか心配なんでしょー?」

「ちーちゃんて呼ぶなシンちゃん」

「あっきーは野球以外のことは興味ないくせに、野球のこととなると一気に目ェキラキラだよな」

「・・・・」

シンの言うとおり、千空は野球関連以外には全くの無関心だった。

勉強も友達も女も遊びも適当にやり過ごしてきた。

でも高2になって初めて、自分が野球以外のことに関心を持っていることに気づいた。

シンはそれをよーく知っている。

「でもさ。せっかくこの千空が野球以外に興味持ったわけじゃん?」

「・・・だからなんだよ・・・てかなんだいきなり」

「これは結ばれるべきだろ」

「結ばれるとか言うな・・・」

寝転がるシンの横に腰掛けていた千空は、わざわざ振り返って幼馴染の顔を睨む。

「つかお前自分の部屋戻れよ。12時過ぎたし」

「夜はこれからだろ」

「キモい」

コンコン

2人が慣れたやり取りをしていると、ドアの向こうから控えめなノックの音が聞こえた。

部屋から出るついでに、とシンがベッドから体を起こす。

「はいはーい」

シンがドアを開けると、そこには見慣れたチームメイトの姿があった。

「千空いんだろ?」

チームメイトの安西直(anzai-nao)は、出てきたシンを見ても全く動じない。

これが当たり前なのだ。

「いるいる」

「おー千空ー、お前ユウ知らね? 部屋ノックしても応答なしなんだけど」

「西宮?・・・寝てんじゃねェの?・・・」

「ユウ」という名前に思わず反応してしまった千空は、心の中だけで舌打ちをした。

しかしそれを表に出すことはなく、いたって平静に直に応える。

なぜ直が千空にユウの状況を聞こうとするのかというと、千空の隣の部屋がユウだからだ。実は。

「んなわけねェよ。ユウは電気つけっぱなしじゃないと寝れねェもん」

電気は消えてる、と当然のことのように直は答える。





21 ::04/24(月) 23:31:00 HOST:i220-109-140-247.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
またもやあげありがとうございます!!
嬉しい限りです★★
これからもよろしくお願いします!!

22 :にな:04/24(月) 23:34:28 HOST:ser356611003541657
あ〜野球好きっ(*´v`*)あげちょ☆

23 :にな:05/01(月) 23:44:42 HOST:ser356611003541657
楽しみに待ってます(*O∀o*)

24 ::05/01(月) 23:57:07 HOST:softbank221085114065.bbtec.net
ぁげ↑↑
面白ぃです☆

25 ::05/03(水) 21:37:51 HOST:i220-108-77-38.s02.a021.ap.plala.or.jp
●になさま●
またもやあげありがとうございました!
まだまだ力不足ですが頑張ります★☆
これからもよろしくです!

●香さま●
あげありがとうございました!
そう言っていただけると嬉しい限りですッッ
頑張りますので今後もよろしくお願いします!




+++++++++++++++++++

「お前怖い…」

千空とシンが声を揃える。

「・・・つか直つんはユウに何の用があったわけ?」

シンはさっきから千空が気になっていたことを言ってくれる。

「あー…日誌受け取るの忘れちゃってさ」

栄天学園野球部の日誌は一人一冊づつ支給されており、
毎日監督に提出することが義務づけられている。

そしてそれを部員から集め、監督に提出したり受け取ったりすることもマネージャーの仕事だ。

「ふーん…ま、どうせそのままユウの部屋に居座るつもりだったんだろうけど★」

シンはほんとに千空の言いたいことをよく分かっている。

「ばれた?」

直は否定するでも悪びれるわけでもなく、ただニヤリと笑った。

「で、西宮はどこにいんだよ」

「俺らが教室戻ったときはカバン置いてあったよな」

シンの発言に千空は、そういえばとうなづく。

しかしそれはだいぶ前のことだ。

特別教室を出たのは6時過ぎ。教室に戻ったのはその後。

「………」

嫌な予感。

理由は見つからなかったが、千空はただならぬ不安にかりたたれた。






26 ::05/03(水) 22:12:25 HOST:i220-108-77-38.s02.a021.ap.plala.or.jp
×かりたたられた
○かりたてられた

です!すみませんでした!!



++++++++++++++++++

栄天学園の校風はいたって自由で、校則も他校と比べれば緩すぎるほどだ。

寮の出入りに時間制限はないし、他の部屋で過ごすこともできる。

だからこんな遅くまで一野球部マネージャーが部屋に戻らなかろうと、誰も口出ししないのだ。

「はぁ・・・」

千空はユウの部屋のドアにもたれかかりながら、小さくため息をついていた。

そしておもむろにジャージのポケットへ手を伸ばす。

時刻は午前2時30分。

ケータイのサブディスプレイに映し出された数字に、もう一度ため息をついた。

こうやってため息を繰り返しながら、すでに2時間が経過している。


事のいきさつはこうだ。


シンと直がとりあえず自室に身を引いてから、千空はベッドの上に体を横にした。

明日も朝練があるから、と早々に寝ようとしたのだが、どうにもあることが気になって眠れなかった。

もちろんユウのことだ。

20分程耳をそばだてていても、隣の部屋のドアが開く音は聞こえない。

いよいよ眠気など吹っ飛び、どうしていいか分からないうちに自分の部屋を出ていた。


(バカだよな・・・俺・・・)

そんなことで眠れないなんて。

(いやいやそんなことじゃないだろ!!)

しかし部屋の前で突っ立っていたって何もできない。

(そうだけど・・・落ち着かねェしっ・・・)

別に落ち着かなくても誰も困らない。

(っっ・・・落ち着かないと眠れないしっっ明日も朝練あるしっっ)

土曜日は朝練がない。

(土曜日だった〜〜)

千空が自問自答のようなことを繰り返す間も、刻々と時間は過ぎて行った。







27 :ぁゃな☆ミ:05/03(水) 23:07:00 HOST:i58-95-247-111.s10.a022.ap.plala.or.jp
初めまして!!めっちゃ面白いw

28 ::05/04(木) 18:34:27 HOST:i58-95-222-120.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ぁゃなさま●
初めまして★★
楽しんでもらえるものになっているようで安心しましたv
ありがとうございます!!





+++++++++++++++++++++++

学校を出たのは午前3時頃だったと思う。

いつの間にか苦い記憶は途切れていて、目を覚ませば暗い資料室に横たわっていた。 

月光に浮かんだ部屋と自分。

見ればちゃんと制服を着ていて、汚れたはずの床も綺麗だった。

(・・・夢・・・?)

しかし淡い期待は尖った現実に容赦なく砕かれる。

カッターシャツから覗く肌には赤い斑点が見え隠れし、右の手首には縛った痕が残酷に刻まれていた。


――――ああ


わずかでも、期待など抱くものではなかった。

余計に、悲しくて寂しくて虚しいだけ。

(そんなこと、とっくの昔に味わったのに)

一瞬、過去の記憶が蘇った。


馬乗りの男
押さえられた両腕
閉ざされた視界

失われた涙


「―――・・・・」

意識が遠のきそうになる。

目をぎゅっと瞑って、組んだ両手を胸に押し付けた。


大丈夫大丈夫大丈夫


心の中で呪文のように繰り返した。

(・・・昔の記憶とかぶっただけ)

別に怖かったわけじゃない
悲しかったわけじゃない
寂しかったわけじゃない

「――だから、羽田くんが悪いわけじゃない」


願うように、そっと呟いた。









29 :まみ:05/04(木) 19:03:36 HOST:p119-dnb18tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
またあげ〜

30 ::05/04(木) 20:01:11 HOST:i58-95-222-120.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
あげありがとうございます!
毎度嬉しくて仕方ありませんw
頑張ります★★






+++++++++++++++++++++++

校舎から寮までの道のりは地獄のようだった。

100m程しかないのだが、立つのも精一杯のこの体では辛すぎる。

飾った外灯に照らされながら、ユウは重い足をゆっくりと進めていった。

幸いにも雨はすっかり上がっており、綺麗な星空が広がっていた。


ようやく寮の玄関に足を踏み入れ、そこで一息ついた。

「おかえり」と声をかけてくれる管理室のおばさんにも、精一杯の笑顔を向けて自室へ歩を進める。

エレベーターから出ると、ロビーではむやみに輝くシャンデリアが待っていた。

今ではその美しさすら皮肉に思えて。

そんな自分に嫌気がさした。

俯いたまま廊下を歩いていく。

(・・・羽田くんは、もう寝たかな・・・)

(・・・寝たよね)

自分自身から帰ってきた答えに、ふっと笑みがこぼれた。

――野球が大好きな人だから。

明日は午後からの練習が組まれている。
しかし生活リズムを崩して風邪などを引き起こさない為、千空はいつも12時前後には床についている。

ユウはそんな野球にマジメな千空が一番好きだった。

野球が心底好きだと、笑った顔が忘れられなかった。

自分も同じように、笑って好きだと言われることができたなら。

どんなに幸せだろうと頭の中で思い描いた。


――――せめて好きだと言えたらよかった


汚れてしまう、その前に。

一生叶わぬ願いも、気楽に捨て去れて楽になれたのかもしれない。

「・・・・・・」

何となく立ち止まって、空色の絨毯を見つめていた。

(・・・早く寝よう)

それが一番だ、と顔を上げる。その瞬間。


「・・・羽田くん・・・?」


自分の部屋の前に座り込む、たった1人の好きな人がいた。






31 ::05/04(木) 21:55:51 HOST:i58-95-222-120.s02.a021.ap.plala.or.jp

何となく、ユウは恐る恐る千空に近寄って行く。

「・・・羽田くん・・・?」

もう一度そっと名前を呼んでみる。

しかし千空はドアにもたれかかり、顔を埋めたまま動かない。

(寝・・・てる・・・?)

確かに千空からは、静かな寝息が聞こえた。

ドアのプレートをじっくり確認してから、再度動かない千空に目線を落とす。

(ここ、俺の部屋だよね・・・?)

どうすればいいのか分からず、とりあえずしゃがんでじっと千空を見てみることにした。

(このままだと風邪引いちゃう・・・よなぁ・・・)

千空が日々気にかけていることを思い出す。

「・・・起こすよー」

一応前触れを用意してから、手を伸ばした。

一瞬、汚れ物の自分が触れてもよいのか、と心臓が鳴った。


(・・・許してな)


「羽田くん」

はっきりとした声で呼んで、上体を軽くゆする。

すると千空は小さく唸ってから、抱えられた膝からゆっくりと頭を起こした。

「・・・・・・」

寝起きで虚ろな目が、ふわふわと宙を彷徨う。

「・・・・・・」

「・・・おーい」

「・・・・・・」

「・・・羽田くーん」

「・・・・・・」

「・・・起きてますかー」

「・・・・・」

「・・・生きてますかー」

「・・・生きてます・・・」

ぽつりと言ったその瞬間、一気に千空の目が見開かれた。

「・・・は?!え?!・・・え?!」

阿呆みたいに周りをキョロキョロと見回し、最終的に目の前のユウへたどり着く。

「・・・西宮」

「おはよう」

未だぼーぜんとしている千空に、ユウはにこっと笑った。




32 ::05/05(金) 00:22:11 HOST:softbank221085114065.bbtec.net
アゲ↑↑
面白ぃです☆続き気になります!!


33 ::05/05(金) 11:29:31 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp
●香さま●
またもやあげありがとうございます!
嬉しすぎて盗んだバイクで走り出しそうですよ!
頑張っちゃうのでよろしくお願いします★★





+++++++++++++++++++++++



起きたら目の前に、たった一人の好きな人がいた。





千空は一気に今までの記憶が蘇り、なぜだか恥ずかしくなった。

「もしかして寝ぼけた? ここ俺の部屋だけど」

目の前のユウはくすっと笑いながら、俺もよく寝ぼけるからと付け足す。

それを見て、千空は返事の言葉につまった。

(別に寝ぼけたわけじゃないけど・・・言えねェ・・・)

否定すれば必ずその続きも言わなければならなくなるだろう。

ここで座り込んでた理由を。


――――自分がもっと素直な人間ならよかった


迷いもせず「お前が好きだから」と言えたらよかった。

(いやいやそんなこと言ったら嫌われるッッ)

ユウは軽蔑の眼差しを自分に向けるよりも、困った顔をして悩んでしまうだろう。

千空はそれが嫌で堪らなかった。

好きな人には笑っていて欲しい。

初めてそう思えた相手なのだ。

それなのに自らの手で相手の心をかき混ぜたら、元も子もない。

心の中で自嘲した。

「羽田くん?」

ユウの声にハッとして、千空は落ちていた顔を上げた。

「あ・・・悪ィ・・・」

「やっぱ眠いよね、起こしてごめん・・・でも風邪引くかなと思って・・・」

「あ・・・別に西宮は悪くねェし!俺が勝手に・・・・・・寝ぼけてただけだから」

急いで返した言葉。

素直な人間に嘘をつくことに、罪悪感を覚えた。

(そんなん俺どうすりゃいんだよっ)


誰かを好きになることは難しい。

相手を見れるだけでも嬉しくて仕方なくて楽しい反面、叶わない通じない想いの行き場に困る。

想いは募って、爆発寸前。

いつもギリギリのところで追いかけてる。

(なんで男を好きになっちゃったんだろ・・・)

今更だと分かっていながらも、何度も心中で繰り返した言葉をまた繰り返す。

そして自分自身から返ってくる言葉はいつも同じ。

(・・・理由なんてない)

男にこだわって好きになったわけじゃない。

「ユウ」が好きだった。

女以上に叶わない想いでも、打ち消すことなんかできない。


ユウのことが好きで好きで好きで好きで


(言っちゃおうかな・・・)


バーカ

バカな自分に言ってやる。

「・・・なぁ、今までどこで何してたんだよ?」

それくらいは聞いてもいいだろうか、と気になっていたことを聞いてみた。

「え・・・」

その瞬間、ユウの顔がサッと曇る。

(えっ、聞いちゃ駄目だった!?)

その瞬間、千空の心臓がドキリと鳴る。

「・・・もしかして、ででデート・・・?」

(何どもってんだ俺ッッ)

千空がこんなことになるのは珍しい。

「ちっ・・・違う!!」

そしてユウがこんなふうに声を上げることも珍しかった。

千空が目を丸くしてユウを見つめていると、気づいた本人が「ごめん」と小さく言った。


34 ::05/05(金) 11:47:39 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp

「いや・・・別に・・・」

(なんで必死なんだ・・・?)

「ううん・・・ごめん・・・」

(デートに嫌な思い出でもあんのか・・・?)

「んじゃあ何してたんだ?」

「・・・・・・っ」


ユウは素直な人間だから、嘘がつけないだろう。


そんなことまで考えて、言わせようとする自分は酷いと、千空思う。

何で好きだと言うことはためらうのに、奥まで知りたがってしまうのだろう。

(俺って意外とSだったりした・・・!?)

「・・・連さんと・・・打ち合わせしてて・・・」


――――え。


(こんな遅くまで・・・?)

もしかして。

そんな考えが浮かぶ。

(・・・失恋?)

「・・・・・っ」


――――嫌だ


そう思った瞬間。

 










ドーン



「は・・・羽田くん?!」

遂に爆発。


千空はユウを抱きしめていた。




35 ::05/05(金) 12:17:50 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp
8行目

×千空思う
○千空は思う

です; すみませんッッ

36 ::05/05(金) 15:00:32 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp


矛盾してる。





ユウのことを傷つけたくなかった。

好きだと言って、困らせたくなかった。

それなのに。

いつの間にか、困らせようと、傷つけようと、体が反作用で動いてしまう。


冷静を装ったつもりで、本当は余裕なんて少しもなかった。


――――好きだ。

何も考えず、ただそれだけ想えば。

簡単なことなのに――・・・








「あ・・・の・・・」

突然抱きしめられたユウは、困惑したように自分に呼びかける。

時の流れが止まったかのように周りは静かで、心臓の音だけが大音量で響いている気がした。

「・・・羽田くん・・・??」

「好き」

「え・・・・・・」

「西宮と付き合いたい」

「・・・!!」


言ってしまった。

(やべェ・・・心臓潰れそう)

この後どうしよう、とかそんな考えも捨てて放った言葉。

『恋は盲目』とはこのことなのだろうか。

一瞬、思った。

「あ・・・え・・・俺・・・」

体はまだ離さない。

今離して顔を見たなら、

(俺が泣いちゃいそう・・・)

弱い自分。

「・・・西宮の気持ち、聞きたいんだけど。正直に」

(ぜってェ俺今顔赤い・・・)

声は正常なことに、千空は深く安心した。


――――そうだ・・・断られたら「冗談だ」と言って離れよう


しかし次のユウの発言で、一気に千空のその考えは打ち砕かれた。


「・・・俺も」


なぜなら必要なくなったから。



37 :美咲:05/05(金) 17:41:04 HOST:p7058-ipad13morioka.iwate.ocn.ne.jp
めっちゃ面白いと思います!!!
続き楽しみにしてますね!!!!
頑張ってください(×≧∪≦ddd

38 :まみ:05/05(金) 19:09:42 HOST:p34-dnb11tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜
最高です。このまま2人ともHAPPYになってほしいですねぇ。がんばってください!!!

39 :アイリ:05/05(金) 19:55:11 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp
●美咲さま●
ありがとうございます!!
嬉しくて嬉しくてしょうがないですっっ
おいら頑張っちゃいます!(誰

●まみさま●
またもやあげありがとうございます!!
ささ最高だなんてっ・・・あれ涙が。
よしゃ☆☆頑張ります!





+++++++++++++++++++++++


びっくりした。


抱きしめられて好きだと言われて。

こっちが寝ぼけたんじゃないかと思った。


――――嬉しい


「・・・俺も・・・俺も羽田くんが好き・・・」

それ以上の言葉は思いつかなかった。

ただ、どうしても伝えたいと思った。



+++++++++++++++++++++

中途半端&短文ですがちょいときります;

40 :ぁゃな☆ミ:05/05(金) 20:10:33 HOST:i58-95-247-111.s10.a022.ap.plala.or.jp
UPされてた☆★嬉しいです!!

41 :にな:05/05(金) 20:35:18 HOST:ser356611003541657
この小説がやっぱ1番です(μωμ)ツボなんですよぉ〜♪♪(笑)

42 ::05/05(金) 20:35:32 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp
ああっ違う名前を使ってましたっっ
本人です。失礼しました!!

●ぁゃなさま●
こちらこそコメ嬉しいです!
言えばぁゃなさんのコメがUPされてた!(うまい!(うまくない
ありがとうございました★★



43 ::05/05(金) 22:21:06 HOST:i125-201-44-126.s02.a021.ap.plala.or.jp
●になさま●
1番とかもう嬉しすぎてありがとうございます!(?
おおっ つまりツボが同じということですねw
私の欲望のままに書いてるものなので笑




++++++++++++++++++++++

その後は二人とも硬直状態。

お互い動けずに、廊下に膝をついたまま抱き合っていた。

そのうち夢から覚めたように、ハッとした千空が急いで体を離す。

「・・・えっと・・・」

紡ぐ言葉が見つからない。

「・・・う、ん・・・」

それはユウも同じだった。

「…えーと……よ、よろしくお願いします…」

「あ…うん…っ、こちらこそ!」

その時だけ、二人共下がっていた顔を上げた。

ぶつかる視線が恥ずかしくて。

千空は堪えられなくなって、素早く立ち上がった。

「じゃ、じゃあまた明日なっ」

「…うんっ、おやすみ」

見上げるユウの柔らかな笑顔に、千空は「おう」と小さく言って背を向けた。


千空の姿が扉の向こうに消え、ユウはゆっくり立ち上がる。

部屋に入って電気をつけて、ベッドに倒れ込んだ。

「………」


――――夢みたい…


恋する乙女な発言でも構わないと思った。

しばらく余韻に浸っていたかった。

(これからも羽田くんを好きでいよう)

そう夢見心地に心の中で呟いた。


ズキリ


瞬間、右手首が鋭く痛んだ。


見つめた先には、汚れた赤い痕。


「―――……」


頭を鈍器で殴られたような気がした。


一気に鼓動が速くなる。

「…っは……は…」

乱れた息遣いが、思い出された記憶の残酷さを物語っていた。


夢見すぎて、忘れてた?


(……どうしよう…)

今更どうにもできないこと、分かっているのに。


――――馬鹿みたいだ


「・・・羽田くん・・・」


44 :まみ:05/05(金) 23:00:41 HOST:p051-dnb35tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
またあげ〜

45 :にな:05/05(金) 23:33:34 HOST:ser356611003541657
さらにアゲ━(・∀・)━ッ!!!やった夕さんとツボ一緒(笑)そそられますね…最近たくさんお疲れ様です!

46 ::05/06(土) 00:44:41 HOST:i60-43-9-207.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
うおおうアゲありがとうございます!!(どうした
完結目指して突っ走れたら、と思いますので!
よろしくお願い致します★★

●になさま●
さらにあげとはありがとうございます!!
気遣っていただけて嬉しいですっっおじさん泣いちゃいます(ぇ
本当にありがとうございました★★





+++++++++++++++++++++++

「ちーあきー!」

寮の廊下を歩いていると、底抜けに響く声が背中にぶつかった。

「痛ェって!」

そのまま飛び乗ってきたシンを睨む。

「なぁなぁ今日ユウとどっか行くわけ?」

「・・・っハァ? 何でだよ」

どきっ

それが正直な反応だった。

「何言ってんの。昨日からそわそわしてさー、初デート前日の乙女だったじゃん」


・・・・・・本当にこいつにだけは敵わない


心の中で青くなる。


栄天学園はついに夏休みに突入した。

そして今日は待望の3日目。

千空にとっては、ユウと初めてのデートの日だった。

(・・・デートでこんな緊張すんの初めてだっつの)

それでも千空の変化に気づけるのは、シンとか身内だけだ。

「どこ行くのよ?」

「・・・映画」

「いいねー定番!」

「定番で悪いかっ」

「悪いとか言ってないじゃん」

ま、とシンは付け足す。


「帰りはもちろんラブホだろ?」


千空が去った後の廊下には、ぐったりとしたシンが横たわっていたという。




(ったくあいつは・・・)

怒りの混ざったため息をつきながら、千空は一階のロビーへと向かっていた。

時刻は9時50分32秒。

待ち合わせ時刻は10時ちょうど。

我ながら丁度いいだろうと、千空は胸を張る。

本当は1時間くらい前に行きそうになっていたのを、必死で我慢した結果がこれ。

千空としては精一杯で大挙を成し遂げたつもりなのだ。

(だって1時間前行動とか恥ずかしいじゃねェかっっ)

しかも自らの意思で待ち惚けなんて。

(そんなかっこ悪ィことできるか・・・)

悶々としながらエレベーターの外に出た。

「あ・・・千空くんっ」

付き合い始めてから変わったことと言えば、互いの呼び方が変わったことだ。

「・・・おう」

笑顔で寄って来たユウに、千空も柔らかい笑顔を向ける。

「俺楽しみすぎて30分前に来ちゃったよー」

照れたようにユウが言った。

それを見て、千空の体温は一気に上昇。

思わず抱きしめたくなってしまった。


47 :まみ:05/06(土) 09:30:29 HOST:p50-dnb15tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜
完結になってしまうのは悲しいですが読みつづけます!
最後までがんばってください!!!


48 :◎●◎●:05/06(土) 12:47:13 HOST:p220208181120.tst.ne.jp
ageage


49 ::05/06(土) 13:35:17 HOST:i218-44-81-128.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
あげありがとうございます!!
そんなこと言っていただけると・・・あれ鼻水が。
涙と鼻水拭いて頑張ります!!

●◎●◎●さま●
あげありがとうございました!!
↑のお名前欄が分かりにくくなってしまってすみません;;
頑張っちゃいます★★




++++++++++++++++++++++++++

衝動的に抱きしめたくなるのを堪えて、周りの人の往来を確かめる。

ロビーには待ち合わせらしき生徒が何人もいた。

また恋人と仲むつまじく、くっついてお喋りしている生徒も。

もちろんここは女子禁制の男子寮。

つまり腰に手を回している側も回されている側も男だ。

しかし誰一人として咎める人間はいない。

皆さも日常的だと言わんばかりに受け流している。

実際これが日常なのだが。

むしろ男女がくっついている方が、冷ややかな眼差しを向けられる。

なぜなら校則に『学園内男女交際禁止』が含まれているからだ。

青春真っ只中の高校生には少々きつい校則だろう。

しかし生徒たちのそれに対する考えはこうだ。

『学園内同性交際推奨』

そんなわけでそれぞれがしっかり青春している。


50 :まみ:05/06(土) 13:43:42 HOST:p15-dnb18tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
頑張ってください!!!

51 ::05/06(土) 14:30:27 HOST:i218-44-81-128.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
あわわコメありがとうございました!!
読んで下さる方が楽しめるものになるように頑張ります!
いつも嬉しいお言葉をかけていただけて嬉しいですvv





++++++++++++++++++++++

「おー、千空くんはデートすか」

ソファーに腰掛けてテレビを眺めていた、同級生の佐助が振り返った。

「いいだろ」

「そしたら俺らもどっか行くかー秀?」

千空が舌を出して答えると、佐助は隣に座っているもう一人に顔を向ける。

「めんどくさい」

一刀両断で真っ二つにされた佐助を笑いながら、二人は玄関を出た。

「わー、晴れたねー」

「紫外線もヤバそうだな・・・あ、日焼け止め塗った?」

千空はタンクトップからのびる、ユウの白い腕を眺めながら言う。

「塗った塗ったー」

ユウは日焼けするよりも赤くなってヒリヒリしてしまうタイプだ。

その為夏の日焼け止めは欠かせない。

それを熟知した上で気遣う千空の優しさに、ユウは嬉しくなって微笑んだ。

(それにしても・・・可愛いな・・・)

こちらはというと、決まりごとのようなセリフをまた繰り返していた。

黒のキャップを斜めに被り、その下の白い小さな顔からは大きな黒目が瞬いている。

重ねたタンクトップの首元が美しく、下のジーパンは足元が少しダボついていて可愛らしさが伺えた。

「上映時間11時だったよね?」

いきなり見上げてきた夜の瞳に、千空の心臓は大きく鳴る。

「う、うん。途中昼時になっちゃうけど何か食ってく?」

(またどもっちゃった〜〜)


52 :m1e☆:05/06(土) 15:30:04 HOST:p6060-ipad04takakise.saga.ocn.ne.jp
頑張ってネン♪

53 ::05/07(日) 01:10:24 HOST:i218-44-80-208.s02.a021.ap.plala.or.jp
●m1eさま●
コメありがとうございました!
そう言って下さる方がいると思うと、本当に嬉しいです★★
まだまだ未熟ですが頑張りますッッ






+++++++++++++++++++++++

「そだなー、マックとか寄ってこっか」

どもってしまったことにショックを受けている千空に対し、ユウは気にする素振りを全く見せない。

にこっと可愛い笑顔を返してくれる。


たった それだけ


それだけで嬉しくて、それだけで安心できた。

周りからみたら小さなことなのかもしれない。

でもそれは自分にとってみたら、とても大きなことだったりする。

今までも・・・

それを分からずに傷つけられて、自分も誰かを傷つけてきただろう。

だからあまり他人に表情を見せたくなくて、感情をさらけ出したくなかった。

(ユウならいい)

言葉の節々でそう思っていた。

きっと他人が思っているより、自分はもっと弱いから。

ユウならそれを分かる一人になってくれるんじゃないかと。

だから今隣で笑ってくれること、とても嬉しく思う。


(わがまま・・・か?)


自分の弱さを押し付けて、楽しようとすることは。

今、ふと思った。

付き合い始めて、最初は嬉しくてあまり何も考えられなかった。

そして今。

一筋の疑問がすっと通った。

「千空くん? 入ろーよ」

ハッとして顔を上げると、ユウが店の手前でこちらを不思議そうに見ている。

「あ・・・悪ィ」

何でもないと言うように、千空は笑って足を進めた。



54 ::05/07(日) 01:37:32 HOST:i218-44-80-208.s02.a021.ap.plala.or.jp

(それにしてもほんといい天気だよなぁ・・・)

ハンバーガーをくわえながら千空は窓の外を眺める。

(これはあれだな。絶好の野球日和)

そのとき、ユウが小さく口を開いた。

「・・・千空くん、今野球のこと考えてた?」

「へ?」

千空は驚きのあまり、くわえていたものを落としそうになった。

「・・・なんで分かった?」

「なんとなく」

悪戯っ子のようにユウが笑う。

(・・・びっくりしたー)

千空は驚きを隠せず、今度はユウを眺めた。

「でもほんと、いい天気・・・」

そう言ってユウが窓の外に顔を向けたとき、一瞬大きな目が見開かれた。

「あ・・・」

小さくもれた声を、千空は聞き逃さなかった。

(・・・?)

「どうかしたか?」

「え・・・あ・・・ううんっ、別に・・・」

明らかに動揺した声に、千空は眉を寄せて外へと目線を移す。

「・・・あ!連さんじゃん」

「・・・っ」

買い物かなーと呟きながら目線を戻すと、下を向いて固まっているユウがいた。

「・・・・ユウ?・・・」




――――そのとき俺はまだ

これがどんな意味を持っているのか、少しも分からずにいた



そう



恐ろしくて悲しい幕開けが、すでに始まっていたとも知らずに―――・・・


55 ::05/07(日) 02:06:27 HOST:i218-44-80-208.s02.a021.ap.plala.or.jp

映画を観る余裕なんてなかった。



頭の中でに連の姿が焼き付けられて、離れようとしなかった。

おかげで終始落ち着けず、映画の内容もうろ覚えだ。


――――見られてしまった


思い出せば体中に冷や汗が流れ、背筋がゾクリとする。

56 ::05/07(日) 09:28:25 HOST:i218-44-41-27.s02.a021.ap.plala.or.jp

目が合ったときの、連の表情が忘れられない。

歪んだ笑みと、冷ややかに鋭く光る眼。

怖くて怖くて仕方なかった。

「―――・・・」

鼓動が早くなり、体中の神経は強張って動けなかった。


「ユウ?」

遠くの声に呼ばれて、ユウは虚ろな目を上げた。

「・・・千空くん・・・」

千空は心配そうにこちらを覗いている。

「どうした? 気分悪い?」

「・・・ううん、大丈夫。ちょっとボーっとしてた」

大丈夫。自分はまだ笑える。

「そっか?・・・これ飲めよ」

「ありがとう」

千空が差し出した缶ジュースを、ユウは笑顔で受け取った。

ユウは缶のふたを開けながら、周りを見回す。

「すっげー人だなー」

千空が言うように、映画館のロビーには人が溢れていた。

その人ごみから離れて、2人は隅のソファで休んでいる。

「・・・うん」





あの日。

約束を交わした日から、何度か連に抱かれている。

「慣れ」なんて言葉はない。

いつも震えてた。


――――怖い


押し付けられた痛みと快楽に、歯を食い縛って絶えていた。

こんな姿を千空が見たらどう思うのだろうか。

最中に考えては、儚く散っていった。

余計に虚しさと後ろめたさが広がるばかりだと知って。

逃げるように想いを手放した。



(・・・俺ってずるいよね・・・)

缶から少し唇を離して、心の中で呟いた。


57 :まみ:05/07(日) 10:14:17 HOST:p77-dnb02tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
おぉ!更新されてるぅ〜。
朝から頑張りましたねぇ。関心しましたぁ。
もう、かなりドキAしながら見させてもらってます!!!

58 ::05/07(日) 11:10:18 HOST:i218-44-41-27.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
コメありがとうございました!
ををっっまみさんに関心していただいたよお母さん!!(?
これからもときメモな小説目指して頑張ります!(なんか違う





++++++++++++++++++++++

映画館を出てからは街から少し離れて、芝生の広がった公園でくつろいでいた。

芝生に寝そべって、他愛のない話をして。

時間を忘れたように、いつまでも二人して笑い合っていた。

それが何よりも幸せに感じた。

互いにこの幸せが続くことを願っていた。



「もうすぐ、甲子園だね」

すっかり夕日に染まった空を見上げながら、ユウがポツリと言った。

「・・・うん」

座るユウの隣で寝転ぶ千空も、同じ空を見つめながら答えた。

「明日からまた部活漬けの毎日だっつの」

「嬉しいくせに」

「嬉しいよ」

そうしてまた、二人で笑い合う。

小さな笑い声が止んでから、千空は「ふう」と息をついた。

「・・・・・・勝てるかな」

静かに呟いた。

「勝てるよ」

ユウは空を見たまま、芯の通った声で答える。

「まじ?」

「まじ」

「まじで勝てる?」

「当たり前」

「ほんと?」

「ほんと」

「俺勝ちたい」

「うん」

「負けたくねェ」

「うん」

「俺・・・」

言いかけて、千空はユウの顔を見た。

夕日に照らされた横顔が美しくて。

一瞬息が止まった。


「大丈夫だよ」


そう言ってユウは空から目線を移した。

二人の目が合う。

「こんなに頑張ってる人、野球の神様が見捨てるわけない」

にっこり笑った顔も、やっぱり朱色に染まってて。

千空は無性に抱きしめたくなった。

「千空くん・・・」

ぎゅうっと力を込めて。

ユウの肩に顔を押し付けて、小さく言った。


「ありがと・・・」


うれし泣きはまだ早い。

分かっているのに、どうしてだろう。

涙が溢れては、ユウの肩を濡らしていった。


59 ::05/07(日) 20:27:08 HOST:i125-201-45-207.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ふー」

ユウは風呂から上がると、気持ちよさそうに息を吐いた。

そしてそのまま机の上のデジタル時計に目を移す。

00:17

(早く寝なきゃなぁ・・・明日から1日練習だし)

そう思うが、その前の自分の行動を思い出して苦笑いをした。

千空とのデートから帰ってきてから。

ソファーで一息ついたのが仇となり、そのままうたた寝してしまったのだ。

(・・・早く髪乾かそう)

タオルを頭から被って、ベッドの上に腰を下ろした。

そして枕元に置いてあった携帯電話に手を伸ばす。

(そうだ・・・)

何かを思いつき、ユウは画面を見ながら微笑んだ。

しばらして小さな機械と向き合っていた顔が上がる。

(送・・・信!)

最後のボタンを押して、ユウはそのままベッドに勢いよく上体を倒した。

(送っちゃった・・・千空くんにメール・・・)

実際何度も千空とはメールのやり取りをしているものの、ユウは未だに慣れない部分があった。

どうしても心臓がドキドキしてしまう。

顔が見えず声も聞こえない分、文字だけで伝えることは難しくて。

相手が傷つくような内容になってないか、最後に何回も確かめていた。


――――あいたい


文字を打つ度、ユウが考えることだ。

見えない相手に声のない言葉だけを届けようとすると、無性に切なくなって無性に顔が見たくなった。


(・・・返事、返ってくるといいな・・・)


大きな抱き枕と一緒に、切なさも抱きしめる。


「・・・・・・・・・あ」


そのとき、ユウは重大なことに気がついた。

「・・・!!」

勢いよく起き上がり、もう一度時計を確認する。

00:45

「―――・・・」

野球好き故の千空の行動を思い出したのだ。

千空はいつも12時前後には床に就く。

「・・・寝てるよね・・・」

寂しそうに小さく呟いた。

そしてこみ上げてくる不安に胸を痛める。

(音で起きちゃってたりしたらどうしよう・・・)

ユウは千空の野球に関する邪魔だけはしたくなかった。

考えすぎだと笑う人もいるかもしれない。

しかし自分にとっては、本当に大切なことなのだ。

(・・・なんでだろ・・・)

自分の失態に、頭はぐるぐると嫌な考えを巡らせている。

「――千空くん・・・」

その時。


「!」


暗い携帯電話のサブディスプレイがパッと光った。

続いてメールの着信を知らせるメロディーが流れる。

ユウはあわてて携帯電話を開いた。

「千空くん・・・っ」

急いで送り主の名前を確かめる。


「―――あ・・・」

そこに示されていた真実を見て、ユウの心臓が大きく鳴った。




『高梨 連』





60 ::05/07(日) 22:05:47 HOST:i125-201-45-207.s02.a021.ap.plala.or.jp
震える指先で、ボタンを押す。

画面に短い文字の羅列が浮かび上がった。

『野球部の部室に来い』


本当にただの羅列ならよかったのに・・・


そう思いながら、ユウは静かに画面を閉じた。





外に出ると、涼しい風が頬を撫でた。

昼間の太陽はとっくに姿を隠し、綺麗な満月が夜空に浮かんでいる。

遠くで犬の遠吠えが聞こえた。

(・・・眠れないのかな・・・)

そんなことを考えてみる。

本当はそんな余裕なんてないくせに。

「―――・・・」

知らぬ間に足が止まる。

しかしすぐに、また部室を目指して歩き始めた。


部室の前に来ると、唾を飲んで静かに扉をノックした。

中からはなんの応答もない。

速度を上げる鼓動を懸命に押さえ、小さな手でドアノブを回した。

「・・・入ります・・・」

その瞬間、中からいきなり腕を引っ張られた。

「わ・・・っ」

そのまま奥まで連れて行かれる。

そこはレギュラーのみ進入を許されるスペースだった。

「・・・っつ」

勢いよく床に叩きつれられる。


「よう」


冷たい声。

誰かなんてとうに分かっている。

「・・・用・・・は何ですか・・・?」

開いた窓から漏れる月明かりに、その人は浮かんでいた。

目の前に立ちそびえる、大きな影。

「てめェ何してんの?」

静かな部屋に、冷淡な音が響く。

「・・・っ何って・・・」

「ああ?」

体を起こそうとした右腕を、鋭く踏まれた。

「・・・っ」

「なーにデートなんかしちゃってんだよ」

あざ笑うかのように連が言う。

「・・・デートじゃありません・・・」

「へぇ? じゃあ何」

「ただ・・・出かけてただけです」

下を向いて答えたユウを、連は何故か面白そうに見ていた。

「ふーん。じゃあアイツとは未だ進展ナシと」

「・・・ありません」

ユウがそう言った瞬間、いきなり前髪を掴まれた。


「嘘ついてんじゃねェよ」


「!!」

獲物を射るような目が、ユウを睨む。

ユウの背中に冷や汗が流れた。


「他の奴から聞きましたー」

蔑むように連が笑う。

「・・・っ」


――――やばい・・・


そんなの始めから分かっていたこと。



「ちょっと懲らしめてやんなきゃいけないみてェだな」



逃げ場など どこにもない





61 ::05/07(日) 22:21:18 HOST:ser350280002005886
初めましてぇッΣ(>艸<●)碧とゆう者でございますぅ。今まで他のサイトで小説読んでたんですが、新しいの読みたくなって来たら、さっそくおもしろい小説をみつけちゃいましたッ★もぅBL大スキなんすよ(/Д\キャッ)ちゅー事で応援してます♪頑張って下さい!!!!

62 ::05/08(月) 00:13:56 HOST:i125-201-45-207.s02.a021.ap.plala.or.jp
●碧さま●
初めまして★★ BL好きっすか??何を隠そう私もですw
お仲間から面白いと言っていただけて、すごく嬉しいですvv
コメありがとうございました!





++++++++++++++++++++++++++

草木も眠る丑三つ時。


そんな中、栄天学園野球部部室からは、卑猥な音が漏れていた。

「ん・・・っく・・・ぁ・・・ッ」

暗い部屋の中に、2つの影が動いている。

レギュラー陣だけの為、特別に敷かれたフローリング。

その上でユウは四つんばいになってもがいていた。

そして覆いかぶさるように、連が上からユウの体をいたぶる。

「・・・っはぁ・・・ふぅ・・・んっ」

上気した顔は妖艶なまでに、唇から甘い声を漏れ出させていた。

連の右手はユウの胸の突起を、痛いくらいに弄る。

そして左手はすでに勃ち上がったユウのモノを執拗に攻めていた。

先端をじれったく人差し指で撫で、親指は根元近くを激しく擦っる。

神業とも言える連の動きに、ユウの体は何度も己を吐き出した。

「い・・・ッぁああ・・・ッッ」

「またイったのか?」

耳元で連の低い声が笑う。

「・・・・・・っ」

ユウはその度に、何とも言えない罪悪感を感じるのだ。


 

63 ::05/08(月) 20:46:58 HOST:i60-36-124-125.s02.a021.ap.plala.or.jp
×擦っる
○擦る

です!失礼しました;

64 ::05/08(月) 22:51:09 HOST:i60-36-124-125.s02.a021.ap.plala.or.jp
なおも続く手の動きは、ユウをまた追い詰めていく。

「んんッ・・・ぁあ、ん・・・っ」

連は喘ぐユウの頬をいやらしく舐め上げた。

ユウの顔がぴくんと動く。

「背けようとしてんじゃねェよ」

そのまま舌は開いた唇から口内へ侵入した。

「ふ・・・っン・・・んん」

繋がった部分から、たらりと糸が垂れた。

ピチャピチャと淫らな音が鳴る。

ユウは反射的にぎゅっと目を瞑った。

体全体がガクガクと震え、すでにこの体勢を支えることも限界だった。

「さーて、そろそろだな」

唇と手が離れ苦しそうに息をつぐユウを、連が楽しそうに見ながら言う。

「え・・・」

ユウはその言葉に驚愕の色を示した。

それを無視して、連は手際よく自身のベルトを外してゆく。

(いれる、の・・・!?)

まだ慣らしてもないユウの後ろ。

そこへこの男は突っ込もうと言うのだ。

ユウが呆然としながら見ていると、ベルトを外し終えた連と目が合った。

「不満?」

にっこりと、歪んだ笑顔。

「・・・ッ」

笑顔に隠れた鋭い瞳が再び現れたとき、ユウの体勢は一転していた。

連に組み敷かれた華奢な体は、これから起こる悲劇に震える。

「や・・・ッ連さ・・・ッ」

取り乱した声音も、暗闇にただ消えていくだけ。


小さな蕾に連の欲望があてがわれる。


――――・・・・ッッ


バンッ


空間を壊す音が部屋に響いた。

「!?」

驚いた連が顔を上げる。

「誰だ!」



65 ::05/09(火) 00:37:45 HOST:softbank221085114065.bbtec.net
あげ↑↑
誰ですヵ?!めっちゃ気になります♪
応援してるんで頑張ってくださぃ☆

66 :まみ:05/09(火) 19:30:46 HOST:p102-dnb09tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜
私も香さんと同じく誰だか気にまりますねぇ。
BL大好きなんですよぉ。この話し好きです!!!
頑張ってください!!!

67 ::05/09(火) 23:04:22 HOST:i125-201-42-133.s02.a021.ap.plala.or.jp
●香さま●
だ、誰ですかね・・・(ォィ。
応援して下さる方がいると思うと頑張れますvv
あげandコメありがとうございました!

●まみさま●
オイラもBL大好きっ子ですのでv
好きと言って頂けて光栄です!!
あげandコメありがとうございました!





++++++++++++++++++++++++

飛ばすように開いた、ドアの入り口に立つ影。


「・・・・・・千・・・空くん・・・?」










千空は眠れずにいた。


電気を消して目を閉じるも、昼間の光景が頭に浮かんで睡眠を拒む。

(・・・楽しかった)

薄く目を開いて、ユウの笑顔を思い出しながら、心の中で呟いた。

そして同時に恥ずかしい記憶も蘇る。

広がるのは夕焼けの公園。


また 弱音を吐いてしまった


思い出しては赤面し、後悔の念が深く刻まれる。

(しかも何泣いてんだ俺ぇぇ〜〜)

ユウは呆れたのかもしれない。

優しく抱き返してくれたけれど、本当は困ってしまったかもしれない。

(・・・あいつはそんな奴じゃないのに・・・)

うつ伏せで枕に顔を押し付けた。

そんなこと分かっているはずなのに。

浮かんでくる言葉は全てユウを否定する。


――――信じたい


実行するのに今の自分は弱すぎた。

「・・・・・・」

不安は募る。

(・・・つかユウは楽しめたんかな・・・)

自分にとって最も重要なことを、今ふと思った。

(・・・俺さいてー・・・)






68 ::05/09(火) 23:04:44 HOST:i125-201-42-133.s02.a021.ap.plala.or.jp
自分に手一杯で、大事な人のことを忘れるなんて。

(もう俺と出かけるの嫌とか思ってたらどうしよ・・・)

嫌な考えが再び浮かんだその時、暗闇で何かが光った。

メールの着信音が静かな部屋に響く。

(・・・そーだ、後からユウにメール送ってみようか、な・・・)

そんなことを思いついて、鼓動の速度を上げながら、千空は枕もとの携帯電話に手を伸ばした。

そして画面を開き、数十秒息が止まることになる。

(ユ、ユウから・・・メール来たよ・・・お母さん・・・っ)

混乱しながら次の画面を開いた。

『今日はお疲れー。映画面白かったね!
 一日すっごい楽しかったよ!また行き
 たいな〜 千空くんは楽しかった?』

(楽しかった楽しかっためっちゃ楽しかった!!)

