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It is too bitter.
- 1 :紗良:08/04(金) 19:50:37 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- はぃこんにちは、さっそく復讐の笑い声で予告しておいたように恋愛系書き始めるのでヨロシクです**
因みに復讐の笑い声は保存頼んできたのでちかいうちには保存庫にアップされると思います。
- 2 :紗良:08/04(金) 19:54:35 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「あたしだけは絶対に恋をしない自信だけはあるよ」
そんなアホなことを言った記憶がある。
好きな人が あたしの事を好きになってくれる
それだけの条件なのに恋は難しい。
It is too bitter.
- 3 :紗良:08/04(金) 20:14:08 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「あたしだけは絶対に恋をしない自信だけはあるよ。だいたいまだあたしら中学生だよ?世間の言うクソガキだよ?」
所謂“恋バナ”とやらに花を咲かせる友達に言うと、案の定みんな爆笑した。
「亜季ぃーっ!少なからず人生で1回は恋愛するよ?何事も経験って言うし?」
またみんな爆笑する。何がそんなに楽しいのやら。
まぁしょうがない。10代は何事も楽しい時期だから。
あたしも爆笑した。
あたしは藤瀬 亜季(フジセ アキ)。
もう中2なのに初恋はまだ。
あたし的に言えば
まだ中2なのにもう初恋なんてありえない。
そのお陰で全く恋バナとやらが理解できない。
オレンジ色の下敷きで顔を扇ぐ。
「それにしてもあっついよねぇ。もう夏休みかよみたいな」
「ってかこれから一学期の終業式だから!」
友達の由梨(ユリ)につっこまれてみんなでまた爆笑する。
「ほれお前ら廊下にはよ並べー」
担任が出席簿で顔を扇ぎながら間延びした声で言った。
これからあたしの本当の意味での夏が始まる。
- 4 :紗良:08/04(金) 20:34:16 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
長くて短い一学期もそろそろ終わり。
成績表に一喜一憂してみんな恥らうことなく成績表を見せびらかし馬鹿にし合ったり褒めあったりした。
「それじゃ終わり。きりぃつ。礼」
「さよならーっ!!」
あたしと由梨はおなじ社宅だから登校も下校もいつも一緒だ。
「やっべーウチ2ぃばっかなんだけど!」
「ウチもだし!勉強しろっつーの!」
酔っ払いみたいに車道を占領してスクールバックを振り回しながら帰り道を行く。
ここらへん車あんまり通らないからこの学校の生徒で溢れる。
「ねー由梨、今度ネズミー王国行こうよ!」
「ウチ富士Xハイランド行きたいなー」
「金があればどっちもってコトで」
来年は受験だから今年はめいいっぱい遊んでやるつもりだ。
あたしらの成績ならもう勉強始めたほうが良いんだけどね。
勉強だけが人生じゃないさとか言って開き直ってるばっかりの馬鹿じゃあしょうがない。
学校から社宅まで結構近くて、片道10分もあれば着く。
「そんじゃ暇な時メールしてね。ばいばーい」
由梨は1階に住んでいるからエレベーターの前ですぐに別れる。
この社宅は15階建てで、部屋は抽選で決められた。
面白半分あたしがクジをひいたら最上階になった。
あれは多分小2ぐらいの時だったよな。
クジ運が悪いあたしはかなり舞い上がった。
家族みんなで舞い上がってたけどその分引越し当日随分荷物を運び入れるのに時間が掛かった。
エレベーターに乗り、いろんな階を跳び越してようやく15階。
いつ見ても見晴らしが良いこの景色はつい足をとめて見てしまう。
自分の家の方向に視線を移すと見たことないような、
だけど確実に見覚えのある人がいた。
- 5 :あい:08/04(金) 20:56:28 HOST:o159227.ppp.asahi-net.or.jp
- あげでーす♪
- 6 :紗良:08/04(金) 21:31:29 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいさんあげ有難う御座います**
------------------------------------------------------
その人はドアが並ぶ反対側のちょうどあたしの腹ぐらいまでの位置のコンクリートに肘をついてどこかを見つめていた。
その人を横目に通り過ぎ、15階の一番端っこにあるドアに手をかける。
鍵をいちいち出すのは面倒だからインターホンで誰かを呼んで開けてもらうのが常。
ボタンを押すと、ありがちな効果音が響く。
「・・・あれ?」
もう一度押す。またありがちな効果音が響く。
誰もいないらしい。
舌打ちをするとさっきの人の視線がこっちに向けられた。
その人と距離はあまり無い。
って言うよりその人は隣の家の前でぼーっとしてる。
スクールバックを開けて鍵を手で探る。
「・・・はぁ?」
無い無い無い、鍵が無い。
するとバックの中に入っていたいろんな物が溢れて落下した。
一瞬動きがぴたりと止まり、状況を把握した。
落ちた一学期の産物たちから顔を上げると目の前にはあの人。
2人で思わず苦笑した。
「大丈夫?」
そう言いながらその人はあたしの一学期が詰ったものを拾うのを手伝う。
「あ、有難う御座います」
全部拾い集め、カバンにつめ直す。
その人がちょっと良い人だなぁと思った。
またその人もとい善人は元の体制に戻った。
この位置からだと彼の眼鏡が光を反射していて何故か笑みが込み上げる。
あたしは藤瀬家のドアの前にカバンを降ろした。