感動したまま返信を素早く打つ。

(・・・そーしん)

力強くボタンを押した。


それからはますます眠れなくなってしまった。

ドキドキしながらユウからの返信を待ち続ける。

しかし、いくら待ってもメールは来なかった。

46分経過して、千空はベッドから勢いよく起き上がる。

(俺って変態・・・!?)

返信を待っているだけなのに、そんなことまで考えてしまう。

とりあえず落ち着こうと、部屋を出た。

一際明るいロビーで、立派なソファーに腰掛けながら缶ジュースの蓋を開ける。

プシュッという炭酸の音が元気よくはじけた。

(・・・バットでも振って来ようかな)

相変わらず眠気はやってこないし、なんだか触りたくなって思った。

(1日持ってないもんなー・・・)

思い出すと無性に触りたくなってしまう。

(部室まで取り行くかぁ・・・?)

しかしバットは部室に置きっぱなしだ。

そう思うと微妙な心境になったが、すぐに取りに行かなければならない理由を思い出す。

(朝練できねェじゃん!!)

栄天学園野球部には、基本夏休みに朝練というものはないが、千空は自主練として毎朝行っていた。

部室の鍵を開けるのは週替わり鍵当番。

明日は千空の番ではない。

(鍵当番誰だっけ・・・・・・ああ、アイツか)

「アイツ」の顔を頭に浮かべて、千空は鍵を借りに行こうとソファーから立ち上がった。


「千空ぁ?」


気の抜けた自分を呼ぶ声を聞き、その方向に顔を上げる。

「・・・お前か」

ロビーの端に立つ見慣れた顔を見て、千空は小さく言った。

「お前かってなんだよ」

「ちょうどよかった。今から部屋行こうと思ってたんだよ。お前鍵当番だろ」

「そうだけど・・・何、今から部室に用でもあんの?」

壁に取り付けてある豪華な時計を指差して言う。

「バット取り行く」

「まじで? 俺も今から行くとこ」

少し驚いたように言って、指にかけた鍵を振り回した。

「お前もか」

「お前もかってなんだよ」

「んじゃあ行くか」

「・・・つかキミはもう寝る時間でしょ」

「・・・寝れねェもん」

千空が機嫌悪そうに相手を見る。

「とりあえずベッド入りなさい。千空のも取ってくっから」

「いいっ」

しかし向こうは千空を無視して、迎えたエレベーターに乗り込んだ。

「おい!待てって!」

追いかけようとする千空に、エレベーターの中から「アイツ」は笑った。



「おやすみ、ちーちゃん」






69 :にな:05/10(水) 00:13:45 HOST:ser356611003541657
どうもぉ〜(´∀`)また来ちゃいました(笑)ちーちゃんとか…♪男のちゃん付け好きなんですよねぇ(◆'A`Pq)ぶちアゲです!!

70 ::05/10(水) 18:17:43 HOST:i58-95-222-113.s02.a021.ap.plala.or.jp
×「千空ぁ?」
○「千空ぃ?」

です!訂正多くてすみません;
千空ぁ?ってなんだ笑


●になさま●
いらっしゃいませ★★笑
私も男のちゃん付け好きなんですv和みますよねw
あげandコメありがとうございました!!

71 :愛浬:05/10(水) 18:36:12 HOST:p220208181120.tst.ne.jp
めちゃぁげですっっ!!
BL最高でっす!!!

72 ::05/10(水) 20:06:51 HOST:i58-95-222-113.s02.a021.ap.plala.or.jp
●愛浬さま●
あげandコメありがとうございました!
これからも頑張りたいと思いますv
BLよいですよね☆ 801は世界を救う!!(は?





+++++++++++++++++++++++++


「・・・・・・千・・・空くん・・・?」

もたげた首を精一杯持ち上げて、影で見えない顔を懸命に確かめようとした。

「何してんですか?・・・連さん」

「!」

(この声・・・)


「・・・日比野か」

連が静かに言ったとき、雲に隠れていた月が顔を出す。

「こんばんは」

微笑を浮かべたシンが立っていた。

「あ・・・日比野、くん・・・」

ユウは目を大きく見開いて、月明かりを受けたシンを見る。

「部室はラブホじゃないんですが」

にっこりと、落ち着いた声でシンが言った。

「悪いな。邪魔すんなよ、日比野」

それに対し、連は冷たい目で笑う。



++++++++++++++++++++

中途半端+短文ですが一度きります;


73 ::05/10(水) 21:50:18 HOST:i58-95-222-113.s02.a021.ap.plala.or.jp

「邪魔すんなと言われても。部室はみんなのものですよー」

シンはわざとらしく唇を尖らせるように言った。

そして一度息をついて、意味深な微笑で連を見下げる。

「・・・連さんがそういう人だったとはなぁ」

「あんま驚かねェからがっくりだよ」

「そっちこそ、あんま残念そうじゃないですね」

言葉の攻防を続ける二人を、ユウは困惑した面持ちで見つめていた。

(な、なんで日比野くんが・・・!?)

心臓が破裂しそうなくらい脈を打つ。

なぜだか頭がくらくらして、視界のものが歪んで見えてきた。

吐きそうなほど、気持ち悪い。

「・・・っ」


――――・・・



「・・・ユウ?」

抜け殻のように体をぐったりと横にしたユウに、シンが気づいて声をかけた。

反応はない。

「んだよコイツ」

振り返った連が眉間に皺を寄せ、吐き捨てるように言った。

そしてだるそうに息を吐く。

「お前さっさと出てけ。俺はコイツに突っ込んでさっさと寝る」

「へぇ?・・・いいですけど、このことは監督に伝えますんで。1年半、コーチお疲れ様でした」

「別にクビにされる理由ねェし」

突っ立って自分を真っ直ぐ見つめるシンに、連は鼻で笑うように言った。

「何言ってんですかー。部内で強姦事件起こしちゃって、理由も何もないでしょ」

「ゴーカン?」

聞き返すと、連は整った顔を盛大に歪ませ、笑い出した。

「バーカ。強姦なんかじゃねェよ」

「・・・じゃあどういうことか説明して下さい」

少しだけ顔を引き締めたシンが鋭く言う。

それに対し連がふっと邪悪な笑みを零す。

「あいつはな・・・・・・・」


「――――」





「え・・・?」


連が今ここで放った言葉に、シンは目を見開いて言葉を失くす。

「んなわけねェだろ!ユウは千空と――・・・」

言いかけて、何かを思い出したように、いきなりシンの顔が硬直した。

たちまち瞳の色は落ち、顔が俯く。


「・・・ユウは・・・・・・ユウは千空と付き合ってる・・・」


沈黙の後、静かに言葉を繋げた。

「関係ないよ」

立ち尽くすシンに、連は悠然と主張する。

「俺とコイツがこういう関係なのは事実だ」

そう言いながら、意識をなくしたユウを抱き上げ、開いた口に唇を近づける。


「やめろ!!」


その瞬間、シンが鋭く叫び、連の左肩を掴んだ。

爪がTシャツ越しに肉に食い込み、連は軽く顔を歪ませる。

「・・・ユウに触んな」

「あぁ?」

「こいつは俺のだ!」

叫んでから連を突き飛ばし、ユウの体を抱きとめた。

捨てるように置いてあった近くのパーカをユウにかけ、抱えてから勢いよく立ち上がる。

「今日はおしまい!また明日、連さん」

ソファーを背にして睨みつける連に、シンはにっこりと作った笑顔を向け、部屋を後にした。


74 ::05/11(木) 20:24:52 HOST:actkyo070084.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
うわぁぁぁぁぁぁぁ!?予想と違ってびっくり!!うちゎてっきり千空が好きなのかと。。。(謎
ァゲ松☆ミ
更新待ってまぁぁぁす!!

75 ::05/13(土) 16:26:22 HOST:i220-99-135-58.s02.a021.ap.plala.or.jp
●悠さま●
ををっ びっくりでしたかv
悠さんの貴重なびっくりを奪っちゃいました笑
あげandコメありがとうございました!






++++++++++++++++++++++++

うっすらと瞼を開けると、目の前に空が広がっていた。


「・・・・・・」

動かない雲。

しばらくしてユウは、それが天井の模様だということに気がついた。

(・・・どこ・・・?)

虚ろな目で周りを確かめようと、仰向けのまま首を動かす。

「・・・っ」

そのとき、頭の奥がツキンと痛んだ。

布団の中の四肢もだるく、思うように動かない。

「・・・あ、練習・・・」

ぼーっとした頭の中で、ふと思い出す。

(今何時・・・行かないと・・・)


ガチャ


起き上がろうとして重い体を動かしたとき、ドアの開く音がした。

「あっれ? 起きたん?」

入り口に立つシンが、半分だけ体を起こしたユウに言う。

「・・・日比野くん?」

「おはよー。起こしてんのしんどくない? 寝てようよ」

笑顔でそう言って、器用に足でドアを閉めた。

手には大きめの紙袋が握られている。

「あ・・・えっと、ここって日比野くんの部屋・・・?」

困惑した表情で、ユウがゆっくりと尋ねる。

「そだよー。ユウの部屋入れねェから、俺の部屋にとりあえず寝かしたってわけよ」

愛嬌のある笑顔でシンは答えて、ユウのおでこに手を当てた。

(・・・? 昨日なんかあったっけ・・・・・・)

重たい頭がぐるぐる巡り、深夜の記憶を引き戻す。

「あ・・・・・・」

そして苦い映像が脳裏に浮かび上がった。

「うーん。やっぱまだ熱あるなぁ」

ひんやりとした手の感触に気づき、ユウはあわてて顔を上げる。

「日比野くんっ、俺昨日・・・っ」

「大丈夫」

シンは穏やかな声音で、ユウの言葉の続きを拒んだ。

「千空には言わねェし。なんか事情あるんだろ?」

「・・・っ」

優しく笑うシンの顔を、ユウは救われたような思いで見つめた。

「で、連さんに何言われた?」

しかしゆったりと問われた言葉に、思わず顔を俯かせる。

「ま、言いたくないならいいってぇ。まだ5時だし寝てな」

黙っているユウに、普段の明るい声でシンは言った。

「・・・・・・」

シンは肩を押してユウを寝かせようとする。

(・・・日比野くんはこんな親切にしてくれるのに・・・。俺だけ黙ってたらずるいよね・・・)

「・・・あのね」

枕に頭をうずめてから、静かに口を開いた。

シンは気づいて、そばに置いてあった椅子に腰掛けながら、耳を傾ける。

「――――」



身に起こったことを全て話した。

話が終わるとシンは、歪んだユウの顔に手を伸ばし・・・

「・・・そっか」

たったそれだけ言って、頬を撫ぜた。

「・・・うん」

ユウは何か懐かしい感覚を思い出しながら、小さく答えた。

「分かった。よし、今は忘れて寝てようぜ」

そう言ってシンは笑う。

「・・・うんっ」


コンコン

そのとき、荒いノックの音がした。

「千空だなー」

言いながらシンは立ち上がって、入り口へと向かう。

ドアが開くと、シンの言葉どおりの人物が突っ立っていた。

隙間から見える千空の姿に、ユウの心臓が鳴る。

「お前さぁ、バットねェじゃん」

「ごめん忘れた」

無表情の千空に対し、ふざけた声でシンが答える。

「はぁ?・・・んで自分のは持ってきたわけだろ? ずる」

「忘れた」

千空の言葉を遮って、シンが笑って言った。

千空はしばらく固まって、数秒後やっと口を開ける。

「お前・・・何しに行ったんだよ」

「あはは」

「あははじゃねェよ」

軽く睨んで言うと、静かにため息をついた。

「暇になった。中入れろ」

「何言ってんの。自分の部屋戻りな」

「することないし」

「もてあました体で俺のこと襲うつもりだろ」

「よし、予定変更。てめェを病院へ連れてく」

そう言うと千空はくるりと向きを変え、さっさと隣の自分の部屋へと消えて行った。




76 :まみ:05/13(土) 16:53:51 HOST:p14-dnb05tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜!!!

77 :ベア:05/13(土) 18:53:18 HOST:07012300287880_vx.ezweb.ne.jp
あげ↑あげ↑あげ↑

78 ::05/14(日) 01:46:37 HOST:i220-109-140-193.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●・ベア・さま●
あげありがとうございました!!
すごく力になりますv
頑張っちゃいます!!





+++++++++++++++++++++++

「あの、もしかしてバット取りに来たの?・・・昨日」

鼻歌を歌いながら戻ってきたシンに、ユウが問う。

「ん? あー、うん。千空が朝練するかと思って」

「・・・千空くんのバット?」

「そうそう。俺が今日鍵当番だからさぁ。あいつバット忘れてたし、ないと困るだろと思って」

当たり前のように答えるシンを、ユウはベッドの中からまじまじと見た。

「さすが『女房役』だね・・・!」

「一応な」

シンは笑ってそう言うが、二人は小学生の頃からバッテリーを組んでいる。

そして現在2年生でエースの4番を、シンはしっかりと支えていた。

(すごいよなぁ・・・)

「あいつ結構抜けてっからさ。俺がいねェとな〜〜」

「・・・・・・」

(なんか、うらやましいな・・・)


千空にはシンが必要で、きっとシンにも千空が必要なのだ。


そう考えると、二人の信頼関係が輝いてみせている気がした。

自分には届かないくらい、このバッテリーの絆は厚いのだ。

「でもさ」

少しだけ暗くしたユウの瞳を、シンの大きな猫目が覗く。

「ユウがいねェと俺ら野球すらできねんだからな!」

「え・・・」

目の前でにっこりと笑うシンを、少し驚いた顔でユウが見上げた。

「ユウがさ、器具出してくれたり手当てしてくれたり相手のデータ取ってくれたりすっから・・・」


「だから俺ら精一杯野球できんだよ」


「・・・っ」

嬉しさがこみ上げて、ユウの胸はいっぱいになる。


――マネージャーの仕事は楽しかった。

大変なこともあるけど、みんなの傍で働けることが嬉しかった。

でもたまに思うこともある。

泥だらけで汗を流し辛い練習をこなす部員の、本当に自分は役に立っているのだろうか。

みんなと同じだけの辛さでいたい。

同じだけ苦しんで、それを分かち合いたかった。

わがままのような願い事。

それは叶うことのない想いなのに。

ならば自分は全力でみんなに尽くしたいと、本気で思っていた。


それが今、報われた気がしたのだ。

「・・・ありがとう・・・っ」

ユウはほてった顔で、心からの感謝をシンに向ける。

するとシンはいつもの笑顔で、

「こちらこそ」

と言ってユウのおでこを撫でた。


79 ::05/14(日) 10:13:44 HOST:actkyo106085.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
あれ!?やっぱシンゎ千空の事。。。(黙れ
今日もァゲ松☆ミ

80 ::05/14(日) 19:13:11 HOST:i60-43-7-87.s02.a021.ap.plala.or.jp
●悠さま●
あげandコメありがとうございました!
正直な感想がとても嬉しいですし、書いてる側の為にもなりますv
あげに応えて頑張ります!!





+++++++++++++++++++++++

「・・・休みかぁー・・・」


「はいちーちゃん、それ本日34回目ー」

陰ったベンチに腰掛けながら、隣のシンは現在上の空の千空に言う。

すると千空は、シンのセリフがさも不満だと言うように、声を上げた。

「おい、ふざけんな」

「もっと言ってあげる。ちーちゃんちーちゃんちーちゃん」

「33回だ」

「そっちかよ」

指折りしたまま不機嫌に答えた千空に、手元の書類に目を落としたままシンがつっこむ。

「何その言い方。試合中にボールカウント忘れてみろ。シャレになんねェ・・・」

「はいはい。ったくほんと野球のことに関するとこの子って子は・・・」

母親のような口調でシンが呟いた。

話し始めると長いことを、この女房役はよく知っているのだ。

「で、データとれたわけ?」

話を変えて、千空がシンの手元を覗き込んだ。

「ユウのおかげでバッチリ」

「さすが」

書類には一枚ずつ対戦相手の選手それぞれの詳細が、本当に細かく記されている。

それはユウが相手校のビデオを何度も見て、自らパソコンでまとめたものだ。

(・・・風邪かぁ・・・。朝メール送ったけど返って来てないし・・・大丈夫かな)



+++++++++++++++++++++

中途半端+短文ですが一旦きります;



81 ::05/14(日) 21:24:55 HOST:i60-36-125-123.s02.a021.ap.plala.or.jp

もちろん昨晩送ったメールにも返信はなかった。

今朝部屋をノックしてみたが応答もなかった。

「・・・・・・なぁ」

考えているうちに、千空はあることに疑問を持ち、隣で欠伸をしていたシンに声をかける。

「ふぁあ・・・んん?」

「お前さ、なんでユウが休みな理由とか知ってんの?」

朝訪ねたが反応がなかったことも付け足して聞いた。

「ああ、千空が俺んとこ来る前にトイレで会ったんだよ」

目尻の水滴を指先で拭いながら、シンが答える。

「ふーん・・・どんな感じだった?」

「んー。なんかふらふらしてた。顔真っ赤だったし」

その言葉に、千空の心配はますます大きくなった。

目に浮かぶのは、昨日の元気な笑顔。

元気のないユウの姿なんて、想像もできなかった。

いつも明るく笑っていて、周りを元気付けてくれていたから。

(寮帰ったら部屋行ってみっか・・・)

心の中で呟いた。

(でも寝てるとこ起こしたり邪魔したらどうしよ・・・)

しかし嫌な考えが脳裏をかすめるのはいつものことだった。

いつだって自分は臆病で、嫌われるのを常に怖がってばかりいる。



本当はそうじゃない

本当は大好きで

ただそれだけなのに・・・




「ぼーっとしてると、簡単に取られちゃうよ」


「へ・・・?」

突然隣からの声が耳に入って、千空は俯く顔を上げた。

見ると幼馴染はすでに立ち上がり、ベンチに置いてあったグローブに手をかけていた。

「さ、午後練始まんぞ。早く行こーぜ」

太陽の日を受けて、笑った顔が眩しく輝く。

シンはそのままグラウンドへと駆け足で出て行った。

残された千空は、シンの最後の言葉を心の中で繰り返していた。



「・・・・・・シン・・・・・・?」




― ぼーっとしてると、簡単に取られちゃうよ ―







82 :愛浬:05/14(日) 22:00:40 HOST:p220208181120.tst.ne.jp
あげ〜☆

83 ::05/15(月) 20:03:25 HOST:i222-150-156-122.s02.a021.ap.plala.or.jp
●愛浬さま●
あげありがとうございました!
嬉しくて仕方ないですv
頑張っちゃいます!

84 ::05/15(月) 22:06:53 HOST:i219-164-49-196.s02.a021.ap.plala.or.jp
シンが部屋を後にしてから、だいぶ時間が流れていた。

カーテンから漏れていた光は消え、窓の外には綺麗な夕空が広がっている。

ユウは大きな夕日を瞳に映しながら、浅いため息をついた。

(なんで寝ちゃったんだろう・・・)

一日も主のいないこの部屋で生活してしまった。

ユウは、どうして自分の部屋に帰らなかったのか、と戻らない早朝の自分に問いかける。

窓際から振り返って、部屋の中を見回した。

そこにはオレンジに染まった空間は、何か自分を懐かしい気持ちにさせる。

感慨深さを味わいながら、ベッドの横に目線を移した。

そこには朝出る前にシンが渡した、茶色い紙袋が置いてある。

必要なものを全て入れ、使うように言ってくれたのだ。

中に入っていた薬のおかげで、だいぶ楽にもなった。

(優しいな・・・)

しかし感謝の想いと共に、別の念も頭に強く残る。


また、迷惑をかけてしまった


結局自分は人に迷惑をかけなければ生きていけないのかもしれない。

そう思うユウの顔には、深い悲しみの色が広がった。


――――いつか

連のことも千空に知られてしまう日が来るのかもしれない。

そのとき、きっと千空の心に傷をつける。

人間はたくさんの傷を背負っているけれど、わざわざ傷を増やすことなんてない。


――――増えた分だけ、俺は千空くんに迷惑をかけるんだ


傷跡以上に、大きな憂いを与えることができたならよかった。

「お前がいてよかった」と言われる存在になれたらよかった。


「・・・・・・」


そのとき、ユウは気づいた。



――――俺・・・「別れ」が来るのが怖いんだ


あの契約は自分で選んだことだと分かっている。

好きな人の為だと、納得して選んだ。


それなのに。


――――自分も幸せになりたい


そんなことを思っていたのかもしれない。


――それは、コウカイ?



夕日は遠くにゆっくり沈んでゆく。

街の色を変えたまま。

その景色をもう一度眺めてから、ユウは小さく呟いた。


「・・・後悔は、してない・・・」





85 ::05/16(火) 18:36:33 HOST:i58-95-222-237.s02.a021.ap.plala.or.jp
修正します!

×そこにはオレンジに染まった空間は、何か自分を懐かしい気持ちにさせる。

○オレンジに染まった空間は、何か自分を懐かしい気持ちにさせる。

です!失礼しました!

86 :まみ:05/16(火) 20:42:51 HOST:p77-dnb09tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜
最高に面白いです!!!

87 :にな:05/16(火) 22:40:11 HOST:ser356611003541657
\(゚∀。)/あげぇ!!
になはテスト中ですが来ちゃいました(笑)この小説が私を呼んでたので…赤点決定☆

88 ::05/17(水) 19:19:43 HOST:i218-44-40-249.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まみさま●
ささ最高とはッッ 嬉しすぎて卒倒です!
そう言っていただけると、なんだか意欲が湧いてくるのですよvv
あげandコメありがとうございました!

●になさま●
テスト期間中にも関わらず来てくださるなんて!お疲れ様です!
もう本当に嬉しいです!! ついつい呼んでしまいました笑
あげandコメありがとうございました!


89 :d:05/17(水) 20:39:26 HOST:zaq3d7d624a.zaq.ne.jp
この頃、赤西仁と倖田未来がHしたんだって。
赤西仁が倖田未来を無理やりラブホに連れて行ったらしいよ。
私は赤西君のファンでした。すごく悲しいです。
これをこの掲示版に2個張るとその動画が見れます。
やってみて下さい。
これは本当です。他のチェンメは見れないけどこれは100%見れます。
私を信じてやってみて下さい。
【www.akanisijinn.koudakumi.rabu.ettinagazou///kning;,hh;】


90 :ba:05/18(木) 18:23:31 HOST:softbank221077058095.bbtec.net
この頃、赤西仁と倖田未来がHしたんだって。
赤西仁が倖田未来を無理やりラブホに連れて行ったらしいよ。
私は赤西君のファンでした。すごく悲しいです。
これをこの掲示版に2個張るとその動画が見れます。
やってみて下さい。
これは本当です。他のチェンメは見れないけどこれは100%見れます。
私を信じてやってみて下さい。
【www.akanisijinn.koudakumi.rabu.ettinagazou///kning;,hh;】


91 ::05/18(木) 19:13:52 HOST:i222-150-156-217.s02.a021.ap.plala.or.jp
ようやく日が傾き、1日を通した野球部の練習が終わった。

レギュラーの部室からは、部員たちの明るい笑い声が聞こえる。

「今日さー、ユウ来ねェしまじ寂しかった」

「え? お前には俺いんじゃん」

「ちょ、こっち来んな。汗くせェし!」

「お前もな!」

そんな先輩たちの会話に、千空とシンも笑う。

レギュラーのみ入ることが許される部室の奥のもう一部屋。

そこに混ざる2年生は千空とシンの二人だけだ。

「お疲れっしたー」

「あ、お前ら!」

着替え終わって出てこうとした後輩を、先輩の中の一人が呼び止めた。

「なんすか部長?」

シンが入り口の前で聞き返すと、短髪で長身の部長がすかさず言う。

「なんすかじゃねェだろー。終わった後野球部全員でラーメン食い行くっつったじゃん」

「あ!行きます!」

笑顔で答えたシンに頷いてから、部長は千空に目を移した。

「ちーも行くだろ?」

「・・・あ、俺今日はいいっす」




++++++++++++++++++++++

めっさ中途半端and短文ですがきります!;



92 ::05/18(木) 20:35:45 HOST:i222-150-156-217.s02.a021.ap.plala.or.jp
「あー? なんかあんの?」

「いや、えっと・・・」

(・・・ユウが気になるから)

そう心の中で説明しながらも、口はうまい言い訳も言えず苦笑いする。

「こいつ今ちょっと具合悪いんすよ」

そのとき、隣にいたシンが言った。

「まじで? おっ前ほんと顔に出ねェよな〜。今日のは分かんなかった」

まじまじと千空を見ようとする部長の前に、後ろにいた影がすっと出てきた。

「本当か?」

黒髪で美形の副部長が真面目な顔で聞く。

「あ・・・はい」

千空は少し動揺しながらも答えた。

「すぐに試合が始まる。さっさと治せよ」

「はいっ」


93 ::05/20(土) 13:36:37 HOST:actkyo115210.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
なんかメンバーがたくさんいて!!すごいですね!!小説うますぎます!!これからもがんばってパイァゲ松☆ミ

94 ::05/20(土) 19:19:26 HOST:i219-167-124-94.s02.a021.ap.plala.or.jp
●悠さま●
あげandコメありがとうございます!
メンバーを頑張って増やしていたところなので、気づいていただけてとても嬉しいですv
お褒めのお言葉にお応えして頑張ります!

95 ::05/20(土) 19:39:34 HOST:i219-167-124-94.s02.a021.ap.plala.or.jp
「お疲れ」

副部長の平板な声に送られ、千空は部屋を出て行こうとした。

「ちー」

すると背後から大きな手が伸び、千空の肩を掴んだ。

「病人を襲うなよ」

部長は顔を寄せて小さく言うと、すぐに手を離してニッコリと笑顔を向ける。

「・・・ぶ、ぶちょ・・・ッ」

千空は数秒後言葉の意味に気づき、一気に顔を赤くした。

「おーおー。お前は他人にもそうやって表情変えてやるといいぞ」

「お疲れ様でした!!」

そして顔を赤くしたまま、勢いよく部屋を出て行った。





96 ::05/20(土) 21:02:07 HOST:i219-167-124-94.s02.a021.ap.plala.or.jp

(部長・・・なんで分かったんだよ・・・)

寮のエレベーターに乗り込みながら、千空は心の中で呟いた。

「! いやいや襲うことじゃなくてっ」

更に自分に弁解の言葉を投げる。

(ユウの様子見に行くことを・・・)

ため息をつきながら、広い密室の隅でしゃがみこんだ。

「俺って分かりやすいのかな・・・」

「てかまた独り言いってるよ・・・」

「あ、また言っちゃった・・・」

「また・・・」

(俺は馬鹿かッ)

やっぱり馬鹿か、とまた独り言を言いながら、運動を止めたエレベーターを出る。

ロビーには見て人数が分かるほどの生徒がいるだけで、他は影すら見えなかった。

皆夕食を食べに行っているのだろう。

栄天学園には寮のすぐ傍に、学園が経営している立派なレストランがある。

それは学園内の食堂とは別で、24時間利用することができる。

一応寮の各部屋にキッチンが設けられており、自炊は十分できるのだが、
毎日利用している生徒はあまりいない。

その為たいてい夕方になると、寮内はこのように静かになる。

人の往来の少ない廊下を一人で歩きながら、千空は知らぬ間に鼓動が速くなっていることに気づいた。

(・・・ユウの部屋入るかもだからか!?・・・俺って変態!?)

冷や汗が伝う頬を自らの手でビンタする。

そうこうしている間にユウの部屋の前に到着した。

大きく感じる心臓の音を抑えようと、無意味に左手を上からあてる。

(もし部屋の中誘われたらどうしよ・・・まずはベッドに入ってろって言って・・・俺は近くの椅子に座って・・・)


その後は・・・


妄想を膨らませた千空の頭がパンクする。

「相手病人だからっ」

再び顔を真っ赤にしてから、ノックをしようと力のこもる手を上げた。

(ち、力抜いて力抜いて・・・)


ガチャ


千空が叩こうとした次の瞬間、近くでタイミングよくドアの開く音がした。

止まりそうになった心臓を宥めながら、千空はなんとなしにその方向に目線を向ける。


「・・・!」


開いたのはシンの部屋だった。

そして、出てきた人物と目が合う。


「・・・ユウ・・・」




97 ::05/22(月) 20:19:00 HOST:i219-164-179-250.s02.a021.ap.plala.or.jp

置手紙を残して、シンの部屋を出た。

そして次の瞬間、一気に凍りつくことになる。


「・・・千空くん・・・」


そこには自分の部屋の前で立ち尽くしている千空がいた。

そしてこちらを見つめたまま動かない。

パタンと、静かにオートロックのドアが閉まった。

二人の間を長い沈黙が支配する。

なんとも言えない空気を引き裂いたのは、千空が発した言葉だった。

「・・・元気?」

「へ?」

思ってもみなかった千空の問いに、ユウは思わず調子のはずれた声を出す。

「あ・・・う、うん!日比野くんがくれた薬飲んだらかなり楽になった」

できるだけ元気に答えたが、千空はなぜか少しだけ険しい表情をした。

「・・・シン?」

眉間に皺を寄せながら、千空が聞き返す。

「・・・なんでシンが・・・あいつあんまそういうことしねェのに」

「・・・そうなの?」

親切なシンの行動を思い出しながら、ユウは驚きの色を示した。

(・・・ああ、きっと)

「千空くんに風邪うつらないようにじゃない?」

試合近いし、と付け加えて笑顔を見せる。

「ふーん・・・んで、あいつの部屋にまでいたの?・・・一日中」

「え・・・」

喉の奥が詰まった。

一瞬にして言葉が出てこなくなる。


――――どうしよう・・・


別に自分の部屋で寝てたってよかったはずなのだ。

わざわざシンの部屋で一日中休むことはない。

そういう成り行きになってしまったのには、訳がある。


(―――・・・)

しかしユウはその訳を千空に話すわけにはいかなかった。

絶対に。


――――そしたら連さんのことが・・・


ぎゅっと目を瞑った。

「・・・まぁいいか。あ、メール・・・見た・・・?」

「え・・・? ・・・メール・・・?」

張り詰めた糸が急に緩んで、滲んだ汗が額から流れ落ちる。

(メール・・・あ!・・・ケータイ部屋だ・・・)

「ごめん、部屋に置きっぱなしで・・・」

「・・・そっか、んならいいや」

「ごめんね・・・」

「いいよいいよ。つかまだ顔ちょっと赤いし、寝てた方がいいって。俺も風呂入ってさっさと休むし」

ふっと笑ってから、千空は自分の部屋の前に、止まっていた足を進めた。

「あ、練習お疲れ様!」

「おう」

指紋認証式の鍵を開けながらそう言うと、千空の姿は開いた扉の向こうへと消えて行った。

残されたユウは、しばらくその場に立ち尽くす。

そして何かすっきりしない気持ちを遊ばせていた。

答えも見つからないのなら、どうしようと仕方ないのだ。

そうユウは思う。



――いや、本当は気づいているのかもしれない。

笑ってしまうほど臆病な自分がそうさせているのかもしれない。


「ううん、知ってる」


きっとこの後、大きな波が自分たちに襲い掛かってくることを。




98 ::05/25(木) 20:32:28 HOST:i218-44-27-162.s02.a021.ap.plala.or.jp
風呂から上がった千空は、案の定寝付けずにいた。

壁に設置されている液晶テレビをボーっと眺める。

頭の中では1時間ほど前の恋人の姿が蘇りっぱなしだった。

(・・・どういうことだ?・・・)

ユウはどうしてシンの部屋にいたのか。

千空は先ほどからユウに重ねてそのことばかり考えていた。


――――アイツはほんとにそういうことしねェのに・・・


どうしてシンは自分の部屋で一日中休ませたのか。

(・・・しかも服まで貸して)

部屋から出てきたユウは、シンのTシャツにジャージという出で立ちだった。

シンの所有物ということだけは断言できる。

また、もう一つ気になったこともあった。

「いや・・・これは、なぁ・・・」

明らかに弱気がこもった小さな声で呟く。

千空がもう一つ気になったものというのは、ユウの首筋についていた無数の赤い斑点だった。

「か、蚊に喰われたんだよ!アハハハハ」

突然部屋の中に胡散臭い笑い声が響く。

そしてその音が消えてから、千空はベッドに腰掛けたままうな垂れた。

それが意味するものはなんなのか・・・

そう考え始めると、よからぬ方向へと予想が膨らむ。


――――俺・・・ユウのこと疑ってる・・・


気づいたときには涙が出そうになった。

(俺さいてぇッッ)


+++++++++++++++++++++++

きります;

99 ::05/25(木) 22:45:44 HOST:i218-44-27-162.s02.a021.ap.plala.or.jp

そのとき、一つの言葉が脳裏に浮かび上がった。



 ― ぼーっとしてると、簡単に取られちゃうよ ―



「――――」


「ちーあきー!入るぞー」

千空の瞳が見開かれたとき、いきなり入り口から声がした。

かと思うと、一瞬のうちにドアが開く。

もちろん鍵は閉まっていた。

しかし今入ってきた人物は、特別に千空の部屋の鍵をいつでも開けることができるのだ。

「あー、やっぱ指紋照合って便利だわ」

人差し指に軽く唇を当てながら、その人物が千空の前に立つ。

「システムに登録してあるからって勝手に入ってくんな・・・シン」

「んだよ今さら。なぁアイス買ってきた!食おー」

眉間に軽く皺を寄せて見上げる千空に、シンは色素が幾分薄い髪を揺らして言った。

そして手に持っていた派手なパッケージを突き出す。

「ありがと」

千空は好物を見せびらかされ、一度停止したのち、奪うようにシンの手からそれを取った。

しばらくは二人ともベッドに腰かけ、適当なバラエティー番組を見ながら冷たいアイスに食いついていた。

その間はどちらも話を振る感じはなく、ただ黙って画面を眺めるだけだった。

「・・・はぁー」

ちびちびと舐めているシンの横で、千空は食後の幸福感に浸る。

そして一度天井を仰ぎ、何か迷うように目を泳がした。

「・・・・・・」

一息置くと、ゆっくり口を開いた。

「・・・お前さぁ、ユウのこと好きなの?」

テレビから伝う音声だけが聞こえる部屋で、千空の肉声は空気に浮くようだった。

シンは動じることもなく、そのまま画面の中の芸人を見つめている。

千空もそれに目線を合わせたまま動かない。

テレビの中から聞こえる声のみが、その場に合わず流れていた。

そして千空がもう一度口を開く。

「・・・てか、ユウっていつからお前の部屋にいた?」

その質問に、シンはその姿勢のまま

「今朝からだよ」

と普段どおりの声で答えた。

「嘘だろ」

すぐさま千空が捨てるように言う。

「なんで?」

少しだけ笑みをためた横顔が聞き返した。

千空はちらりとシンを見てから、再び口を開く。

「ユウは俺が昨日送ったメール、今日お前の部屋から出てきたときも見てなかった。部屋に置きっぱなしで・・・」

シンは黙って千空の説明に耳を傾けていた。

「・・・そしたら昨日の夜から部屋にいなかったってことじゃなねェの?」

普段の口調は、いつしかシンを刺すようなものに変わっていた。

「ああ、千空はユウが部屋出てくとこ見たんだ」

相変わらずゆったりと言う。

「それは後でいいから。・・・そういうことじゃねェの?・・・」

千空が顔を少し引き締めて聞きなおした。

シンはしばらくしてアイスを舐めるのを止め、千空を見た。

「なんで? 別にそうとは限らないでしょ」

「・・・どういうことだ?」

「千空はさー、考えすぎだって」

千空は堪えながら、黙ってシンの言葉の続きを待つ。

「朝ケータイ見なくてそのまま忘れただけかもしんないじゃん。・・・千空はなんでそういうふうに考えるの?」

「・・・っ」

「もしかして信じてないの?・・・好きな奴のこと」

「―――・・・」


喉の奥が詰まった。

シンはなおも言葉を繋げる。

「好きな奴のこと簡単に疑ってさ、彼氏失格じゃない?」

シンがここまで棘のある言葉を吐くのは珍しかった。

「・・・・・・お前じゃ無理だ・・・ってことか?・・・」

千空が張り詰めた声で言うと、シンは何も言わずに、ただ笑みを浮かべただけだった。

テレビの声が遠くで聞こえているような気がする。

二人は長い間、互いに黙ったままでいた。

沈黙を破ったのは、千空の声。

「・・・違うと思ってるけど、」

一度言葉が途切れる。

しかしこれ以上の言葉がないことを、千空は知っていた。


「・・・・・・ヤった?」


小さな小さな声がシンに届く。

千空はシンの顔をじっと見つめていた。

額にはなぜだか冷や汗が滲んでいる。

シンはそんな千空を、大きな瞳で見やった。

そして意味深に笑う。

「そのうち分かるよ」

その笑顔は怪しいほどに艶かしく、何か意味していることを長年の幼馴染は素早く察知した。

「シン・・・・っむがッ」

聞き返そうとして名前を呼ぶも、開いた口に突っ込まれた「何か」によって、それは叶わなかった。

冷たくて甘いものが口の中に広がる。

「これあげる」

シンは食べかけのアイスの棒を手放すと、いつもどおりの笑顔を見せた。

そして唸っている千空を残し、元気よく立ち上がる。

「んじゃおやすみー。あ、歯ァ磨けよ!」

笑いながらそう言うと、手を振ってさっさと部屋を出て行った。

ドアが閉まった後、千空はアイスを取り出し、息をつく。

「・・・んーだよ・・・っ」

顔を歪め、小さく呟いた。




100 :にな:05/26(金) 18:01:39 HOST:ser356611003541657
ハァハァ(;´Д`)やっやばいですよー!!萌
夕さん!赤点は回避できましたよぉ♪♪よかったA
アゲ♂♂でぇす☆

101 :まみ:05/26(金) 19:06:31 HOST:p93-dnb16tutuji.miyagi.ocn.ne.jp
あげ〜
頑張ってください!!!

102 ::05/26(金) 20:45:12 HOST:i125-201-43-167.s02.a021.ap.plala.or.jp
●になさま●
赤点回避でしたか! よかったですvv
萌えていただけたようで嬉しいですw
あげandコメありがとうございました!

●まみさま●
あげandコメありがとうございます!
まだまだ未熟ですが頑張りますっ
見守っていただけると嬉しいですv



103 ::05/26(金) 22:12:17 HOST:i125-201-43-167.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ユ・ウー!!」
「風邪とか大丈夫かよ!」
「会いたかったぁ!」
「まだ無理すんなよ!」

次の日。

いつの間にかユウは、グラウンドの隅で先輩部員に囲まれていた。

その中心で本人は明るく笑っている。

「休んじゃってすいませんでした。今日はちゃんと仕事するんで・・・」

「いいからいいから。とにかく無理すんなよー」
「そうだって。俺ユウ見れねェと死んじゃう」
「いるだけで全然いいしっ」

「ありがとうございます・・・でも大丈夫なんで」

可愛く語尾をしめると、にっこりと笑った。

部員たちは抱きしめようとこぞって手を伸ばす。

「お前らー、始めんぞー」

そのとき、栄天学園野球部部長・藤崎綾斗(fujisaki-ayato)がベンチから出てきた。

「おー」

すると部員たちは素直に従い、一斉に場を離れ散り始める。

「部長、おはようございます!」

「おう。元気になったか?」

「はいっ。昨日はすみませんでした」

「よいよい。まぁまた頼むな」

そう言って、綾斗はユウの髪の毛をかき混ぜた。

手を振って歩いていく部長に一礼し、ユウは顔を上げる。

「あ・・・」

そして前方を横切る、このチームのエースの姿を見た。

「千空くん、おはよう!」

声をかけると、千空は気づいてこちらに目線を向けた。

そして一瞬立ち止まると、

「・・・ああ・・・、おはよ・・・」

低い声で言って、再び歩き出した。


(・・・?)

虚ろな瞳に、引きつったような笑顔。

ユウにとっては、明らかにおかしな反応だった。

いつもなら自然な笑顔で、はっきりと返してくれる。

「・・・・・・」

逃げるように背を向けた千空を、ユウはしばらく見つめていた。

胸の奥が少しだけ痛んだ。気がした。

(・・・どうしたんだろ・・・)


――――俺・・・・・・


そのとき、昨日の記憶が蘇った。

(・・・メール見てなかったこと、怒ってたり・・・?)

(・・・日比野くんの部屋にいたこと怒ってる・・・?)

(・・・幼馴染の部屋にはあんま入って欲しくないもんなのかな・・・?・・・?)

頭の中で様々な考えが交錯する。

そして少しの不安が、着実に広がっていくのだ。

少しずつ遠ざかっていく、千空の背中を見つめ続ける。

しかしだんだんと目線は落ち、足元の茶色をボーっと眺めることとなった。

(・・・俺おかしい・・・?)

挨拶一つで、こんなにも心を乱してしまう。

こんなにも悩んでしまい、こんなにも不安になる。

靄を取り払う手段は浮かばず、嫌な考えばかりが湧き上がってくるのだ。


(・・・千空くん・・・)


心の中で呼べど、当然返事はない。

思わず顔を上げた。

名前の人は、いつの間にか幼馴染と並んで歩いていた。

その肩には相手の手が回されている。


そして遠くから見つめるだけの自分。


――――不安


心もとない気持ちに、ユウは少しだけ顔を歪めた。

しかしすぐに引き締め、身をひるがえす。

(今は仕事しなきゃ・・・)

それは「今」から逃げる為の口実だと、自分でも分かっていた。



           ――逃げ場など、どこにもないのに




104 ::05/27(土) 00:32:34 HOST:sechttp615.sec.nifty.com
初めまして!
一気に読んじゃいました(*'v`b)b

ユウくん萌えですよ馬路で!
華奢な黒髪受けタイプ好きなんです(何
続き楽しみにしていますv
頑張ってください!

105 ::05/27(土) 18:19:26 HOST:i60-36-126-40.s02.a021.ap.plala.or.jp
●涼さま●
初めましてv 
私もそのタイプの受が好きで、自分の小説に出してしまいましたw
応援していただけてとても嬉しいです! レスありがとうございました!


106 ::05/28(日) 11:12:39 HOST:i58-89-121-194.s02.a021.ap.plala.or.jp
千空は自室のベッドで寝転がっていた。

今日は午前中で練習が終わった。

しかし昼食を取ってから、何をする気力も起きず今に至る。

網戸越しに流れてくる風が気持ちよい。

外からは楽しそうな声が聞こえてくる。

(・・・ぷーるかぁ・・・)

この寮の敷地内には、豪華なプールが隣接されている。

夏になれば開放され、生徒ならば誰でも利用することができた。

今日のような暑い日は、自然と利用者も増える。

++++++++++++++++++++++++

きります;


107 :このみ:05/28(日) 13:21:35 HOST:i125-203-20-17.s02.a001.ap.plala.or.jp
はじめましてッ★
一気に読んじゃいましたよ━●'`bb
めっちゃ最高です(*≧∀≦)ノ
このみ的にゎ,シンくん萌えです 歯
ユウくんも好きですよ!!でも,やっぱ軽めでダチ想いのシンくんが・・・LOVEですゎ◇◆
頑張ってくださいッvv

108 ::05/28(日) 18:57:16 HOST:i219-167-124-240.s02.a021.ap.plala.or.jp
●このみさま●
はじめましてv レスありがとうございました!
シンはいつも軽ーく軽ーく書こうと努めており、それが伝わっているようで嬉しいですv
嬉しいお言葉をたくさんいただけてとっても幸せになりました!!



+++++++++++++++++++++++++

「・・・ユウは何してんのかなー・・・」

(・・・プールとか入ってんのかなー・・・)

天井を虚ろな目で見つめながら考えてみる。

目にしみるような白と黒のチェッカー模様。

部屋の内装を指定するときに、姉が勝手に決めていったのだ。

その幾分目立つ天井をバックに、千空はユウの姿を目に浮かばせる。

笑いかけるユウは、今の自分にとっては少しだけ痛かった。

好きなように疑って、好きなように嫉妬している。

そして勝手な疑心は、いつの間にか自分の中で面積を増していたのだ。

その為今日は一度もユウの目を見れなかった。

見ないどころか、知らぬ間に避けていたのだ。

そんな自分が嫌で仕方なかった。



『好きな奴のこと簡単に疑ってさ、彼氏失格じゃない?』



「・・・・・・」

シンの言葉は正しかったのかもしれない。

そう思ってから、千空はゆっくりと目を閉じ、一人首を振った。


――――違う・・・・・・正しいんだよ


潮時なのだろうか。

もちろん「別れたい」とは思っていない。

いつまでも幸せのままでいたいし、ユウにもいつも幸せだと感じて欲しい。



+++++++++++++++++++++++

中途半端ですがきります;



109 ::05/28(日) 19:20:16 HOST:i219-167-124-240.s02.a021.ap.plala.or.jp

しかし満たされることは予想以上に困難で。


――――疑われることよりも、好きな奴を簡単に疑えることの方が・・・



「ずっと、悲しい・・・」



気づけば頬に涙が伝っていた。

溢れる感情は何なのか。

知ることもままならず、ただ瞳からは次々と熱が溢れ出していった。

まだこんなにも、恋人を想って泣けるのに。

終わるには早いかもしれない。

泣きながら、そう思った。



110 ::05/28(日) 19:42:46 HOST:i219-167-124-240.s02.a021.ap.plala.or.jp

最後の水滴を拭い、千空はゆっくりと起き上がった。

(・・・ユウに聞く)

――シンとのことを。


千空が出した結論は、少しだけ勇気を必要とするものだった。

しかし怖気づいたりしない。

そう決めた。

(本人に聞けば、疑うこともねェだろ)

千空は唇をキュッと結んで、ベッドから立ち上がった。

そして一度だけ小さく息を吐き、入り口に向かって歩き出す。

ドアノブに手をかける前に、横にかけてある鏡を見た。

向かい合った自分の姿は、普段どおりの顔面でこちらを見返している。

(・・・よし)

心の中だけで気合を入れ、ゆっくりと扉を開けた。


――パタン・・・


廊下に出てから、千空は重大なことを思い出した。

(・・・どこにいんの・・・?)

自分の後頭部を殴りたくなった。



++++++++++++++++++++++

また中途半端ですがきります;

111 ::05/28(日) 22:57:25 HOST:i125-201-43-5.s02.a021.ap.plala.or.jp
どうしようかと視線を泳がせたとき、向こうから近づいてくる人影が目に入った。

「あ・・・」

一気に身が固まり、鼓動が高鳴る。

向こうもこちらに気づいたようだ。

立ち止まり、一瞬視線を落とす。

しかしすぐに顔を上げ、笑顔で近づいてきた。

「千空くん、どっか行くの?」

愛らしい笑みを向けて、ユウが明るく問う。

千空は少しだけ困惑して、声が詰まった。

「・・・あー・・・いや・・・」

(避けてたのとか、多分気づいてるのに・・・)

ユウは人の気持ちに敏感な人間だから。

千空は少しだけ顔を歪めた。

「・・・どうしたの?」

「・・・いや、なんでもない」

顔をそらしてそう言うと、一瞬間を置いてから、ユウの穏やかな声が耳に届く。

「・・・そっか。じゃあ、またね」

そう言ってユウは自室の鍵を開けようと、手を伸ばした。

「あ、待っ・・・」

――無意識にユウの細い手首を掴んでいた。

ユウは驚いた顔をしてこちらを見ている。

それに気づいて、千空はパッと手を離した。

「あっ・・・ごめ・・・」

「・・・ううん・・・・・・どうかした?」

「や・・・うん・・・。どうかしたっつーか・・・」

気まずそうに千空が下を向く。

微妙な空気が流れるのが分かった。

「・・・・・・あんな・・・」

「うん」

「・・・・・・俺さ・・・」

「うん」

「・・・・・・俺・・・」

言葉が出ない。


どうしたら、傷つけることなく伝えられる?
どうしたら、傷つくことなく伝えられる?


自分の中の臆病者が顔を出す。

どうすればいいのか、分からない。

しかし、言わなければならないことは確かだった。

(・・・分かってる)

「・・・あのさ」

「うん」

顔を上げなくても、ユウがこちらを真剣に見つめていることは分かる。

「・・・・・・」

千空はしばらく沈黙した後、ゆっくり顔を上げた。

案の定、目の前の夜色の瞳と目が合う。

「・・・単刀直入に言うけど」

「うん」

「・・・いい?」

「? いいよ」

「・・・まじでストレートだよ?」

「大丈夫」

にっこりとユウが笑った。

それを見て、千空は一度目を瞑り、口を開く。


「シンと、セックスした?」


「!」


言った瞬間、ユウの瞳が見開かれるのが分かった。

夜に一時の光が差す。

千空は心臓の激しい動きに耐えながら、ユウの反応を待った。

「・・・・・・してないよ・・・」

しばらくして答えた声は、驚くほど寂しげだった。

そんなユウの声は記憶にほとんどなく、千空は小さな顔をじっと見た。

そして一度唾を飲む。

「・・・じゃあ・・・、その、首んとこの・・・」

「・・・え・・・」

「・・・えっと・・・・・・首んとこの赤いの、何・・・?」

「・・・!」

千空が指を指して言うと、ユウはサッと首筋に手を当てた。

一瞬にしてその顔は真っ赤に染まる。

そんなユウを見て、心中に暗雲がたちこめるのが分かった。

「・・・正直に言って欲しい」

「・・・・・・」

「誰がつけた・・・?」

ユウは苦しそうに顔を歪めて、俯いている。

「・・・あ・・・、これは・・・」

口を小さく開いて、必死に言葉を濁す。

「・・・お願い。言って・・・?」

千空はなるべく優しい声にしようと努めた。

「・・・ユウ・・・」

「・・・・・・ッこれは・・・っ」


「おーい! 何やってんのぉー」


そのとき、聞きなれた声が廊下に響いた。

ユウがパッと顔を上げる。

向こうから手を振りながら、見慣れた顔が歩いて来る。

千空はその「見慣れた顔」を睨んだ。

「うっせェよお前は」

「やっだちーちゃん」

「ちーちゃんて呼ぶな」

「またそれぇ? ま、いいや」

そう言って近寄ると、シンはユウの肩に触れた。

「なぁなぁユウ暇? 俺の部屋来いよ」

底抜けの明るい声で言い、返事より早くユウの腕を引っ張った。

「え・・・っ日比野く・・・」

「じゃーねちーちゃん!」

片手で千空の肩を軽く叩くと、シンはさっさと自室に入っていった。

まるで風の仕業のようで、残された千空は呆然とその場に立ち尽くしていた。



112 :由希:05/29(月) 22:35:44 HOST:sechttp620.sec.nifty.com
あーユウくん萌え(黙
馬路はまりました(oノωノ)
続き楽しみにしてますvv
age

113 ::05/30(火) 18:29:12 HOST:i218-44-80-218.s02.a021.ap.plala.or.jp
++訂正++

>>84 23行目
×傷跡以上に、大きな憂いを与えることができたならよかった。
○傷跡以上に、大きな喜びを与えることができたならよかった。

表現を誤ってしまいました;
度々訂正すみません!


114 ::05/30(火) 18:31:32 HOST:i218-44-80-218.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
あげandコメありがとうございました!
ヒロイン萌えキャラ化計画が何とか成功のようでよかったです笑v
嬉しいお言葉にお応えして頑張ります!

115 ::05/30(火) 19:05:54 HOST:i218-44-80-218.s02.a021.ap.plala.or.jp

部屋に入ると、シンは手前のソファーにユウを座らせた。

そして本人は冷蔵庫の方へ行くと、上段の中から何かを取り出して来た。

「はい」

そう言って差し出したものが、ユウのおでこに当てられる。

「うわっ」

いきなり冷たいものが皮膚に触れ、ユウはびっくりして肩を揺らした。

見上げるとシンがくすくすと笑っている。

「かわいいかわいい。はい、どうぞ」

「・・・ありがとう」

ユウは冷えたアイスを手に取ると、笑顔でお礼を言った。

「いいのいいの。買い置きいっぱいだし」

シンはユウの隣に体をうずめ、カップの蓋に歯を当てる。

「アイス好きなの?」

「ん? いんや別に。千空が好きだから」

間単に開いた蓋をゴミ箱に捨てながら、当たり前のようにシンが言った。

「あいつの冷凍庫いっつもいっぱいだから。こっちに流れてくんのよ」

「・・・あ・・・そうなんだ・・・」

ユウは心に何か違和感を覚えながら、呟くように答えた。



++++++++++++++++++++++++++

中途半端ですがきります;



116 ::05/30(火) 23:11:45 HOST:i218-44-27-51.s02.a021.ap.plala.or.jp
「てかさ、さっき俺まずかった?」

シンが少しだけ焦ったような表情で、ユウの顔を覗き込んだ。

「へ?」

「いや、千空と話してたじゃん?」

「あ・・・う、ん・・・」

先ほどのことを思い出して、ユウは無意識に下を向いた。

「なんか雰囲気悪そうだったから・・・助ける気分で入り込んだんだけど。・・・ヤバいことした?」

「・・・ううん。大丈夫だよ」

いつになく心配そうな顔のシンに、笑顔を向けて言う。

「そっか・・・んならいいんだけど。何話してたの?」

「・・・・・・えっと・・・」

一気に、笑顔が引きつるのが分かった。

「・・・ユウ?・・・なんか嫌なこと言われたん?」

気づいたシンが、スプーンに乗ったアイスを食べるのを止め、ユウの横顔をじっと見る。

「あ・・・なんか・・・。キ、キスマーク・・・・・・どうした、って・・・」

「は!?」

小さく言った横顔に、シンは驚いて目を見開いた。

「キスマークて・・・あ、これ・・・?」

首筋を指差されて、ユウは恥ずかしそうに両手でその部分を覆う。

「・・・うん」

「んー・・・確かにこれは“蚊”じゃ通るの難しいかもなぁー」

「・・・今まであんまそういうの目立つとこにつけなかったから・・・。朝忘れてて・・・」

「Tシャツじゃ見えちゃうもんね」

シンが困ったように顔をしかめた。

「んで、ユウはなんて言ったの?」

「・・・千空くんが本気だったから・・・」

「言った?・・・本当のこと」

シンの問いに、ユウは力なく首を振る。

「言いそうになったんだけど・・・・・・日比野くんが来て・・・」

「・・・そっか」

それから二人は沈黙したまま、少し溶けたアイスを口にしていた。


しばらくして、食べ終えたシンが静かに口を開いた。

「・・・ユウは千空にほんとのこと言いたい?・・・ぶっちゃけ」

「・・・・・・」

ユウは最後の一口をゆっくりと口に入れ、同じようにゆっくりと答えを探す。

そして小さく首を振った。

「ううん・・・言いたくない。・・・言わない」

それはまるで自分に言い聞かせているようで。

シンは無表情で、ユウを眺めていた。

「・・・違うでしょ。それは千空がレギュラー落ちるの嫌だからじゃん」

「・・・・・・」

「俺はそれ抜きで、ユウの気持ち聞いたんだよ」

「・・・・・・」

ユウは黙ったまま下を向いていた。

再び音のない空間が広がる。

「・・・・・・ユウ?」

少しして、シンは俯くユウの肩が震えていることに気がついた。

「・・・ユウ・・・」

しかし髪の毛の間から垣間見た横顔には、一粒の涙も見えない。

ユウは溢れる感情に、歯を食い縛って耐えていた。

(言わない・・・絶対に)

口に出したらもう止められない。

自分自身が警告していた。




+++++++++++++++++++++++

中途半端ばかりですがきります;


117 ::05/30(火) 23:39:44 HOST:i218-44-27-51.s02.a021.ap.plala.or.jp


――――そんなの、わがまますぎる


自分で選んだのだから。

今さら雑念なんかわかせていられない。


――――そんなこと分かってる


痛いくらい。


言えばきっと楽になる。

心が軽くなって、眠れない夜もなくなるだろう。


しかし――・・・

その代わりだと言うように、千空には重いものがのしかかる。

誰かを思いやることは、ときにその人を苦しめることにもなるのだ。

(・・・千空くんは優しいから・・・)

――自分の為に身を払ったのだ、と自分自身を責めるだろう。


「・・・自分の幸せのためなんかで・・・」


小さな小さな声は、小さく小さく震えていた。

そんなユウの横から、すっとしなやかな腕が伸びる。


「苦しいんでしょ」


ふわりと、肌の感触がユウを包んだ。

ユウはいつの間にか赤くなった頬を、更に赤くさせる。








118 :龍之介:05/31(水) 10:15:21 HOST:ser356609004212492
激しくあげ!!
夕様、ずっと影から読ませて頂いてました。これからも応援させて頂きます☆

119 ::05/31(水) 18:56:26 HOST:i218-44-24-24.s02.a021.ap.plala.or.jp
●龍之介さま●
激しくあげandコメありがとうございました!
応援してくださる方がいて、私は本当に幸せ者ですvv
龍之介さんや他の応援して下さる方の為に、これからも頑張って書き続けたいと思います!





++++++++++++++++++++++

驚いて離れようとしたのだが、なぜだか体に力が入らなかった。

声も出ずに、ユウはそのままシンに抱きしめられる。

向こうはそれきり何も言わなかった。

(・・・日比野くん・・・?)

不思議に思いながらも、いつの間にか自分が落ち着いていることに気がつく。

それは「落ち着き」と言うよりも、「安心感」に近いものだった。

まるで守られたような「安心感」が、自らを包み込んでいる気がした。



+++++++++++++++++++++++

中途半端and短文ですがきります;
そんなんばっかだ・・・;;


120 : :05/31(水) 19:07:03 HOST:sechttp606.sec.nifty.com
◇  ◇ ◇  ◇
◇    ◇    ◇
◇         ◇
 ◇       ◇
  ◇     ◇
   ◇   ◇
    ◇ ◇
     ◇
このスレをみちゃった人。ラッキーな人です。だってすきでもないのにあなたに5人の男が告ってくれます。そして女子からも人気がでてお嬢様生活をエンジョイできます。でもこのスレを5箇所に張らないと男子からはブス扱いをされ、女子からはいじめられ、最終的には先生にまで成績を落とされるなどがおきます


121 :由希:05/31(水) 19:29:38 HOST:sechttp640.sec.nifty.com
ほんと面白いです+.(*'v`*)゜+
ユウくん可愛いー!!(あ
てかユウくんの過去が気になる…(黙
続き頑張ってください!
ageてばっかですいません><;

122 ::05/31(水) 20:07:37 HOST:i218-44-24-24.s02.a021.ap.plala.or.jp

触れる人肌が温かく、Tシャツ越しに聞こえる心音が、とても心地よい。

自然と瞼が落ちていく。


――――・・・


そのとき。


胸のうちの何かが、暴れだした。


それは底の方から溢れ出してくる感情。

――積はきれた


体が熱くなっていく。

これ以上、耐えれないと。

心の中は埋め尽くされ、流れる感情は行き場をなくす。



「・・・・・・苦しい・・・」



感情は言葉となって、吐き出された。

それは精一杯の声。

掠れても、震えても、言葉となった。

その瞬間、ユウは自分の心が、ふっと軽くなるのが分かった。

「・・・うん」

シンが静かにそう言って、ユウの頭を自分の胸に押し付ける。

「俺が絶対どうにかしてやるから。それまで我慢してて」

しっかりした声が耳元で聞こえ、ユウは小さく頷いた。

「――ありがとう・・・」



123 ::05/31(水) 20:13:15 HOST:i218-44-24-24.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
謝罪なんてとんでもないですす!!(←動揺 アゲやコメを頂いたりすることは、私の原動力となるのですv
そしたらユウの過去を出せるときまで、頑張って書き続けます!^^
あげandコメありがとうございました! 

124 ::06/01(木) 18:28:27 HOST:i58-89-123-80.s02.a021.ap.plala.or.jp

ありがとう
ありがとう


こんな自分に優しくしてくれて。

それはとても嬉しいことだと思ってる。

でも自分はすぐ甘えようとしてしまうから。

だから――・・・


「・・・でも、日比野く・・・」

気持ちを伝えようと顔を上げれば、目の前にシンの顔があった。

ユウは一瞬驚いて、喉の奥を詰まらせる。

「何?」

シンが少し首を傾げて、優しく笑った。

「・・・あ、えっと・・・」

一度目線を戻してから、決心したように顔を上げる。

「俺、大丈・・・」


ユウが言いかけたときだった。



「入る!!」



大きな扉が開く音と声がしたかと思うと、勢いよく中に誰かが入ってきた。

「!?」

ユウはいきなりのことに、大きく目を見開いてその人物を見る。

しかしすぐ傍のシンは、ピクリとも動かずに、同じく入り口の方向に目線を注いだ。

瞳に映ったその人物は、困惑と怒りが入り混じった表情で、こちらを見据える。

やがて声を取り戻したユウが、震えた声で呟いた。




「――千空くん・・・」





+++++++++++++++++++++

なんか突然誰か入ってくんの多いなぁとか思いました笑
きります;

125 :天使:06/01(木) 18:32:21 HOST:nthygo080230.hygo.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
この頃、赤西仁と倖田未来がHしたんだって。
赤西仁が倖田未来を無理やりラブホに連れて行ったらしいよ。
私は赤西君のファンでした。すごく悲しいです。
これをこの掲示版に2個張るとその動画が見れます。
やってみて下さい。
これは本当です。他のチェンメは見れないけどこれは100%見れます。
私を信じてやってみて下さい。
【www.akanisijinn.koudakumi.rabu.ettinagazou///kning;,hh;】



126 :天使:06/01(木) 18:32:41 HOST:nthygo080230.hygo.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
この頃、赤西仁と倖田未来がHしたんだって。
赤西仁が倖田未来を無理やりラブホに連れて行ったらしいよ。
私は赤西君のファンでした。すごく悲しいです。
これをこの掲示版に2個張るとその動画が見れます。
やってみて下さい。
これは本当です。他のチェンメは見れないけどこれは100%見れます。
私を信じてやってみて下さい。
【www.akanisijinn.koudakumi.rabu.ettinagazou///kning;,hh;】



127 :ベア:06/01(木) 23:11:54 HOST:07012300287880_vx.ezweb.ne.jp
あげ↑あげ↑あげ↑あげ↑あげ↑あげ↑あげ↑

128 ::06/01(木) 23:16:18 HOST:i219-164-49-138.s02.a021.ap.plala.or.jp
「まーったくもー。勝手に入って来んなっつったの千空だろぉー?」

ユウの頭上を場外れの声が掠める。

その言葉を拒むように、千空は眉間に皺を寄せた。

「・・・そんなんどうでもいい」

低くそう言い、目つきを鋭くさせる。

視線の先には、体を寄せ合う二人の姿。

ユウはそれに気づいて、すぐさまシンから離れようとした。

「いっ・・・」

しかし肩を抱く手は急に力がこもり、それは叶わなかった。

そしてユウは気まずそうに目を背ける。

「・・・やっぱそういうことだったってわけ・・・?」

感情を押し殺すような声で、千空が静かに言った。

「え・・・っち、違ッ」

「そうだよ」

「!?」

ユウが否定の言葉を返そうとしたとき、シンの声がそれに覆い被さった。

驚愕の色を浮かべて見上げるユウを、シンは一目もくれずに、まっすぐ千空だけを見つめ続ける。

「・・・ユウ・・・」

沈黙の後、千空がそっと名前を呟いた。




+++++++++++++++++++++
またもや中途半端;


129 ::06/01(木) 23:18:29 HOST:i219-164-49-138.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ベアさま●
あげありがとうございました!
これからも頑張っていこうと思うので、よろしくお願いしますv
少しでも楽しんでいただけると嬉しいですvv

130 ::06/02(金) 20:13:05 HOST:i60-36-126-51.s02.a021.ap.plala.or.jp

(日比野くん・・・どうして・・・)

心がざわつく。

――しかし何か考えがあるのかもしれない。

そしてその好意を踏みにじって阻止するつもりもない。

そう考えて、ユウは口を挟まないことにした。

「・・・じゃあ、あの首のやつも・・・」

「俺がつけた」

ユウの頭上でシンが微笑を浮かべる。

ユウは思わず顔を上げて、入り口の前に立ち尽くす千空を見た。

「―――・・・・・・」

その顔を見て、再び声を失う。

苦痛を必死で耐えるように、歪められた表情。

そしてそれは、どこか寂しげだった。

「・・・千空く・・・」

「ユウ」

ユウがが呼ぶより早く、千空が名を呼ぶ。

「え・・・」

「・・・話したい。俺の部屋来て」

まっすぐにユウを見て言うと、くるりと背を向けて、部屋から出て行こうとした。

「あ・・・っ」

「行ってきな」

シンがぱっと手を離し、戸惑うユウの頭を撫でた。

そして千空がドアを開けると同時に、小さな耳に唇を寄せる。

「今はこう言ってた方がいいと思う。連さんとの契約がバレるよりも」

そっと、小声で言った。

「日比野くん・・・」

ユウは少しだけ、迷うように俯く。

「・・・・・・うん」

やっとそう言うと、すっと立ち上がった。

「いってらっしゃい」

開けっ放しの入り口から出て行くユウの背に手を振りながら、シンはいつまでも笑みを浮かべていた。


131 ::06/03(土) 18:40:22 HOST:i125-201-43-157.s02.a021.ap.plala.or.jp
ユウの気配を背中で感じてから、千空は自室の鍵を開けた。

無言のまま中へ進むよう視線で諭すと、ユウは遠慮深げに足を入れた。

そして部屋の中央までゆっくり歩いていき、おもむろに振り返る。

「・・・千空くん・・・」

ユウの声と、千空のドアを閉める音が重なった。



+++++++++++++++++++++++

短文・中途半端ですがきります;





132 ::06/03(土) 20:05:42 HOST:i125-201-43-157.s02.a021.ap.plala.or.jp
千空は黙ってユウに向き直る。

「・・・で、どういうこと?・・・」

「!・・・・・・」

ユウは明らかにびくついた表情で、無言のまま千空を見返す。

「・・・あのさ、俺今たぶん動揺してんだけど・・・。やな予感して飛び込んだら・・・・・・あの図だし」

千空はそう言うと、弱ったように視線を落とした。

それからチラリと見た相手の方は、表情も体も硬くしたまま、微量も動かない。

――沈黙。

それは二人に重くのしかかった。

しばらくして苦しそうに声を出したのは千空。

「・・・アイツが好き?」

「え・・・」

その言葉に対し、ユウは困惑した表情を向けてきた。

そして「アイツ」が誰かは、二人とも共通に理解していた。

「・・・そうなの?」

「・・・・・・え、と・・・」

声を詰まらせ、下を向いて真っ赤になる。

そんなユウを見て、千空は自身の奥底で、何かが疼くのに気がついた。

(・・・・・・?)

「・・・もう一度聞くけど」

俯いたままのユウに、再び同じ質問を投げかける。

「・・・アイツのこと、好きなの・・・?」

静かな部屋に、千空の声はしっかりと、ユウの耳に届いているはずだ。

しかしユウは固まったまま、声を出すこともない。

またもや沈黙が部屋の中を支配する。

今度は千空も黙ったまま、同じように動こうとしなかった。

結構な時間が流れた後、やっとのことでユウが口を開く。

「――・・・うん・・・」

小さなその声を聞き、千空は一瞬意識が遠のきそうになった。

そしてまた、どこか奥の方で「何か」が疼く。

「・・・・・・じゃあ、俺のこと・・・もう好きじゃないってこと?・・・」

「!・・・ッ違う!!」

それまで下を向いていた顔がいきなり上がり、千空をまっすぐに見て否定した。

「ッ・・・・・・何だよ、それ・・・」

千空は眉間に皺を寄せ、吐き出すように言った。

「・・・っ・・・違う・・・違うけど・・・」

苦し紛れに、必死でユウは首を振る。

そしてまた、千空の中で「何か」が疼いた。

先ほどよりも激しく。

体中が熱くなり、いつの間にか下で拳を握っていた。

自分が何者なのか分からない―――おかしな感覚。

「・・・千空・・・くん?」

怯えた目がこちらを覗くのも、虚ろな瞳に明確に映ることはなかった。


――何かが、疼く。


「――――」





――――俺、どうした・・・?






「え・・・、・・・!?ちょッ・・・ちあ――」





何が起こったのか、自分でも分からなかった。

急に一つの衝動に駆られ、体がそれを欲していたことに気がついて。

無我夢中で、叶えようとした。

何も覚えていない。

何も見えなかった。

――しかし、一つだけ確かなことがある。

それは・・・




「・・・・・・」


今、自分の下にいる、驚愕と悲愴の瞳―――






133 :由希:06/03(土) 20:18:43 HOST:sechttp640.sec.nifty.com
ぎゃー、気になります!何
頑張ってください+.(*'v`*)゜+
age!!

134 :にな:06/03(土) 22:15:45 HOST:ser356611003541657
ハァァァァ!!!やっとキタ(・∀・)
はやく続きを…っ!!笑
やっぱ夕さんお上手ですわ〜尊敬します(え
あげっす!

135 ::06/04(日) 10:23:01 HOST:i218-44-25-50.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
あげandコメありがとうございました!
ををを気になってますか気になってますか!!笑(うざっ
よしゃあー頑張っちまおうと思いますw

●になさま●
尊敬だなんて尊敬だなんて尊敬だなんて!!(黙れ
続きを楽しみにして頂けているようで、とっても嬉しいですv
あげandコメありがとうございました!

136 ::06/04(日) 11:58:19 HOST:i218-44-25-50.s02.a021.ap.plala.or.jp

「あ、の・・・千空くん・・・!?」

いつの間にか千空は、ベッドの上にユウを押し倒していた。

その目は何者も映していないように虚ろで、寒気のするような恐怖を向ける。

ユウは表情を強張らせ、千空の冷たい目を見た。

押さえられた両腕の痛みに、美食の顔を歪める。

そして脈打つ音が一気に加速するのを理解した。

頭の中で警戒音が鳴り響く。痛いくらい。

耐えかねて、ぎゅっと目を瞑った。

(違う! 千空くんだもん・・・! 冗談って、言ってくれる!)

そう強く念じたとき、衣服が激しく引き裂かれる音がした。

「!?」



――思い出されるのは、あの夜。




               


               『愛しています、ユウ様』





それは 遠い 記憶




「・・・ッや・・・・・・千空くん!!」

千空は破いたTシャツの薄い生地を、邪魔だと言うように投げ捨てる。

そして無表情の顔が、ユウの首筋に近づいた。

「・・・・・・ッ」

音を立てて、未だに薄く色づく肌を、強く吸い上げる。

ユウは思わず顔をのけぞらせた。

「千空くん・・・ッやめて、お願い!!」

しかしその声は届いていないかのように、千空は片手をユウの胸部に這わせる。

「!!」

ビクリとして、目を見開いた。

「・・・っ」

胸の突起を弄られ、舐められ、体内が熱くなる。


――今、自分に触れるこの人は、誰なのだろうか。


おかしな疑問。


湧き上がる感情は、自分を執拗に攻める。

それは、たった一つの罪悪感。

全ては自分が狂わせた。

苦しい気持ちも、悲しい気持ちも、全て自分自身のせいなのだ。

好きな人にこんなことをさせる、自分は――


・・・冗談?


「ああ・・・」

そのとき、千空がふと唇を離し、顔を上げた。

「千空・・・くん?・・・」

ユウは少しだけ呼吸を乱しながら、前髪のかかるその顔を見上げる。

合間から見える瞳は、はっきりと開かれていた。

まるで何か大きなことに気が付いたように。

「・・・そうか・・・・・・俺・・・」

唇の隙間から漏れる声。

「・・・・・・?」

ユウは眉をひそめて、千空を見つめ続ける。

そしてしばらく黙ってから、再び小さな声で言った。


「俺、怒ってんだ・・・」


「・・・・・・」


一瞬止まった二人。

しかしそれも瞬間と言う短さのもので。


「・・・ッち――」

再び動き出した千空は、ユウの穿いていたジャージに手をかけた。


「――――や・・・」



耳元で囁くのは、誰・・・?




                  


                  『憎いくらいにね』                  

137 ::06/04(日) 19:02:52 HOST:i58-89-120-153.s02.a021.ap.plala.or.jp


――――そうだ・・・俺は今怒ってる


暗幕に覆われた頭の中で、一つのことが思い浮かんだ。

そしてまた闇に溶けていく。


「千空くん・・・!」


遠くで聞こえるユウの声。

それさえも、千空の怒りを増長させる。

ジャージを勢いよくずり下げて、下着の上からソレを片手で握った。

ユウは体をビクッと震わせる。

千空は顔を近づけると、布の端に噛み付いた。

その際下腹部に生暖かいものがあたる。

「・・・っ」

震えるユウなど気にも止めず、頭を動かし、下着をも簡単に取り払った。

そして目の前に出てきたソレを、躊躇いも見せずに攻めたてる。

「・・・ッや、め・・・千空くん!」


――――声、出すな


それは一層自分を煽り、一層体を熱くする。


「嫌っ・・・お願い・・・!」


――――なんで、嫌なんだよ


千空はぼやけた視界の中のユウを睨んだ。

シンに触られることはよくて、どうして自分に触られることは拒むのか。


「なんでだよ・・・」



++++++++++++++++++++++++++

中途半端ですがきります;

138 :にな:06/04(日) 21:48:13 HOST:ser356611003541657
いやいやぁ〜お師匠様♪(◆'A`Pq)笑
これからは毎日でも通います☆Bookmarkしてますから…(・∀・)え
アゲ♂アゲ♂

139 ::06/05(月) 19:48:52 HOST:i218-44-41-125.s02.a021.ap.plala.or.jp
●になさま●
しし師匠だなんて!!照
そんなありがたいことを言って頂けて、とっっても嬉しいですv
あげandコメありがとうございましたv

140 ::06/05(月) 21:30:58 HOST:i218-44-80-111.s02.a021.ap.plala.or.jp

一瞬、千空の動きが止まった。


――――千空くん・・・


ユウはそのときを見逃さなかった。

一気に上体を起こし、右手を大きく振り上げる。

「!」

千空が気づくより早く、その手が思い切り振り下ろされた。

部屋の中に、痛快な音が響く。

千空の左頬が、見る間に赤く染まっていった。

「・・・っハァ・・・ハァ・・・っ」

ユウは胸を上下させ、苦しそうに息を紡ぐ。

そして歯を食い縛って、瞳をぎゅっと閉じた。

「・・・ごめん・・・ッ」

苦しみを押し殺すように言い、素早く千空の下からすり抜ける。

床の上に降り立ちジャージを直すと、そのまま勢いよく部屋を飛び出して行った。

「・・・・・・」

ユウが出て行った後、千空は人形のように座り込み、ボーっとシーツの黒を見つめていた。


――――何してたんだろ・・・・・・俺・・・





+++++++++++++++++++++++++

中途半端ですがきります;

141 :由希:06/05(月) 22:00:28 HOST:sechttp641.sec.nifty.com
ち、千空くん…(つД`)!!何
ユウくんは千空くんのこと叩いちゃったんですかorz
ホント面白いです!!
続き頑張ってください(*´∀`*)

142 ::06/05(月) 23:20:09 HOST:i218-44-80-111.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
コメありがとうございました!
た、叩いちゃいましたー・・・(なんだそれ
応援して頂けて本当に嬉しいです! 頑張ります★★

143 ::06/05(月) 23:58:16 HOST:i218-44-80-111.s02.a021.ap.plala.or.jp

ユウは部屋を飛び出した。

上半身にはビリビリになった白い布が、無意味に絡まっているだけ。

すぐさま隣の自室に駆け込んだ。

入った瞬間扉に背を向け、全体重をかけて入り口を塞ぐ。

大きな音を立てて、扉が閉まった。

「ハァッ・・・ハァ・・・ッ・・・」

後ろにもたれかかったまま、ユウは荒い呼吸を繰り返す。

そのとき、今さっき起こった出来事が、脳裏を掠めた。


「――――」


それは、信じがたい光景。


――――信じたくない


目を閉じて、精一杯否定した。

しかし、それは叶わない。

「・・・は・・・は・・・」

だいぶ正常な呼吸が戻ってきた。

落ち着こうと、深呼吸をする。

ゆっくり息を吐き出すと、仰いだ天井がはっきり見えた。

「・・・・・・」


――――ああ・・・


まだついて行かない感情。

焦らせる記憶。

どうしたらいいか、考える余裕もない。

しかし分かっていることもちゃんとある。

「・・・・・・」

ユウはゆっくりと、小さな右手を解いた。

弱弱しく開いた、じんとする手のひら。

しばらく見つめてから、震える左手を手首に添えた。

そのまま顔に近づける。



「・・・・・・痛いよ・・・っ」




小さな声が、室内に響いた。




144 :由希:06/08(木) 18:04:34 HOST:sechttp648.sec.nifty.com
ユウくん…(´・ω・`)え
続き頑張ってください!
age(★'`)⌒♪.+゜

145 ::06/08(木) 19:40:43 HOST:i125-201-44-1.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
あげandコメありがとうございました!
実は今テスト期間中なのですが笑、応援して下さる方がいると思うと・・・っ
思わず出てきてしまいましたv

146 ::06/08(木) 21:36:57 HOST:i125-201-44-1.s02.a021.ap.plala.or.jp

――あれから一週間が経った。



空は快晴。

昼前のグラウンドには、容赦なく太陽が照りつける。

灼熱の下で野球部の1年生が、練習で荒れた地面を一生懸命整備していた。

その隅では未だに投球練習を続ける、このチームのバッテリーの姿があった。

「・・・ナイピッ」

気持ちのよい音を立てて、白球がミットに吸い込まれる。

余韻を楽しむように、キャッチャーはしばらく動かなかった。

整備を行っている1年生も、その投球に思わず手を止めてしまう。

「・・・ナイピなんだけどぉー」

しかしキャッチャーは、少々不満げな声を出して立ち上がった。

「だけど、なんだよ」

一呼吸ついたピッチャーは、軽く孤を描いて飛んできたボールを捕らえながら言い返す。

「ふぅー」

マスクをはずしたシンが、苦笑しながら息を吐いた。

そしてそのまま、袖口で汗を拭く千空に近寄っていく。

「なんか他のこと考えてんだろ」

「・・・・・・」

腰に手を当てながら言ったシンの言葉に、千空は眉間に皺を寄せた。

「他の奴が完璧って思っても、シンちゃんには分かんだからねー」

知ってると思うけど、と笑顔でシンは付け足す。

(・・・知ってるけど)

千空はそう思いながら、きまり悪そうに目線をそらした。

「ユウのこと?」

相変わらず直球のシンに、思わず大きなため息をつく。

(こっちは話題に出さねェようにしてんのに・・・)



――分かりやすく一週間前から、ユウの話題など出していない。

ユウとも完全に凍結状態。

お互いが避けているようだった。

ユウの浮気相手とされる、目の前のシンとも何か話すつもりはない。

・・・しかしシンは何事もなかったかのように、次の日も普通に接してきた。

つい彼のペースに飲まれてしまい、今に至る。

(・・・つか)

千空は呆けたように空を仰いだ。

(浮気・・・・・・か・・・)

気持ちよさそうに風を切る鳥を眺めながら、心の中でそっと呟く。

そして目の前が遠のきそうになったとき、再びシンの声で引き戻された。

「気持ちは分かるけどさ」

「・・・は?」

「もう明日には現地入りじゃん」

「・・・・・・」

そう、明日には甲子園球場のある大阪に入る。

「・・・・・・乱したのお前だし」

千空は気分悪そうに吐き出した。

シンは何も言わず、じっと千空の顔を見つめる。

視線を避けるように、その顔は深く俯いた。


――――シンのアホが


幼馴染の好きな相手を奪っておいて、どうしてそんな顔をしていられるのか。

謝罪も言い訳も宣言も何も無しに。

乱れるに決まっている。

しかしその乱れは簡単に流せられることを、きっとこの幼馴染は知っているのだ。

そしてシンの態度の理由も、自分はきっと知っている。


「・・・もうよく分かんねんだよ・・・」


片腕で両目を覆いながら、千空は小さく言った。

少し、沈黙。

その後、シンが静かに口を開いた。

「ユウとは、まだシカト状態?」

それに対し千空は「当たり前だ」と言い返す。

「そーかぁー・・・」

するとシンは千空から目を放し、その向こうの空を見た。

「・・・? なんだよ・・・」

遠くを見るようなシンの瞳をチラリと見て、千空は不審そうに顔を上げる。

鋭い日光が射して、シンの顔を照らしていた。

そしてその表情は、穏やかな笑みを作っている。

「・・・おい?」

千空が呼びかけようとしたとき、瞬間的に強い風が吹いた。



「・・・壊れてくね」



小さな隙間から漏れた、小さな声。

それは風に流れていった。





147 ::06/09(金) 23:51:05 HOST:i218-44-81-46.s02.a021.ap.plala.or.jp
説明入れちゃってすみません;

文中では地方大会を省いているのですが、勝ち抜いたことになっています。
そして話は夏の甲子園へ向かっています。

言葉足らずで申し訳ないです; 失礼しました。

148 ::06/10(土) 00:23:13 HOST:i218-44-81-46.s02.a021.ap.plala.or.jp

練習を午前中で切り上げると、部員たちはぞろぞろと寮への一本道を歩いていく。

戻ってからは各自荷物を整理したり、風呂に入ったりして出発の準備をする。

初めての甲子園球場に、浮き足立つ1年生の部員も多い。

楽しそうな声が遠のいて、静かになったグラウンドには、一つの影が残っていた。

「うんしょ・・・と」

ドリンクの入っていたタンクを洗い終え、ベンチの上にドンと置く。

そして一つ息を吐いた。

「あっつい・・・」

左手で軽く仰ぎながら、ユウは小さく呟く。

そして誰もいなくなったグラウンドを、しばらくボーっと見ていた。

(甲子園は・・・もっと暑いよなぁ・・・)

球場は去年も経験している。

記録員としてベンチにも入った。

(・・・今年も、甲子園の夏が来る・・・)

一度、ゆっくり目を瞑る。


――――


蘇るのは、去年の夏。


みんなの笑顔。

そして、栄光の目前で流した、涙。

すべてあの場所に置いてきた。


「大丈夫・・・勝てる・・・」


そっと言ったとき、愛しい後姿が目の前に現れた。


――――千空くん・・・


振り返って、笑う千空。

それはあまりにも遠く思えて。


+++++++++++++++++++

中途半端ですがきります;

149 ::06/10(土) 00:57:57 HOST:i218-44-81-46.s02.a021.ap.plala.or.jp


――――別れ・・・なきゃ


一週間宙に吊られて、やっと出した結論。

即決できなかった自分が憎い。

(千空くんに迷惑かけれない・・・)

苦しい気持ちを、あの場所に持ち込んで欲しくない。

邪魔になるものは、捨てて欲しい。

「・・・・・・捨てて“欲しい”・・・?」


――――違う


それは願うことなんかじゃない。

ただ、自分が我侭にしがみついていただけだ。

優しさゆえに放したくても放せないのは、千空の方。


ユウは靴を脱いで、ベンチの上で膝を抱えて顔を埋めた。


――楽しくて、愛しかった日々は、とっくの昔へと流れていった。

思えば短くて、儚い日常だったと思う。

始めからこの結末を分かっていたはずなのに。

まだ手放したくない気持ちで、いっぱいだった。

「ほんと・・・我侭ばっか・・・」

唇を噛んだ。


きっぱり終わらせれば、千空はすっきりした気持ちで投げることができるだろう。

それなら、もう邪魔になることはないだろうか。


虚ろな瞳のまま、ゆっくり顔を上げる。

体が自然にある場所を目指そうとした。

四つん這いになって、「そこ」へ近寄る。


――右の、一番端っこ。


そこは、いつも千空が座っているところだった。


「――千空くん・・・」


へたりと、その場に座り込む。

手を伸ばしたのは、とうに温もりの消えた場所。

ユウは首をもたげて、湧き上がる感情に身を震わせた。


さようなら
さようなら


戻れない日々。
進めない明日。


ここで別れて、歩き出そう。


例え二人、別々の道でも。


さようなら
さようなら



「――大好きだったよ・・・っ」


涙すら流れず。



鼓動は途切れた。





150 :ひな:06/11(日) 16:51:59 HOST:cap013-133.kcn.ne.jp
・・・これって

ここで完結しちゃうんですか??

151 ::06/11(日) 22:18:41 HOST:i58-89-123-225.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ひなさま●
いえいえっ 
まだ続くつもりですっっ
未熟な構成で戸惑わせてしまってすみませんでした;




152 ::06/12(月) 19:56:43 HOST:i222-150-154-45.s02.a021.ap.plala.or.jp
>>146 訂正

×大阪
○兵庫

何考えてんだ自分・・・
失礼しました;


153 :ひな:06/12(月) 20:51:34 HOST:cap007-059.kcn.ne.jp
よかったぁ(PД`q゜)。+

初レスだったんですけど

密かにず―っと読んでて

めっちゃ好きなんですッッ!!

更新楽しみにしてます(◎*'艸`q*)☆.+

154 :まなみ:06/13(火) 20:02:44 HOST:softbank060125152002.bbtec.net
ユウ可愛い♥
続き楽しみです(*≧∀≦)

155 ::06/13(火) 20:38:20 HOST:i220-109-141-220.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ひなさま●
改めまして・・・初めましたv(何を
ずっと読んでいて下さったとはっっ 嬉しいですvv
レスありがとうございました!