「あたし達、同じ状況らしいですね」
あたしは彼の隣で同じ体制になる。
- 7 :紗良:08/04(金) 21:58:58 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「家に誰もいない、しかも鍵が無いってか?」
視線を変えずに聞かれたのであたしも近くに見える繁華街から視線を変えずに頷いた。
「ははっ、隣同士情けねぇな。俺は潤司(ジュンジ)。苗字はそこ見れば分かるよ」
彼は指で背中のドアを指した。
目をやると渡辺(ワタナベ)と記してあった。
「あたしは藤瀬 亜季です」
夏の生温い風が嫌な感じにそよそよと吹く。
「アキちゃん」
「渡辺さん」
2人の相手を呼ぶ声が重なる。
アキちゃんだなんて久しぶりに呼ばれて少し顔が赤くなるのを感じた。
渡辺さんは男性にしては長い方の髪を耳にかける。
「アキちゃん何歳?」
2人同時に社宅の真下に目を落す。
小学生たちも帰ってきたようだ。
「女の人に聞くモンじゃないですよ」
意地悪に微笑んで渡辺さんの顔に視線を送る。
渡辺さんは苦笑した。
「冗談ですよ。よく高校生と間違われるけど中2の14歳ですよ」
再び視線を落す。
つい視線を泳がせる。何故って?身内の小学生の妹を探してるから。
「へぇ、背デカいけど制服が俺行ってたとこだから3年ぐらいかなーと思ってたけど。俺20で音大の2年」
「え、もっと若いかと思ってた。高3ぐらいかなーって」
自然と敬語がほぐれる。何故って?知らない。
「音大じゃあ将来音楽家とか?」
「ちっちゃぃ頃からピアノ好きでね。他に何も出来ないし」
視力がまだ良い方のあたしは妹の姿をしっかり捉えた。
「あたし吹奏楽やってるから楽譜ぐらいなら読めるよ」
「まじ?んじゃそれなりの音感は」
「みぃぃぃゆきぃぃぃ!」
渡辺さんが何か言いかけたけど妹の名前を大声で叫んで手を振った。
美由紀はきづいたらしく、あらかさまに大きく手を振り返す。
「あたし肺活量だけが自慢」
「だな」
あたし達はくすくすと笑った。
- 8 :あいうえお:08/05(土) 01:27:09 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗良ワールドいいですね
- 9 :紗良:08/05(土) 09:13:00 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん、毎回有難う御座います**
紗良ワールドはとてもイッツアスモールワールドです(爆 自分の世界観を崩さないように書いて行きたいと思ってます。
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今日は地面で目玉焼きが作れそうな程日差しが強い。
しかもそのせいでかなり蒸し暑い。
蒸し器の中に放り込まれてまんじゅうにされているんじゃないんだろうか。
生温い風がどこかの家庭の昼食を報告する。
「あー良い匂い。俺腹へった・・・」
渡辺さんは冷たいコンクリートの上に頭を乗せる。
「あたしもひもじいわー。この香りはミネストローネ・・・」
「微妙なとこつくなぁ。俺的にこれはビーフシチュー」
人の嗅覚ってこんなに違うものなのだろうか。
「えー?これトマトの匂いだよ」
「ビーフシチューだってトマト入れる人いるよ」
「人んちの昼飯なんてどっちでもいいし」
2人のお腹がすいた状態を表す溜め息が交じる。
「・・・遅い」
「何が」
「妹が」
美由紀は何をやっているんだ。
あいつは寄り道が日課のようなもので近い小学校なのに片道30分はかかる。
でも下で姿を確認したんだから友達の家でなんかしているのだろう。
「そう言ってる間に・・・ほら来た」
渡辺さんの顔が向けられている方向を見ると美由紀が走って来るのが分かる。
「ただいまー!」
「お帰り。ってあんた鍵持ってる?」
美由紀はランドセルのポケットから鍵を取り出してみせた。
待ち望んでいたものにやっと巡り会えた達成感。
ちょっとオーバーかもしれないけど嬉しかった。
「と、なると俺は孤独な訳だ」
渡辺さんは手をひらひらと力なく振って苦笑した。
「それじゃさよならっ」
あたしは指先をピンと伸ばし変な達成感で笑みをこぼしながら手を振った。
ドアが閉まる音と鍵が閉まる音が響く。
- 10 :紗良:08/05(土) 09:40:11 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
部屋にバックを放り投げてリビングに行く。
時計は12時になりかけている。
「やれやれ。美由紀、テレビのリモコンどこー?」
あたしの部屋の正面の部屋にいる美由紀に聞く。
さっきと同じように足音をたててリビングまで走ってきた。
「どうせまた笑ってええともでしょ」
そう言って電源のボタンを押してすぐに8のボタンを押す。
「どーもね」
美由紀はテレビの前のソファーを独占して寝転がる。
「腹へったし・・・ん?」
テーブルの上に賑やかなイラストで飾られたメモ紙が1枚。
今日は高校時代の友達と遊びに行くから帰りは遅くなるよ。 昼ごはんはスパゲティーでも茹でなさい。 夜ご飯は父に任せておいてね。 母より
「そー言ってもお父さん帰ってくんの10時過ぎやんけ」
太るっつーの、と愚痴をこぼしながらキッチンに向かう。
うちの母親はマイペースだからいつ何をするか分からない。
そんな自己中があたしに移ったんだろうとつくづく思う。
「姉ちゃーん!モタリさん超ウケるよ!」
妹の笑い声が耳の中で騒ぐ。
「ハイハイ良かったねぇ。あんたミートソースとたらこどっちがいい?」
「ミートソースぅ」
沸騰した鍋にソースのパックとパスタを入れる。
パスタは目分量で入れたから多少・・・イヤ結構多い気もしなくは無い。
これだけあれば余裕で3人分だ。
3人分。
あたしと美由紀と、誰?