そして始めに書き忘れていたのですが、注意事項の追加を!
この小説の中に出てくる野球関係のことについては、「オカシイ」と思われる点もあるかもしれません。
しかしその辺は一種のファンタジー笑として受け止めて頂きたいです。夕の夢物語ですので笑
高校野球ファンの方で、許せない!と感じられる方がいらっしゃっても、苦情は受け付けません。
自分勝手で独りよがりなものですが、快く読んで下さる方がいて下さったら嬉しいですv

+++++++++++++++++++++++


(あーあ・・・)

千空は寝転がって天井を眺めながら、心の中でため息をついた。

そしてスプリングを軋ませながら、寝返りを打つ。

目の前には大きな荷物。

風呂にも入ったし、すでに準備は万端だ。

出発時刻の20時まで、もうあまりすることはない。

しかし千空は落ち着かない気持ちでいっぱいだった。

明後日には組み合わせ抽選会が行われ、流れるように15日間が始まるというのに。

千空のその気持ちの理由は、別の場所にあった。

気づかないふりをしてて、本当は自分でも分かっている。


「ユウ―――・・・」


思わずその名を呼んでいた。

千空は驚いて、自分の口を片手で覆う。

いつの間にか頭の中でユウを描いていた。

「・・・・・・」


――それは過酷な映像。

怯えた瞳。

露わになった白い肌。

体を震わせて、何事か叫び続ける。

それを否定するように、所々が朱に染まっていった。

そして最後に見せた、苦しくて悲しそうな表情。




++++++++++++++++++++

中途半端で失礼します;

156 :ユウ:06/13(火) 20:40:00 HOST:i220-109-141-220.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まなみさま●
ユウ可愛くなってますか!!よかったー!!笑
そう言っていただけて、とっても嬉しいですv
レスありがとうございましたv

157 ::06/14(水) 20:56:22 HOST:i60-43-10-213.s02.a021.ap.plala.or.jp

――記憶は嫌に鮮明だった。


時間を元に戻すことはできない。

そんなこと、分かっているのに。

「・・・・・・っ」

正常を取り戻してから湧き上がったのは、重い重い後悔の念。

そして、真っ黒に染まる罪悪感。


自分はどれだけ酷いことをしたのだろう。

好きなのに、大好きな人なのに。

どうしてあんなことをしてしまったのか。

そう想うと、自然と視界がぼやけていった。

「馬鹿か・・・」

泣きたいのは、ユウの方だろう。

いきなり襲われて、傷つけられて。

自分は傷つけた側の人間だ。

それなのに。


「なんで泣くんだよー・・・」


止めどない涙が指の隙間から溢れ、伝い、落ちていった。


こんなことをして、許される訳がない。

一週間このままでいたことの方が、おかしかったのかもしれない。

(てか・・・あっちにはもう好きな奴いんだしな・・・)


「・・・そーだよ・・・」


片手を額に添えながら、薄く微笑って呟いた。

それでも流れ落ちる、涙の意味は。





『・・・・・・じゃあ、俺のこと・・・もう好きじゃないってこと?・・・』

『!・・・ッ違う!!』






きっと、どこかで期待していたのだ。

今だってユウが好きだから。

でも、それが悔しくて悔しくて、堪らない。

独りよがりの感情だからこそ。

――もっとずっと好きな人といたかった。

しかしそれは、もう叶わないのだ。

互いに道を違えて、二度と戻れなくなってしまった。

告白した日、デートした日、抱きしめ合った日、見つめ合った日、笑い合った日、それら全てが虚ろになっていく。


まるで、夢の終わりを告げるように。


「――――」



そのとき、扉をノックする音が、静かな室内に響いた。

「・・・・・・」

千空はゆっくり起き上がって、入り口の方へと近寄っていく。

そして魚眼レンズの向こうを覗いた。

「・・・!」

そこに映っていたのは。




「ユウ――・・・」







158 :まなみ:06/15(木) 18:35:49 HOST:softbank060125152002.bbtec.net
あげ

159 ::06/15(木) 23:27:12 HOST:i220-99-135-33.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まなみさま●
あげありがとうございました!
更新頑張りますv




+++++++++++++++++++++++

千空は一度停止してから、恐る恐るドアノブに手をかけた。

小さく唾を飲み込むと、弱い力でその手を回す。

「あ・・・・・・」

目の前のユウは一瞬ビクッとしたように肩を震わせた。

千空はその姿を一瞥する。

「・・・・・・」

襟から伸びた細い首には、肌色の絆創膏が張られていた。

何となく、目線が逸れる。

「・・・・・・何?」

思ったよりも低い自分の声に驚いた。

そして、冷たかった。

しかし、どんなふうに話せばいいのか分からない。

丸一週間会話などしていないし、目も合わせていないのだ。

しかも最後に話したのは、この部屋で押し倒したとき。

最悪の状況なのではないだろうか。

ユウの考えが知りたい。

「ごめん・・・、準備とかで忙しいよね」

申し訳なさそうに、ユウは言った。

「・・・別に」

分かりやすく、そっけない返答。

単純なことのはずなのに。

準備は終わった、そう言えばいいのに。

何を突っ張っているのだろう。

千空は小さく舌打ちをした。

「・・・ごめん・・・。でも、どうしても話したいことがあって・・・」

しばらくして、ユウは言いづらそうに口を開いた。

その言葉に、千空は少し顔をあげる。

「二人で話したいから・・・ついて来てもらえる・・・?」

そう言ってこちらを見た大きな黒目に、思わず心臓が大きくなった。

「・・・・・・」

小さく頷くと、ユウはもう一度「ごめん」と言い、歩き出した。

千空はその場で、一度息を吐いた。

そして再び俯いて、小さな後姿を追って行った。


164 ::06/17(土) 00:19:31 HOST:i60-43-6-106.s02.a021.ap.plala.or.jp

玄関を出て、ユウが目指している場所が、何となく分かってきた。

(きっと・・・)

千空の予想通り、前を歩くユウは寮の横手へと、道を折れる。

しばらくして見えた場所は、一面の黄色。

――向日葵の園・・・

そこは南に位置した、向日葵のみ植えられた一角。

寮自慢の園だった。

この寮の周りには、春夏秋冬を表す園が4つある。

北に山茶花、南に向日葵、西に紅葉、東に桜。

季節ごとにそれぞれの美しさが楽しめるのだ。

花の間の白い砂利道を、ユウは奥へと進んで行った。

千空も黙ってそれに続く。

そして小さな屋根を構えた、休憩場に入った。



+++++++++++++++++++++

中途半端切;

165 ::06/17(土) 12:45:15 HOST:i60-43-9-238.s02.a021.ap.plala.or.jp
屋根の形に合わせた、六角形のコンクリートの上に、ベンチが二つ置いてある。

しかしユウはそこには座らず、中央の辺りで足を止めた。

千空は何故か躊躇うように一度立ち止まり、続いて日陰に入る。

夏の匂いを乗せた風が、汗ばんだ肌に触れた。

「・・・始まるね」

風が止む。

ユウが背を向けたままポツリと言った。

千空はそれが何を意味しているのか、一瞬間を置いた後、すぐに理解した。

「・・・・・・うん」

熱い熱い甲子園。

もうすぐ、始まる。

「きっとまた暑いだろうねー・・・」

「・・・・・・うん」

千空はコンクリートの薄い灰色を見つめたまま、ただそれだけを答えていた。

「勝ちたい・・・ね」

「・・・・・・うん」

ユウの声音は何だか儚げで、消え入りそうだった。



++++++++++++++++++++

またまた中途半端短文切;

166 ::06/17(土) 13:31:26 HOST:i60-43-9-238.s02.a021.ap.plala.or.jp
すっごく訂正;

シンの紹介が「日比谷心」になってました。
「日比野」でいこうと思うのでよろしくお願いします。

失礼しましたっっ

167 ::06/17(土) 21:06:01 HOST:i60-43-7-96.s02.a021.ap.plala.or.jp

――胸が軋む。

しかし理由は分からなかった。

それをかき消すように、千空は口を開く。

「・・・話って何?」

その言葉に、ユウは一度停止して、俯いた。

「・・・うん・・・・・・」

黒髪がゆっくり振り返り、こちらに向き直る。

一度口をきゅっと結ぶと、小さく口を開いた。

「・・・・・・日比野くんに聞いたんだけど・・・なんか、練習とか調子悪いって・・・」

ユウの呼んだその名前に、千空の眉がピクリと動く。

体内で何かが沸騰する、そんな感覚を覚えた。

「・・・それ、俺のせいっぽいってことも教えてもらって・・・」

続けてそこまで言うと、ユウは恐る恐る顔を上げた。


「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」


眉を歪ませ、精一杯で言う。

その姿が、またもや千空の胸を軋ませた。

「・・・・・・ごめんね・・・」

何も返さない千空に、ユウは俯いて、もう一度謝る。

「・・・・・・俺、千空くんの好きなものの邪魔、したくないって思ってて・・・」

握った右手が小刻みに震えているのを、千空は見た。

ユウは苦しそうに、言葉を繋げる。

「・・・でも、思い切り邪魔してるって気づいて・・・。いっぱい、謝りたい・・・」

「・・・・・・」

「・・・だから、もう邪魔しないから・・・」

そのとき、千空が口を開いた。


「・・・別れよ」


少しだけ見開かれた、ユウの瞳が垣間見えた。


向日葵が、風に揺れる。




「・・・・・・うん」


その瞬間、音もなく、何かが崩れた。


「・・・迷惑かけて、本当にごめん。もう、困らせないから・・・」

「・・・うん」

「・・・ありがとう」

そう言うと、ユウはすっと顔を上げた。

「頑張ってね、試合。ずっと応援してる」

向日葵に負けないくらいの、笑顔。

千空には、それが懐かしく見えた。

そして、なぜだか痛々しくも見えて。

「・・・じゃあ、また後でね」

ユウはもう一度同じ笑顔を向け、千空の横を素早く通り過ぎていった。

離れていくのが、分かる。

何か伝えることはないだろうか。

そう思ったとき、自然と口から言葉が漏れていた。

「ユウ」

――――



「・・・シンと、お幸せに」


振り返ってみると、ちょうど影を出たところで、ユウが立ち止まっていた。

その後姿は、動かない。

「・・・・・・千空くん・・・」

しばらくして、背の向こうから透き通った声が聞こえた。

ゆっくりと、顔をこちらに向ける。


「・・・向日葵の・・・」

「・・・は?」

「・・・・・・向日葵の花言葉、知ってる?・・・」


突発的な質問に、千空の頭は一時停止。

軽く首を振ると、ユウは「そっか」と笑って、近くの向日葵に手を伸ばした。

丁寧にその茎を折る。

それを大事そうに指先で持つと、千空の方に近寄って行った。

千空はユウの真意が分からず、その場に立ち尽くしている。

「もらっても困ること、知ってる。ごめんね」

苦笑しながらそう言うと、色鮮やかな向日葵を差し出してきた。

「え・・・」

「ありがとう」

千空は戸惑いながらも、ゆっくりと目の前の向日葵に、手を伸ばす。

すると、ユウはにっこりと笑った。


「ばいばい」




――ユウの背中が、遠ざかっていく。

千空はその場に立ち尽くしていた。

周りに人の気配などない。

周りの向日葵が、時折風に吹かれる。

その音だけが、辺りに広がっていた。



168 :由希:06/17(土) 23:54:51 HOST:sechttp608.sec.nifty.com
うわわわわわわわわorzorz!!!!!
もう、ほんと…泣いちゃいました(´;ω;`)
わ、別れちゃうなんてorzorz

続き楽しみにしてます!
頑張ってください。

169 ::06/18(日) 09:33:30 HOST:i58-89-123-253.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
由希さんのレスに私も涙がッッ
楽しみにしていただけて、本当に嬉しいですv
レスありがとうございました!



+++++++++++++++++++++++

ユウが見えなくなってから、千空は力が抜けたように、その場にしゃがみこんだ。

片手には向日葵の花が握られている。

顔をうずめると、先程のユウの笑顔が蘇った。

「なんでだよ・・・」

思わずそんな言葉を呟く。



『・・・・・・俺、千空くんの好きなものの邪魔、したくないって思ってて・・・』



苦しげな、ユウの声。

頭の中でこだまする。



「・・・そうだよ・・・、ユウが一番邪魔してる・・・っ」




――――俺の気持ちを・・・




「――――」


分かっていたはずなのに。

もうお互い余裕がないことも、もう終わりが近いということも。

そして、今日ユウは「終わり」を伝えにきたということでさえ。

だからこちらから言って、虚しさを拒んだ。

しかしそれは立前で、かっこつけていただけだったのだ。

本当は終わりたくなくて、ユウから「別れよう」と言われるのが、怖かった。


――――まじで・・・終わったんか・・・・・・


少しの期待すら、希望すら打ち砕かれて。


「・・・・・・っ」


組んだ腕を、強く握った。


自分は忘れることができるのだろうか。

これからユウとシンが一緒にいる姿を、見るかもしれないというのに。

忘れて、二人の背中を見ていられるだろうか。

デートに行くと、楽しげにしている二人を、笑いながらからかうことができるだろうか。


「無理に、決まってんだろ・・・っ」


食い縛った唇の上を、涙が伝った。

(俺、最近泣き虫度増してんな・・・男のくせに)


しかし、止まるわけがない。

こらえられない。

泣いて楽になれるのかも分からないけれど。

きっと今は、こうすることしかできない。


「―――ごめん・・・っ」


誰に謝っているのだろう。

自分でも分からなかった。






――さて。





繋いだ手を放したのは はたして どちらだったのか――




170 :まなみ:06/18(日) 09:53:35 HOST:softbank060125152002.bbtec.net
泣けます!!
続き楽しみにしてます!!
あげ

171 ::06/18(日) 10:28:45 HOST:softbank060125152002.bbtec.net


172 ::06/18(日) 11:02:58 HOST:i58-95-222-243.s02.a021.ap.plala.or.jp
●まなみさま●
そしてまなみさんのレスに泣く夕ッッ
お応えして頑張っちゃおうと思いますっv
あげandコメありがとうございました!


173 ::06/18(日) 11:37:26 HOST:i58-95-222-243.s02.a021.ap.plala.or.jp

振り返らない。


頭の中で響く、千空の最後の言葉を聞きながら、ユウは前を進んで行った。



『・・・シンと、お幸せに』



言いたかった。

自分が好きなのは、シンではないのだと。

しかし言えば、また千空を困らせてしまう。

せっかく終わらせることができたのに。


――別れよ


たった一言。

たったそれだけ。

その4文字の言葉が、全てを終わらせた。


「・・・・・・よし」


ユウは何かを決心するかのように、小さな声で言った。

(千空くんの為に、みんなの為に頑張ろ・・・!)

もう揺るがない。

新しい明日がやってくるのだから。


――――下なんか見ない


「西宮」

園へ続く細道から出たとき、自分を呼ぶ声を聞いた。

声がした方へと、顔を向ける。

そこには、笑みを浮かべる連が立っていた。

「来い」

有無を言わさぬ口調で言うと、くるりと背を向ける。

いつも通りだ。

ユウはそれを見て、薄く笑った。

「・・・はい」


怖いものなど、何もない。

さっき、最高の苦しみを味わったのだから。


ユウは前を歩く後姿を、小走りで追っていった。









――――千空くん




本当はね


まだ願ってた


「ばいばい」って言ってから


離れていく俺を見て


呼び止めてくれないかな、って


・・・馬鹿みたいだね


もし願いが叶ってたら


本当のこと、全部話しちゃおうとか


思ってたんだから


最後まで、我侭でごめんなさい


でも


きっと死ぬまで、誰にも言わないから


今は違うこと願ってる





     ――どうか、千空くんが幸せでありますように――








174 :こうお:06/18(日) 21:15:32 HOST:i58-93-93-193.s04.a012.ap.plala.or.jp
まじ泣ける!!!!!
更新希望デス!!!

175 ::06/18(日) 22:04:28 HOST:i218-44-26-59.s02.a021.ap.plala.or.jp
●こうおさま●
更にこうおさんのレスに泣く夕ッッ
更新希望にお応えして、頑張りたいと思いますv
レスありがとうございました!

176 ::06/18(日) 23:02:16 HOST:i218-44-26-59.s02.a021.ap.plala.or.jp

連が向かった先は、寮の建物内だった。

廊下を歩いて行き、ユウの部屋の前で止まる。

「開けてもらえるか?」

優しい口調で、後ろの部屋の主に問うた。

「・・・はい」

(・・・ここでやるのか)

心の中で呟きながらも、ユウは素直に鍵を開ける。

「ありがとな」

柔らかくそう言うと、連は開いた入り口の中へと入っていった。

ユウは「いえ」と返し、自らも室内に入る。


遊びはここまでだ。


ドアが閉まると同時に、高い後姿から冷たい声が聞こえた。

「さっさと脱げ」

ユウはその背中を一瞬見つめる。

黙ってTシャツに手をかけた。

連はベッドの上に置かれた荷物を、邪魔だと言うように放り投げる。

旅行用の大きな鞄は、音をたてて机の脚に当たった。

ユウはその光景を気にも留めず、Tシャツを脱いでいく。

「おい」

しかし下のジャージに手がかかったとき、連の声でそれは阻止された。

「・・・はい・・・?」

連は鋭い視線を向けながら、ユウに近寄っていく。

目の前まで行くと、いきなり拳を振り上げた。

「!!」

鈍い音と同時に、ユウが絨毯の上に倒れこむ。

口元が血で滲んだ。

「・・・・・・?」

ユウは恐る恐る、立ちはだかる連を見上げた。

その瞳には、憤怒の炎が燃え盛っている。

「てめェ、その痕なんだよ」

「え・・・・・・」

その瞬間、ユウはハッとして、千空につけられた痕を探った。

「俺、ここにはつけてねェんだけど」

そう言って、連は左胸の赤い斑点を、足の親指でなぞった。

そしてそのまま腹の辺りを蹴る。

「・・・・・・ッ」

ユウは声も漏らさず、その痛みに耐えた。

「何? 千空くんにつけてもらったの?」

連はしゃがんで、千空による赤い痕に手を伸ばす。


「はっ、お前最悪だな」

「・・・・・・」


その言葉に、うな垂れていた小さな頭が、微かに反応した。

(さい、あく・・・)

心の中で連の言葉を繰り返す。

「よくもまぁ、俺につけられたの見せびらかして、好きな奴とヤったよな」

刺すような声で、連は続けた。

「尊敬シマス」

それは少し楽しげで。

(・・・最悪、か・・・・・・)

ユウは揺らめく思考の中で、やっと理解した言葉を、もう一度繰り返していた。

「・・・・・・そんなの・・・」


――――知ってる



「・・・あ?」

連は俯いたままの顔を覗きこむ。

何も映そうとしない、その瞳。

それを見て、連の表情が嫌悪で歪んだ。

「腹立つ」

そう吐き捨てると、ユウの唇を乱暴に奪った。

「・・・っ」



+++++++++++++++++++++++

中途半端切;


177 ::06/20(火) 00:28:45 HOST:i218-44-27-6.s02.a021.ap.plala.or.jp

ねぇ 


人間を叩くのって、痛くありませんか?





荒い呼吸を繰り返しながら、心の中で投げかけた。


絨毯の柔らかさが、背中を直に撫でる。

依然連は、自分の上で動き続けていた。

クチュクチュと、卑猥な音が昼下がりの部屋に響く。

勃ち上がる自身を、連が付け根からねっとりと舐め上げた。

ユウは身を震わせながら、天井を虚ろに眺める。

心はすでに、この場所にはなかった。



(・・・痛く、ないのかな・・・)


――――俺は、痛かった・・・


苦しくて苦しくて、仕方なかった。

今でも人肌を打った感触が蘇る。

どうして謝ることができなかったのだろう。

怖いものなどなくなったはずだったのに。

立ち去る前に、叩いたことを謝ればよかった。

自分はいつでも詰めが甘い。


そんなことを考えているうちに、いつの間にか自分の足が浮いていたのに気がついた。

連がユウの両足を持ち上げ、妖しい笑みを浮かべている。

(ああ・・・挿れるんだ・・・)

身体の全てを任せ、目を閉じた。




++++++++++++++++

中途半端;

178 ::06/20(火) 20:47:56 HOST:i218-44-26-107.s02.a021.ap.plala.or.jp

「おい・・・」


しかし直前で連に呼ばれ、ユウは重たそうに瞼を上げた。

「・・・・・・」

眉間に皺を寄せてこちらを見る連を、無表情で見つめ返す。

「・・・・・・なんだよ、お前・・・」

「え・・・?」

その言葉に、力の入らない声が答える。

「・・・っ」

連は苛立つように、ユウの腕を掴んだ。

そしてそのまま一気に引っ張り上げる。

「!」

ユウの表情は一瞬驚くように目を見開いたが、それはすぐに元の無表情に戻った。

その様子を見た連は、先ほどよりも濃く、怒りの色を見せる。

まるで困惑を隠すかのように。


「・・・てめェ、なんかオカシイんじゃねェの?・・・」


(・・・オカシイ・・・?)


「・・・どこ見てんの?」

「・・・・・・」

「・・・なんか燃えねェ」

射るような鋭い視線を向けると、連は憤然と立ち上がった。

絨毯の上のタンクトップを乱暴に掴み、さっさと手を通し始める。

ユウはその姿をボーっと眺めていた。

足音を鳴らしながら、連が入り口へと向かう。

「やめろ、その目。今度やったら動けなくなんぞ」

明らかな脅迫。

捨てるように言うと、連は勢いよくドアを開け放つ。

四肢をだらりとさせて座り込むユウは、ドアの閉まる大きな音を背中で聞いた。



――――見てる・・・?


自分が見てるもの。

いや、ちゃんと前を真っ直ぐ見ているはずだ。

目の前に現れるものを、何の拒絶もなしに。

一つのものだけを見つめるのは、もうやめたのだから。


「・・・何、見てた・・・・・・?」


自分自身に問いかけた。

返ってくる言葉はない。



――ゆっくりと、目を閉じた




大丈夫大丈夫大丈夫





いつかの、おまじない。






自分が自分で、いられるように。






185 ::06/23(金) 19:10:09 HOST:i218-44-81-159.s02.a021.ap.plala.or.jp
●沙椿花さま●
はじめましてv
お褒めのお言葉、恐縮ながら素直に喜びますッッw
あげandコメありがとうございました!

●グリさま●
お久しぶりですv
こちらこそよろしくお願いしますグリさんっ^^
あげandコメありがとうございました!

186 ::06/23(金) 19:18:25 HOST:i218-44-81-159.s02.a021.ap.plala.or.jp
栄天学園野球部は、開会式を終えると、早々に学園の経営する旅館へと引き上げて来た。

この旅館は、ほぼ野球部の為に建てられたものだ。

毎年甲子園に出場するほどの強豪校。

学園が経営するとなれば、幾分気が楽なのだ。

また、生徒などが使用しない場合は、一般の客も利用することができる。

それはもちろん金を取るのだが、立派な割りに格安なため、多くの利用客が訪れていた。




++++++++++++++++

ちまちまと失礼します;

187 ::06/23(金) 22:13:13 HOST:i218-44-81-159.s02.a021.ap.plala.or.jp

「はぁー、疲れたー」
「あっちぃー」
「おばちゃあん!麦茶飲みたいー!」
「ちょっ先輩暑いって!ひっつくな!」
「ユウどこ行った?」

「お前らさっさと宴会場入れー」

廊下で騒ぐ部員たちを、後ろから部長が押す。

皆「はーい」と軽い返事をすると、室内へとなだれ込んで行った。

畳の敷かれた宴会場は、底抜けに広い。

全員入ってもかなりあまりある中で、それぞれが固まって再び雑談が始まる。

その中で、千空もまた一つの固まりの中にいた。

「シンさっき誰と喋ってたんだよ」
「は?さっきって?」
「球場出たとき」
「あー、あれって姫高の影山だろ?」
「蒼-ao-知ってんの? てか何? 直ちゃん嫉妬??」
「ちげー」

しかしシン達の楽しげな会話を、ただボーっと聞いているだけ。

ちなみに蒼というのは、直の双子の弟だ。



188 ::06/24(土) 14:42:37 HOST:i218-44-41-196.s02.a021.ap.plala.or.jp

「千空どした? 静かだな」

その蒼が、千空の顔を覗き込んで言った。

「最近ユウとデートしてなくて寂しんじゃん?」
「コラ直」

平然と言い放つ兄を、弟が軽くたしなめる。

千空はちらりとシンの方を見て、ぼそっと呟くように言った。

「・・・つか別れたし」

それを聞いた安西兄弟は、顔を見合わせる。

「「まじで?」」

「・・・うん」

「「きゃーっ」」

声を合わせてそう言うと、次は質問攻めだ。

「どっちからフったわけ? いつ別れた?」
「原因は何さ?」
「もしかして浮気?」
「まじかよ直っ」
「どうなんだって千空!」

一気に質問を浴びせると、二人は千空の顔をまじまじと見つめる。

返事を待ち望んで輝く瞳を、千空はため息をついて見やった。

「・・・浮気。たぶん」

「「うっわー」」

直と蒼は顔を見合わせる。

「千空くん浮気とかさいてぇー」
「やっぱお前も男だもんな。相手誰だよ?」

「・・・や。俺がしたんじゃないんすけど」

その言葉に、二人は目を丸くした。

「「は!?」」

本当に分かりやすい兄弟だ、と千空は心の中で呟く。

「ユウが浮気!? うっそぉ!」
「直、声でかいっ」
「ごめん、でもユウ浮気とかできるの!?」
「相手誰か分かる?」
「てかシンは別れたこととか知ってたんだろ?」

興奮気味で話す直の問いに、黙っていたシンが口を開いた。

「当たり前じゃん」

にっこりと、綺麗に笑って言う。

そのとき、入り口からユウが入ってくるのが見えた。

気づいた直が声を上げる。

「あ、ユウじゃん! この際ここでいろいろ聞こ・・・ユーウー!」
「バカ!」

暴走を始めようとする直の口を、蒼が慌てて塞いだ。

「んんっ」
「余計なことすんな、ややこしくなるだろっ」

眉間に少し皺を寄せた弟が言うと、兄は苦しそうに何度も頷く。

「どうかした?」

呼ばれたユウが、優しく笑いながら近寄ってきた。

「悪ィなんでもない」

それに対して、蒼は同じように笑顔を返す。

「? 了解・・・」

ユウは不思議そうに小首を傾げ、そこにいる面々を見回した。


その瞬間、千空とユウの視線が重なる。


「!」


――ドクン


千空の心臓が大きく鳴った。

自分のその反応にも驚いて、素早く目を逸らす。

「ごめんユウ、もう行って大丈夫だから」

シンが言うと、ユウは穏やかに笑って答えた。

「・・・うん。あ、もうすぐ監督来るみたいだよ。じゃあまたね」

「ユーウーちゃーん」

背を向けたときには、すでに他の先輩に名を呼ばれており、ユウはそちらを目指して離れて行った。

その背すら見れず、千空は俯いたままでいる。

(なんだよ今の・・・)

目が合っただけなのに。

(オカシすぎる・・・)

「あ、監督来た。行こうぜぇ」

蒼が呼びかけて立ち上がった。

千空も最後にゆっくり立ち上がり、中央へと足を向ける。

心の中の靄を、残したまま。

189 ::06/24(土) 15:33:39 HOST:EATcf-653p89.ppp15.odn.ne.jp
あげ

190 ::06/24(土) 18:38:42 HOST:i218-44-41-196.s02.a021.ap.plala.or.jp
●あさま●
アゲありがとうございました!
頑張って突っ走ろうと思いますv

191 :由希:06/24(土) 19:03:49 HOST:sechttp609.sec.nifty.com
せ、切ない…!!orz
高梨先輩が憎いですね(つД`)(あ
双子くん可愛いですv

これからも頑張ってくださいー!
age!

192 ::06/24(土) 21:57:46 HOST:i218-44-41-196.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
素直な感想が頂けてありがたいですv
私は双子というものに愛を注いでおりまして笑(知らん
あげandコメありがとうございました!



+++++++++++++++++++++++

ミーティングが終わると、部員たちは敷地内にある野球場へ向かい、夕方になるまで練習を行った。

「ちー、おいで」

練習を終え、一年生がグラウンド整備を行っている隅で、部長の綾斗が千空の名を呼んだ。

「はい」

千空は返事をして、綾斗の元へ駆けて行く。

「お疲れ」

「お疲れっす」

ニッと笑った綾斗に、軽く頭を下げながら近寄った。

「どーよ、調子」

「・・・はい・・・」

「シンに聞いたけど・・・まだ戻んないのか?」

「みたいっす・・・」

「そっかそっか」

そう言うと、綾斗はオレンジ色に染まった空を見上げた。

「・・・そういえば、ユウと別れたんだって?」

「・・・知ってんすか」

「周りが騒がしかったから」

そう苦笑しながら、すぐに顔を戻す。

千空は俯いて、小さくため息をついた。

「そのことが原因なんか? うまく投げれねェのは」

「・・・分かりません」

低い声で答える。

「でも、シンはそうだって・・・」

「シンが言うならそうだろうなー」

「・・・・・・」

しばらくお互い黙っていると、綾斗が千空の頭にすっと手を伸ばした。

「・・・!」

いきなり頭を撫でられて、千空はその顔をそっと見上げる。

目が合ったとき、綾斗の顔つきはすでに真剣なものとなっていた。

千空の身に緊張が走る。

綾斗のこんな表情を見ることは、滅多になかった。

いつも明るさと笑顔を絶やさないような人なのだ。


「・・・・・・」

「割り切れよ」

いつもとは違う、真意を帯びたその声。

「キツイことなのは当たり前。でも、俺らは勝ちたいんだよ」

自分を見据えるその目は、獲物を狙う獣のにおいがした。

しかし千空は分かっている。

今捕らえようとしているのは、自分ではなく、目指してきた勝利だと。

「気持ちなんて自分で強制できるもんじゃねェ。だけど、いつまでも下ばっか見てらんないだろ?」

千空の視界が、ゆっくりとぼやけていく。

「場合によっては無理やりにでも、見なきゃいけない現実っつーのがあるんだよ」

苦しいけどな、と綾斗は歯痒そうに付け足した。

「だって、お前にとっても大切なもんだから」

一つ、息を置く。



「・・・勝ちたいだろ?」




「・・・はい・・・」


千空の目から、小さな雫が流れた。

唇を噛み、綾斗の目を見る。

すると綾斗の表情が緩み、今までの緊張の糸がほぐれた。

再び頭を撫で、髪をかき混ぜながら微笑むその顔を、千空はまっすぐ見つめ続ける。

ふと、本当に痛々しいものを見るように、綾斗は目を細めた。

「・・・辛いな」

「・・・・・・はい・・・」

「・・・辛いけど、頑張るぞ」

「・・・はい・・・!」

単純な言葉なのかもしれないが、千空にとっては何故だか、とても心に響くものだった。

「去年、決勝で負けたけど、今年はぜってー優勝すっからな!」

「はい!」

そして二人は笑い合った。

「綾、千空。出るぞ」

後ろからかかったいきなりの呼びかけに、千空はビクッとして振り返る。

「おう月」

「・・・ツッキーさんいつの間に・・・」

そこにいたのは、副部長の月宏-tsukihiro-だった。

「さっさと行くぞ」

「はーい」

からからと笑いながら、月宏の背を追って、綾斗が歩き出した。

千空もそれに続く。

なんとなく、空を見上げた。

綺麗な夕空。

千空はそれを見て、ふっと笑った。


――――頑張る



決意を新たに、心の中で呟いた。



193 ::06/25(日) 15:29:55 HOST:actkyo137186.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
影カラずっと読んでました♪うち的にゎすごくLOVEな展開ですッこのあとユウとゎどうなっちゃうのか??なにげ連サンファンな私です(ワラ

194 ::06/25(日) 20:43:18 HOST:i60-36-124-54.s02.a021.ap.plala.or.jp
●悠さま●
ずっと読んで頂けてたなんて光栄です!
自分で作ったキャラに感情を込めて頂けるとは嬉しいものですv
レスありがとうございました!




+++++++++++++++++++

次の日の練習では、失っていた投球の調子を取り戻していた。

「お疲れ! いい感じぃー」

マスクを外しながら笑顔で寄って来たシンに、千空は悪戯っぽくニッと笑い返す。

するとシンは、少しだけ立ち止まって、安堵の表情を浮かべた。

「んだよ」

「やー、なんか久しぶりにちーちゃんの笑ったとこ見たかなと」

「キモい」

「なんでっ」

シンの抗議の声を聞くと、千空は再び軽く笑った。

何故だか昨日以来、気持ちが軽くなった気がする。

ユウのことを忘れたというより、他にも大切なものがあるということを、思い出したのだ。

それは絶対に譲れないもの。

ずっと目指してきた頂点。

綾斗のおかげで、はっきりと目が覚めたのだ。

「おー、どうだ調子」

後ろから明るい声がして、千空は振り返った。

「部長」

「よぅ、ちー。シン、こいつどうだよ?」

「男前です」

「俺のことか、ありがとう。で、どうだ?」

笑いながら綾斗は再び聞く。

「戻ってますよ。なー、千空ぃー」

シンが同じく笑いながら首を傾けた。

「たぶん、うん」

それに対して千空は軽く頷く。

「だいぶ球のキレが戻ってきた気します」

「だいぶじゃねェし。完全に戻ってますよ」

「そーかそーか。あさっては安心して投げれそうだな」

綾斗は嬉しそうに言った。

「あとは最終調整して・・・あ、風邪とか気をつけろ。女房役、頼んだぞ」

「はい!」

「そんくらい自分で気をつけれるんすけど」

「「照れんなよ、ちー」」

「照れてねェっ」

声を揃えて笑い合う二人を、千空は軽く睨みつける。

「あはは、はいはい。んじゃあ上がるぞ。さっさと来い」

楽しそうに言い、綾斗はベンチに向かって歩き出した。

「あ、部長!」

「ん?」

千空の呼びかけに、綾斗は立ち止まって振り返る。


「ありがとうございました!」


頭を下げて、声を張り上げた。

周りにいた部員が、少し驚いたようにこちらを見る。

綾斗は千空を見て、優しく微笑んだ。


「俺にホレそ?」

「ないです」


グラウンドに、部員達の明るい笑い声が響く。

その中で、千空はもう一度、心の中でお礼を言った。



――――ありがとうございました




誰かのおかげで立ち直れる。

誰かのおかげで強くなれる。


絶対に、忘れない。



195 ::06/25(日) 22:54:16 HOST:i60-36-124-54.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空の調子が戻ったと、人づてに聞いた。


――――よかった


夕食の膳を準備しながら、ユウは心の中でそっと呟いた。

練習を終えた部員たちは、現在風呂で体の汚れを流している。

旅館自慢の温泉は、100を超える部員が、余裕で一度に入れるほどの広さだ。

ユウは準備を終えると、近くで雑談をしていた仲居達に近寄った。

「ああ、さっきのお客さん、ここの子に用だったの」
「みたいよ。大体生徒方が使用しているときは、一般の使用は中止されるし」
「また予約が溜まっちゃうかしら」
「それよりも生の男子高校生はいいわねぇ」
「やーだー里中さんたらぁ」

「あの、次は何をすればいいですか?」

その瞬間、仲居達の顔がユウを見て輝く。

「お疲れ様ユウちゃん!」
「ありがとう、助かったわぁ」
「もう大丈夫よ、ちょっと休んでたらどう?」
「ほんとに可愛くていい子よねぇ」
「いつも来る度手伝ってくれるんだもの」

早口でまくし立て、愉快に笑い合う中年の仲居達に、ユウはついて行けず苦笑する。

「ちょっとぉ、ユウちゃん困ってるじゃない!」
「あらやだ、ごめんなさいね。オバサン達ミーハーで」
「そうなのよー」
「ところでユウちゃん、彼氏いないの?」
「ちょっといきなり何言い出すの里中さん! ユウちゃんは男の子よぉ」

笑いながら放たれた言葉に、ユウの心臓が鳴る。

「あはは、いませんよ。彼氏なんて」

負けないように、明るく笑った。

「もうっユウちゃんたら可愛いわねー」
「母性本能くすぐられるのよ!」
「うちの息子なんて、こんな可愛くないんだから」
「うちもよー!」
「うちは娘なのよね。男の子一人欲しかったわ」

また始まる雑談から、ユウはそっと抜け出した。

宴会場の前の廊下に出ると、ユウは静かに息を吐き出す。

「ふぅ・・・」

なんだか体がだるい。

こちらへ来てから、めまぐるしく働いていた。

少し疲れたのかもしれない。

しかしマネージャーの代わりはいないし、簡単に休むわけにはいかなかった。

(みんながお風呂入ってる間だけ、ちょっと部屋にいようかな・・・)

そう思って、前へと進みだす。

各部屋のある二階への階段の手前へと来た時、廊下の上に何か落ちているのに気がついた。

「・・・タオル?」

近寄って、それを拾い上げる。

柔らかい布を空中で広げると、黒に青のストライプの模様が出てきた。

「―――あ」


(・・・千空くんのだ・・・)


風呂へ行く途中で落としたのだろうか。

風呂場へと続く目の前の廊下を見つめて、ユウは考えた。

「渡さなきゃ・・・」

千空のタオルを再度見る。

(あ・・・そうだ、渡すときに謝れるかな。あのこと・・・)

気にかかっていたことを思い出して、ユウは頷いた。

(前叩いてごめんね、ってそれだけ言えばいいよね・・・?)

千空と言葉を交わすのは久しぶりだった。

まだお互いに気まずい状態で、こちらからも話しかけにくかったのだ。

ユウは話す機会を与えられた気がして、少しだけ微笑んだ。

(寝る前に届けよう)


「・・・ユウくん?」

そのとき後ろから高い声がして、ゆっくりと振り返る。

「あ、麻貴さん」

「どうしたの?」

そこにいたのは、仲居の中でも一番若い、麻貴だった。

高校を今春卒業したばかりで、ユウ達とも年が近い。

特にユウは春にここへ来たときから、何かとよく喋っていて、仲が良かった。

「廊下にタオルが落ちてて・・・」

「誰のか分かる?」

一つにまとめた茶色い髪を揺らしながら、麻貴がこちらに近付く。

「・・・あ、これ千空くんのじゃない」

「え・・・、分かるんですか?」

「え?・・・あ、ええ。洗濯するときとかに見るから・・・」

麻貴は一瞬焦ったような顔をして、ぎこちなく笑った。

「・・・あの、さ・・・」

「はい?」

「あの・・・わ、私が届けようか・・・?」

「へ・・・」

「いやっ、あの、えっとっ」

ユウが不思議そうに顔を見ると、麻貴は挙動不審に両手を胸の前で振った。

「麻貴さん忙しいでしょう? 俺、届けますよ?」

「えっと、私・・・あのね・・・」

そう言うと、麻貴はぎゅっと目を閉じる。

「・・・私、千空くんのこと、ちょっと気になってるっていうか・・・」

「・・・!」

ユウは目を見開いた。

「・・・あーもうごめんねっ。てかあんなカッコイイ子、もう付き合ってる人いるよね」

何となく寂しそうに、麻貴が言う。


――――・・・・・・


「うん、やっぱいいや! いきなりキョドってごめんね!」

「・・・いませんよ」

「え・・・?」

前髪をかいていた麻貴の手が止まった。

「付き合ってる人、いませんよ」

「・・・嘘っ」

「ちょっと前に別れたみたいです」

そう言うと、ユウは持っていたタオルを差し出す。

そして、にっこりと笑った。


「届けてあげてください」

「・・・あ、ありがとう!」


麻貴は本当に嬉しそうにして、それを受け取った。


196 ::06/26(月) 00:07:52 HOST:i60-36-124-54.s02.a021.ap.plala.or.jp

去って行く小さな着物の背中を眺めながら、ユウはその場に立ち尽くしていた。


――――頑張ってください・・・


目の前で、新たな気持ちが芽吹こうとしている。

それは最後の想いが朽ちた証。


――――止まってる余裕なんてなかったんだ・・・


自分が止まっているうちに、周りは先を進んでいて、待っていてなんかくれなかった。

みんな時間の流れと共に変化していって、忘れるものは捨てていく。


――――千空くんも


新しい人に恋をして、幸せになって、自分のことは忘れていくのかもしれない。

それを「寂しい」と思ってしまうのは、おかしなことなのだろうか。

あの日々を忘れることはないと、そう思ってしまうのは、おかしなことなのだろうか。


下を見ることはないけれど、振り返ればきっと、千空がいる。


思わず後ろを振り返ろうと、体がむずむずする。

しかしその願望さえ、いつか消え去るというのなら。

人を好きになるということは、どれだけ儚いものなのだろう。

一生を願っても、叶わなかった。


――――ちょっと、臆病になったかもなぁ・・・


そう思って、ユウは悲しげに微笑んだ。

もう誰かを好きになれないと感じるのは、そのせいかもしれない。

――傷つくのを、恐れているから?


それとも―――



「――――」


ユウは顔面を両手で覆った。



――――違う



そんな未練がましいこと、あるわけがない。

自分はもう吹っ切れたのだ。

前を見ると決めた。


それなのに。




まだ、好きだからとか。






「そんなこと・・・あるわけない・・・・・・」




197 :さき:06/26(月) 19:38:06 HOST:EATcf-653p89.ppp15.odn.ne.jp
ぁげ↑↑

ゆう可愛い☆

198 ::06/26(月) 21:52:07 HOST:i220-109-140-178.s02.a021.ap.plala.or.jp
●さきさま●
キャラを可愛がって頂けると嬉しいですv
ちゃんと受けキャラに仕上がっていると取ってよいでしょうか??笑
あげandコメありがとうございました!

199 ::06/27(火) 22:02:21 HOST:i58-89-123-233.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ぷっはぁー、うまー」

風呂場から続く一本の廊下を渡る、二人の姿があった。

「ちょっとちょーだい」

隣で歩く人物が持っていたコーラに、千空は横から手を伸ばす。

「ん」と何ともなしに渡され、遠慮なく残りを飲み干した。

「あー。うまい」

「いつも通りちょっとじゃないよね君は」

コーラの持ち主、シンは日常のようにさらりと言う。

「あ、悪い」

「思ってないしな」

「そんなこと・・・、ごめんあった」

「飲みすぎるとウゲェロってなるよ」

「ひどいゲップだな」

そんな会話をしながら二階へと続く階段を上ろうとしたとき、廊下の向こうからした声に呼び止められた。

「千空くん!」

「?」

横に目をやると、麻貴が立っていた。

(・・・・・・あ)

千空の心臓が何故だか、小さく鳴る。


(この人って・・・)


「あー、どうかしたんすか?」

「うん、これ」

そう言うと、麻貴は近づいてきて、おずおずと手に持っていたタオルを差し出した。

「あ、俺のだ」

千空は感情の起伏があまり出ない顔で、目だけを少し見開かせる。

「廊下に落ちてて・・・」

「麻貴さんが拾ってくれたんすか」

「あ・・・、えと・・・う、うん・・・」

「どうもありがとうございました」

千空はわざと丁寧に言い、大げさに腰を折って見せた。

「いえいえ。てか敬語とかいいって言ったのに。年近いし」

「・・・ああ、そういえば」

「えー? 何それ」

本気で抜けた声を出した千空を、麻貴は控えめに笑う。

「んじゃあ・・・俺結構遠慮しないんで」

「いいって。呼び捨てでいいし。シンくんもね」

パッチリとした目を動かし、隣のシンに向ける。

シンはそれに対して、一つ、笑顔を返した。

「はい・・・じゃなくて、うん。“麻貴”」

千空が言うと、麻貴は嬉しそうに頷き返す。

「じゃあ、またね」

明るい笑顔で手を振ると、小さな背中は廊下の向こうへと去って行った。

そして動こうとせず、その姿を遠い目で見て離さない千空がいた。

「行こーぜー」

「・・・うん」

隣からしたシンの声で、千空は再び進行方向へ視線を戻す。

目の前の階段に足をかけた。


絨毯の敷いてある階段は幅が15m程もある。

それに比べ、段は10段程しかない。

だから二階と言っても、一階の建物が建っている位置から、少し高くなった土地にもう一棟建てたという感じだ。

その二つの建物を繋げる階段の、ほぼ真ん中を二人は歩いていく。

上り終えると、シンが再び口を開いた。

「つーか麻貴ってさ、ちーちゃんのこと狙ってんじゃん」

「・・・は? てかお前なんでそんなナチュラルに呼び捨てれんだ」

「見てれば分かるだろ。さっきだって顔赤くなって可愛かったね」

「分かんねェよ。・・・お前なんか怒ってね?」

さっきもずっと黙ってたし、と付け加える。




200 ::06/27(火) 22:02:48 HOST:i58-89-123-233.s02.a021.ap.plala.or.jp


シンの空気の流れ。


それを読み取ることができるのは、きっと今は千空だけだろう。

なぜならシンの顔は、普段通り飄々とした雰囲気を漂わせているのだから。

「千空が言うならそうかもね」

千空の手前を行きながら、振り返らずに返す。

「んだよ。なんかあった?」

シンは黙ったままだった。

そして部屋の前へ来ると、ゆっくりと鍵を開け、中へ入って行く。

「ったく・・・」

千空はめんどくさそうに呟き、それに続いた。

ちなみに二人は同室だ。

中に入ると、ベッドが左右に置かれている。

この旅館のおかしなところは、各部屋だけ洋室になっているところだ。

なぜなら、生徒たちの寮の部屋が洋室だから。

普段とは違う畳の上で寝ることで、生徒の睡眠を害さないようにとつくられている。

シンは左側のベッドの上に腰掛けていた。

「お前反対」

千空はその横に座りながら、間違いを指摘するが、シンにどく気配などない。

もちろんそのことは、千空の予想の範疇内。

気にするふうもなく、シーツの上に転がっていた飴をつまんだ。

「・・・あの人、ユウにちょっと似てるね」

口の中に入れようとした瞬間、シンの声で千空の指先が止まった。

「・・・・・・」

「特に目のへんとか・・・ね?」

「・・・・・・な・・・」

シンは笑みを浮かべて千空を見つめる。

「・・・お前・・・、どうした・・・?」

千空がそう問うた理由。

それはいつもと違う、シンの笑顔だった。

あまりにも冷たく、笑うから。

「やっぱりまだユウのこと気になってんでしょ?」

「!・・・別に・・・」

シンは千空の問いは無視して、話を続ける。

「嘘。ユウに似てるからドキッってしたんだろ? 似てるからずーっと見てたんだろ?」

「・・・!」


――――こいつは・・・


どれだけ自分のことを見透かしているのだろう。

そして。



――――どんだけ俺のこと見てんだよ・・・



鳥肌が立った。


「ね、やっぱ気になってんじゃん」

「・・・気になってない。俺はもう野球のことだけ見てるつもりだし」

「つもり、ね」

シンは首を浅く傾げて、面白そうに言った。

「・・・な、お前ほんとどうした」

「どうもしてないし」

「してるだろ」

「・・・・・・ああ、うん。確かにしてるかも」

「・・・なんだよ」

千空は眉間を寄せて、すぐ側の横顔を見つめる。

シンは冷えた笑みを強くして、千空の顔を見つめ返した。


「嫉妬」


「・・・は?」


沈黙。


「・・・お前が、誰に・・・」

「千空に」

「・・・はぁ? なんで」

「ユウのこと引きずってる素振り見せたり、仲居のこと呼び捨てにしたりするから」

「・・・何それ? 話が見えないっつーか、意味が分からないんですが。それにユウのこと引きずってないし」

千空の目の前の猫目は、静かに笑う。

しかし次の瞬間、それはいきなり真剣なものに変わった。


「なぁ、お前ほんとどうし・・・」

「じゃあキスして」


その言葉に、千空は目を見開く。

「・・・・・・は?」

先ほどから何度、そう聞き返したのだろう。

「ユウのこと、ほんとにもうそういう存在なら、俺にキスして」

シンは悠然と、続けて言い放った。

「・・・・な、なんでお前に」

すでに訳が分からない千空は、眉間に皺を寄せることも忘れて聞く。

「躊躇うの? やっぱまだ好きなんじゃん」

「! ち・・・違う!!」

自分がどうしてこんなにも否定しようとしているのか、全く分からなかった。

そんなに必死になって、言わなきゃいけないことなのだろうか。

「・・・すりゃいんだろ」

訳も分からず、幼馴染にキスしなければいけないと、そう思うほど。

自分は慌てていたのだ。


目を閉じて、目の前のシンに近寄る。


「―――・・・」


唇が軽く触れ合った。



千空はゆっくりと、目を開ける。

至近距離で、シンがこちらを熱く見つめていた。



「・・・好き・・・」





201 :さき:06/27(火) 22:58:06 HOST:EATcf-653p89.ppp15.odn.ne.jp
この間コメントした、さきですぅ♪

なんか凄ぃ展開になってきましたねえ☆★

続きが楽しみです↑↑

シンがかっこぃぃってか、可愛いってか・・・

シンってぃぃキャラですね 笑

202 :グリ:06/28(水) 00:40:52 HOST:ser356611003541657
ムッハ━ッ!!!(;´Д`)ツボってますよもう!!笑テストなのにきちゃうアタシって(笑)
一気に更新ありがとございまぁ〜す゚。゚(p´д`q)゚。
ぁぁぁ!!げぇッ↑↑

203 :由希:06/28(水) 14:18:50 HOST:sechttp602.sec.nifty.com
私もテスト期間中ですが来ちゃいました(・∀・)笑
うわわわわわ好きとか好きとか!(黙
が、頑張ってください!
age!!

204 ::06/28(水) 23:38:27 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp
●さきさま●
楽しみにして頂けているだなんて・・・っ号泣です!!
他のキャラもですが、シンのキャラ作りは慎重ーにやりましたw
レスありがとうございました!

●グリさま●
テストの中来て頂けるとは!!うわわわ嬉しいです!!
いえいえ、こちらこそ読んで頂けて、何とお礼を言ったらいいのかvv
あげandコメありがとうございました!

●由希さま●
テスト期間中のお越し、まことに恐縮です!!
嬉しい声援にお応えして頑張ろうと思いますv
あべandコメありがとうございました!

205 ::06/29(木) 00:02:02 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp
焼かれるような、熱い熱い視線。

その先の千空は、一瞬間を置いた後、ぽかんとした顔でシンを見つめ返した。

「・・・・・・・・・うん」

そして不思議そうに、小さく頷く。

「別に俺も嫌いじゃねェよ。つか幼馴染って、なんかそういうの関係ない感じするけど」

「ごめん間違えた」

無表情で言った千空を見て、シンはふっと笑ってから、両手を伸ばした。

「シン・・・?」

腕が千空の首の後ろに巻きつき、色素の薄い髪の毛が頬に触れる。

シンはすぐ側の耳元に、そっと唇を寄せた。



「愛してる」



声と共に漏れた吐息が、千空の耳に触れる。

千空は数秒間固まったまま、微動だにしなかった。

そして、言葉の意味を探し当てる。






206 :愛浬:06/29(木) 16:24:32 HOST:p220208181120.tst.ne.jp
きゃー!!!!
しばらく来てなかったら更新されてる!!!
しかもすっごい展開でびっくりです!!
あげです

207 ::06/29(木) 19:42:46 HOST:i58-89-123-144.s02.a021.ap.plala.or.jp
●愛浬さま●
いらっしゃいませw
驚いて頂けたようで、何だかにんまりの夕ですこんばんわ笑
あげandコメありがとうございました!


208 ::06/29(木) 20:17:26 HOST:gate218.people-i.ne.jp
アゲです♪
結構前から覗き見させて頂いてましたスミマッセン!!(笑)
なんだか益々気になる展開になって、耐えられなくなり書き込みさせて頂きましたvv
シンがストライクなんです…!!!!(ゎーw
これからも頑張って下さいね♪

209 ::06/29(木) 20:21:22 HOST:i58-89-123-144.s02.a021.ap.plala.or.jp

「は・・・っ、お前・・・本気?」

千空は顔を引きつらせ、無理やり笑いながら言った。

「本気」

再び耳元で囁かれて、だれていた指先がピクリと動く。

「な・・・何言ってんだよ・・・。お前ユウと付き合ってんじゃん。からかうな」

「え? ユウ・・・?」

シンは少し顔を離して、抱きついたまま上を見上げた。

綺麗な茶色の瞳が、千空の視線を捕らえる。


「ああ・・・あれ、嘘だよ」


千空は一瞬言葉を失った。

「・・・嘘って・・・。付き合ってることが?」

「うん、その辺全部。てか付き合ってるとか言ってないと思うけど」

「・・・でも二人で抱き合ってて・・・ユウだってお前のこと好きっつってたし!」

「・・・へぇ。ユウそんなこと言ったんだ」

シンは考えるように、一度千空から目を離した。

そしてしばらく黙り込む。

「・・・・・・じゃあさ」

しばらく沈黙してから、千空は恐る恐る口を開いた。

「ん?」

シンは目線を戻して、再び目の前の顔を見上げた。


「・・・じゃあ、ユウがお前のこと好きっつったことも、ヤったってことも嘘なわけ・・・?」

「・・・嘘だよ」


その瞬間千空の中で、何かが安堵のため息をもらした。



210 ::06/29(木) 20:26:17 HOST:i58-89-123-144.s02.a021.ap.plala.or.jp
●Kさま●
いえいえこちらこそ読んで頂けていることが嬉しくて阿波踊りで喜んでスミマッセン!!笑
気にして頂けるとは・・・でへへ(ダマレ
あげandコメありがとうございました!

211 ::06/29(木) 22:12:14 HOST:i58-89-123-144.s02.a021.ap.plala.or.jp

(・・・何安心してんだ俺は・・・)

しかし、まだ“安心”などと言う余裕に、千空の手は届いていない。

「・・・ユウはなんで嘘ついたんだよ?」

するとシンは冷えた微笑を浮かべた。

「・・・さあねぇ」

「何それ。・・・てかそしたらさ・・・」

「ユウとヤったのは、誰か?」

「・・・うん」

千空はすぐ目の前のシンを、やや顎を引いて見返す。

「知りたい?」

「・・・うん」

シンは一つ息を置いた。

「連さんだよ」

「・・・は!?」

千空は動揺を隠せぬ声を上げた。


(連さん・・・!?)


意味が分からない。

まさか、自分たちのコーチの名前が出てくるとは。

「付き合ってんの?・・・」

「たぶんね」

「いつから・・・」

「それは分かんない」

(・・・まじ意味分かんねェよ・・・)

千空は一気に脱力した。

相手がコーチだったから、ユウは言い出せなかったのだろうか。

しかし誰だろうと“浮気”という二文字は変わらない。

やはり単にそれを隠したかっただけなのだろうか・・・


未だにユウを正当にしたがる、自分がいた。


(全然気にしてるし・・・)

そんなことで、また野球に支障が出たらどうするのだろう。

そう思うと、胸が痛んだ。


――絶対に負けられない。


先輩達を終わらせたりしない。

ずっと共に目指してきたのだ。

投手の自分がこんなんで、どうするのか。


――――忘れたい


できることなら消し去りたい。

ユウとの記憶を。

今、自分が最も捨てなければならないもの。

他人からの言葉で、一時気に病まないようになったとて、仕方ないのだ。

そんな瞬間的な呪文で忘れられる程、ユウとの記憶は甘くなかった。


「千空さ、俺と付き合おーよ」

「・・・へ?」

いきなりの誘いに、千空は気の抜けた声を返す。

「俺を抱け」

「・・・・・・」

目を見開いて、シンの顔をまじまじと見つめた。


「ユウのこと、忘れたいんだろ?」


自分が今、一番望んでいること。

シンにしか、読めない心。


「・・・・・・うん」


千空はゆっくりと、頷き返す。

するとシンは、満足げに頬を吊り上げた。

「俺が忘れさせてやるよ」

「・・・・・・」

目の前の幼馴染。

今が、変化の時なのだろうか。


「・・・ほんと?」


「うん」

にっこりと、笑った顔。



――――忘れられんなら・・・



「・・・いいのか?」

「いいよ」

そう言うと、シンは再び千空に顔を寄せた。

二人の視線が、重なる。

そして、どちらともなく唇を寄せ合った。


「――――」



長く、色濃く。




大切だったモノを、捨てる為に。





212 :ベア:06/29(木) 23:26:55 HOST:07012300287880_vx.ezweb.ne.jp
ぅゎゎゎ!展開が素敵すぎですyシン君に馬路惚れそぅP
あげ↑です

213 :グリ:06/30(金) 20:35:15 HOST:ser356611003541657
ふぅ-テスト終了でしぃ(θДθ;f)+。このままいっちゃったら…萌え━━━♪♪笑揚げ挙げage☆


214 ::06/30(金) 21:21:06 HOST:i218-44-26-206.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ベアさま●
シンよかったなあー笑
かなり前から温めていた展開なので、そう言って頂けると嬉しいですv
あげandコメありがとうございました!

●グリさま●
テストお疲れ様でした!
萌えーーとはっ笑 頑張っちゃおうと思いますw
あげandコメありがとうございました!

215 ::07/01(土) 00:08:15 HOST:i218-44-26-206.s02.a021.ap.plala.or.jp

重ねあった唇は、次第に熱を増していく。

互いに瞳を閉じたまま、欲望を求め合った。

成るがまま。されるがまま。

千空の頭の中では、笑顔のユウが霞んでいた。

それは急に濃くなったり、急に薄くなったりと変化する。

濃くなるたびに、千空の中のもう一人が呻いた。

「・・・ふ・・・っん・・・」

シンから漏れる声音も、頭に入らない。

唇を離すことなく、ゆっくりと、千空は体重をかけていった。

シーツの上に、シンの髪がさらりと広がる。

呼吸すら瞬間的。

なおも激しいキスが続いていた。

その間に、千空はシンのTシャツの下に手を滑り込ませる。

進入してきた右手に、シンの体がピクリと反応した。

指先で突起に触れる。

激しく絡ませる舌の隙間からは、二人分の唾液が溢れ、シンの口元から皮膚を伝った。

シンはおもむろに両腕を持ち上げ、圧し掛かる千空の胸の辺りに手を添えた。

力いっぱい押されているのに気がつき、千空は唇を離して目を開ける。

「・・・っはぁ・・・は・・・ちょ・・・っ」

「・・・なんだよ?」

呼吸を乱しながら言葉を発そうとするシンを、千空はゆっくりと息を吐き出しながら見やった。

「・・・脱いでよ」

「・・・・・・」

熱を宿した瞳に見つめられ、千空は体を離し、Tシャツの裾に手をかけた。

程よくついた筋肉が現れる。

シンは見とれるように、虚ろな目でその姿を眺めていた。

「お前目がエロい」

「だってエッチ中じゃん」

「じゃあお前もさっさと脱げよ」

「脱ぐよ」

そう言うと、シンは千空と同じようにして、上半身を露わにした。

千空が再びシンに近づく。

抱き合って、唇を押し付けた。

シンは上からの力に従って、徐々に体を倒していく。

そして、完全に体がベッドの上に横たわると、千空の手はシンの下半身へと伸びた。

ジャージと下着を一気に下ろすと、すでに先走りの液体が先端から漏れ出している。

そのとき、ふとシンが顔を離し、千空の頬に擦り寄った。

「・・・・・・ぜってぇ・・・」

「あ?」

千空の耳元で、シンが言う。


「ぜってー、忘れさせるから・・・」


「・・・・・・頼んだ」









そして、二人はまた再び、動き出す。





216 :グリ:07/01(土) 00:17:45 HOST:ser356611003541657
あーおもしろすぎて…そしてエロくて嬉し泣き(笑)
えっちです(´∀`)喜びアゲぇ-天までアゲ━!!!

217 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/01(土) 10:16:42 HOST:actkyo064007.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
こんにちゎッいきなりァゲデスッ↑↑
元悠ですッ名前変えちゃいましたぁ〜↑↑
シンがカッコ良すぎッ鼻血出ちゃいます(殴
更新がんばって下さいッそれでゎ

218 ::07/01(土) 15:29:11 HOST:i58-89-122-64.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
嬉し泣きという言葉に嬉し泣きですうおお(何
エロ少な目かしらとか思ってたので頑張りますw
天まであげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。 さま●
改名されたのですねv 夕ですこんにちわw
シンのことを気に入って下さる方が結構いらっしゃるようで★ むふふw
あげandコメありがとうございました!

219 ::07/01(土) 17:48:58 HOST:i58-89-122-64.s02.a021.ap.plala.or.jp

「・・・ふぅ・・・」

洗い終わった食器を片付けながら、ユウはそっとため息をついた。

厨房にある台の上には、二人分の――まだ手のつけられていない膳が置いてある。

それに横目でそれを見ながら、積んだ小皿を運んでいた。

その瞬間。

「うわ!?」

いきなり視界がぶれたかと思うと、高くけたたましい音が、厨房に響いた。

「「ユウ!?」」

鍋を片付けていた直と蒼が、ユウの元へ駆け寄って来る。

ユウはいつの間にか、下に倒れこんでいた。

その周りには、無残な姿となった皿の残骸が、派手に散らばっている。

「・・・・・・!!」

ユウは一瞬真っ白になった頭で、自分の身に起こったことを、懸命に理解した。

そして一気に起き上がる。

「うわっ、ユウほっぺ切れてんぞ!」

ユウの顔に付いていた欠片がパラリと落ち、その下から真っ赤な血が流れた。

「大丈夫か? 俺絆創膏とかもらって来るわ。直、これ片付けてて」

「ん」

蒼は素早く厨房から出て行った。

残った直が、しゃがんでユウの顔を覗き込み、首にかけていたタオルで血を拭う。

「他にも切ったとこない?」

「あ・・・うん、ごめん・・・」

「いんやー。んじゃ片付けるか」

「どうしよ・・・。早く謝って弁償しなきゃ」

「大丈夫だろ。料理長、ユウのこと大好きだし」

直は遠くに飛び散った破片をつまみながら、明るく言った。

しかしユウはそれっきり口を閉ざして、一緒に破片を拾い始めた。

「おー」

しばらくして、蒼が戻ってきた。

「遅ェよ」
「うっせェ。ユウ、消毒しな」

そう言って、蒼は片手で持っていた、消毒液のボトルをかざす。

「そしたら俺は料理長に言ってくる。ユウファンクラブの見習い共に手伝わせよーぜ」

「さすが直くん。行ってこい」

「行ってきまーす」

意地悪げな笑みを残して、入れ替わりに直が出て行った。


「ありがとう」

蒼に手当てをしてもらい、ユウは申し訳なさそうに言う。

「いーのいーの」

「俺が片付けるって自分から言ったのに・・・何やってんだろね・・・」

「気にすんなよ、こーゆーこともあるある」

「・・・うん・・・」

「それより、結構傷深いし、後で医務室行った方がいいよ」

「うん、ありがとう・・・」

ユウは下を向いて答えた。

それを蒼は無言で見やる。

「・・・それにしてもさ、なんか考え事でもしてたんか?」

「え・・・あ、うん・・・まぁ・・・」

答えながら、視線は自然と台の上に注がれる。

それを見て、蒼は少し考えるように、手を止めた。

「・・・あのさ」

「ん・・・?」



220 ::07/01(土) 18:48:19 HOST:i58-89-122-64.s02.a021.ap.plala.or.jp
訂正です;

×それに横目でそれを見ながら
○横目でそれを見ながら


失礼しました!

221 ::07/01(土) 20:34:01 HOST:i58-89-122-64.s02.a021.ap.plala.or.jp

ユウがふっと顔を上げる。


「千空のこと、好き?」

「・・・!」


“千空”という名前を聞いた顔が、突如として強張った。

「・・・・・・なんで・・・?」

「いや、なんとなく・・・」

蒼の顔を少し見てから、ユウはまた視線を落とす。

いきなりのことで、脈打つ速さは乱れていた。


(・・・分かんないよ・・・)


確かに千空のことを気にしていて、上の空になっていたかもしない。

シンと二人で夕食をとらず、宴会場にも来なかったのだから。

部長自らが部屋まで行ったが、ノックしても応答がなかったらしい。

部屋は防音が施されている為、中のことは一切分からない。

しかし二人が外へ出て行った所を見た者はいなかったし、十中八九部屋の中にいるはずだった。


――こんなの、誰でも気になるものだと理解している。

そのまま、気になるだけなら、よかった。


・・・どうして、「不安」という文字が頭を掠めたのだろう。



――――「好き」・・・?



あの頃なら。

付き合っていた頃なら、何の迷いもなく「好き」だと言えたのに。

全てが終わってしまえば、そんなことも簡単に言えなくなるものなのだろうか。

湧き上がる感情を抑える、そう決心した別れの日から。



本当は、一歩も進めていない。



いつまでも後ろばかりを気にして、前だけを見られるはずなかった。



「・・・・・・そうかもね・・・」


「・・・え?」




222 ::07/01(土) 20:34:16 HOST:i58-89-122-64.s02.a021.ap.plala.or.jp
小さく動いたユウの唇を、蒼は見つめる。

「・・・でも、もう捨てるしかないよね」

そう言うと、ユウは悲しそうに笑った。

「・・・ユウ」

「ごめん、手止まってた」

再び指先で、散らばった破片を拾い出す。

しかしすぐにその動きは止められた。

「・・・!」

蒼が突然、ユウの手首を掴んだのだ。

「・・・ねぇ、別れた原因って・・・ユウが浮気したからじゃねェの?」

「え・・・」

「なのに、なんでお前が悲しそうな顔すんだよ・・・?」

「・・・・・・」


(ああ・・・そうだ・・・)


周りから見れば、自分の行為は単なる“浮気”。

好きだと言った人を裏切って、他の人間にも好きだと言う。


しかし、自分は違うと、心の底で叫んでいた。

千空以外の人間に、好きだなんて言わない。


――――だって、そんな簡単に言える言葉じゃないよ・・・


「・・・なぁ、もしかして他の理由があんの?」

「!」

蒼がユウの顔を覗き込む。

掴んだ手首は、放さない。

「そうか分かんないけど、千空はユウが浮気したって思ってるから・・・」

「・・・・・・」

「・・・ユウは、無理すんな」

その言葉に、ユウは思わず顔を上げた。

「蒼くん・・・?」

「何あったかよく分かんないし、俺が言えることじゃないけど・・・」

蒼は真っ直ぐに、ユウの目を見る。


「好きって気持ち簡単に捨てれる程、俺らは器用じゃねェだろ・・・」


ユウは目を見開いて、蒼を見返した。

「・・・素直でいた方が、案外楽だったりするんだぜぇー」

そう言うと、蒼はニッと笑って見せた。

「あ、手ーごめん! 痛かった?」

「・・・え、ううん。大丈夫・・・」

蒼が手を放そうとしたとき、厨房の中に大声が響く。

「あーおー!!」

ユウがびくっとして、声のした方を見ると、そこにはいつの間にか憤然とした直が立っていた。

その顔は眉間に皺が刻まれ、わざとらしくこちらを怖い顔で睨んでいる。

蒼はユウの腕をパッと放して、両手を上げた。

「お前何してたんだよ!」
「ちゅー」
「しね!!」
「嘘に決まってんじゃん!」
「知ってる!!」

そのやり取りを見て、ユウは何となくクスリと笑う。

「もー、ごめんユウ!」
「はぁ? なんもしてないっつの!」
「片付けいいから、ファンクラブ連れてきたしっ」

直の後ろから出てきた、若い見習い達がいっせいに声を上げる。

ちなみにこの見習い達は全員、栄天学園の卒業生だ。

「ああっ、俺のユウに傷が!」
「お前のじゃない!」
「早くどきなって! 危ない!」
「それ以上傷つくってどうすんの!?俺のユウ!!」
「だからお前のじゃない!!」

「ってわけで、ユウは医務室行ってきな」

蒼が笑いながら言った。

それに対しユウは軽く頷いて、立ち上がる。

「ありがとうございます」

ぺこっと頭を下げた。

「「「お大事にー」」」

厨房にいる全員からの暖かい言葉を受けながら、厨房を後にした。


(・・・ありがとう)


そう思いながら、長い廊下を歩いていく。

心はなぜだか晴れやかで。

広がっていた雨雲は、いつの間にやら遠くへ消えていた。



223 :グリ:07/01(土) 20:35:24 HOST:ser356611003541657
夕さんが間違えるなんて珍しい…Σ(゚ロ゚*ノノ笑
カラアゲ━!!(?)

224 ::07/02(日) 07:40:00 HOST:i60-43-6-250.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
いえいえっ もう日常茶飯事というか、いつも申し訳ないです;
でもあげを頂けた・・・ 間違えてよかったあー笑
あげandコメありがとうございました!

225 ::07/02(日) 07:49:06 HOST:i60-43-6-250.s02.a021.ap.plala.or.jp



――――俺は、千空くんのこと好きなんだ・・・



そう思うと、気持ちが軽くなった。

(蒼くんの言うとおりだよ・・・)

ユウは静かに笑った。


別れてしまったけれど、想いは返られない。

そんなにうまく人間は作られていないのだから。

しかし千空に、この気持ちを伝えようとは思わない。

再び前の関係に戻りたいとも願わない。

ただ、見えるところで、千空の姿を見られればいい。

幸せそうに笑ってくれたなら、自分はきっと大丈夫だ。

いつの日か、また付き合う前のように、話せられる日がくるのかもしれない。

その日を信じて、自分は自分の道を歩んでいく。


(千空くんの部屋に行ってみようかな・・・)


何となく、そう思った。


226 :グリ:07/02(日) 08:03:28 HOST:ser356611003541657
ほほほ(何;
あたしのアゲでよかったらいくらでも差し上げますよん(◆'A`Pq)そしてアゲ(笑)

227 ::07/02(日) 11:43:08 HOST:i60-36-125-122.s02.a021.ap.plala.or.jp
また訂正;

×想いは返られない
○想いは変えられない


度々失礼します!


●グリさま●
そんな嬉しいことを言ってしまうと、夕が踊りだしますよ!!笑
もう力みなぎっちゃいますw
あげandコメありがとうございました!

228 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/02(日) 17:00:33 HOST:actkyo064217.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ松☆ミそっかぁmmmまだ千空とシンゎ。。。ぁ鼻血が(またかょッ
なんかこの後展開の予想ができませんッ更新楽しみにしてますッ

229 :ナナ:07/02(日) 20:24:58 HOST:i60-41-194-207.s02.a045.ap.plala.or.jp
∩゚∀゚∩ageマス♪初めまして☆ミ
ひそかに愛読してましたっっ(ノ´∀`)ノ.+.゜*。.+
次が楽しみですw
更新頑張ってください☆。:*(´∀`人)。:*☆

230 ::07/02(日) 23:05:32 HOST:i58-89-122-236.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
たた大変だ悠さんが鼻血ををを笑
そう言って頂けると意欲が湧いてきますvv 頑張ろう夕!!
あげandコメありがとうございました!

●ナナさま●
初めましてv こんばんわ夕ですw
ご愛読まことに感謝申し上げますvv たはー 嬉しいです!
あげandコメありがとうございました!

231 ::07/02(日) 23:59:43 HOST:i58-89-122-236.s02.a021.ap.plala.or.jp

「んん・・・ッあ・・・ちあ・・・ッ」

静かな部屋に、シンの甘い声が響いていた。


千空は後ろから首筋に痕を付けながら、中を人差し指でかき回す。

下になったシンは、感触の良い枕に抱きついて、襲い来る快感に耐えていた。

「シン」

「・・・ん・・・?」

千空に呼ばれ、後ろ向きに顔を上げる。

熱のこもった瞳に見られ、千空はビクリとして、思わず目を逸らした。

「・・・悪い、俺もう限界」

「・・・いいよ、来て・・・」

シンは弱弱しく、だが嬉しそうに笑みをつくって答えた。

それを横目で確認して、千空は中に入っていた指をゆっくりと抜く。


「・・・悪い」


そして自身をあてがった。

その時。



――コンコン



扉を叩く高めの音が、空気を切り裂いた。

「・・・・・・」

二人は一瞬顔を見合わせる。

「・・・出ろよ」

シンが息をついてから、苦笑して言った。

「いーだろ」

「・・・はぁ、我慢しなさい。夕食も行ってないんだかんね、俺ら」



+++++++++++++++++++++

中途半端で失礼します;

232 ::07/03(月) 00:22:56 HOST:i58-89-122-236.s02.a021.ap.plala.or.jp

「そーいえば」

「部長とかが怒りに来たかも」

「・・・俺勃ったまんまなんだけど」

「とりあえず下穿きな。俺は出れない」

すでに一度果てていたシンは、力なく左手を振る。

千空はベッドを軋ませて、下に降りた。

そして面倒くさそうにジャージだけ穿くと、だらだらと入り口へ足を運ぶ。

扉の前に来ると、早々に頭を下げて扉を開けた。

「すんませーん・・・」

(早く怒って下さい・・・)

「・・・・・・」

しかし目の前の人物は、黙ったまま突っ立っている。

「・・・?」

千空は不審に思って、上目でその顔を見た。


「・・・千空くん・・・」

「・・・ユウ・・・」


二人の視線が触れ合う。

しばらく沈黙してから、ユウが口を開いた。

「えと、ご飯食べに来なかったから・・・」

「あー・・・、悪い」

「日比野くんも、一緒・・・?」

「まぁ・・・」

千空はそっけなく答える。

「・・・そっか。ごめん・・・なんか」

「や、別に・・・」

「ご飯は仲居さんに言えば大丈夫みたいだから」

「ん、ありがと。・・・じゃな」

千空はそう言うと、早々に扉を閉めた。


――パタン


「ちーさん冷たいですねぇ」

ベッドの上から、起き上がっていたシンが言う。

「別に、普通」

「俺、目ぇ合っちゃった」

「・・・・・・あっそ」

千空は閉まった扉を見つめながら、ぶっきらぼうに答えた。



233 :由希:07/03(月) 15:46:04 HOST:tsechttp150.sec.nifty.com
わわわわわわわわわわわわ(ry
み、見られちゃいました!?orzorz
ユウくーんorz

続き楽しみにしてます!!
ageb

234 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/03(月) 17:14:27 HOST:actkyo102242.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
夕様の為なら出血多量でもなんでもこの小説をァゲ通し松(謎
続きがすっごい気になりますねぇ〜いつのまにかユウの存在を忘れかけてた自分でぁります(切腹ッッ

235 :( (/SjAx53s7E):07/03(月) 17:24:41 HOST:ser356611008603502
初アゲです(≧ω≦)一気に読んでしまぃました(´∀`●)BL読んだの夕サンのが初めてんですが………めちゃA泣けます。゚(つД⊂)゚。この想ぃを押さえ切れずにカキコさせていただきましたぁ(。・ω・。)これからもがんばってくださぃ(●^∪^●)陰ながら応援してぉります(●^艸^)

236 ::07/03(月) 19:18:57 HOST:i60-43-11-131.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
見られちゃいましたはー笑(何
楽しみにして頂けて嬉しいです! 頑張りますv
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
ならば私はそれにお応えして、吐血しながらでも更新しますw
あ、一応彼はヒロインですので!笑
あげandコメありがとうございました!

●( (/SjAx53s7E)さま●
初めましてv 嬉しいお言葉が身に沁みました夕ですこんばんわw
初BLがオイラのだったとはッッ 何かもう恐縮ですっv
初あげandコメありがとうございました!
 

237 ::07/03(月) 19:59:18 HOST:i60-43-11-131.s02.a021.ap.plala.or.jp


扉が閉まる。



ユウはすぐに向きを変え、自分の部屋を目指して歩き出した。

(馬鹿みたいだ…)

まず、上半身裸で出て来た千空に驚いてしまった。

そして、千空の向こうで微笑んだ、シン。

同じように肌を露出させた姿は、ユウの心頭を打った。

考えられるのは、一つの予想。


(…日比野くんは、千空くんのこと…ずっと好きだったのかな……)


「良かったんだ…」

予想が現実ならば。

きっと、千空は幸せになれる。

シンなら千空の全てを分かってあげられるだろう。

傷つけたり、裏切ったりすることはないだろう。


――――俺みたいに…


「・・・よかった・・・・・・本当に」

無意識に、呟いていた。

(あ・・・邪魔しちゃった・・・よね)

ふと思い返して、後悔の念が広がる。

自分にできることは、影で千空の幸せを崩さないようにするだけなのに。


――好きだから、相手の幸せだけを願いたい


そう思ったのは、初めてだった。

この世界には億を優に超す人間が生きていて、その中のたった一人だけを、願ってしまうだなんて。

まだ16年しか生きていない。

しかし、心からそう思った。

年齢も、身分も関係ない。

それが真実だから。

もう自分に嘘はつきたくないから。


もっと、素直に生きていたいから。


だから、願う。



「・・・千空くん・・・」



238 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/04(火) 11:33:59 HOST:actkyo070232.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
今日ゎ体調を崩して学校を休んでる。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。です(´ε`*)ヽ(・Д・´*)ぉぃ!
めっちゃ切ないデスЙё→(σT∧T)ヒック・・
更新p(○´∀`)q ガンバッテくださぃ♪
仮病!?って思えるくらいテンション高い。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。でしたぁ〜↑↑(ワラ

239 :  :07/04(火) 12:40:42 HOST:nc01.wf.dion.ne.jp
]

240 ::07/04(火) 19:25:51 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
うわわ体調のほう大丈夫ですか?? 勝手に心配です;
そんな中で応援して下さって本当に嬉しいですv
あげandコメありがとうございました! お大事に!

241 ::07/04(火) 19:59:37 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp




ついに、栄天学園の初戦当日となった。





「おっけーナイピッ。ラストな!」

千空はブルペンに入り、試合前の投球練習を行っていた。

「ん」

帽子をきゅっと被り直し、シンから飛んできた山なりのボールを、使い込んだグローブに収める。

姿勢を作り直して、すっと息を吐き出した。

モーションに入っていく。

ボールは一瞬にして、シンのミットに吸い込まれた。

「おしゃっ、オワリ!」

マスクを外して立ち上がったシンが、笑顔でミットを振る。

「おう!」

千空もグローブを振り返して答えた。

「集合ー!」

キャプテン、綾斗の声がかかる。

試合前最後の練習が終わった。




+++++++++++++++++++

中途半端で失礼します;

242 ::07/04(火) 20:27:55 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp

監督の話を聞き、全員で円陣を組む。

綾斗が声を張り上げた。


「去年とられた優勝、取り返しに行くぞ!」

「「「おお!!」」」

「ぜってェ勝つ!!」


「「「おお!!」」」




サイレンが、鳴り響く。





夏の、始まり――・・・




243 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/04(火) 20:49:50 HOST:actkyo120044.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
本日A回目のァゲ!!
いやぁmmm馬鹿ゎ風邪引かないってゅぅのになんででしょぅ??もぅゼンA余裕ですッ
ってかうち的に夕様(ワラに心配されてる事の方が。。。。(死
更新頑張ってサイッァゲ松☆ミ

244 :(iYew7fjLSo):07/04(火) 21:40:51 HOST:59-171-162-222.rev.home.ne.jp
初あげですw
思わず泣いてしまいました;;

245 ::07/04(火) 22:07:01 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
私もその疑問に同調します! まぁ滅多に風邪引かないのは確かなのですが笑
様とかやめてくださいなコノコノッッw(何
本日A回目のあげandコメありがとうございました!

●臨さま●
臨さんの貴重な涙を泥棒しました夕ですこんばんわw
自分の書いた小説に何事か思って泣いて頂けることは、嬉しいのものなのですねv
初あげandコメand涙ありがとうございました!


246 ::07/04(火) 22:41:16 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp

栄天学園の攻撃から始まった初戦。

現在7回の裏、3−0で栄天学園がリードしている。

マウンド上には、もちろんエースの千空が、好投を見せていた。

ユウはベンチで、試合の様子を記録している。

昼の甲子園球場には、真夏の熱波が降り注いでいた。

日陰にいても、額から汗が流れる。

(みんな、大丈夫かな・・・)

ユウはタオルで汗を拭いながら、太陽の下にいるナインを思った。

しかし、ユウとて人を心配できる立場ではない。

実は昨日から熱が出ており、激しい頭痛に苛まれていた。

溜まっていたいた疲れに、体が音を上げたらしい。

夕食の準備の際麻貴に気づかれ、医務室に連れて行かれた。

(こんなときに・・・)

今も重たい頭の隅で、ユウはため息をついた。

それでもマネージャーの仕事はしっかりやりたい。

自分も皆と一緒にベンチに入りたい。

本当は医務室の先生に、旅館に残るよう言われていた。

しかしその強い願望が、ユウをこの場に連れて来たのだ。

(俺は大丈夫)

この暑い中で試合をする皆の方が、よっぽどきつい。

ユウはそう思って、唇を引き締めた。

「あ・・・」

千空達がベンチに向かって走ってくる。

またもや向こうの得点を許さず、7回が終わった。

3−0。

依然栄天学園のリードだ。



247 ::07/04(火) 23:32:38 HOST:i125-201-43-27.s02.a021.ap.plala.or.jp

「次、綾バッターだよなっ?」
「綾ファイツ!」
「神崎、コーチャー頼んだ!」

ベンチの中に声が飛び交う。

そんな中で、一人がユウの姿に目を止めた。

「お前、どうした?」

「え?」

ドリンクの入った紙コップを手に、月宏がユウの顔をじっと見ている。

ユウは驚いたように、少し眼を見開いた。

「具合悪いだろ」

「・・・!」

全てを見透かすような、月宏の鋭い瞳。

感情が全く表れない顔面が近づき、額に手を伸ばしてきた。

「・・・熱い」

「どーしたー?」
「ツッキー?」

月宏の珍しい行動に、周りが寄って来る。

「こいつ、熱ある」

「へ?・・・わ、顔色悪っ」
「エラいだろ! 大丈夫か?」
「俺監督に言ってこよっか?」
「ユウがどうかしたんー?」
「なんか熱あるらしいよ」

ベンチの中に話が広まり始め、ユウは慌てて声を上げる。

「あ、大丈夫です、気にしないでくださいっ」

しかし部員達は、尚も心配げにユウの顔を見る。

「そっか?」
「無理すんなよ!」
「我慢できなくなったら言え!」
「ユウが倒れたりしたら嫌やっ」

「大丈夫ならいい・・・、無理するなよ」

最後に月宏が言って、とりあえず周りは引いていった。

ユウは居たたまれない気持ちでいっぱいだった。

(何心配してもらってるんだろ・・・)

その為に、ここへ来たわけじゃないのに。

(・・・邪魔になりたくない・・・)

余計な気を回させて、馬鹿みたいだ。

痛む頭をこらえて、ユウはシャーペンを握り直す。

(普通にしてなきゃ・・・)

相手の優しさに乗っかって、困らせるのはもう嫌だ。

瞬間、苦い記憶が蘇った。


優しさゆえに手放せなかった、千空。


「・・・・・・」

顔を上げると、その後姿が目の前にあった。

一つ前のベンチに腰掛けている。

その背に負った『1』という数字が、眩しく見えた。

この眩しさを、失わないように。

自分は自分のできることを精一杯やる。

そして、願う。


「・・・頑張ってね・・・」


自分しか聞こえないくらいの、小さな声で。




――――どうか、勝てますように・・・



248 ::07/05(水) 20:39:36 HOST:i218-44-26-220.s02.a021.ap.plala.or.jp

8回裏。

千空はマウンドへと出て行く。

(・・・ユウ、体調悪いんか・・・)

先ほどベンチの中で聞こえた会話。

先輩達に囲まれているユウがいた。

隙間から見えた顔は、確かに色が悪くて。

(・・・気づかなかった)

朝から一緒にいたのに。


――――なんでだろ・・・


疑問を投げかけながら、バッターボックスに向き合った。

そして軽い投球練習を始める。

2,3球投げ、前を見ると、マスクを上げたシンがこちらへ寄ってきた。

「どった?」

開口一番そう聞いてきたシンを、千空は一瞬呆けた顔で見返す。


++++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

249 ::07/05(水) 22:37:21 HOST:i218-44-26-220.s02.a021.ap.plala.or.jp

「何が?」

「よく分かんないけど、なんか・・・おかしい」

「うそ」

「違和感あったっつーか」

そう言いながら、シンはミットに収まっていたボールを握った。

「千空が調子狂うときってほとんど無自覚だかんなぁー」

「・・・うん」

「まぁ、たぶんこのまんまなら大丈夫。あんま気にすんなよ」

「おう」



250 ::07/05(水) 23:35:24 HOST:i218-44-26-220.s02.a021.ap.plala.or.jp

シンが戻って行くと、バッターボックスに選手が入った。

一つ、息を吐く。

シンの手元を見て、サインの確認。

(・・・おしっ)

体を起こすと、大きく振りかぶった。


――ストライク。


(でもこれギリギリだよな・・・たぶん)

シンの言っていたことが、何となく分かった気がした。

持ち前の正確なコントロールが、少しだけずれている。

(少しだけ・・・)

シンは気にするなと言っていた。

心に定めて、千空は返ってきたボールを握る。

そして放ったもう一球。

キンといういい音が鳴った。

(打たれた・・・!)

打者は一塁でアウトとなり、塁には出ない。

しかし続く3番のバッターは、初球でなんとヒットを放ち、塁に出た。

(・・・やっぱおかしい・・・)

その後には今日の試合初のフォアボールを出してしまった。

確実に何かが崩れ初めている。


気づけば全ての塁が埋まっていた。


残りアウト二つ。

そして、逆転の危機。

シンが駆け寄ってきた。

「千空」

その表情はいつも通り、飄々としている。

「ん」

「お前固まんなよ」

さすがシンだ。

周りから見れば、今の千空は全くの平静だった。

「分かってる」

「おう、気負うな」

「うん」

二人はグローブとミットを上で重ねる。

シンはニッと笑って、元の位置へと戻って行った。



251 ::07/06(木) 00:23:44 HOST:i218-44-26-220.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空は一度空を仰ぐ。

太陽は雲に隠れて、見えなかった。

肌を刺す日差しが、一時だけ途切れる。

千空は前に向き直った。

サインを出し終え、シンがミットを構える。


一球目。


――ストライク。


(大丈夫だ)


言い聞かせるように、心の中で唱える。

その言葉どおり、二球目もストライクだった。

少しだけ、自分の中に安心感が広がる。

「・・・ふぅ」

息を吐き出して、もう一度空を見上げた。

すでに雲は流れており、眩しい太陽が再び体温を上げる。

千空はその眩しさに、目を細めた。

(・・・あ・・・こんな暑さじゃ、ユウもきつい訳だよな・・・)

一瞬、なぜだかユウの顔が浮かんだ。


「―――・・・」


青い世界から目を離す。

自分が見るべき場所に、視線を向けた。

シンのサインを確かめて、体を起こす。

球をぎゅっと握り、モーションに入った。


そして、ボールが離れていく瞬間。


――どうしてだろう。


このボールを離してはいけないと、直感でそう思った。

離した瞬間に、何かが始まるのだと。

それは、本当の幕開け。


誰かが 囁いた。


「――――ッ」


バットから鳴り響く、爽快な打撃の音。

皆が、息を呑んだ。

走る走者。

追いかける外野手。

声を張り上げる、仲間達。

千空は球の行方を追うことしかできなかった。

そして、視線の先が現実を映し出す。


――ホームラン。


小さくなった白球は、レフト外野席に吸い込まれた。

走者が次々とホームへ帰って来る。


3−4。


8回の裏、栄天学園は一挙に逆転を許した。




252 ::07/06(木) 00:37:04 HOST:i218-44-26-220.s02.a021.ap.plala.or.jp

その後。

9回の表、栄天は点を返すことができなかった。


結局、3−4で王二商の勝利。

この奇勝は、全国の高校野球ファンに衝撃をもたらした。

昨年の準優勝校が、まさか一回戦で姿を消すことになるとは。

誰もが予想だにしていなかった。

もちろん、栄天学園の野球部員も。


皆涙で濡れた顔で、旅館へと帰っていった。




253 :(iYew7fjLSo):07/06(木) 17:33:38 HOST:59-171-162-222.rev.home.ne.jp
あげますw

続きが楽しみですw

254 ::07/06(木) 18:43:51 HOST:i222-150-155-124.s02.a021.ap.plala.or.jp
●臨さま●
そう言って頂けると、本当に舞い上がりますv
これからも精一杯頑張りますv
あげandコメありがとうございました!



255 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/06(木) 20:31:56 HOST:actkyo093111.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ松☆ミ
ぢゃぁなんて呼べばイイですかッ??(緊張で声が上ずった(ワラ
やっぱ本当っぽいですЙё(汗
早く続きが読みたいデスッ↑↑

256 :グリ:07/06(木) 21:02:29 HOST:ser356611003541657
野球の話だけで普通に楽しんでたグリです(笑)
やはり野球はよきスポーツです…時代はW杯ですがアタシはいつまでも阪神一筋です。そもそも野球とゆーものは正岡子規が…クドクド
あげぇ━!!←終了(笑)

257 ::07/06(木) 21:20:59 HOST:i222-150-155-124.s02.a021.ap.plala.or.jp
旅館に戻っても、ほとんどの部員が放心状態だった。

夕食後のミーティングも、部員達があまりにも沈み込んでいる為、監督の軽い話だけで詳しいことは明日に回された。

現在の時刻は、もうすぐ12時になろうというところ。

風呂から上がったユウは、静かな廊下を一人で歩いていた。

こんな遅くに風呂に入ったのには理由がある。

一つは、夕食後部屋でうたた寝してしまったから。

そしてもう一つ。

体に残る赤い痕を、見られないように・・・


(頭・・・痛い・・・・・・)

ユウは無意識にこめかみの辺りに手を添えていた。

食後に薬を飲んだが、一時楽になっただけで、今も激しい頭痛が襲ってくる。

重たい頭の中で、今日の出来事が繰り返し再生された。

思い出すたび、当てのない気持ちに支配される。

悲しくて寂しくて苦しくて。


(みんなの方が辛いのに・・・)


自分は見ていただけだ。

実際試合をしていたのは、千空達。

他の部員だって、レギュラーと共に練習してきた。

必ず、勝ってみせると。



――――野球の神様・・・



あなたは どこにいるんですか?・・・



意識が遠のきそうになったとき、後ろから声がした。

「ユウ!」

「・・・!」

振り返ると、そこにはシンが立っていた。

「足元ふらついてんぞ! 大丈夫?」

「あ、うん・・・。こんな時間にどうしたの?」

「ユウこそ。こんな時間に風呂?」

「うたた寝しちゃって・・・」

「そっか。そだ、千空見なかった?」

「千空くん? 見てないよ。いないの?」

ユウの心臓が一つ、大きな音を立てる。

「うん。風呂入った後ぐらいからいなくてさ」

「・・・どこ行ったのかな・・・?」

「うーん。旅館にいないとしたら・・・あそこか」

シンは納得したように頷く。

「あそこ・・・?」

「うん、おっけ分かった。ユウは早く部屋戻って乾かしなよ!」

「うん・・・。ありがとう」

「おー。んじゃあな」

にこっと愛嬌のある笑顔を向け、シンは元来た廊下を引き返して行った。

(・・・千空くん・・・)

小さくなるシンの背中を見つめながら、ユウは心の中でその名を呟く。


あれほど勝利を求めていた、千空。

きっと・・・

自分の暴投のせいで負けた、と自身を責めているだろう。


(千空くんを独りにしちゃ、駄目だよ・・・)


言ってあげたい。

「千空くんだけのせいじゃない」と。

きっとチームメイト全員が思っている。

それは、分かっていた。

なぜなら、負けて人のせいにする人間など、ユウが見る限りこのチームにはいないから。

だから、あの人を止めなければならない。

自分を責めて責めて攻め抜いて、心を傷つけないように。

(・・・でも)


――――俺は止めること、できないから・・・


何を想ってどこにいるかも分からない。

そして、今傍にいる権利を持っているのは、自分ではない。

悲しいけれど。





ねぇ 千空くん




――――今、どこで何してる・・・?






258 ::07/06(木) 21:29:05 HOST:i222-150-155-124.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さんのお好きな感じでっっ(同じく緊張で声がry
リアルを手に入れましたかね!!(なんか言い出した
あげandコメありがとうございました!

●グリさま●
野球の話ばっかでつまらんかな??と思っていたので、そう言って頂けて嬉しいですvv
阪神ファンさんなのですかv その話ちょいと気になります笑!
あげandコメありがとうございました!

259 :ベア:07/06(木) 22:51:02 HOST:07012300287880_vx.ezweb.ne.jp
あげ↑あげ↑あげ↑

260 ::07/06(木) 23:09:20 HOST:i219-165-214-2.s02.a021.ap.plala.or.jp

旅館の裏手に、長く続く階段がある。

真っ白なコンクリートで出来ており、人がやっとすれ違える程度の幅しかない。

そしてその階段を上りきったところには、小さな公園があった。

しかし遊具はすっかり錆びており、ブランコはキイキイと激しい音を鳴らす。

そんなひと気のない公園に、千空はいた。

背中半分程の高さのフェンス上で、両腕を組み顔を沈めている。

心の中は、何かとてつもない事をしでかした、罪人のような気持ちでいっぱいだった。


あのときストライクをとっていれば。

あのときフォアボールを出さなければ。

先輩達を終わらせることはなかった。


どうしようもない、後悔と似た感情がこみ上げる。

もう終わって、二度とやり直しのきかない事なのに。


――――終わった・・・


そんな簡単に言える言葉だったのだろうか。

もっとしがみついて、最後は笑って泣けるような。

自分達が描いていたのは、そんな「終わり」だった。

あまりにもあっけなく、夏は別れを告げた。

負けの悔しさよりも、罪悪感を残して。

負けるなら思い切り悔やみたかった。

悔しくて仕方なくて、それをバネにできるように。


「・・・っくそ・・・」

小さく声を漏らした。

暗い公園の隅で、その声は響かない。


――暴投の理由なら、終わってから理解した。


あのとき、自分は一瞬ユウのことを思い出したのだ。

どうして体調の悪さに気が付かなかったのか。

小さな疑問が、いつの間にか大きく膨らんでいた。


――――俺は・・・・・・


「ちーあき」

後ろから声がしたかと思うと、いきなり何者かが抱き付いてきた。

「!?」

千空は心臓を跳ねさせて、顔を上げる。

自分の肩越しに後ろを見た。

そこには、背中に擦り寄った色素の薄い頭がある。

その顔が勢いよく上がった。

「おー」

「・・・シン」

シンは回した手を離すと、ジャージのポケットに手を突っ込む。

白のタンクトップが、生暖かい風に揺れていた。

「やーっぱここだったかぁー」

「・・・お前何してんの」

千空は振り返って、フェンスに背中をもたれ掛けさせながら、低い声で言う。

「風あたりに来た」

「・・・あっそ」

「千空もだろ?」

「・・・・・・うん」

何となく、俯いて答えた。

「目、赤い」

「うっせーな」

シンが千空の目元に手を伸ばす。

指先が触れると、千空はその手を掴んだ。

赤い瞳が、真っ直ぐとシンを見る。


「・・・お前は泣かねェのかよ」

「・・・泣かねェって、思う?・・・」


シンが真剣な顔でそう言うと、一瞬詰まった後、千空は再び視線を落とした。

そして手を顔の横で握ったまま、小さく首を振る。

「・・・思わない」

シンは黙ってその姿を見つめていた。

「ごめん。俺今他人に当たろうとしてる」

「いい、当たれよ。俺他人じゃねェし」

「・・・ごめん」

「・・・・・・千空」

シンの掠れた声が、千空を呼ぶ。

「・・・いい。今はいいから・・・今は何も考えなくていい」




++++++++++++++++++++

中途半端で失礼!!;

261 ::07/06(木) 23:10:33 HOST:i219-165-214-2.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ベアさま●
あげありがとうございました!
頑張りますvv

262 :グリ:07/07(金) 07:06:19 HOST:ser356611003541657
正岡子規の本名が「のぼる」でしてねぇ〜子規は野球が好きだったか知りませんが自分の名前から「のぼる」→「野・ボール」→「野球」と名付けたそぉです(´∀`)
じゃあ子規が名付ける前の名称は…?ときかれましても答えれません(゚Д゚笑
まっ、うんちくですね☆そんなことよりアゲっすよ!!笑

263 ::07/07(金) 19:51:59 HOST:i58-89-120-137.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
へええー!!純粋に感動した夕ですこんばんわ!!
この知りたがりの為にわざわざ説明して下さって本当に感謝ですvv
あげand感動うんちくありがとうございました!

264 ::07/07(金) 21:09:09 HOST:i58-89-120-137.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空は黙ったまま、首をもたげていた。

シンが再び、小さく口を開く。


「・・・お前は、壊れないで・・・」


その言葉が何を意味しているのか。

分からなかったが、前にシンが呟いた言葉を思い出した。

風にかすれて、よく聞こえなかったけれど。



『・・・壊れてくね』



音のない映像が、モノクロで蘇る。

その記憶さえ、今では自身の胸を刺すのだ。

あの時は、今日のことなど予想もできなくて。

それよりずっと前だって、そうだった。

「勝つ」んだ、って。

そればかり追いかけてた。


できることなら、あの日に帰りたい。


「・・・っふ・・・く・・・っ」

食い縛った歯の隙間から、耐え切れなくなった声が漏れ出す。

瞳からは大粒の涙がこぼれ、茶色い土の上へと落下していった。

握っていたシンの手に、力を込める。

そして、片手で腰を寄せた。

「ん・・・」

重なった唇から、シンのくぐもった声が聞こえる。

激しいキスを繰り返した後、千空は目の前の肩に、そっと頭を置いた。

シンの体温が直接伝わる。


「・・・ごめん。抱かせて・・・・・・」


消え入りそうな、弱い声。

シンは少し間を置いた後、千空の背に両腕を回して答えた。


「うん」


そのまま強く抱きしめる。

「じゃ、早く戻ろーぜ。ここじゃ、ねぇ?」

千空がゆっくり体を離すと、いつも通りの笑顔と目が合った。

「・・・ん」

そう言うと、涙を拭いて空を見上げた。

満天の星空が、瞳をいっぱいにする。

紺碧の海に広がる、幾千の瞬き。

それを見て、千空は心の中で再び、ある言葉を思い出していた。



『こんなに頑張ってる人、野球の神様が見捨てるわけない』





――――神様って・・・ほんとにいたんかな・・・





それは、悲しくて寂しい、紛れもない疑心。




265 :(iYew7fjLSo):07/07(金) 22:16:25 HOST:59-171-162-222.rev.home.ne.jp
わぁーー!!すごいことになっている;;
ユウもっと頑張って千空をゲットしてくれ〜(願)

266 :モモ:07/08(土) 15:24:25 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
初めまして!
応援してます〜!
アゲです☆

267 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/08(土) 15:45:13 HOST:actkyo135142.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ松☆ミ
ぢゃぁ夕って呼んぢゃっても。。(死
まさにうちの好きなカンジですッ(照
更新楽しみにしてますッ頑張って♪

268 :グリ:07/09(日) 10:18:31 HOST:ser356611003541657
←←アゲぇい(●o'v`o)→→

269 ::07/09(日) 19:23:54 HOST:i219-167-124-234.s02.a021.ap.plala.or.jp
●臨さま●
素直でストレートな感想がありがたいですv
もっとすごいことにできたらな、と頑張ります!
レスありがとうございました!

●モモさま●
初めましてこんばんわv 夕です。
応援して下さる方がいる私は幸せ者ですねッッvv
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
どうぞどうぞw
。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さんのお好みな感じでしたかv 好みが合いますなw
あげandコメありがとうございました!

●グリさま●
あげありがとうございました!
頑張りやすッッvv

270 ::07/10(月) 00:23:03 HOST:i222-150-154-131.s02.a021.ap.plala.or.jp

部屋へ帰ると、二人は何の合図もなしに互いを求め合った。

ベッドを軋ませて、言葉も交わさず抱き合う。

激しさは募り、千空は何度もシンの中に突き立てた。


先ほどから、自分の名を呼ぶシンの声が、遠くで聞こえる。

しかし、それに答えることはなかった。

ただ無我夢中に、頭の中を真っ白にしてシンを求める。

悪夢のような現実を消し去る為に。

「・・・ち・・・あき・・・ッ――」

何度目だろう。

言いなれたはずの名を苦しそうに呼びながら、シンが果てた。

ぐったりとした体の中に、千空も己を吐き出す。


その瞬間。


ふいにある姿が浮かんだ。

あのときのように、試合最中のときのように。


――――ユウ・・・?


笑顔で何か言っている。

とても、寂しそうな笑顔で。


「―――・・・」


しかし次第に映像は色を失っていく。

それに伴って、ユウはこちらに背を向けた。

どんどん、遠ざかっていく。



――――待っ・・・



「千空?」

下から呼ばれて、千空はハッとした。

自分の下では、シンが虚ろな眼差しでこちらを見ている。

「は・・・ぁ、もうオワリ?・・・」

「・・・いや・・・」

「んじゃ、早くしろ・・・はぁ・・・もう外明るくな、る・・・」

「へ」

千空は近くの窓に向かって手を伸ばした。

カーテンを指で少しだけ寄せると、すでに白み始めた空が見えた。



++++++++++++++++++++++++

中途半端で失礼;

271 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/10(月) 11:26:16 HOST:actkyo087210.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ松☆ミぢゃぁ夕って呼ばせて頂き松(ワラ
なんかドンA切なくなって来ます。・゚・(*ノД`*)・゚・。
また千空とユウがくっついたらシンゎ。。。。。・゚゚・(p>□<q*)・゚゚・。最近シンの事ばかり重視してる。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。でぁります(爆

272 :モモ:07/10(月) 15:41:09 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
更新ありがとうございます
キャー(>∀<)ー!
続きが楽しみです〜

273 ::07/10(月) 19:09:55 HOST:i220-109-140-203.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。 さま●
読みながら色々考えて頂けているようで嬉しいですv
ををwシンですかv
あげandコメありがとうございました!

●モモさま●
いえいえこちらこそ!!キャーー!!!笑
楽しみにして頂けて喜びですv
レスありがとうございました!

274 ::07/10(月) 20:00:44 HOST:i220-109-140-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

「・・・・・・」

千空は黙ったままカーテンの裾から手を離す。

そして軋ませながら、ベッドから降りた。

「何? ヤんない?」

落ちていた下着やらジャージやらを身に着け始めた千空を、シンは乱れた前髪をかき上げながら言う。

「うん」

背を向けたまま、千空は答えた。

「なんで?」

「早くしねェと風呂人来るかもだろ。お前動ける?」

「たぶん」

「体拭くか?」

「・・・いいや、風呂行って来る」

「ん」

シンはゆっくりと体を起こす。

ベッドから降りて服を着ると、よたよたと絨毯の上を歩き出した。

「千空も行かね?」

入り口の前で振り返って、突っ立っている千空に呼びかける。

「俺?」

「うん」

「・・・あー、俺いい。後から入る」

そう言うと、千空はシンからすっと目を離した。

「・・・そ。んじゃお先ー」

シンの明るい声を残し、扉が閉まる。

残った千空は、しばらくその場でボーっとしていた。



275 ::07/10(月) 22:56:40 HOST:i220-109-141-231.s02.a021.ap.plala.or.jp
訂正;

×身に着け始めた千空を
○身に着け始めた千空に


失礼しました!

276 ::07/11(火) 00:19:25 HOST:i220-109-141-231.s02.a021.ap.plala.or.jp

先ほど頭の中に浮かんだユウ。

今では真っ白になって消えてしまった。

それを安心するでもなく、寂しい気持ちで思い返した自分がいる。


駄目なのに。

また取り返しのつかないことになるかもしれないのに。


早く忘れないと、そう思って焦るばかりだ。

しかし忘れようと思って、一つ分かったことがある。

とても、悲しいこと。



――――俺は、ユウのこと悪者にしたがってる・・・



野球の調子が悪いことも、ユウの存在のせいにしてた。

忘れられなければ記憶を恨んだ。

どこかで人のせいにすれば、いつだって楽になれたから。


――――ユウを・・・そんな存在にするつもりなんかなかったのに・・・



誰かといた記憶を忘れようとすることはとても困難で。

それが好きな人だったのなら、なおさら。

容赦なく何かを犠牲にする。

自分の場合は大切な夢を失った。

ユウだって大切な存在だったのだから、当然のことだ。

どうして、大切なものを守る為に、もう一つの大切なものを捨てなければならないのだろう。


結局は、両方なくしてしまうのに。


大切なものだから、傷つけた。

大切なものだから、別れを告げた。

大切なものだから、忘れられない。


一生、忘れられない。


「なんで・・・」

千空はその場にへたりと座り込んだ。


「なんでこんなことになったんだろ・・・」


言葉は色を失くして落ちてゆく。

もう戻れないと、進めないと分かっている。

しかし、一つの想いだけは捨て去れなかった。

千空は赤ワイン色の絨毯の上で拳を握り、声を絞り出した。



「好きだ・・・ッ」



目の前が霞む。

大好きな、大切な人を想って。


きっとこの気持ちは変わらない。

捨てられるものではない。

ならば、どこへ行くというのか。

一生苦しんで、もがき続けるのだろうか。



だれか たすけて





                  


                   そして俺は、再び居場所を誤ってしまう――





277 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/11(火) 19:47:28 HOST:actkyo083031.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲァゲァゲ☆ミ
再び!?なんかこの後どうなるのかさえ考えられない程感動している。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。です(ワラ
更新頑張ってサイッッうちゎ下がらないよぅに全力でァゲ松(ワラ

278 ::07/11(火) 20:26:55 HOST:i125-201-42-163.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
かか感動して頂いちゃって感動してる夕ですこんばんわw
ならば私は全力で更新しますね! 嬉しいお言葉をかけて頂けて喜びですv
あげandコメありがとうございました!

279 ::07/11(火) 21:12:00 HOST:i125-201-42-163.s02.a021.ap.plala.or.jp

試合から一週間も経てば、部員達はいつの間にか元気を取り戻していた。

結局全試合が終了するまで現地に残ることになり、現在も栄天学園野球部は旅館に宿泊している。


「「暇ぁー!!」」

千空とシンの部屋で、息の合った二つの声が上がった。

ベッド下の絨毯の上で、双子が並んでつまらなさそうな顔をしている。

「俺も」

「・・・俺も」

同じベッドの上に座る、千空とシンも挙手して答えた。

「じゃーなんかすっかぁ」
「蒼何やりたいよ?」
「えー、じゃあかくれんぼ」
「じゃあってなんだ。お前真剣に遊ぶ気あんの?」
「あります」
「よし、かくれんぼやるか」

そう言って直が元気よく立ち上がった。

「さーいしょーはぐー!じゃーんけーん・・・」

皆いっせいに手を出す。

「ぽん!」



++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;


280 :(iYew7fjLSo):07/11(火) 21:51:19 HOST:61-23-201-115.rev.home.ne.jp
わぁ〜楽しいw
かくれんぼとかバッチグーですよb
がんばってくださいw
アゲマスw

281 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/11(火) 22:02:23 HOST:actkyo083031.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
和やかぁmmmm夕の前になれば分にならないものなんてナイЙёスゴィ☆m9(゚∀゚≡゚∀゚)9mスゴィ☆ 更新頑張ってサイッッ

282 ::07/11(火) 22:47:12 HOST:i125-201-42-163.s02.a021.ap.plala.or.jp
●臨さま●
かくれんぼ気に入って頂けましたか??笑
私がかくれんぼ好きなだけだったり・・・ 精神年齢低いですw
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
癒されて頂けたら嬉しいですv
すごいだなんてそんなっっ笑 でへへ(ダマレ
毎度レスありがとうございました!

283 ::07/11(火) 23:11:57 HOST:i125-201-42-163.s02.a021.ap.plala.or.jp

と、言うわけで。

千空は長い廊下を一人歩いていた。

じゃんけんの結果、鬼は直。

(どっかねェかなー)

ふらふらと進んで行き、ふと足を止めた。

目線の先には「リネン室」というプレートのかかった部屋がある。

(ここでいーや)

さっさと決断すると、ドアノブを回した。

いとも簡単にドアは開く。

一応音を立てないよう、慎重に中に身を滑り込ませた。

室内は昼過ぎだというのに暗く、正面の高い小さな窓から光が漏れているだけだ。

細い通路を挟んで、何列か棚が並んでいる。

その中にはシーツやらが所狭しと積まれていた。

千空は一番近い棚の影に身を潜める。

(ふぅ・・・)

心の中で息をついた。


こんなにもゆっくりした時間を数日も楽しむのは、結構久しぶりなことだった。

もちろん練習は今も毎日あるが、全て午前中で切り上げている。



+++++++++++++++++++++

またもや;


284 ::07/11(火) 23:35:02 HOST:i125-201-42-163.s02.a021.ap.plala.or.jp

監督の意図なのだろうか、失ったものを埋めるように時が自分を立ち直させた。

どうにもならないことは確実にこの世に存在していて。

どうにもならないけれど、次に進むための一歩は、いつも時間が支えてくれた。


遠い鳥の声が聞こえ、千空は目を閉じる。

とても気持ちよさそうに鳴いていた。

この時間だっていつまでも続くわけではないけれど、どんな時間も大切にしたい。

そう思った。


(あ・・・寝ちゃいそ・・・)

思わず夢の中に引きずり込まれそうになった時。

一声が、それを拒んだ。


「ん・・・っ」


――――・・・「ん」?


それは、部屋の奥の方から聞こえた。

(・・・誰かいんのか・・・?)



285 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/12(水) 15:22:39 HOST:actkyo116229.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
えぇッッ!?なんか無性に続きが気になります!!更新頑張ってサイッッ
待って松☆ミ

286 :モモ:07/12(水) 16:38:21 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
だ・・誰がいるんでしょう!?
もしかしてユウと連さんだったり!!?
どうなるんでしょう〜

287 :(OfMtr4G69c):07/12(水) 18:43:26 HOST:i222-150-155-30.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
これから更新したいと思いますv
待って頂けて嬉しいです! 頑張っちゃいますw
レスありがとうございました!

●モモさま●
どうなるんでしょう!!笑
少しでも楽しんで頂けたら幸いですv
レスありがとうございました!

288 :(OfMtr4G69c):07/12(水) 19:51:11 HOST:i222-150-155-30.s02.a021.ap.plala.or.jp

不思議に思って、千空は耳を澄ます。

(もしかして・・・・・・ゆ、)

一気に血の気が引くのが分かった。


(幽霊!?)


ゴクリと唾を飲む。

(いやいや真っ昼間からそんなん出るわけないだろっ)

思い直して、激しく左右に頭を振った。

そして固まっていた足を、無理やり動かす。

(俺が何なのか確かめてやる・・・)

勝手に心の中で決意すると、四つん這いになって、声がした方へ進み始めた。

隣の列も、その隣も、そのまた隣にも、何と言えるものはない。

ただ両側の棚が白で埋め尽くされているだけだった。

残るは一番端の列。

千空は息を殺して、そこに近寄った。

棚の影から恐る恐る通路を覗く。


「・・・・・・へ」


突如広がった光景に、思わず小さな声が漏れた。

一瞬頭の中が真っ白になる。



――――ユウ・・・?



「・・・っんん」

そこには、ユウと思える後姿があった。

その前には連がいる。

二人は激しいキスをしていた。


「――――」

頭の中が色を取り戻し始めた頃、千空の胸の中にはふつふつと湧き出る感情があった。

それは「あの時」と似ている。

あの、ユウを押し倒した時と。

握った拳に血管が浮き出ている。


――――離せ


直感でそう思った。

ユウに触るな、と。

思わず二人の前に飛び出そうとした。

しかし。あることを思い出し、千空はハッとする。



『付き合ってんの?・・・』

『たぶんね』



シンが言っていたことは本当だったのだ。

疑っていたわけではないが、今改めて理解した。

ならば自分がかき乱す権利など、ないのではないだろうか。

ユウの掴んだ幸せかもしれない。

それを邪魔してまで、自分は何をしたいのか。


――分からない。


しかし今ここでやめたのなら、きっと一生後悔する。

向日葵に消える後姿を、追えなかった時のように。


理由は全く姿を現さないが、真っ直ぐにそう思った。

「・・・・・・っ」

勢いに任せ飛び出そうと、立ち上がる。


その瞬間。


「!?」


いきなり腕を下から引っ張られ、驚きのあまり千空は目を見開いた。

「・・・ッ」

パッと下を見ると、そこには見慣れた人物の顔がある。

四つん這いになって、千空の腕を引いていた。


(・・・シン!)


こちらを見上げる瞳は、何かを訴えているように見える。

大きな音で脈打つ心臓を撫でながら、千空はその思いを読み解こうとした。



――――「行かないで」・・・







289 :(OfMtr4G69c):07/13(木) 00:46:53 HOST:i60-36-124-12.s02.a021.ap.plala.or.jp

その目は確かにそう言っていた。

不安の色を滲ませて。


――――そーだ・・・


(俺だって今、シンと付き合ってんだよ)

それが例えユウを忘れる為だとしても。

ユウにも新しい相手がいるように、自分にも新しい相手がいる。

自分がシンを置いて行けないように、きっとユウも連を置いて行けない。

(・・・でも)



――――好きだ



この気持ちを知ってしまったら、どこにも行けない。


――どこにも。


もう一度、二人を見た。

変わらず唇を重ねながら、連はユウのジャージの後ろに手を忍ばせている。

ユウの肩が、震えていた。

千空の中に再びあの感情が疼く。


触るな触るな触るな


怒りがこみ上げた。

千空はそれに任して、無意識に片腕を引き上げる。

勢いよく振り下ろすと、鈍い音が空気を割った。

棚の壁を叩き付けたその拳は、小刻みに震えている。


「・・・誰だ?」


鋭い声が、耳朶を打った。

連だ。

千空は黙ったまま、静かにその場を去ろうとした。

こちらまで来て言及することはないだろう。

そう思ったから。

自分の腕を掴んでいたシンの手を握って、足早に入り口を目指そうとした。

しかし、またもや一声が千空の行動を拒む。



「・・・千空くん・・・?」



紛れもない、美しく透るユウの声。

自分を呼んだ。

「・・・・・・っ」

迷うように足が止まる。


――――ユウ・・・


「・・・千空」

シンに呼ばれて、千空は床に向く顔を上げた。








 

290 :モモ:07/13(木) 16:29:54 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
更新ありがとうです!
予想当たってました・・・(びっくり)
続き待ってますね☆

291 :(OfMtr4G69c):07/13(木) 19:42:59 HOST:i58-89-120-3.s02.a021.ap.plala.or.jp
●モモさま●
いえいえこちらこそレスありがとうございました!
当たりでしたw うへへw(何
これから続き書こうと思いますv


292 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/13(木) 21:14:26 HOST:actkyo122110.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
きゃぁmmmmmil||li _| ̄|○ il||li (ぇ
更新されてましたぁmmmmこの後どぅなるのかすごく楽しみデス!!それでゎ

293 :(OfMtr4G69c):07/13(木) 23:40:05 HOST:i58-89-121-150.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
楽しみにして頂けて喜びですv
いつもレスして下さって本当に嬉しく思っていますvv
改めましてレスありがとうございました!



++++++++++++++++++++++++


――――戻れない


そう自分に言い聞かせる。

そうじゃないと、このままシンの手を離してしまいそうだったから。

「・・・ッ」

握ったまま、床を蹴った。

角を曲がると入り口が迫ってくる。

乱暴にドアを開け放った。

そのまま廊下を走り抜ける。

「あ、おーい千空ー!」「あ、おーいシンー!」

後ろで直と蒼の声が聞こえた。

しかし千空は何の反応も見せず、ただ前を向いて走り続ける。

「かくれんぼ終わりぃー!」

代わりにシンが大声で答えた。

「「ええー!?」」

不満そうな二人の声。

それも遠くへ流れていった。

すれ違う人達は驚きながら両脇へ避けて行く。

わき目も振らず、ただ走っていた。

やがて自分達の部屋の前まで来ると、千空は勢いよくドアを開ける。

先に中へ入ると、握っていたシンの手を思い切り引っ張った。

シンが体勢を崩しながら室内に足を入れると、大きな音を立ててドアが閉まる。

千空はシンをベッドに向かって突き飛ばした。

スプリングの利いたベッドの上で、シンの体が軽く跳ねる。

千空も続いてベッドの上でシンをまたぐと、間を与えずいきなり強く唇を押し付けた。

「・・・ッ」

まだ呼吸の落ち着かないままで、シンが苦しそうに千空のTシャツを掴む。




+++++++++++++++++++++++

中途半端;

294 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/15(土) 13:52:26 HOST:actkyo066138.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
更新されてますЙё!!さっきここ見にきたら荒らされててかなり悲しかったデス。。。。(涙
でも消えて良かったデス☆ミ更新頑張ってサイッッ楽しみにしてます!!ちなみに夕ゎ自分のサイd持ってたりしますかぁmm??

295 :グリ:07/15(土) 15:42:14 HOST:ser356611003541657
あー戻ってきたぁ(´∀`)何でたまに消えるんですかねぇ??荒らし最悪!
あげです(*o′艸`o)

296 ::07/15(土) 18:51:58 HOST:i219-167-124-86.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
私のいない間何かあったようで・・・
完結までは頑張って続けるつもりなので、荒らしさんも気にせず書き続けようと思いますv
ちなみにサイトは依然持っていたのですが、今はありませんw
レスありがとうございました!

●グリさま●
戻ってきました笑v
消えたとしても図太く戻ってこようと思うので、これからも何卒よろしくお願いしますvv
あげandコメありがとうございました!

297 :(OfMtr4G69c):07/15(土) 18:54:05 HOST:i219-167-124-86.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
字間違えました;
依然→以前 です! 失礼しました!




+++++++++++++++++++++++++

少しして、遂に我慢の限界を迎えたらしいシンが、掴んでいた裾を強く引っ張った。

気づいた千空が、虚ろな顔を上げる。

「・・・ッはぁ・・・はぁ・・・っ」

「・・・ごめん」

「は・・・っな・・・んで謝るんよ・・・っ」

「・・・・・・ごめん」

「ば、か・・・謝んなっ・・・はぁ」

シンは心底嫌そうに顔をしかめた。

「なんで?」

「萎える、だろ」

呼吸を整えると、意味ありげに口端を上げる。

「・・・ばーか」

千空は言いながら体を起こした。

ふと、急に真剣な顔つきになったシンと、目が合う。

「何」

じっと見つめてくる猫目を覗き込んだ。

「・・・ユウ・・・」

「は?」

「ユウにも・・・こんなふうに触ったん?・・・」

「・・・・・・」



――情景が、蘇る。


苦しそうに振り上げた細い腕。
ドアの閉まる音。
消えることのない痕。

寂しそうなユウの顔が、頭の中に広がった。



所詮自分は、相手を傷つけるようにしか抱けないのだろう。

今だって、忘れる為に抱いているシンのことを、傷つけているかもしれない。

遠い未来に、今のことを後悔する日があるのだろうか。


今生きることに精一杯だと言いながら、本当は迎える明日が怖いというのに。


――――怖い・・・


「大丈夫」

黙ってしまった千空を、シンがそっと抱きしめた。

そして耳元で囁く。

「俺は大丈夫だから。どんなふうに抱かれたって嬉しいし」

千空は色の落ちた瞳を動かさないままでいた。


「・・・千空なら」


シンは優しくそう告げると、千空の唇に自らの唇を重ねる。

触れるだけの、簡単なキス。



――――そんな訳、ないだろ



傷つきたい人間など、いる訳がない。

千空は心の中で反論した。

皆いつも笑いたくて、幸せになりたくて生きているのではないのか。

それなのに敢えて悲しい道を、シンは選んでいる。

自分はどうするべきなのだろう。

道を選ぶのはシン。

それに口出しするのは間違っているのかもしれない。


――でも。


(お前は・・・シンは・・・・・・)



――――「コイビト」の前に、大事な「オサナナジミ」なんだよ――・・・




298 :(OfMtr4G69c):07/15(土) 21:02:26 HOST:i219-167-124-86.s02.a021.ap.plala.or.jp

「・・・・・・」


オサナナジミ。

そう、どこかで分かっていたはずだった。

シンは大切な幼馴染以上でも以下でもないと。

大切な幼馴染を傷つけて、自分はユウを忘れようとしていた。

どうして。


どうして、間違っていると気づかなかったのだろう。


自分はまだこんなにも、ユウのことが好きだというのに――

そんなの、シンを一層傷つけるばかりだ。


「俺・・・」

千空は俯いて、小さく口を開いた。

「ん?」

聞き取ろうと、シンは顔を寄せる。



「・・・俺、ユウが好き・・・」



そう言った瞬間、シンの表情が固まった。

「忘れらんない・・・」

「・・・・・・千空・・・」

「他の奴に取られたくねェよ・・・っ」

悲痛を訴えるように、千空は言葉を漏らす。

しばらくしてシンは、千空の首に回していた腕をそっと下ろした。

「・・・・・・壊れるつもりなんて・・・なかったのにねぇ・・・」

そしてたったそれだけ、魂の抜けたような声で呟いた。

そのままゆっくりベッドから降りる。

何も言わずに、入り口へ向かっていった。

千空はシンに背を向けたまま、下を向いている。

ドアノブに手をかけたシンが、そのとき静かに振り返った。


「・・・ごめん」

「・・・・・・!」


千空は思わず顔を上げて、シンを見た。

こちらを見据えるその表情に視線がぶつかり、一瞬息が詰まる。


「・・・ありがと」


シンが背を向けた。

「待っ・・・」

いつの間にか呼び止めそうになる自分がいる。

しかしハッとして口を強く結んだ。

ここで引き止めたら、何も変わらないことに気づいたから。


「―――・・・」




儚い音を立てて、ドアが閉まった。



299 ::07/15(土) 22:30:31 HOST:i219-167-124-86.s02.a021.ap.plala.or.jp

――試合が終わったとき、しゃくり上げて泣いていた千空に、綾斗は言った。


『後ろ守れなくてごめん。・・・ありがとな』


あのときは頭を撫でられて、見つめ返すことしかできなかった。

それは違うと、言えなかった。


―――― 一番悪いのは、俺だろ――・・・


自分は謝られる立場でも、お礼を言われる立場でもない。

むしろ逆だ。

それなのに、綾斗は優しく笑ってそう言っていた。

ユウもそうだった。

「ごめんね」、「ありがとう」、そう言って離れていった。

そしてシンも。

チームのみんなを、みんなの夢を傷つけて、ユウを傷つけて、シンを傷つけた。

みんな大切だったのに。


どうして、大切なものほど傷つけて、失くしてしまうのだろう。


まるで選ぶように、困難は襲い掛かる。

もっと強く握り締めておけば、そうやって後で後悔するのだ。

結局そこで諦めて、二度と戻ってはこなくなる。



――――でも・・・



そんなの嫌だ。


シンを無駄に傷つけたりした訳じゃない。

そう言えるように。

残ったものだけでも、二度と後悔はしたくない。

大切なものを捨ててでも、一歩先へ進みたい。

大切なものを捨ててでも、もう一つのものを取り戻したい。

悲しいことかもしれないけれど、耐えなければならないこともある。

もっと笑えるように・・・



「・・・・・・っ」

千空は長い沈黙の後、すっとベッドから立ち上がった。

胸に秘めた決意を解き放つ為に。



――――ユウのところへ行く



前を見つめる瞳には、光が灯っていた。





300 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/16(日) 08:10:49 HOST:actkyo080240.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ松☆ミ新展開ですЙё(興奮
続きがすごくきになります!!
更新頑張ってサイッッ!!

301 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 11:57:45 HOST:i219-165-214-44.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さんのレスに興奮する夕!!(変態!
はいっ 頑張っちゃいますw 楽しみにして頂けたら嬉しいですvv
あげandコメありがとうございました




302 :グリ:07/16(日) 12:10:50 HOST:ser356611003541657
んふー♪♪笑
その心意気にファンは感涙ですわぁ*´v`*!!
そんな夕さんにアゲっ
\(゚∀。)/

303 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 12:15:10 HOST:i219-165-214-44.s02.a021.ap.plala.or.jp

ユウはまだ暗い室内にいた。

冷たい床の上に黒髪が広がる。

硬い感触に背中が少し痛んだ。

半そでのパーカのファスナーを、連は器用に口を使って下ろしていく。

上半身が露わになる。

鎖骨の皮膚を強く吸い上げられた。

首を横に向けると、押さえつけられた手首が見える。

(・・・・・・)


こうやって連に抱かれるとき、いつも心に定めていることがある。

304 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 12:18:08 HOST:i219-165-214-44.s02.a021.ap.plala.or.jp
中途半端失礼します;

●グリさま●
でへへー♪♪笑
感涙とはありがたいというか何と言うかッッ 応援して下さる皆様のコメントに私は感涙してますv
あげandコメありがとうございました!

305 :由希:07/16(日) 15:25:12 HOST:tsechttp139.sec.nifty.com
久しぶりです(*'v`艸)!

ぎゃー!!!(あ
す、凄い良い展開に…!(やっぱり千空ユウが好きな私)
続き気になります><
頑張ってください(Pq'v`★)!!

306 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/16(日) 18:58:39 HOST:actkyo089215.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
早くユウを千秋に救って欲しい。。。。。(ワラ
いつも心に定めていること。。。。。?なんなのか気になりますッ更新楽しみにしてます!!ァゲ☆ミ

307 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 22:58:58 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
お久しぶりですv
展開するごとに素直な反応を頂けて、書いてる側としてはとても嬉しいですvv
レスありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
楽しみにして頂けて嬉しいですw
そしていつもお世話になっておりますv これからも何卒よろしくお願いしますw
あげandコメありがとうございました!

308 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 23:04:37 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp

何も考えるな、と。

連に身をゆだねて、ただ終わるのを待つだけだ。

そうしているのが一番楽だと学んだから。

行為の最中に色々なことを思い出すと、自分がおかしくなりそうだった。


――どうせ自分は汚れ物。


他の人に触れられる権利などすでにない。

そう分かっているのに、千空の顔を思い出すと切なくなった。




309 :(OfMtr4G69c):07/16(日) 23:25:35 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp

抱きしめて欲しいと思ってしまう。

最初の頃のように。

千空の為に生きる、自分になりたかった。

今では幸せを願うことしかできない。

自分の幸福を投げ打ってでも、幸せになって欲しいと思っているのに。

願うだけでは、足りなかった。


「ん・・・」

一方的な深いキスを繰り返しながら、突起を摘まれ、声が漏れる。

この声だって、連の為にあるものじゃなかったはずなのに。

一番好きな人の為にあるものだと信じてた。

しかし一度千空に押し倒されたとき、嬉しさや喜びなどは全くなかった。

ただただ、恐怖が渦巻くばかりで。

連に抱かれるよりも、怖かったのかもしれない。

好きだからこそ。



――――ああ、駄目だ・・・


思い出したら、切なくなるから。

そんな感情は必要ないのだから。


ユウはゆっくり目を閉じた。

今日も終わるのを待てばいいだけだ。

何も考えずに、何も感じずに。


「――――」


ユウが「感情」を押し隠そうとしたとき、突如それは阻まれた。


「ユウ!!」


「!?」

驚いて目をいっぱいに開ける。

視線の先にはこちらを向いて立つ足があった。

そこから上へと姿をたどって行く。


胸が、高鳴った。




「千・・・空くん・・・・・・」



310 :(OfMtr4G69c):07/17(月) 00:10:31 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp

目の前に千空が立ちはだかっている。

「な、んで・・・?」

千空は静かにユウを一瞥すると、いきなり連の胸倉を掴んで引っ張り上げた。

「!」

連は抵抗しないながらも、眉を寄せて千空を睨み返す。

「んだてめェ・・・邪魔してんじゃねェよ。2回も邪魔されて平然としてる訳な・・・」

しかし連が喋り終わる前に、千空の右腕が勢いよく振り上げられた。


「・・・ッ千空くん!駄目!!」


右腕の意図をいち早く察したユウが、室内に響く大声を上げる。

それと同時に、千空の拳が連の目の前でピタリと止まった。


「・・・なんでだよ」

「え・・・?」


千空の言葉に、ユウは冷や汗を感じながら聞き返す。

「なんで止めるんだよ・・・そんなに連さんが好きなわけ・・・!?」

「千空くん・・・?」

「はっきり言えよ!」

「・・・そう、じゃなくて・・・。 部活停止になったりしたら困るでしょ・・・?」

そう言うと、ユウはゆっくりと立ち上がった。

「今いきなりでよく分かんないけど・・・。千空くん、野球が一番大切じゃないの?・・・」

「・・・・・・」

「それなのに、こんなことで・・・」

そのとき、千空の眉がピクリと動いた。


「こんなこと・・・?」


呟くと、再び大きく右腕を引き上げる。

「!?」

ユウの目の前で、千空の拳が連に衝突した。

「千空くん・・・!!」

驚きで見開いたユウの瞳を、連から手を離した千空が視線で刺す。

「・・・俺は、野球が大切だ。でも・・・」

そこで一呼吸置き、もう一度口を開く。



「ユウのことも、おんなじくらい大切なんだよ!!」



ユウは眼球が零れ落ちそうなくらい瞼を押し上げて、千空を見つめ返した。


311 :☆・愛美・☆:07/17(月) 00:52:49 HOST:FLA1Aao222.szo.mesh.ad.jp
今日見始めましたPqす
すごく面白いです 感動ですよbbえ
次も楽しみにしてるんで
頑張ってください!!!ヾ(`・ω・)ノ

312 :(OfMtr4G69c):07/17(月) 01:53:18 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp



――――大切・・・?



「勝手なこと抜かしてんじゃねェよ」

混乱するユウの頭の中に、鋭い声が差し込む。

見れば、殴られて口元を押さえた連が、千空を睨みすえていた。

「こいつは俺のだっつの。お前なんか関係ねェ」

「連さん、勝手なこと言うなよ」

「羽田。こいつはお前のこと好きとか言わねェって」

滲んだ血を手の甲で拭くと、嘲笑ってつり上がった口端が覗いた。

「西宮、お前は俺が好きだろ?」

そして冷笑を浮かべながら、連はユウを見た。


「え・・・あ・・・・・・・は、い・・・」


ユウは何か迷うように俯き、答える。

「聞いただろ? 羽田、分かったらさっさと出てけ」

ユウが少し視線を上げると、真っ直ぐとこちらを見据える千空と目が合った。

一瞬、二人を不思議な空気が覆う。

周りも見えなくなるような、不思議な空気。

「・・・ユウ」

「・・・・・・あの、千空くん・・・日比野くんとは・・・」

「別れた」

「・・・!」

「なんも言うなよ」

千空の言葉に、ユウは戸惑いながらも素直に口を閉じた。

一歩、千空がこちらに近づく。


「・・・俺、待ってっから」

「え・・・」

「ユウが戻って来たくなったら、いつでも受け入れるし」

「・・・・・・」

「俺はユウのこと・・・好き、だから・・・」

「・・・・・・・」

「・・・あと、いっぱい傷つけてごめん。・・・うん、話終了。勝手に暴れて邪魔して悪かったな」

ユウは口から出かかる言葉を、懸命に堪えていた。

「じゃ・・・」

千空がこちらに背を向ける。


その背中を、見つめることしかできないなんて。



――――俺も、好きだよ・・・



心の中でしか言えなかった。

消える背中。

追うことは叶わない。

どうして、こんなにも切ないんだろう。


(俺・・・こんなに汚いのに・・・)


好きだと、言っていた。

大切だと。


――――辛いよ


千空の元へ、行きたい。

あの背を追って、抱きしめてもらいたい。

自分も好きだと、伝えたい。

勝手な欲望ばかりが心を支配する。

どこまでも我侭な自分。

――許して欲しい。

許されないと分かっていても。


千空が出て行ってから、しばらく立ち尽くしていた。

「はーぁ。さっさと続きやんぞ」

そんなユウに、連は腕を掴んで無理やり続きを求める。

しかしユウは無反応で、千空のいた場所だけを眺めていた。


――――千空くん・・・


野球と同じくらい大切だから、それを投げ打ってでも自分の手を引こうとしていた。

その想いは痛いくらい、伝わっている。

まるでナイフで刺されたかのように痛むのだ。

あんなに大切だったものを捨ててまで。

千空も覚悟してそうしたのだろう。

捨てることは容易くないのに。

苦しんで苦しんで、自分を選んでくれた。

それなのに、自分はいつまでも本心を隠すことしかできないのだろうか。



隠し通すことだけが、本当に幸せなことなのだろうか。



一つの疑問が霞めた時。


ユウは連の手を振り払っていた。

「・・・おい」

「・・・連さん・・・俺・・・」

顔を連に向ける。

その目に迷いはないように見えた。




「俺・・・・・・っ」






313 :(OfMtr4G69c):07/17(月) 01:57:02 HOST:i60-36-125-167.s02.a021.ap.plala.or.jp
●☆・愛美・☆さま●
初めましてv 深夜こっそり更新中の夕ですw
読んで頂けるだけでも嬉しいのに、ありがたいお言葉までかけて頂いて・・・っ涙
レスありがとうございました!

314 :(OfMtr4G69c):07/17(月) 15:27:07 HOST:i60-36-124-165.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空は旅館を出た。

ボーっとしたままで、足は裏庭の方へ向かっている。

蝉の声がうるさいくらい鳴り響いていた。

寮の園と同じ、白い砂利道。

その向こうに広がっている光景を、千空は知っている。


端から端まで広がる、向日葵。


知っていながら足がそこへ向かうのは、何か思うことがあるからだ。

「・・・・・・」

花の前で立ち止まり、その群れを眺めていた。



――――言った・・・



押し隠してきた気持ちを、自分は解き放った。

(もー後はどうにでもなれ・・・)

指先で鮮やかな黄色に触れる。

吹いた風が夏の匂いを運んできた。

夏はまだ終わっていない。

そう告げるように。

最後まで見届けなければ。

来年またこの場に来て、笑えるように。

「千空くん?」

聞き覚えのある高い声に呼ばれて、千空はそちらに視線を向けた。

「一人? どうしたの?」

そこには長いホースを引き連れる、麻貴が立っていた。

先からはシャワーのように水が勢いよく飛び出している。

どうやら花に水をやっているところらしかった。

「あ・・・まぁ」

「向日葵、見てたの?」

「見てた・・・んかな」

「? 眠い?」

麻貴は眉を下げ、笑いながら問いかける。

「・・・んなこともないけど」

「そっか。えっと・・・向日葵、綺麗だね」

会話が途切れるのを嫌うように、麻貴が言った。

「・・・・・・うん」

そのとき、千空の頭の中に、ある言葉が蘇った。




『・・・・・・向日葵の花言葉、知ってる?・・・』




そう聞かれて、渡された一輪の向日葵を思い出す。

(花言葉・・・か・・・)

「・・・あのさ」

「ん?」

千空の方から言葉をかけられ、麻貴は嬉しそうに瞳を向けた。

「向日葵の花言葉・・・知ってる?」

「え? ・・・花言葉?」

意外だったのか、黒目を一度瞬かせて聞き返す。

「あ、知らなかったら別に気にしなくていいしっ」

そこで何故だか焦ったように、千空は両手を振った。

「・・・ううん、知ってるよ」

そんな千空に、麻貴は微笑んだ。

「向日葵の花言葉はね・・・」


麻貴の唇が動く。




――――え・・・


言い終わった後、唇が美しく孤を描いた。

「素敵だよね。・・・好きな人に言ってもらえたらいいのに。向日葵と一緒に・・・」

千空の頭の中に、空白が広がる。

もしかしたら。

そんな考えが浮かんでくる。


――――んなわけ・・・


「じゃあ、私行かなきゃ。またね」

麻貴はにっこりと笑って、去っていった。

残された千空は、一人呆然と突っ立ったままでいる。

「んなわけ・・・ない・・・」


――――だって・・・



「千空くん!」

後ろから呼ばれて、千空は反射的に振り返った。

走ってきたのだろう。

そこには、息を切らして喘ぐユウが立っていた。



315 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/17(月) 16:13:38 HOST:actkyo077204.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
今回ゎ鼻血だけでなく涙も出ていた(醜!!
。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。です(ワラ
とぅA!!A人が。。。。
更新楽しみにしてます!!ァゲ☆ミ

316 :愛美:07/17(月) 22:38:10 HOST:FLA1Aao222.szo.mesh.ad.jp
きゃあああああああ*ノノえ
次わど-なるの?(´・ω・`)え
続きが気になって ご飯も食べれません mtkr
がんばってください(`・ω・´)

317 :(OfMtr4G69c):07/18(火) 18:59:49 HOST:i58-89-122-173.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
うわわティッシュティッシュ!!笑
顔中の穴という穴から汁が出てますそろそろヤバイです夕ですw
あげandコメありがとうございました!

●愛美さま●
危なひ!!ごごご飯お食べになって下さいねw笑
楽しみにして頂けているようで嬉しいですvv
あげandコメありがとうございました!

318 :佐奈:07/18(火) 20:18:39 HOST:ser356623002746302
面白スギデス!!頑張ってさぃッ!!(≧∀≦*)あげデス(○'з`)b

319 :(OfMtr4G69c):07/18(火) 20:27:36 HOST:i58-89-122-173.s02.a021.ap.plala.or.jp
●佐奈さま●
楽しんで頂けて嬉しいですvv
コメにお応えしてこれからも更新に励みます!!
あげandコメありがとうございました!

320 :(OfMtr4G69c):07/18(火) 21:41:15 HOST:i58-89-122-173.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ユウ・・・!」

驚いた顔でその姿を見やる。

「あの、ね・・・っ聞いて欲しいことが・・・」

「え・・・あ・・・と、とりあえず落ち着いてから・・・」

呼吸を乱したまま必死で喋ろうとするユウを、千空は思わず制した。

「はぁ・・・っごめ・・・」

「いいよ・・・」

暫くして、ようやくユウの呼吸が正常に戻る。

「・・・あのね」

「・・・ん」

さっきの出来事からすぐのことで、千空は何となく慎重に相槌を打った。

「実は・・・俺・・・」

言いながら迷うように下を向く。

しかしすぐに、何かの決意を固めた強い瞳をすっと上げた。


「連さんと“契約”して付き合ってた」


千空はその言葉を心の中でもう一度繰り返す。

(・・・契約・・・?)

「それってどうゆうこと?」

問うとユウは震える唇をきゅっと引き締めてから、もう一度口を開いた。

その額には汗が滲んでいる。

「千空くんと付き合うことになった夜に、言われたんだけど・・・」

(俺と付き合うことになった夜・・・? あ。あのやけに帰りが遅かった日か・・・)

だいぶ昔のことのように感じる記憶だ。

その“夜”を思い出しながら、千空は浅く頷いた。

いつの間にか脈打つ音が少し乱れている。

目の前にいるユウの、唾を飲み込む音が密かに聞こえた気がした。


「――“お前を解放する代わりに、羽田をレギュラーから外す”って・・・・・・」


「・・・・・・え・・・」

千空は小さく声を漏らすと、再び俯いたユウの顔をまじまじと見た。

唇が震えている。

よほど口にし難い事実なのだろう。

「あの日、連さんに襲われて・・・・・・抵抗したらそう言われた・・・」

苦しげな声音が千空の鼓膜を痛めつける。

「それから黙って千空くんと付き合ってて・・・その間も連さんに抱かれてて・・・っ」

そこまで言うと、ユウは両手で顔を抱えて、弱弱しい声を上げた。



「でも、俺ずっと千空くんのこと・・・好きだったんだよ・・・っ」




「――――」




――――・・・なんで、俺に言わなかったんだよ・・・


目頭が熱くなるのを悟った。

それはどうにもならない嘆き。

――ユウには言わない。

ユウの覚悟が、優しさが痛いほど伝わってくるから。

自らを滅ぼしてまで、好きな人の「大切なもの」を守ろうとしてくれた。

考え込まなくてもすぐに分かる。

自分の知らないところで、ユウは自分の為に戦っていた。

苦しんで、もがいて。

何度心を潰されそうになったのだろう。

それなのに自分はユウを傷つけてばかりいた。


「ユウ・・・っ」

頬を涙が伝う。

ユウがそっと、これ以上ないくらいの歪んだ顔を上げた。


「気づいてやれなくて、ごめん・・・ッ」


水滴が唇を流れて、口の中にしょっぱく広がる。

ユウは眉をハの字に寄せて、何か言いたげに力強く首を振った。

しかし言葉は詰まって出てこないようだった。

千空は静かにユウの方へ、歩を進める。

手を伸ばせば容易く触れられるところまで来ると、足を止めた。


――まだまだ言わなきゃいけないことはたくさんあるけれど。

今言わなきゃならないことを、千空はちゃんと知っていた。



「・・・もっかい、俺にユウをちょうだい」



ユウは睫を瞬かせて、千空を見上げた。

そして穏やかな瞳を見つけると、泣きそうな顔で口を開く。



「ッ俺にも・・・俺にも、千空くんをちょうだい・・・っ」



お互いが、必要だと。

傷ついて傷つけて離れていって。

それでもお互いが必要なのだと。

認識した二人に逸れる道などもうなかった。



――いっぱいいっぱい傷ついたなら、いっぱいいっぱい幸せになれる――



千空は優しい手つきでユウを抱き寄せた。

腕の中に収めると、ぎゅうっと力を込める。





「好きだ」






321 :(OfMtr4G69c):07/18(火) 21:52:00 HOST:i58-89-122-173.s02.a021.ap.plala.or.jp

ユウの髪に顔を寄せて、麻貴の言葉を思い出した。



――――



『向日葵の花言葉はね・・・』





                 


                   ―私の目はあなただけを見つめる―






322 :グリ:07/18(火) 22:11:42 HOST:ser356611003541657
えーん゚。゚(p´д`q)゚。
グジュ…ういっく…ジュルル…おっと鼻がたれた(゚∀゚)笑に゙ぃぃぃ(/ω\*)感動でじゅ!!!ヤダヤダヤダぁー夕さん…文才ありすぎですよ。本当この小説読んでてよかったです。アゲますアゲます(≧∀≦)

323 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/19(水) 14:12:26 HOST:actkyo115213.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
。・゚゚・(p>□<q*)・゚゚・。ゥヮァmmmン!!
っていきなりですが、うちも自分の体すべてカラ水分が。。。(ワラ
早く続きを。。。。もう完全に禁断症状に陥ってます(ワラ

324 :由希:07/19(水) 16:50:36 HOST:tsechttp141.sec.nifty.com
きゃー!!!!!!!!!(黙
ついに!!ついに二人があああ!!!
もう本当感動で涙が…orz
本当最高ですよ、この小説(つД`)
ユウくん可愛いー!!(あ

つ…続きまだあるんですかね?
age!!

325 :モモ:07/19(水) 17:30:29 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
あうあうあうあうぅ・・・!
あぁうううううぅ〜〜〜〜!!(声にならない)
よかったぁ〜っ!


326 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 20:34:43 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
ティッシュティッシュ!!笑 文才だなんてそんなッッ照れッッ
そう言って頂けて本当に嬉しいです! 私もここでこの小説を書いて良かったですvv
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
ティッシュティッシュ!!笑 体中とは・・・手強い!(何が
禁断症状とは危ないですッッ 誰かこの中にお医者様はいらっしゃいませんかぁーー!!
あげandコメありがとうございました!

●由希さま●
ありがたいお言葉を頂けて夕は幸せ者ですv
続きまだ粘り強くありますw 最後まで読んでいただけたら嬉しいですvv
あげandコメありがとうございました!

●モモさま●
声にならないとはっっ
夕の書いた小説に何かを感じて頂けたなら、とっっっても嬉しいですvv
レスありがとうございました!


**************************

二人がとりあえず落ち着いたところで。
この後に番外編的なものを挟みたいと思います。
番外編と言っても、この小説には大切なお話で、当初から温めてきました。
内容はシンを中心に置いたものです。
是非本編の続きとして読んで頂きたいです。


327 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 21:06:43 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp




俺はもう、誰も好きになれないよ。





そうやって泣きじゃくる日を、俺は待っていたのかもしれない。


独りで。




328 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 21:39:07 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp

俺は千空が好きだ。

気づいたときから大好きで、きっかけなんて分からない。

小さいときから一緒にいて、「幼馴染」という仲。

それ以上にもそれ以下にもなったことがない。

だからこそ思春期も乗り越えられた。

千空は昔から女子に人気で、中学のときは彼女も何度かいたときがある。

ちなみに、この学園は小中高一貫で、中学までは男女一緒に学校生活を送る。

彼女ができても動じずにいられたのは、自分たちの絆を信じていたから。

長い時間一緒にいたのだ。

俺以外に一番千空を理解できる者はいないし、その逆もあると思っている。

だから千空と今付き合っている女も、いつか全て散っていくことを確信していた。

結局千空には俺しかいない。

そう信じていた。

実際千空と一時共にいた女は、皆去って行った。

女達は去っていくけど、俺はどうやっても千空の側に居られる。

優越感と嬉しさでいっぱいだった。


しかし。

昨日ユウと付き合うことになったと告げられたとき。


今までにない、猛烈な不安が身を襲った。

そして何故だか分からないが、ひどく胸騒ぎがしたのだ。


329 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 22:23:57 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp

「な、・・・付き合うってさ、どうしたらいんだっけ?・・・」

「は?」

なんだコイツ。

「何言ってんの千空くん。誰かと付き合うの初めてとかじゃないじゃないですか」

「や、そうだけど。なんか・・・よく分かんねェ・・・」

俺の部屋の床の上で、千空は胡坐をかいて唸る。

思わずため息をついて、その姿をベッドの上から見やった。

「ちゅーとかしときゃいんじゃね?」

「!!」

おいおい何だその顔。

エッチもしたことある奴がする顔じゃねェだろ。

「一応今ふざけたんだけど」

からかうように笑って見せると、千空は一気に表情を冷たくさせた。

「やーん。そんな目で見ないで」

「キモい」

「あー、シンちゃんの心傷つけたー」

「すんません」

「心がこもってないよ」


――ほら、いつも通りの会話。

俺と千空に変化はないはずなのにね。

千空はちょっとだけ変わった気がする。

ちょっとだけ。

もっと、いつもの千空を見せてよ。

「・・・シン?」

気づいたら千空の頬に手を伸ばしていた。

ハッとして、触れていた指を手の平にしまう。

「ったく彼氏なんかできちゃってねー。こんのおませさん」

「お前もつくりゃいーだろっ」

千空が照れてむきになったように言い返してきた。

「相手いないって」

「嘘つけ。前佐助に言い寄られてただろ」

「あれはすでに相手いるじゃん!」

「・・・まぁな」

「甘いなー千空は」

「他にもいんだろ。こないだの先輩とか」

「あー。ちゅーしてきた先輩。ふざけてでしょー」

そう何事もないように返しながら、心の中は激しく揺れる。

そんな話、聞きたくない。

千空の口からそういう話をされるのが、一番辛いんだよ。


――分かってよ


内側からそう呟きながらも、本人には一切伝わらないことを知っている。

伝えることができないんじゃない。

伝えないだけだ。

俺が手に入れるのは、もっと後だよ。

色んな奴を試して、最後に俺の元へ来てくれればいいんだ。

余裕なら全然ある。

これからもいつも通り接せられる。

強がりなんかじゃない。



俺は、大丈夫だ・・・



330 :グリ:07/19(水) 22:42:55 HOST:ser356611003541657
おー別視点ストーリーですね(・∀・)?笑なんかこの小説を読んでから鼻水のでる腺(?)がゆるくなったよーな…\(゚∀。)/笑ティッシュは街で配られてる固い紙ペーパーでいいですよ!!みなさん提供してください♪あげソ(イカの)

331 :(iYew7fjLSo):07/19(水) 22:49:30 HOST:61-23-196-55.rev.home.ne.jp
あげますw
楽しみですw

332 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 22:56:44 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp

心の中で唱えたとき、すぐ側でメールの着信音が流れた。

無造作に開き、目を通す。

「・・・・・・」

「グローブ磨こっかなー・・・」

千空が何となしに呟いた。

俺はその姿をチラリと見て、瞳を閉じる。

「俺、ちょっと行って来る」

「んー」

ベッドの上から軽く飛び降りると、下に穿いていたジャージに手をかけた。

「もう11時過ぎんぞ」

「うん」

素早く着替え終えると、ケータイだけを手に取る。

「気をつけろよ」

「何に」

「何かに」

優しい言葉に嬉しさがこみ上げる。

千空の優しいことろは昔からなのに。

慣れることなどできない。

「もしかしたら帰って来ねェかも」

「学校どうすんの?」

「サボる」

「体調不良な」

「よろしく」

手を振ると、そう言って部屋を出た。

千空は勝手に自分の部屋へ帰るだろう。

そんなような曖昧さはいつものことだ。


333 :(OfMtr4G69c):07/19(水) 23:04:11 HOST:i220-109-147-178.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
ちょっと時間が舞い戻ったりと、戸惑ったりするかもです;
という訳で、皆様グリさんにティッシュを!!笑
あげソ(イカの)andコメありがとうございました!

●臨さま●
また違ったものになりますが、楽しみにして頂けて嬉しいですvv
これからも頑張っちゃいますw
あげandコメありがとうございました!


334 :グリ:07/20(木) 08:06:31 HOST:ser356611003541657
朝から電車の中でまた読み返して…飽きないですねー(・∀・)あっ!みなさんティッシュありがとーございます(何友達にすすめてみました!!感想が楽しみです。アゲっ♪

335 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/20(木) 14:33:54 HOST:actkyo117187.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
グリサン!うちティッシュこの小説用にA箱持ってるんで@つあげます!!(いきなり入ってすいません(ワラ
うちの大好きなシンが。。。。(鼻血
ァゲ松☆ミ更新がんばってサイッッ

336 :(OfMtr4G69c):07/20(木) 20:24:51 HOST:i222-150-154-41.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
読み返して頂けるとは嬉しすぎますッッ グリさんは電車通学とかなのですか??
すす薦めて頂いちゃってどうしよう!!笑 照れ!!
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
ををっ グリさん良かったですvv
そう言って頂けると書く気力みたいなものが湧いてきますw
あげandコメありがとうございました!

337 :ちろる (kTgJSzmRmU):07/20(木) 21:11:12 HOST:g034039.ppp.asahi-net.or.jp
初めまして!ちろると申しマス(○´艸`○)
実は・・・夕サマの小説、ずっと影ながら読んでましたスイマセン!!!m(。´□`。)m
そして、登場人物全てがツボをつきます。
ずっと声をかけたかったのですが、偉大なる夕サマのお目にかかる(?)となると、躊躇してしまい・・・今宵勇気をだしてみました(●′∩`。●)゚。+。
頑張ってください!応援してますっ。。。
本当に心から言わしていただきマス。

・・・あげ!!!(何


338 :(OfMtr4G69c):07/20(木) 21:30:26 HOST:i222-150-154-41.s02.a021.ap.plala.or.jp

生暖かい夜風が頬をかすめた。

街のネオンが遠くに見える。

輝くそれを見つめながら、俺は橋の欄干の上で頬杖をついていた。

先ほどメールを寄越した人物は、今だ現れない。

「珍しいなぁ」

小さく呟いたとき、俺を呼ぶ声を背中が受け止めた。

「シン」

落ち着いた、低い声。

振り返ると待っていた人物がそこにいた。

「南」

「待った?」

「うん、ちょっと」

「悪い」

「いいってぇ」

笑い返すと、南は黙って距離を寄せる。

長身の南は俺を容易く抱き締めてしまう。

長い腕が余って、滑らかに腰を寄せた。

「・・・人来るぜぇー」

「ん。行くか」

そう言うと南は俺の頬に唇を添え、体を離した。

肩を並べて歩き出す。


この男――影山南kageyama-minamiは公立姫山高校の2年生だ。




++++++++++++++++++++++

中途半端失礼っ;

339 :(OfMtr4G69c):07/20(木) 21:47:49 HOST:i222-150-154-41.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ちろるさま●
初めましてこんばんわ、夕ですv
ああ謝らないで下さひっっ 読んで頂けてとっても嬉しいですvv
偉大だなんてとんでもないですっ ハーゲンダッツが高価に思える庶民ですw
心からあげandコメありがとうございました!

ちなみに。ちろるさんも小説お書きになられてますよね?? 私も密かに読ませて頂いておりましたvv

340 :(OfMtr4G69c):07/20(木) 22:24:33 HOST:i222-150-154-41.s02.a021.ap.plala.or.jp

知り合ったのは去年の秋。

同じ野球部で、試合の帰りにメールアドレスを聞かれた。

まぁ、南のことは前々から名前も顔も知っていた。

姫高の一年生に注目の投手がいると。

それからメールしたり、たまに遊んだりして、告白された。

そして今、俺達は付き合っている。

告白をOKした理由ならあった。


「シン」

「ん?」

呼ばれて顔を上げると、南は「疲れてる?」と抑揚を欠いた声音で聞いてきた。

「何で?」

「何となく。疲れてんなら寮まで送る」

「さっき会ったばっかじゃん。寂しいこと言うなよ」

「・・・大丈夫ならいいけど」

ふっと笑うと、南は顔を前に戻す。

俺はその横顔をしばらく眺めていた。


――南は、千空に似てるんだ


無愛想に見えて、実はすごく優しいところとか。

綺麗に笑えるところとか。

はっきり言えば俺は今も千空が好きだ。

千空以上はいない。

かと言って南のことが嫌いなわけじゃないけれど。

ただ“千空以上”には見れないのだ。

その辺りは問われたとしてもよく分からない。

でも、一つだけ分かりきっていることもあった。

それは・・・



俺が南を利用しているということ。





341 :(OfMtr4G69c):07/21(金) 00:02:15 HOST:i125-201-45-10.s02.a021.ap.plala.or.jp

南は一人暮らしをしている。

それは、実家から通っている高校までが結構遠く、かといって寮もない為。

割と新しくて綺麗なアパートが、南の借りている“家”だ。

その階段をカツン、カツンという音を鳴らしながら、南に続いて階段を上がる。

奥から二番目が、目的の部屋。

その前まで来ると部屋の主が鍵を開けた。

ドアを開くけば見慣れた内装が姿を現す。

「あー 南のニオイする」

「俺の部屋だから」

中へ入ると、南は冷蔵庫へと向かって行った。

俺は適当に壁にくっ付いた黒い鉄パイプのベッドに腰掛ける。

狭いけれど、しっかり整頓された部屋。

「相変わらずキレーだよなー」

「・・・そう?」

「うん」

「てかテレビ付けねェの?」

両手にコップとペットボトルのジュースを持った南が、近づきながら問う。



+++++++++++++++++++++

中途半端失礼;


342 :(iYew7fjLSo):07/21(金) 09:33:53 HOST:61-23-196-14.rev.home.ne.jp
楽しそうw

あげますw

343 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/21(金) 16:01:57 HOST:actkyo091168.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
なんかシンって人気者デスЙё→
千空似の南。。。。きっと格好イイんでしょぅねぇ〜(遠い目
この続き激しく気になります!!ァゲ☆ミ

344 ::07/21(金) 19:51:48 HOST:softbank060125152002.bbtec.net
 あげーーー

345 :(OfMtr4G69c):07/21(金) 22:24:12 HOST:i220-109-140-136.s02.a021.ap.plala.or.jp
●臨さま●
楽しんで頂けたら嬉しいですvv
むふふw 頑張りますっ
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
さっそく新キャラに興味を持って下さったようで嬉しいです!
いつもありがたいコメントを頂いて、本当に感謝しておりますv
あげandコメありがとうございました!

●zさま●
あげありがとうございました!
頑張っちゃいますvv

346 :(OfMtr4G69c):07/21(金) 22:41:16 HOST:i220-109-140-136.s02.a021.ap.plala.or.jp

いつも勝手に過ごしている俺。

手に持っていたものを小さなテーブルの上に置くと、南はリモコンを手に取った。

「南」

「あ?」

「抱いて」

言った瞬間、黒い短髪がこちらを向く。

しばらく俺の目を見つめると、無表情のまま腰を起こした。

南が近付いて来る。

目の前まで来ると、そっと俺の肩に手を乗せて、ゆっくりと押し倒した。

シーツが俺を包む。

南は何も言わずに唇を重ねて来た。

触れるだけの口付けを交わすと、唇を離し口を開く。

「明日大丈夫?」

「休むから」

「部活は?」

「放課後のは出るよ」

平気、と笑って見せると、南は俺の額にキスをした。

顔中のいたるところに唇を落とし、最終的に始めの場所へ戻ってくる。

口内に南の舌が侵入してきた。

俺はいとも簡単に受け入れ、絡める。


――早く。

早く抱いて欲しい。

ユウを想って笑った今日のアイツを、早く消して。

記憶を失くすほど、めちゃくちゃにして。


――苦しいから。


強がりなんかじゃない。

強がりなんかじゃない。

何度だって言ってみせる。



ただ物凄く、苦しいだけだよ・・・




347 :(OfMtr4G69c):07/21(金) 23:05:07 HOST:i220-109-140-136.s02.a021.ap.plala.or.jp

そんな思いから、南と体を重ねてきた。

ずっと。



「愛してる」


息を乱した俺の耳元で、南が囁いた。



――知ってる。


これが本気の恋愛じゃないことぐらい。

俺は千空を愛してる。

一方的にでも、愛してる。

愛し合うことを望み、生きてきた。

千空は俺に言わない、「愛してる」だなんて。

唇を寄せ、抱き合い、そう言ってくれたなら。


南が、千空なら。


一番手に入れたいものは、いつだってこの手には及ばない。

ずっとずっと遠くで光り続ける。


「――ずるいね・・・」


自分にしか聞こえないような小さな声で呟いた。


届かないのならば、光を落としてくれたらいいのに。

そしたら苦しい思いもしなかった。

そんな、勝手な気持ち。

その思いも千空が与えたんだよ。

大好きな、君が。

俺の心の中で充満して、溢れそう。

溺れてしまう。


だから、南の手を借りた。

南を利用して、苦しさから逃げ出す。

一時でも。

一番ずるいのが俺なのも、南に当てつけてるだけなのも、本当は知っている。

知っているけど、どうにもならない。

だって苦しいままじゃ、いつか自分がおかしくなってしまいそう。

そんな姿、千空に見せたくない。


だから今日も、南に助けを求める。

自分の欲望の為に。

汚い、欲望の為に。



「・・・なんか言ったか?・・・」

「ううん、なんにも・・・」




思いは複雑に絡み合って、いつの間にか“罪”を生み出す。





348 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/22(土) 10:06:03 HOST:actkyo132197.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
うわぁmmmmmmヽ(゚Д゚;)ノ!!切なすぎデスЙё
この番外編で千空とくっついたシーンが早く見たくなってきましたァゲ松☆ミ

349 :(iYew7fjLSo):07/22(土) 17:21:22 HOST:61-25-55-187.rev.home.ne.jp
あげますw

なんかすごい展開w

350 :(OfMtr4G69c):07/22(土) 22:07:20 HOST:i125-201-43-193.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
楽しみにして頂けたなら光栄ですv
番外編もちゃんと終われるように頑張りますw
あげandコメありがとうございました!

●臨さま●
展開を楽しんで頂けたら嬉しいですv
そして楽しんで頂けるよう、夕も頑張って書いて行こうと想いますw
あげandコメありがとうございました!

351 :(OfMtr4G69c):07/22(土) 22:11:34 HOST:i125-201-43-193.s02.a021.ap.plala.or.jp

南の長い指が、俺の口内を犯す。

指先で歯列をなぞりながら、指の数を増やしていく。

クチュクチュと卑猥な音が鼓膜を刺した。

「ん…っむ……」

指を抜けば、付いた唾液がいやらしく光る。

「大丈夫?」

こいつはいつも俺に問う。

コクリと頷くと、目を細め片手で俺の髪を梳いた。

そして先程の指を俺自身から溢れた液体に絡める。

もう一度、確認するかのように目を向けてきた。

「大丈夫だから…」

――早く。


間を置いて、南の指が俺の後ろに侵入する。

「……ッ」


――大丈夫


こんなに狡い俺のこと、何も知らずにお前は優しくするんだね。

優しくなんてするなよ。

俺にはそんな感情必要ない。

記憶を失くす程の激しささえあればいい。

痛くたって構わない。

叶わない現実を、苦しみを打ち消して。


早く、助けて。



「―――たすけて・・・っ」




352 :(OfMtr4G69c):07/22(土) 23:51:05 HOST:i125-201-43-193.s02.a021.ap.plala.or.jp


目を覚ますと、いつもとは違う天井が目に入った。


「ん・・・」

小さく声を漏らし、寝返りを打つ。

カーテンの開けられた窓から、明るい日差しが差し込んでいた。

眩しくて目をパタパタさせると、ようやく目が覚めてくる。

――南は学校行ったか・・・

隣にいたはずの背中が見当たらず、部屋の中も静かだ。

とりあえず起き上がり目をこすると、テーブルの上に何か置いてあるのが見えた。

それは皿の上に乗せられた、玉子焼きとウィンナー。

側には食パンが袋ごと置いてあった。

俺はベッドから降りて、皿の隣に添えられていたメモ用紙に手を伸ばす。

『パン焼け』

南の字で一言だけ綴られていた。

「・・・はーい」

小さく返事をして、食パンの袋を開けにかかる。

パンを焼いている間に、温めた皿の上の品を食べることにした。

「んめー」

玉子焼きのほんのりとした甘さが口の中に広がる。

南の作る料理はどれも美味しかった。

料理の層も幅広いし、家に遊びに行く度、密かに食事が楽しみなくらいだ。

そのうちにパンが焼けて、トースターから取り出した。

「ん」

そのとき、メールの着信音が静かな部屋に響いて、俺は振り返る。

その着信音は、千空専用のものだった。

ジャムを塗ったパンを口に加え、急いでテーブルの上の携帯電話を取る。

『そろそろ起きろー』

開いた画面を見つめ、俺は素早く返信を打った。

『もう起きたしー』

『授業来るわけ?』

『午後から行くかも』

『今寮?』

『違うよ』

そしてすぐにメールは途切れる。

――どこ?って、聞いて欲しかったんだけど。

そっと、ため息をついた。

ユウにだったら、そう聞いたかな。

そうやって、嫌なことを考えてしまう。

「・・・・・・」

半分だけ食べたパンを置いて、しばらく携帯電話の画面を見つめていた。

出てくるのは、ため息のみ。

パタンと折りたたんで、ベッドの上に投げた。

適当に置かれていたフォークに手を伸ばし、残った玉子焼きを口に入れる。

「千空・・・」


こんな小さなことだけで沈んでしまう。

たったそれだけで。

俺のことどうでもいいんかな、とか。

俺がどこにいたって、気にも留めないのかな、とか。

そんなこと考えちゃうんだよ。


――俺以外に一番千空を理解できる者はいないし、その逆もあると思っている。


でもね、ほんとは今、少しだけ怖いんだ。

ユウと付き合いだしてから。

無条件で怖くなる。


だって、だって・・・


胸に感情が上り詰めたとき、着信音が部屋の空気を切り裂いた。

――え・・・。

その音は、先程と同じ。

ベッドの上に投げ捨ててあった携帯電話に手を伸ばす。

メールの着信を示す、小さな光が瞬いていた。

ゆっくりと受信箱を開く。

「・・・!」



『どこ?』



たった、それだけ。



――ねぇ、どうして?


お前の優しさは、俺を縛り付けて、離さないんだ。



353 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/23(日) 11:23:49 HOST:actkyo115070.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
すごく切ないデスЙё。・゚゚・(p>□<q*)・゚゚・。
この千空の無意識さがすごく萌えます!!
ァゲ☆ミ更新頑張ってサイッッ

354 :(OfMtr4G69c):07/23(日) 14:46:49 HOST:i220-109-141-118.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
素直な感想が聞けて嬉しいですv
読んで下さる方の為にも更新頑張ります!
あげandコメありがとうございました!

355 :(OfMtr4G69c):07/23(日) 17:37:49 HOST:i220-109-141-118.s02.a021.ap.plala.or.jp

結局俺は授業には出ず、部活だけに参加した。


小窓から漏れ出す夕日が、部室の中を赤く染める。

「なぁなぁ! ちーとユウさ、まじで付き合ってんの?」

そんな中で、ある先輩が声を上げた。

俺はとりあえず黙って、引き続きアンダーを脱ぎにかかる。

「なーに、お前知らなかったの?」

着替えの途中で上半身裸のままの綾斗さんが、千空の肩に手を回した。

あーあ、ツッキーさんが怒・・・らないか。あの人は。

綾斗さんとツッキーさんは付き合ってる、たぶん。

前に授業中サボろうと思って屋上に行ったら、二人がキスしていたのを見た。

知ってんの、俺ぐらいかもな。

先輩達は薄々気づいてそうだけど。

「ちょ、先輩香水くさっ」

「これ? いい香りだろー」

千空がふざけて顔をしかめても、綾斗さんは笑って頭を撫でるだけだ。

「で! ユウとさ、ヤッた?」

先ほど声を上げた先輩の一言に、千空は目を見開く。

「な、な、ななな」

言葉が出ないらしい。

顔を赤くして繰り返していた。

「なーぁに、千空ヤッちゃったのー?」

俺が意味深な笑みを浮かべて近寄れば、怒ったように睨んでくる。

「ヤッた」

「嘘」

即座に言い返すと、思ってもないくせに「バレたか」と顔を背けた。

「千空もヤりたいよなー。ユウが相手じゃムラムラすんだろ」

「俺もヤりてーな、ユウと」

「ちょーだいとか言われたらどーしよー」

周りの先輩達がふざけたように笑い合う。

そのとき、背けた千空の顔が一瞬ピクリと反応した。


あ。怒った。


「まぁまー先輩っ。ユウは千空のなんですからぁ。セクハラ発言はそこまで!」

俺が明るい声で即座に言う。

「おー、悪い悪い」

「ごめんな彼氏ー」

「んじゃあシンちゃん俺と付き合うか」

「いーや。先輩タラシだもん」

「こいつ先輩にヒドイことゆったー」

部室の中に笑い声が上がる。

千空の方を見ると、淡々と着替えを進めているものの、あれ以上怒った様子はなかった。

ふー。よかったよかった。



「お疲れっしたー」

着替え終えて千空と部室を出れば、外には夕日に染まる美少年がいた。



++++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

356 :(OfMtr4G69c):07/23(日) 19:26:08 HOST:i220-109-141-118.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ユウ」

隣の千空が声をかける。

「あ、千空くん、日比野くん」

「よーうユウー」

「何してんの?」

彼氏が問うと、ユウは持っていたスパイクを見せた。

「これ、ここに置いてあったんだけど・・・誰のか知らない?」

すでに制服に着替えている。

帰ろうとして部室を出たときに見つけたのだろう。

「んー。誰のだろ。ちーちゃん分かる?」

「分からないよシンちゃん」

その言葉にユウは首を傾げる。

「そっかぁ。ちょっとみんなに聞いてみる」

「ああ・・・なんか悪いな」

「全然っ」

ユウが笑った。


んー。誰のだったっけなー。これ。

思い出せそうなんだけど。

うーん・・・


「あ!」

ユウが部室のドアノブに手をかけたとき、俺は声を上げた。

「んだよいきなり」

「どうしたの?」

「分かった!」

「ほんと? 誰の?」

「よくやった」と千空が俺の髪の毛をかき回した。

俺はその手を「もっと褒めろ」と掴む。


そーだ、あの人のだ。


「連さん!」


「・・・!」

「あー、連さんか」

「確か」

「・・・・・・」

なぜか黙ってしまったユウをチラリと見ると、その顔が少しだけ強張っていた。

「・・・ユウ?」

「あ、えっと・・・連さんかぁ! ありがとっ」

呼びかけると、たどたどしくも、それはすぐに普段の顔つきに戻る。

「連さんまだいんじゃね?」

「ほんと?」

「千空一緒に行ってあげな」

「ああ・・・」

「あっ、大丈夫!!」

突然ユウが声を大きくした為、千空も俺も少し驚いてその顔を見る。

「・・・ユウ?・・・」

「大丈夫大丈夫、俺届けて来るね」

「・・・そっか。んじゃ任せようぜぇ」

「おう・・・」

「じゃあ、お疲れ」

明るい笑顔を向けると、ユウは去って行った。

「・・・・・・シン」

「ん?」

「なんかちょっと傷ついたかも・・・」

「まぁ、気ィ使ってくれてるだけだろ」

「うん・・・」

遠ざかるユウの背中を見つめながら、千空は虚ろに頷く。

その目がとても切なそうにユウを見るから。

俺はその横顔を見て、切なくなった。

「待ってる?」

「や、いーや。帰ろ」

「ん」

止まっていた二つの影が動き出す。


――それにしても。

ユウはどうしたのだろう。

千空が俺に触るのを見て嫉妬するような風でもないし。

というか連さんの名前に反応したみたいだった。

千空の同行をあんなに拒否する性格でもないし。

ユウならやんわりと礼を言って、断ることが多い。


何か、何かある。



それが俺にとって、千空にとって、吉なのか凶なのか。




知っているのは、カミサマだけ?




357 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/23(日) 22:07:03 HOST:actkyo091045.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
そっかぁmmmmその出来事を忘れてました(恐縮
夕ゎいつも更新早い!!うちいつも楽しみにしてるy◎(ワラ
これからも更新頑張ってパイッッ
最後にァゲ☆ミ

358 :(OfMtr4G69c):07/23(日) 22:32:15 HOST:i125-201-44-249.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
時間さかのぼってる故分かりにくくて申し訳ないですっっ
突っ走ってます笑 楽しみにして下さる方がいる限りv
あげandコメありがとうございました!




++++++++++++++++++++++++


事の次第は夏休み3日目に判明する。



その日の深夜、俺は部室へと向かっていた。

千空と自分のバッドを取りに行く為。


――おかしいと、思ったんだ。


誰もいないはずの部室の開いた窓から、密かな音が漏れていた。

用心深くドアを開けば、奥から物音が聞こえるし。

そこは俺達レギュラーが使用するスペース。

勝手知ったる場所。

その場所から漏れ出す雰囲気が、嫌な予感をさせた。




++++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;



359 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/24(月) 07:36:54 HOST:actkyo091045.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
とぅAこの場面にキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!
夕が突っ走るのならうちも遅いながらに後を追いますッッ
ァゲ☆ミ
更新p(○´∀`)q ガンバッテくださぃ♪

360 ::07/24(月) 11:45:28 HOST:46.208.12.221.megaegg.ne.jp
この小説スゴク面白いどす!!
ぁげです♪♪♪

361 :(OfMtr4G69c):07/24(月) 16:36:12 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
あ、そしたらどうぞ私の馬に乗ってくださいッッ 走るのえらいんでッッ笑
いつも嬉しいお言葉をかけて下さってありがとうございますv 私はその分小説で返していこうと思います!
あげandコメありがとうございました!

●悠さま●
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいですv
私も楽しんで頂けるように気合入れて書いてきますねっw
あげandコメありがとうございました!

362 :(OfMtr4G69c):07/24(月) 17:07:51 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp

一気に開いた入り口の先。

そこには連さんとユウがいた。

そして、連さんは俺に言った。



「あいつはな、同意の上で俺とヤッてんだよ」



――そんなわけ、ないだろ。

その言葉を聞いて俺は思わず固まってしまった。


ユウは。

ユウは千空と付き合ってる。

俺は二人を一番近くで見て、それを痛いほど分かってるんだから。

そして、苦しんでるんだから――

今までにないこの苦しみを、忘れるはずがない。


ユウは千空と付き合ってる。


――じゃあ、何故?

ユウが浮気?

そんなことありえねェだろ。

だって俺は知ってた。

ああ、ユウは千空のこと好きなんだなって。

付き合う前から。

だから二人が付き合うことになったとき、不安の片隅でドキドキしてた。


――壊してしまおう、と。


だって新しく手を繋ぐよりも、離した手をもう一度引き戻すことの方が、難しいのだから。

もちろんただ手を繋ぐことさえ難しいけれど。

でも壊してしまえばいいのだ。

二度と、戻らないように。


そう策略していたのに。

ユウは何をしているんだろう。

欲しいものを手に入れておいて。

それは俺が手に入れられないもの。

そんなの、ずるい・・・



しかしまだ奥に何かある気がした。


もっと、奥底まで。



363 :(OfMtr4G69c):07/24(月) 18:14:09 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp

目の前には、瞼を閉じたユウがいる。


ユウの部屋に入れないし、俺の部屋で寝かすことにしたのだ。

しかもどうやら風邪を引いたようで。

先ほど目覚めたユウは、俺に連さんのことを話してくれた。

今は微かな寝息を立てて眠っている。


「・・・・・・」

ベッドに肘をついて顔を乗せる。

パーカから覗いた鎖骨に赤い斑点が残っていた。

それを見て、俺は無性に腹が立った。


――ユウを傷つけるのは、俺だ。


誰にも邪魔させない。

俺が傷つけて傷つけて、ボロボロにしてやる。

二度と千空に近寄れないように。

途中から割り込んできた奴に、千空をものにされてたまるか。

こんなに余裕ないのは久しぶりだと、我ながら思う。

薄く笑んで、眠るユウの顔を見た。


――連とユウは契約しているらしい。


ならばそれを利用するしかないじゃないか。

冷たい心から冷気が上がる。



「壊してあげる」





カミサマは、自分の味方なのかもしれない。








364 :(OfMtr4G69c):07/24(月) 21:10:09 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp

南と別れる。


俺はそう決めた。

なぜなら向かうべき道をつきとめたから。

もう南を利用したりしない。

俺は必ず千空を手に入れてみせる。


光が、見えたんだ。


「シン」

前と同じ橋の上。昼下がりの同じ場所。

後ろから南の声がかかった。

「よー」

振り返ると制服のままの南がいた。

「あ、午前中登校日だっけ?」

「うん。腹減った」

「食い行くかぁー」

そして二人はファミレスへと向かう。

俺は歩きながらチラリと南の顔を見た。


――今日が最後の“デート”になる


南に言おうと思っている。

「別れよう」と。

バイバイするときに言うか。

平静のままそう思った。

本当なら別れ話を切り出す日は、もっと緊張するんかな。

俺はおかしいのかも。

ふっと、笑った。



「なーなっ、このキャップよくね?」

「微妙」

ファミレスを出てからの俺達は、行きつけたメンズショップにいた。

俺がキャップを被って笑顔を作るが、南は一刀両断ではね返す。

「んだとーおらぁ」

言うと、南は片手で俺の被るキャップを取り、もう片方で棚の上のキャップに手を伸ばした。

そして俺の頭にそのキャップをすっぽり被せる。

「ちょっ」

視界が閉ざされて、俺は急いで顔を上げる。

「みな・・・」


見上げると、南の優しい笑顔があった。

「――――」


なんでだろ。


俺はふいに何も言えなくなってしまった。

「ん。似合う」

「・・・じゃー買おっかな」

そう言ってキャップを取ろうとする。

しかしそれは南によって阻まれてしまった。

俺の頭をがしっと掴むと、南は横から顔を寄せる。


音もなく、静かに。


重なった唇はすぐに離れた。

「お前はなんでいっつも突然なんだよ」

「会計行かねーの?」

「行くけど」

あっさりしていて、時々がっつく。

そのリズムは全く掴めない。

南という人間を、俺は未だによく分かっていないのかも。

ずっと千空への気持ちの代役気分だったから。

別れる日ぐらい、別にいいかもしれない。

そんなことを考えたって。


「お待たせ」

会計を済ませ、待っていた南に近寄った。

「これからどーするよ」

「お前どーしたい」

問われて俺は唸った。

「南んち行く」

「ん」

簡単に承諾を得て、俺達は南宅へ行くことになった。



365 :*PANDA*:07/24(月) 23:34:19 HOST:ser356604008281494
初めまして!今までずっと見てきましたが、プロみたいですね!BL好きなんで、いい作品に出会えてめちゃくちゃ嬉しいデス(≧艸≦)
将来、BL作家になったりするんですか??夕さんならなれると思いますッヾ(^◇^)ノ))

366 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 00:48:57 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp
●*PANDA*さま●
初めましてこんばんわ、夕ですv ぷぷぷプロだなんてッッ(動揺
こちらこそそんな暖かいお言葉をかけて下さる読者の方と出会えて嬉しいですv 作家とは考えてませんでした・・・!
レスありがとうございました!

367 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 01:03:58 HOST:i220-108-76-112.s02.a021.ap.plala.or.jp

部屋に入ると、俺は真っ直ぐ南のベッドの上に向かう。

それが習慣のようなものだった。

「みーなみー、ホットケーキ食いたーい」

大げさに足をばたつかせてそう言うと、南はめんどくさそうにこちらを見た。

「・・・・・・えー」

「お願いっ」

「ったく・・・」

そして背を向けると、流し台の下の取っ手に手を伸ばした。

材料を確認しているのだろう。

「あった?」

「残念なことに、あった」

「頼んだー」

「ガキ」

南の最後の一言は聞かなかったことにして、俺は気分よく背中を後ろに倒した。

ガサガサと袋を触る音がする。

南が料理を作っているとき、たいてい俺は寝てしまう。

よく分からないが、この待ち時間にはなぜか安心感が広がった。

「――・・・」

虚ろになってゆく視界。

・・・寝よ。

そう思って瞳を自ら閉じたときだった。

368 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/25(火) 14:04:48 HOST:actkyo081061.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ァゲ☆ミ
やっぱこの小説最高デスЙё
これからもァゲ続けますッッ只今ティッシュA箱めぇmmmm

369 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 15:18:17 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp

どこからかメールの着信音が聞こえ、俺は目を開ける。

――千空だ。

素早く起き上がって、後ろのポケットで音を鳴らすケータイに手を伸ばした。

顔が自然とほころぶ。少しだけ。

画面を開こうとした。

「・・・あ!?」

突然伸びてきた大きな手によって、一気にケータイは元のコンパクトな形に戻る。

驚いて見上げれば、そこには南が立っていた。

目を見張る長身が壁のようで。

「・・・・・・?」

南は無表情のまま何も言わない。

俺は少し困った顔でその目を見つめた。

「何・・・?」

しかしその質問には答えず、南は俺の手をケータイごと握って、片手を真っ直ぐと肩に伸ばしてきた。


あ。


そう思ったときには遅かった。

気づけば俺は押し倒されていて、身動きが取れなくなっている。

目の前には俺を見下ろす南の黒い瞳があった。

その表情はどこか暗みをおびている。


きっと、今まで見たことない表情だった。


「お前またいきなり・・・」

言いかけた言葉はすぐに飲み込まれる。

押し付けられた唇から、生暖かい南の舌が入ってきた。

「ん・・・ッ」

思わず声を漏らし、俺の肩に力を込める南の手に、自らの手を添える。

濃厚なキスは次第に温度を上げていった。

南は俺の肩から手を離すと、タンクトップの下の素肌ににその手を這わせる。

そして胸元を撫でながら、徐々に下降していった。


――いったいどうしたと言うのだろう。


南は普段いきなりキスしたりしてくるものの、それ以上の行為は俺に了承を取ってからだった。

と言っても、向こうから誘ってくることなど滅多にない。

たいてい俺が声をかけるのだ。

それが今は俺の黒いジーンズに手をかけている。


――千空からメールきてんのに。


心の中でため息をついた。

先ほどから続く激しいキスにも、肺の方は悲鳴を上げそうだ。

「んん・・・っふ・・・」

俺が眉を顰めたとき、くぐもった着信音が耳に届いた。

千空専用の着信音。

しかも、電話だ。

「・・・!」

南が反応して、体を一瞬ピクリと動かす。

俺は南を制するように、ジーンズのファスナーをまさぐる右手に、自身の手を重ねた。

しかし右手は動きをとめようとしない。

喰いつく唇もそのままだ。


着信音は流れ続ける。

俺と南の手の間で。



――千空・・・



370 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 15:21:23 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
ならば私は読んで下さる方の為に、完結まで書き続けますvv
ティッシュ二箱めとはッッ 恐縮というかなんというかッッ笑
あげandコメありがとうございました!

371 :グリ:07/25(火) 17:37:18 HOST:ser356611003541657
悠(失礼↓)さん、ティッシュいただこーと思ったんですけど使われたご様子ですね(゚∀゚)笑あたしは街でくばられる固い紙で上等ですんで♪笑
お久しぶりでーす!!南くん好きですよ、えっちいから(笑)アゲー(*´v`*)

372 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 20:27:55 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp
●グリさま●
お久しぶりですv 硬い紙で顔を傷つけないようお気をつけて下さいっ笑
えっちぃ担当南!?笑
あげandコメありがとうございました!

373 :(OfMtr4G69c):07/25(火) 20:47:41 HOST:i60-43-10-225.s02.a021.ap.plala.or.jp

「・・・・・・ッ」


ふと、南が顔を上げた。


「っはぁ・・・はぁ・・・」

離れた瞬間に、俺は酸素を求めて息を乱す。

南はそんな俺を無を映した顔で見つめていた。

手の中のケータイは一度音を無くしたが、再びせわしく鳴り出す。

「・・・・・・」

南は無言のまま俺の瞳を捕らえたままでいた。

そして。


「・・・・・・!」


とても寂しそうに、顔を歪めた。

しかしそれも瞬間的なもので、俺は目を見開いて言葉を失くすことしかできなかった。

南が体を離す。

「・・・・・・みな」

呼びかけようとしたが、無駄だった。

こちらに向けた背が言ってた。


『何も言うな』と。


南は何事もなかったかのように、再び流し台の前に立つ。

俺はその後姿を、呆けたようにいつまでも見つめていた。



手の中で響く千空のコールも忘れて。




374 :(OfMtr4G69c):07/26(水) 00:54:01 HOST:i219-167-124-131.s02.a021.ap.plala.or.jp

ホットケーキを食べ終えると、俺は早々に帰ることになった。

「お邪魔しましたー」

そう言って玄関を出ると、後ろには当たり前のように南がいた。

二人で階段を下りていく。

家々の屋根にかかった夕日がとても綺麗だった。

柔らかなオレンジ色。

沈んでいく太陽が俺達に別れを告げる。



俺も、別れを告げる。



「お前らいつ向こう行くわけ?」

南に問われて俺は一瞬その意味を探した。

――ああ、試合か。

「んー。1日」

「ふーん」

「何?」

「なんか俺らも行くみてぇ」

「え、まじで?」

「合宿。試合観戦もするとか」

「へぇー」

まぁ、もう関係なくなるけどさ。

その後も他愛のない話をしながら、ゆっくりと歩いて行った。


「ここまででいーよ」

会ったときに待ち合わせた橋の上で俺は止まった。

「送ってく」

「大丈夫ー」

さぁ、言わなければ。

南は少しだけ不快そうに俺を見ていた。

「なんだよその顔」

そう言って笑ってみせる。

南はもっと不快そうに眉を顰めた。

「・・・はぁー。てかさ、南。俺・・・」

さらっと言ってしまおう。

早く、早く。

「俺・・・」


しかしそれは叶わなかった。


その言葉を言いかけたとき、南の手がいきなり伸びてきた。

強い力で俺を抱きしめる。

いきなり視界が閉ざされて、俺は急いで顔を上げた。

「南・・・?」

そこに南の顔はなかった。

俺の肩にかかった重み。

南が顔を押し付けていた。

まるですがるように、行かないでと言うように、強く強く抱きしめられる。

俺は何も言わずにそのまま大人しくしていた。

・・・違う。

何も言えなかったんだ。

こんな南は初めてで。

泣いているのかと思ってしまう。

そっと、南の背に両手を添えた。


――何、震えてんだよ。


結局俺はあの一言も言えずじまいに、南と別れた。

もう離れるしかないと思っていたのに。

俺は南に応えることなど出来ないというのに。


あのときの南が、儚すぎて。


突き放せば簡単に崩れてしまいそうだった。

――なんでだよ。


南は俺の言おうとしていたことを知っていたのか?


「分かんなかったなぁ・・・」

姿全部を隠そうとする太陽を見つめながら、俺は一人で呟いた。





「別れ」が、思っていた以上に難しかっただなんて。









375 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/26(水) 07:51:22 HOST:actkyo080237.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
あぁmmmmやっぱりこのA人ゎ運命の(黙れ
続きがすごくきになりますッッ南クン!!イイキャラしてますЙё
グリサンぇ♪うちのティッシュゎまだA大量にありますy◎!!きにしないで貰ってサイッッ(ワラ

376 :バイキンマン:07/27(木) 17:51:55 HOST:ser350280002005886
あげまっする

377 :由希:07/27(木) 18:20:20 HOST:tsechttp136.sec.nifty.com
シンくん…切ないですね、シンくんの立場orz
複雑なんだろうなぁ…、って考えさせられます。
本当夕さんは表現の仕方が上手いですよね!
文章から感じ取れますもん(´∀`)

続き楽しみにしてます!
agevv

378 :ぁゆ:07/27(木) 21:58:03 HOST:ser356611008603502
age age age age age age∩(´∀`∩)

379 ::07/28(金) 09:51:26 HOST:46.208.12.221.megaegg.ne.jp
シンくん大スキです!!!
あげあげ♪♪

380 :(OfMtr4G69c):07/28(金) 12:08:20 HOST:i220-109-147-159.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
気にして頂けて嬉しいですv
そして新キャラにコメ頂けてありがたいですw
あげandコメありがとうございました!

●バイキンマンさま●
あげありがとうございました!
更新頑張りますv

●由希さま●
私の書いた小説を読んで色々と考えて頂けて嬉しいですv
しかも、ほほ褒めて下さっちゃって!!照w
あげandコメありがとうございました!

●ぁゆさま●
いっぱいあげありがとうございました!
更新頑張りますv

●桃さま●
自分の作ったキャラを好きになって頂けて嬉しいですv
あげandコメありがとうございました!

381 :(OfMtr4G69c):07/28(金) 13:54:44 HOST:i220-109-147-159.s02.a021.ap.plala.or.jp

「俺、ユウと別れた…」


現地へ向かうバスの中で、千空はためらいがちに言った。

俺はあまり動揺しない素振りで、「そっか」とだけ返す。

バス内はほとんどが熟睡状態だ。

間を置いてから、千空はもう一度小さく口を開いた。

「・・・やっぱ・・・俺じゃ駄目だったんかな・・・・・・」

俺はそれを黙って聞きながら、心の中で反論した。


――千空は駄目なんかじゃないよ


ただ、千空と付き合える人間が、ユウじゃなかっただけだ。

ちょっと俺が引っ掻き回せば壊れる仲。

そんな絆じゃ足りないよ、全然。

「どっちから?」

「・・・・・・俺」

「あーらら。千空から告ったのにね」

「うっせェな」

「しかもあんだけ好きだったじゃん」

「・・・・・・」

「デートしたりさぁー」

俺は意地悪く煽りながら、千空の顔を窺う。

黙ってしまった千空は、眉間に皺を寄せて、睨みをきかせながらこちらを見た。

「お前はどうなんだっつの!」

「しー」

「・・・お前はどうなんだよ」

声を荒げた千空に人差し指を立てると、その顔はばつが悪そうに、わざわざもう一度言い直す。

「何が?」

「だから・・・そういう系の話」

「えー、俺ー?」



+++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

382 :(OfMtr4G69c):07/28(金) 14:52:32 HOST:i220-109-147-159.s02.a021.ap.plala.or.jp
修正;

>>341
×ドアを開くけば
○ドアを開けば

遅ればせながら失礼しました!

383 :ぁゆ:07/28(金) 18:06:59 HOST:ser356611008603502
age∩(´∀`∩)何気にずっと愛読させていただいてましたぁ(#´∀`#)更新がんばってくださぃ(*≧艸≦)

384 :(OfMtr4G69c):07/28(金) 22:12:13 HOST:i220-109-147-159.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ぁゆさま●
ご愛読感謝です! 読んで下さる方がいて私は幸せ者ですv
更新張り切って頑張りますっっ
あげandコメありがとうございました!

385 :(OfMtr4G69c):07/28(金) 23:10:52 HOST:i220-109-147-159.s02.a021.ap.plala.or.jp

俺は・・・


――南。


「・・・あー・・・うん・・・」


南とは、あの日以降連絡を取っていない。

メールが来ても返さないし、電話が来ても出ることはなかった。

自然消滅。

俺はそれを望んでいるのだ。

このまま終わってしまえばいい。

終わることの方が、きっと南にだっていいことだろう。

だいたい俺と付き合っていても、もったいないだけだ。

南は顔いいしスポーツできるし性格いいしで女にモテる。

バレンタインの次の日に遊びに行ったら、部屋の隅に大きな紙袋があった。

中身はもちろんチョコレート。

そんな人物が俺に気持ちを浪費していたら可哀想だ。

半ば言い訳のように聞こえる理由だけれど。

「なんだよ、なんかあんの?」

口を閉ざした俺に、千空は通路を挟んだ隣の座席から、身を乗り出した。

「べーつにないない」

「まじで? お前なんも言わずに遊びに行ったりしてんじゃん。しょっちゅう」

「もぉー、嫉妬とか照れるぅー」

「してねェよ」


――そういうこと、言うなって。


期待してしまう。

もしかして本当に嫉妬してるんじゃないかとか。

千空の何気ない一言で、俺は落ち込みも出来るし喜びも出来るんだよ。

それはものすごく不安定な日常。

でも、あと少し。

あと少しで、俺は千空を手に入れてみせる。

不確かな現実に別れを告げる。

今は悲しみに暮れていればいい。

もっともっと落ち込んで、早く俺を選んで欲しい。


そんな歪んだ感情さえ、千空を手に入れる為なら、俺は手放さない。


「・・・お前さ、ほんとにねェの・・・?」

少しだけぼーっとしていた顔を上げると、先ほどとは違う真剣な顔が、そこにはあった。

千空はまるで何かを探るように俺を見る。


――ああ、そうか。


ユウとの関係疑ってんのかな。

ヤッたみないな事言ったっけ。

そんなこと遠まわしに聞いて、どうすんの?


「・・・そのうち分かるよ」


微笑してそう言うと、千空は疑わしげに瞳を揺らした。


――もうすぐ。

もうすぐだよ。

待ってて。




俺が千空を幸せにしてあげる。





386 ::07/29(土) 09:36:34 HOST:softbank218125216193.bbtec.net
あげー


387 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 12:19:44 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp
●飴さま●
あげありがとうございました!
更新頑張りますv

訂正;
×ヤッたみないな事
○ヤッたみたいな事

失礼しました!

388 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 14:40:20 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

次の日、俺達は現地に入って初めての練習を行っていた。

「千空ー、もう一球」

受け取った球をマウンド上の千空に投げ返す。

しかし千空の返事はなかった。

「千空!」

もう一度声を張って呼ぶと、ハッとしたように顔を上げる。

そして危うく顔面に衝突しそうだった球を、ギリギリ顔の前で受け取った。

「・・・あーあ・・・」

俺は千空には聞こえないように、苦笑しながら呟く。

千空は完全に調子を落としている。

今だってボーっとしてたし。

やな傾向だ。

きっとユウのことを引きずっているのだろう。

それぐらいすぐに分かる。

頬を伝う汗を拭くと、もう一度ミットを構えた。

千空は軽く頷き、少し溜めて、振りかぶる。

綺麗なカーブを描いてはいるが、いつもとはどこか違う変化球。

精神面で左右されやすいのが投球なのだから、この状態は当たり前なのかもしれなかった。

――あ、またユウのこと考えてるよ。

球を投げ返す時に見えた千空の顔。

何考えてるかなんてお見通しだよ。

俺は心の中でため息をついて立ち上がった。

「千空! 今日はもう終わりにしよっ」

「・・・え?」

笑顔で寄って行くが、千空は戸惑いを浮かべた表情で、こちらを見る。

「なーんかボーっとしてるしさ。ケガしたら危ないじゃん」

「あ・・・悪い・・・」

「まだ日にちあるし、まぁ落ち着け落ち着け」

「落ち着いてる、けどさ・・・」

「けど?」

「・・・・・・うん」

千空は返答に困ったように俯いた。

俺はそれを狙うように追い立てる。

「・・・でもこのまま試合来るとちょいキツイよなー・・・」

「・・・・・・」

「守りの要なの分かってんだろ? 自分でも」

「・・・負ける、よな」

「・・・・・・かもね」


焦れ、もっと。

早く俺を求めろよ。


目の前の千空が激しく揺らいでる。

それを分かるのは俺ぐらいだろう。

俺は千空のこと分かってあげられるよ。

だから早く、早く。


「・・・ま、とりあえず終わろーぜぇ」

俺は沈黙の後、一変してもう一度笑顔を向ける。

「・・・・・・うん」

そしてその日の練習は終わった。


389 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 15:01:19 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

次の日は抽選会だった。

対戦校も決まり、俺達は一息つく。

風呂に入った後は部屋でだらだらと過ごしていた。

「飴ちょーだい」

向こうのベッドの上で寝転がる千空が、伸ばした手の平をこちらに見せる。

「はいはい、まったくこの子ったら」

「んーだよこの子って」

2,3個投げてやると、千空は簡単にそれを掴んだ。

「アイスもありますからね、まったくこの子ったら」

「だからこの子ってなんだよ! ありがとう!!」

飴は後にしたらしい。

素早くベッドを降りると、隅に置いてある小さな冷蔵庫へと向かっていった。

「あ、俺のも取って」

「はいはい、まったくこの子ったら」

「うわっ、何よちーちゃんっ」

千空は俺に向かって舌を出して笑う。

そして取り出したアイスを投げられたときだった。


「! ・・・誰だろ」

ドアを響かせたノックの音に、千空が立ち上がる。

「直とかぁ?」

しかし俺の予想は外れた。

千空が返事をしてドアを開けた先には、アイツがいた。



390 :ぁゆ:07/29(土) 17:14:19 HOST:ser356611008603502
あげ↑↑d(≧ω≦)キャッ

391 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 17:39:16 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

「あっ、千空くん」

「あ、麻貴さん」

「休んでたとこごめんね」

「いや・・・、何ですか?」

「あのね、洗濯物いっこ渡すの忘れてて」

そう言って麻貴が差し出したのは、綺麗にたたんだ千空のTシャツだった。

「ありがとうございます」

千空が軽く頭を下げてそれを受け取る。

その横顔を俺はそれとなく横目で見ていた。

「あさってが開会式なんだっけ?」

「はい」

「暑くなるみたいだから気をつけてね」

「はい」

「あ、そういえば・・・」

雑談を始める二人。

って言っても結構一方的だけど。

千空はあんま認識ない人には、自分から滅多に話さないし。

でも、相槌を打つだけでも分かるんだ。

千空は麻貴を意識している。

なぜなら麻貴はユウにどことなく似てるから。

そして向こうは確実に千空が好きだ。

赤らめた頬がそう言ってる。

千空の目はその奥のユウを探すように麻貴を見ていた。

「夏の甲子園は初めてなんだよね?」

「はい」

「先発?」

「うまくいけば」

「うまくいけば?」

繰り返して、麻貴が笑う。

笑い方がユウにそっくりだった。

千空が一瞬目を細める。


――ああ・・・

嫉妬が渦巻く。

千空が自分のものではないことを知っているのに。

勝手な感情は行き場をなくして、己の内でのた打ち回る。

だけどそれも今のうち。

千空の全てを知らないで好きになった他の奴とは違うのだ。

ただ単純な、簡単な気持ちで、俺は千空を好きでいるわけじゃない。

「あ、ごめんねっ。喋っちゃって・・・」

「いえ・・・」

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

麻貴の笑顔が扉の向こうに消えると、千空はそっと息を吐き出した。

「仲良しじゃん」

何か含むように俺が言う。

ベッドの上に戻ってきた千空は、そんな俺を虚ろに見た。

「・・・別に」

「もしかして次は麻貴さん?」

「は?」

すばやく反応して眉間に皺を寄せたその顔。

俺は楽しそうに見せる。

「もうユウのことは忘れたん? 早いねぇー」

「・・・意味分かんねェし・・・」

トーンを落としたその声は力ない。



+++++++++++++++++++

中途半端失礼;

392 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 17:40:09 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ぁゆさま●
あげありがとうございました!キャッw
更新頑張りますv

393 :モモ:07/29(土) 18:10:50 HOST:softbank219051042078.bbtec.net
久しぶりです!
シン君頑張ってますね〜。
一途な乙女みたい(笑

394 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 18:19:44 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

「ユウはどうなんだろねー」

「ユウ?」

「もう千空んこと忘れたんかなーってこと」

「――・・・」

俺の言葉に千空は一度遠い目をした。

きっと今はユウのことをあまり考えたくないのだろう。

まるで逃げるように目を背ける。

「はぁ・・・もういいよ、俺は」

そして少しだけ掠れた声で言った。


「・・・一人がいい・・・」


それは、もう疲れたとでも嘆くように。

「・・・!」

俺の中の醜い感情がその一言で動き出す。

気づいたら口を開いていた。


「俺も・・・・・・要らない・・・?」


俺は何かを求め、千空の言葉を待つ。

千空はいつになく神妙な俺をチラリと見て、視線を戻した。

そして十分な間をとった後、俺の待っていた言葉を吐き出す。


「要らな」

「!」

「・・・くない」


千空が悪戯っぽく笑った。

胸が高鳴る。


――ねぇ、期待してもいいの?


「やーだー、告らりたー」

「キモい」

「そーゆーの傷つくっつのー!」


千空の口から出るコトバは、魔法みたいだ。


名前を呼ばれるだけで嬉しいこと、知らないだろ。

それが人を好きになった証拠なのかも。

ただ何気ない一言が、態度が、とてもとても恋しい。

「俺も要らなくないかんな!」

「キモい」

「何がだよっ」

「俺もお前も」

また笑う。

綺麗な笑顔が、好きだ。

全部、全部。


――俺がそうやって、幸福に酔っていたとき。


「ん、おい電話」

千空が俺の傍らで鳴るケータイを指差した。

「あ」

急いで手に取ってサブディスプレイを見る。


「・・・・・・」



南だった。



395 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 18:21:55 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp
●モモさま●
お久しぶりですv
一途な乙女!! 結構それがコンセプトなのかもしれませんw
レスありがとうございました!

396 ::07/29(土) 20:09:54 HOST:i60-43-7-203.s02.a021.ap.plala.or.jp

「出ねェの?」

そのままケータイを見つめている俺に、千空が聞いてきた。

「あー・・・えっと」

鳴り止む気配のない着信音。

通話ボタンを押せば、簡単に南に繋がってしまう。

――出るつもりはない。

「何? 知らねェ番号?」

「え・・・・・・う、ん・・・」

「切っちゃえば」

千空に言われ、開いて電源ボタンに指を伸ばす。

しかし、何故か俺は押すことが出来なかった。

瞳の奥に蘇った一つの記憶。


夕日に染まった橋の上。
震える背中。
何も言えずに離れて行った、南。


やっていることはどうせ同じなはずなのに。

そのボタンだけは押せなかった。

千空が不思議そうに俺を見る。

やがて、着信音は静かに途絶えた。

「・・・・・・」

南を気にしてる場合じゃない。

俺は昔から願っていたものを叶えようとしているのだ。

あと少しで、届く気がする。

それなのに。


「―――・・・」




心の底に残る、小さな黒の塊は・・・




397 :(OfMtr4G69c):07/29(土) 21:51:39 HOST:i220-108-76-238.s02.a021.ap.plala.or.jp

それから3日後。


俺達は甲子園球場にいた。

開会式を終え、通路は各校の野球部員でいっぱいになる。

「「はぁー、あつー」」

前を歩く安西兄弟が揃えて声を上げた。

「アイス食いたくね? アイス」

「「食いたーい!」」

そして千空のアイス願望に乗る。

「俺トイレ行ってから行くわー」

俺は隣を歩く千空に言い、列から外れた。


トイレから戻ってくると、ちょうど春に対戦した高校と一緒になり、話しながら外へ出た。

「んじゃあなー」

「またぁー」

他校と別れ、さて、と背伸びをする。

「ウチはどこだー」

小さく呟き見回すが、あいにくの人ごみでなかなか見つけられない。

誰か入り口で待っとけよなー。

そう心の中で悪態をついた。

「あーもーどこだよーみんなぁー千空ぃー・・・」


「シン!」

いきなり後ろから呼ばれて、俺は急いで振り返る。

「ったくどっかで待っ・・・」

しかし人物を見た瞬間、言葉を無くした。


――黒い短髪に、姫山高校の制服。



「・・・南・・・」



そこには息を乱して肩を上下させる、南が立っていた。



398 :カージー:07/29(土) 23:11:54 HOST:ser350271001195778
この小説がぁたしのツボな原因。
1、千空の性格がとてつもなく好み!
2、男で「ちあき」とゅう名前自体がぁたしのツボ笑”3、BL大好き。
4、何より、野球少年フェチです。笑”

399 ::07/30(日) 00:56:46 HOST:bb203174224-139.rosenet.ne.jp
まだ全部読んでないけど書き込み(*`д´)bw
綾斗とか○゜*:..最ヽ(▽`*)(*´▽)ノ高..:*゜○もうマジカッコヨスギマスw

400 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/30(日) 09:23:02 HOST:actkyo078041.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
怒涛の新展開デスЙёッッ(興奮
やっぱり南クンとシンゎ運(黙れ
でもこの展開ゎ本当気になりますッッ
ァゲ☆ミ


401 :(OfMtr4G69c):07/30(日) 19:16:05 HOST:i220-109-147-46.s02.a021.ap.plala.or.jp
●カージーさま●
箇条書きで分かりやすく教えて下さって照れ照れですっっ
3,4は確実に夕も一致ですv
レスありがとうございました!

●燐さま●
あまり登場していないキャラにも目を配って下さって嬉しいですv
最高とはおお恐れ入りますっ(動揺
レスありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
新展開に反応頂けて嬉しいですv
気にしてくださる方の為にも更新頑張りますね!
あげandコメありがとうございました!


402 :(OfMtr4G69c):07/30(日) 19:42:12 HOST:i220-109-147-46.s02.a021.ap.plala.or.jp

「・・・・・・っ」

俺は素早く前に向き直り、人ごみを走り抜けようとする。

しかしその目論みは泡となって消え去った。

「あっ・・・」

左腕を掴まれ、ここから動くことを拒まれる。

「・・・シン!」

顔を背けた。

――なんで。

何でこんなにも、罪悪感に満ちた気持ちなのだろう。

「・・・・・・シン」

南が俺の名を呼ぶ。

しかし返事を返すことはなかった。

「・・・なんで電話出ねェわけ? メールも・・・」

南の声は怒ってはいなかった。

「・・・・・・」

俺は答えない。

「・・・なんかあったんか?」

それはまるで俺を労るようで。

そんな気持ち、必要ないのに。

――別に何もないよ。



ただ、南を捨てただけだ。



――それだけ。


俺は無言で南の右手を振り払おうとした。

「っ待てよ」

南は離さない。

ぎゅっと手に力を込められ、俺の腕は動くことを許されなかった。

「・・・意味分かんねんだけど」

そりゃそうだ。

いきなり恋人と連絡が取れなくなったら、ほとんどがそう思うだろう。

「ほんと、なんかあったのかよ?」

やめろ。

そんな優しく話しかけるな。

余計惨めになるのは南だよ。

「頼むからなんか言えって・・・」

南の声が少しだけ揺れた、気がした。

――お前は今、どんな顔してんのかな・・・

しかし振り返らずに、俺はやっと口を開いた。


「・・・・・・別れる」


突き放すようにそう言った瞬間、周りの雑音が一気に飛んだ。

南の手の力が少し緩む。

「・・・・・・なんで?」

抑揚を欠いた声。

でも俺は何となく分かった。

南は動揺しているのだと。

――当たり前か・・・

「他に好きな奴できたから」

俺は平静を装う。

そう、“装う”ことしか出来なかった。

もっと冷たく言えると思ってたのに。

何も気に負わずに。


403 :(OfMtr4G69c):07/30(日) 19:42:29 HOST:i220-109-147-46.s02.a021.ap.plala.or.jp
「・・・いつから?」

「結構前から・・・」

俺はそこで、ふと目を閉じた。

そして小さく首を振る。



「・・・・・・ずっと、前から・・・・・・」



そんなこと聞いても仕方ないこと、頭が良い南は分かってるくせに。

――さようなら。

もう戻らないよ。


「・・・・・・俺は・・・離さねェから」


「え・・・」

後ろから聞こえたその言葉に、思わず振り返ろうとしたときだった。

「シン!」

「・・・! 千空っ」

人ごみの先に、こちらに向かって手を振る千空がいた。

「・・・っ」

急いで南の手を振り切る。

走り出そうとしたが、すぐにまた掴まれた。

「南!」

「・・・・・・」

南は無言のまま、振り返った俺を真っ直ぐに見る。

俺は耐えかねて、言葉を搾り出した。


「・・・っお願い・・・離せ・・・ッ」


瞬間、歪んだ南の顔。

それはとても寂しそうで。

あの時のようだった。

あの、最後のキスをした後。

しかしもう止まってなどいられなかった。

あの時とは違うのだ。



俺はもう、南を見れない。



「――――」


俺は駆け出した。

千空に向かって。

南に背を向けて。


「ったく何喋ってんだよ」

千空の前まで来ると、そんな言葉が飛んできた。

「ごめん」

「さっさと帰んぞー」

隣にいた蒼が言う。

頷いてから、後ろを振り返った。

南の姿は人ごみの向こうに消えている。


もう居ないはずなのに。


俺の腕にはまだ、南の手の感触が残ってる。


左腕をそっとさすった。

自分でも何故そんなことをしたのか分からない。

「置いてくぞ」

千空に声をかけられて、落ちていた頭をそっと上げた。


――置いてかないで。




たった今、一人の男を置いてきた、俺を。







404 :カージー:07/30(日) 19:53:19 HOST:203.136.171.102
南すっごい好きです〜!wシン切ない・・・ッッッ(PД`q)泣
あげあげあげですッッッヽ(●'v`)ノ

405 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:07/31(月) 15:46:49 HOST:actkyo107100.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
シン。。。。なんか分からない`すごく感動してます!!
南クンとシンゎ(もぅいいし
続き楽しみにしてます!!ァゲ☆ミ

406 :(iYew7fjLSo):07/31(月) 17:11:45 HOST:61-23-199-197.rev.home.ne.jp
お久しぶりですw
わァ〜すごい!!
がんばってくださいw

407 :(OfMtr4G69c):07/31(月) 18:12:43 HOST:i60-43-9-32.s02.a021.ap.plala.or.jp
●カージーさま●
自分が作ったキャラを好きだと言って頂けて嬉しいですv
なな泣かないで下されっっ ティッシュどうぞっっ笑
あげあげあげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
私は。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さん始め、皆さんのレスにいつも感動しております!
それが原動力だったりするのですv
あげandコメありがとうございました!

●臨さま●
お久しぶりですv
読んで下さる方の為にも頑張りますね!
レスありがとうございました!

408 :(OfMtr4G69c):07/31(月) 18:56:25 HOST:i60-43-9-32.s02.a021.ap.plala.or.jp

次の日、千空の調子が戻っていた。

昨日の綾斗さんの言葉のせいだろうか。

午後からの練習のとき、二人で何か話してたし。

今日久しぶりに見た千空の笑顔が眩しかった。

俺の中には純粋にそれを喜ぶ自分と、逆に舌打ちして嫌悪する自分がいた。


――もっと。

もっと苦しめばよかったのに。

その心の隙間は、俺の入り込む隙間だったのに。


黒い俺が疼きだす。

最低だと、ぼやきながら。



「はぁー、きーもちー」

「千空くん棒読みじゃん」

浴槽のふちに両腕を組んだ千空は、そこに頬をつけて俺を見る。

「そーか?」

「もっと感情的に言えねェの?」

「感情的にって?」

「なんかさぁ、もっと心から」

「「ばぁーッ、ぎーもーぢィーッ」」

「うわっ、びっくりした」

突然後ろから現れた安西兄弟に、千空は全くびっくりしていない声を上げた。

「心臓止まるっつの」

「うそっ」

その一言に俺がびっくりする。

「さーて蒼っ、体洗おうぜっ」
「おう、洗うっ」

「一人で洗えよ」

「「だって俺ら二人で一つだし」」

「どっかで聞いたようなセリフを・・・」

千空がため息をつきながら言った。

兄弟はふざけて手を繋ぎながら浴槽から出て行った。

「いっつも元気じゃね? あの二人」

「二人で一つだからね」

「お前も言うか」

千空は起こした顔を戻し、そのまま鼻歌を歌いだす。

あーらら、機嫌いいなぁ。

「なぁなぁ」

「あ?」

「綾斗さんに何言われたわけ?」

そう問うと、千空は目線だけをこちらに向けた。

「ひ・み・つ」

「何それ」

相変わらず一直線の音程が笑いを誘う。

俺がおかしそうに顔を歪めていると、千空はふっと笑った。


「・・・大切なこと」


穏やかな笑顔に、俺は思わず笑い声を止めた。


――綾斗さんは、すごい。

それはずっと前から知っているし、俺も信頼して尊敬している。

きっと、綾斗さんだから嫉妬心とか生まれないんだ。

これがもし、ユウ・・・とかだったら、やばかった。

我ながらそう思う。


「そっか」

俺はそう静かに言って、千空の濡れた頭を、ポンポンと軽く叩いた。

「やーめーろー」

千空が笑う。

その安堵を表す笑顔を見る度。



――愛しさと、憎しみ。



俺の中で、渦巻く。



409 :ぁゆ:07/31(月) 22:46:32 HOST:ser356611008603502
あげ↑↑(≧ω≦艸)やっぱ夕サンゎ天才ですね(´Д`●)=3

410 :(OfMtr4G69c):07/31(月) 23:20:27 HOST:i60-43-9-32.s02.a021.ap.plala.or.jp

風呂から出て、脱衣場の外にある自販機で、ジュースを買っている時だった。

「シンくん」

振り返ると、そこには中年の仲居がいた。

「お風呂入ってる間にお客さんがみえましたよ」

「お客さん?」

「そう、シンくんに。確か・・・影山くんとか言ってましたっけ」

「!」

その口から出た名前に、心臓がドクリと鳴った。

――南だ。

「えっと・・・それで?」

「今お風呂入ってますって言ったら、そうですかって言って帰りましたけど」

「そっか・・・」

「それにしてもなかなかの男前でしたね。お友達ですか?」

「・・・いや・・・」

「シン、行くけど」

「あ、待って。行く」

遅れて出てきた千空が現れ、俺は仲居に短いお礼を言い、その場を去った。

乱れた脈はまだ戻らない。

――馬鹿みてェ。

名前を聞いたぐらいで動揺するだなんて。

もう関係のない人間なのに。

それなのに心のどこかで気になってる。

南は何をしに来たのかと。

わざわざ泊まっている旅館まで。

何の目的で、何を話しに。

他人に対して考えることじゃないだろ。


「ちょっとちょーだい」

少しだけボーっとしてた。

千空の言葉に顔を上げ、持っていたジュースを差し出す。



++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

411 :(OfMtr4G69c):07/31(月) 23:22:19 HOST:i60-43-9-32.s02.a021.ap.plala.or.jp
●ぁゆさま●
てて天才だなんてっっ照れ!!
何も出ませんよ!笑 あ、アイスいりますか?w
あげandコメありがとうございました!

412 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:08/01(火) 07:43:36 HOST:actkyo072061.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
更新イイ感じデスЙё
この後シンと千空が。。。。(緊張
そして南クンゎ??気になる事だらけデス(ワラ
更新楽しみにしてます!!ァゲ☆ミ

413 :ぁゆ:08/01(火) 13:44:03 HOST:ser356611008603502
アイス!!食べます!!(≧∀≦)ノ笑 でもホントに夕サンゎ天才としか思ぇませんよぉ!!(◎≧艸≦)応援してます!!(*`∀´*)ゞあげ↑↑∩(´∀`∩)

414 :カージー:08/01(火) 22:14:11 HOST:bgcs4422.tk.mesh.ad.jp
南くんみたいなお兄さんが欲しい。ぇ
あげ↑↑(*○'3`)ノ★+゜

415 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 12:29:16 HOST:i218-44-25-60.s02.a021.ap.plala.or.jp
●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
気にして下さる方の為に、この後更新頑張ります!
いつもレス下さる度、内心踊り狂っておりますw
あげandコメありがとうございました!

●ぁゆさま●
アイスどうぞww もうっ ぁゆさんたら、今度こそ何も出ませんよー笑
あ、カキ氷食べますか?w
あげandコメありがとうございました!

●カージーさま●
あ、うちの南でよろしければ・・・どうぞw笑
そんな事を言って頂けると、生みの親としても嬉しいですv
あげandコメありがとうございました!

416 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 12:35:10 HOST:i218-44-25-60.s02.a021.ap.plala.or.jp

すると空っぽになったペットボトルが返って来た。

まぁ、千空ならいんだけどさ。

これが普通だし。

でも。

この“普通”じゃ、俺は満足出来ないんだ。

普通に喋って、普通に笑い合って、普通に一緒にいるだけじゃ。

だって、親父が言ってた。


『人間は誰かの特別になる為に、生まれてくるのかもしれない』


ずっと、昔に。


俺は千空の特別になりたい。

千空にとっての特別な人は、今もユウなのだろうか。

それが、千空にとっての幸せ?

ユウと一緒に居ることが。

それなら俺は謝るよ。


――ごめん。



俺は千空の幸せを願えない。



ユウなら。

ユウなら自分の幸せを放ってまで、千空の幸せを願えるのかもしれない。

でも俺はユウにはなれないから。

千空には俺と居て欲しいんだ。


「千空くん!」

千空を呼ぶ声に、俺は嫌悪を抱いた。

――麻貴さんだ。

千空と何事か話し出す。

俺はその隣りで黙って突っ立っていた。

「シンくんもね」

笑った顔が憎い。

ユウと似てるからというのもあると思うけど。

話し終えて再び部屋に向かって歩き出す。

俺の変化に気付いたらしい千空が、怒っているのかと聞いてきた。

俺は少しだけそっけなく返す。

部屋に戻って、千空のベッドの上に座った。



++++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

417 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 17:37:52 HOST:i218-44-25-60.s02.a021.ap.plala.or.jp

千空は「お前反対」と言いながらも、隣に腰掛ける。

そのまま飴の包み紙を剥がそうとする千空。

――緊張感ないなぁ。

ここにユウが座ってたら気が気じゃないくせに。

ユウの放つ一言一句が気になって、横顔ばかり眺めてるくせに。

大体分かるよ、千空のしそうな事なんて。

どうして俺にはそうじゃないんだよ。

どこからかふつふつと怒りが込み上げてくる。

こんな俺、らしくない。

「・・・あの人、ユウにちょっと似てるね」

きっと千空は分かるだろう。

俺がこの一言に怒りを込めていることを。

「特に目のへんとか・・・ね?」

言葉を足せば、千空の顔に動揺の色が広がる。

あの女のことだなんて一言も言ってないのに。

「・・・お前・・・、どうした・・・?」

口端を上げてみせると、千空は窺うように聞いてきた。

本気で気にしてくれているのだろう。

でも俺は引かない。


鋭い言葉を何度も突き立て、攻め続けた。


千空の顔がどんどん強張っていく。



「じゃあキスして」


そして最終的に、俺から放たれた矢。

千空は珍しく口をポカンと開けて、俺を見た。

「ユウのこと、ほんとにもうそういう存在なら、俺にキスして」

「・・・・な、なんでお前に」

「躊躇うの? やっぱまだ好きなんじゃん」

「! ち・・・違う!!」

力いっぱいの否定。

――じゃあ、証明してよ。

少しだけ目つきを鋭くさせると、千空は覚悟を決めたように、低く言った。

「・・・すりゃいんだろ」

千空の顔が近づいてくる。



――俺は。


俺は知ってたんだ。

千空が俺にそうするしか無かった事を。

ユウを拒絶して、そんな自分に混乱して、俺の言葉に従うしかなかった。

馬鹿だな。

俺がそんな千空を狙っていることも知らずに。

まんまと俺の罠にかかって。


寸前、瞳を閉じるまで、俺は幸福に笑んでいた。


唇が重なる。


「――――!」




――どうして。


その瞬間、突如何かが崩れていく音がした。


心の中に渦巻いていた嫉妬や怒りが、強い突風に煽られる。

そして一瞬にして消え去った。

残ったのは、首を絞められるような、苦しさ。



+++++++++++++++++++

中途半端and展開スピードMAX失礼:





418 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 18:48:52 HOST:i218-44-25-60.s02.a021.ap.plala.or.jp

その時初めて思い知った。

こんなことをしても意味がないことを。


交わしたキスが、あまりにも冷たかったから。


千空の心には俺の想いが伝わってない。

俺が今までどんな気持ちで横に居たのか。

どんな気持ちで千空を見ていたのか。

それなのに。



表面的な行為だけじゃ、何も伝わらなかった。



早く伝えなきゃ。

今なら、まだ間に合う。


唇が離れ、顔を上げた。

目を開いた千空と視線がぶつかる。



「・・・好き・・・」



精一杯の想いを込めて。

伝わって欲しい。知って欲しい。


俺は純粋に、千空が好きだ。



「・・・・・・・・・うん」

ああ、この反応は。

「別に俺も嫌いじゃねェよ。つか幼馴染って、なんかそういうの関係ない感じするけど」

思わず心の中でずっこけそうになった。

「ごめん間違えた」

俺は穏やかに笑い、千空に身を寄せる。

「愛してる」

はっきりと言うと、直後沈黙が場を支配した。

千空がやっとの思いといった感じで声を出す。

「は・・・っ、お前・・・本気?」

「本気」

そしてユウのことについて問いただしてきた。

俺は連さんのことを、ユウの秘密を話した。

千空は明らかに動揺してる。

ユウの事実もだけれど、きっと自分の心境にも動揺しているのだ。


千空は、忘れたがってる。


俺はその力になりたい。

ユウを忘れて、楽にしてあげたい。

そんな思いから出た一言だった。


「千空さ、俺と付き合おーよ」

「・・・へ?」

「俺を抱け」

千空は目を見開いて俺を見る。

「ユウのこと、忘れたいんだろ?」

「・・・・・・うん」

――俺は千空のこと、なんでも知ってるよ。

だから分かってあげられる。


「・・・ほんと?」

「うん」

「・・・いいのか?」

「いいよ」



――おいで。




俺が千空を幸せにしてあげる。




419 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 21:12:24 HOST:i218-44-25-60.s02.a021.ap.plala.or.jp

好きな人に抱かれた。


激しくて、愛しくて。

千空は俺を見ていた。

幸せな時間だった。





「はぁー、明日かー」

千空がベッドの上で寝転がりながら言う。

明日は遂に栄天学園の初戦だ。

我高エースの調子は上々。

「風呂入ったし、あと寝るだけだな」

「うん。ちーちゃん寝れるわけ?」

「ちーちゃんって明日呼んだらキレるかも」

「なんで?」

「対戦校の投手に笑われんぞ」

「向こう気が抜けて力入んなくなるかもよー」

「・・・それいいな」

普段と変わらない会話をしながらも、昨日の出来事を忘れる訳がない。

俺と千空は、今付き合っているのだ。




+++++++++++++++++++++

中途半端失礼;

420 :(OfMtr4G69c):08/02(水) 23:08:42 HOST:cwtl7sgts51.jp-t.ne.jp
ケータイで更新します。
改行とかおかしなところがあるかもしれません。
よろしくお願いします。


++++++++++++++++++++

紛れもなくこれは幸せだ。

「あーもう寝よ」

「おやすみのちゅーいる?」

「いらねーよ」

ふざけた声。

俺は座っている自分のベッドから腰を上げた。

千空に近付く。

目の前まで来ると、体を屈ませた。

千空の唇に音を鳴らして口付ける。

顔を離せば、「バーカ」と言われた。

「顔赤いしー」

「お前寝ろっ」

照れてくれてんのかな。

「ムラムラして寝らんない」

「はいはいまた抱いてやるから寝ろ」

そんな嘘でも本当でも嬉しくなるようなことを。

もー大好き。

「じゃー寝よ。おやす・・・」

言いかけた時だった。

後ろでケータイが鳴っている事に気付く。

「鳴ってる鳴ってる」

「うん」

戻ってベッドの上にあったケータイを手に取った。

「・・・・・・」
サブディスプレイに映っていたのは、“南”。

――別れたし、出てもいいかな。

俺は迷ったまま開いた画面を見つめていた。

それに気付いた千空が声をかける。

「何? また知らねェ奴?」

「あ・・・いや、ちょい行って来る」

覚悟を決めて部屋を出た。

――別に、決めるほどの事じゃないか。


廊下の端まで行って、やっと通話ボタンを押した。

何故だか緊張する。



「シン?」



俺が声を出す前に名前を呼ばれた。

南の声が何だか懐かしくて。

開会式の日に会ったのに。




421 :カージー:08/03(木) 00:13:34 HOST:ser350271001195778
わあああいヽ(●'v`)ノ 今日はいっぱい更新されてる♪♪♪
ァたし毎日この小説が楽しみで生きてるようなもんですよ!!w
あげ奠

422 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:08/03(木) 08:28:48 HOST:actkyo120196.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
更新キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!かなりァゲ☆ミ
うちも夕が更新してくれると舞ってマス(ワラ
家族に心配されてるy◎(ワラ
シンゎやっ(黙
ゎもうイイですね。。。でも千空とくっついて良かったデスッッ更新これからも頑張ってサイッッ

423 :(OfMtr4G69c):08/03(木) 12:41:32 HOST:cwtl7sgts51.jp-t.ne.jp
返レスは後ほどさせて頂きます!


++++++++++++++++++++

「・・・・・・うん」

何となく気まずい。

最後にあんな別れ方をしたからだろうか。

――やっぱり出るんじゃなかったかも。

「昨日旅館行ったんだけど、風呂入ってたみたいで」

「あ・・・うん。何?」

するとそこで南は一度間を取ってから、はっきりと言った。


「俺はシンのことが好きだ」


唐突に言われ、思わず声を無くす。

「・・・は?」




424 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:08/03(木) 14:09:36 HOST:actkyo132099.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
更新キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!(毎度Aすいません”ワラ
南クンまぢでカッコイイデスッッ(。・艸・。 )ホ゜ッ
A人が両思いになりますように!!(勝手
更新楽しみにしてます!!

425 :(iYew7fjLSo):08/03(木) 14:38:53 HOST:59-171-162-122.rev.home.ne.jp
わァ〜すごいことになっている!!アヒャヒャヘ(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ノアヒャヒャ

千空クンとシンクンくっついたんですか!!(」゚ロ゚)」おぉ(。ロ。)おぉΣ(゚ロ゚」)」おぉ「(。ロ。「)おぉ~
ユウクンも気になります[壁]_・)チラッ


夕さんw更新がんばってくださいwフレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー

426 :(OfMtr4G69c):08/03(木) 16:21:15 HOST:i219-165-214-198.s02.a021.ap.plala.or.jp
●カージーさま●
更新喜んで頂けて感謝です!
そんなこと言って頂けてっっ どうしよう嬉しすぎますvv
あげandコメありがとうございました!

●。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さま●
。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。さんのご家族の方、娘さんは立派に成長されてます☆笑
シンと南のことは引き続き見守って頂けたら嬉しいですw
ポッだなんて可愛らしいですvv
すでにオヤジ化が進行している夕としては眩しいくらい・・・!
楽しみにして頂けるように更新頑張りますねw
あげandコメありがとうございました!

●臨さま●
顔文字が可愛くて面白くて笑ってしまいましたw
臨さんw応援して頂けて本当に嬉しいですv
レスありがとうございました!

427 :由希:08/03(木) 16:40:21 HOST:tsechttp109.sec.nifty.com
久しぶりです><
色々とあって中々来れなくて…いやぁ、本当入り込んで読みいってしまいました(笑)
シンくん切ないですねえ…でもシンくんの気持ちも分かるなぁ(つД`)
南くん萌えですね(え)
でも私はやっぱりユウくんg(しつこい

これからも頑張ってください.+(´^ω^`)+.
ageage♪

428 :(OfMtr4G69c):08/03(木) 17:13:37 HOST:i219-165-214-198.s02.a021.ap.plala.or.jp

何言ってんだ、こいつ。

「俺らもう別れたじゃん」

「別れたけど、俺はお前が好きだ」

久々に聞いた、南の意思のこもった声。

それは最初に告白された時以来で、二度目だった。

何だか体が熱くなる。

「・・・俺他に好きな奴いんだけど」

「誰好きっつっても、俺はお前がいい」

揺らぐ事ない南の声音。

きっと本気で言ってる。

てか本気だ。

何気に半年も付き合っていたのだ。

そのぐらい、分かってしまう。

「つか俺昨日そいつとヤッたし!」

決定打のように俺は言い放った。

「関係ねェ。俺はシンが好きだ」

いや、関係あるだろ。


何故か段々と腹が立ってきた。

こいつは何も知らずに俺が好きだと言う。

俺が何で自分といたのかも知らずに。


――馬鹿だろ。


「・・・お前さ・・・馬鹿じゃねェの・・・?」

「あ?」

尖った心が牙を向く。


429 :(OfMtr4G69c):08/03(木) 17:18:34 HOST:i219-165-214-198.s02.a021.ap.plala.or.jp
●由希さま●
お久しぶりですv 色々と忙しいのでしょうか?? そんな中読んでレス下さるだなんて、すごく嬉しいです!
番外編終わり次第、奴を全面的に出そうと思いますw笑
あげandコメありがとうございました!

430 :(OfMtr4G69c):08/03(木) 17:56:22 HOST:i219-165-214-198.s02.a021.ap.plala.or.jp

「なんも知らねェくせに俺のこと好きとか言ってんじゃねェよっ」

胸が軋む。

声を荒げるのは得意じゃない。

しかし感情的になった自分を、止めることなど出来なかった。


だって、こいつおかしいよ。

騙されてんのと同じ事じゃん。

それなのに真っ直ぐ想ったりして、何自分のこと愚かにしてんだよ。

俺なんかに心を傾けて、得れるものは何もない。

失うものばかり。

それじゃ南は幸せになれないのに。


「・・・俺は・・・俺はお前を利用してたんだよ・・・!」


搾り出すように言った。

「・・・利用って?」

ほら、まだ何も分かっちゃいない。

駄目だな。

俺が教えてあげないと、いけないのかな。


「俺の好きな奴には好きな奴がいて・・・・・・だから・・・!」


突然、言葉が詰まる。

――なんでかな。

俺はその先を言えなくなってしまった。

沈黙が二人に降ってくる。

気づけば心臓が大きく足踏みしていた。

喉の奥で何かが詰まる感覚。

それは泣きたい時と似ていた。

南の声が聞こえない。


お前は今、何を考えて、どんな顔してんのかな。


「――――」


しばらくして沈黙が止んだとき、南の静かな声が耳に響いた。



「・・・俺はお前の当てつけで、利用してたって事か・・・?」



「・・・・・・っ」

そうだよ。

馬鹿みたいだろ?

良かったな。

これで新しい奴見つけられる。

俺なんか忘れて、幸せになれる。


飽きるぐらい俺を責めて、幸せになれよ。


心の中は騒ぎ立てるのに、言葉にならない。

俺は震える指で、そのまま電話を切った。

「・・・・・・・」

嫌な感情が広がる。

最後に何も言えなかったのは俺だった。

ただ言葉で肯定することも、頷くことも出来なかった。

理由など分からない。


目の前にあった壁に背を向けて、もたれかかる。

片手に握ったケータイを握り締めた。

壊れるくらい。


――この気持ちは何だろう。

俺は幸せになったなずだろ。

南だってこれから幸せになるんだ。

悪い事など何もない。


それなのに。





どこまでも泣きたい気持ちで、いっぱいなんだ。





431 :。*。+゚σ(o´∀`悠) ゚+。*。:08/04(金) 07:29:53 HOST:actkyo063218.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
いやB・・・うちなんて若ぶってるおばさんもどきですy◎ッッ
この小説を読むと若返ります(大爆笑
続き楽しみにしてます!!
そぅぃぇばもうすぐでD〇〇いきますЙё!!

432 :ぁゆ:08/04(金) 23:11:08 HOST:ser356611008603502
カキ氷大好きですよぉ(#´∀`#)(ぇ
南ゎなんて一途なんだぁ(ノД<)・。切なぃですねぇ……(uдu)=3
age(*‘ε^艸)


433 :ゅき:08/05(土) 10:12:12 HOST:ser350296009442690
はぢめましてぇ
(((##´∀`)
一昨日にこの小説を見つけて最初カラ読みましたァ♪♪
今丁度読み終ぇました漱
長かった〜(´∀`∩;)笑
でもとってもハマりましたァァァァアアアアア($◎′艸`)
とっっっても書き方が素晴らしぃです圉圉圉
これからも愛読させて頂きますね$ヾ●>U<艸#

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