「―渡辺さんか?」
これは自分が無意識のうちに作った幸運。
あたしの頭の中では隅っこですら火から目を離すななんていう考えは根っからない。
早足で玄関に向かった。
- 11 :紗良:08/05(土) 09:51:02 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
・・・あれ?
なんかあたし可笑しい。
絶対何かが可笑しい。
まぁそのうち気付くだろう。
玄関を少し開けて覗くと、やっぱり彼はまだ助けを待っていた。
「優しい優しいアキちゃんが昼飯をゴチいたしますよ」
渡辺さんは声に反応してくるっと振り向く。
「喜んで」
照れ笑いしながら藤瀬家に渡辺さんが入る。
「お邪魔します」
「危険なブツで散らかってるけどどうぞ」
その辺にはお父さんやお母さんの会社の書類が積み重ねてある。
取り込んでそのまんまの洗濯物やら美由紀の少女マンガが転がっている。
「生活感バリバリとかかなり恥ずいし」
さっき脱いで放置していたスクールソックスを洗濯機に投げ入れながら言う。
「案外どこんちもこんなモンだよ」
渡辺さんが視線を泳がせて言う。
「そこの椅子にでも座っといて」
あたしはもう一度キッチンに戻る。
- 12 :紗良:08/05(土) 10:29:07 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「なんかこう心につっかかるモノが・・・ねぇ?」
あたしはいつから独り言の癖がついたんだろう。
由梨に笑いながら老けるよ、ってよく言われる。
菜箸で1本かき回していたパスタを取り、味見する。
「こんなもんか」
火を止めてざるを食器棚に頭を突っ込んで探す。
「こんにちはー」
「・・・こんにちは」
笑顔で挨拶するイキナリの訪問客に美由紀は少したじろいている。
「あたしの妹そう見えて人見知り激しいから」
ざるを大・中・小セットのボールとフライパンの間挟まっているのを見つけて引っこ抜く。
「人見知りじゃないもん!」
美由紀こちらに向けていたは視線をテレビに戻す。
勢いよく抜き取ったせいで激しい雪崩音がする直前に食器棚を素早く閉めた。
茹で汁から立ち込める湯気が熱い。
ミートソースは2人分だから多少少なくなるかもしれないな。
そう思いながら上手い具合になんとか三等分して出来上がり。
「ホレ出来た」
美由紀に麦茶を冷蔵庫から持ってこさせてコップに注がせる。
「そんじゃいただきまーっす」
「どう?」
「んー、ミートソーススパゲティの味」
「だってそうじゃん」
あたし達も笑い声とつけっぱなしのテレビの観客の笑い声が交ざる。
それから会話は無く、ただ3人のスパゲティをすする音がする。
「ごちそうさまっ」
「え、早っ」
渡辺さんの皿が空になった。
変な達成感の次は変な闘争心が生まれる。
掃除機みたいに美由紀とあたはスパゲティを吸い込む。
「ぐっ・・・ふぁっはー!」
おそらく勝ったと言いたいんだろう。
最後の一口を残したまま美由紀が言う。
あたしはむせて麦茶を口に流し込んだ。
そんなくだらない姉妹を見て渡辺さんは手を叩いて爆笑した。
「俺1人っ子なんだよなぁ。兄弟欲しいよなぁ、アキちゃんみたいな妹とか」
麦茶が喉に詰る。
なんでこの人はいちいちあたしが言われたことが無い発言をするんだ。
照れ隠しに言い返す。
「あたしは渡辺さんみたいな兄ちゃんが欲しいな」
照れを隠すどころかそんな自分の発言に照れる。
渡辺さんとあたしと美由紀に沈黙が一瞬流れる。
あたしと渡辺さんは照れ隠しに笑った。
美由紀は聞いてて何か面白かったらしく笑い出した。
「あぁ、あたし今日よく考えたら朝から笑いっぱなしだ」
渡辺さんはごちそうになったお礼に皿洗いを手伝う。
って言うかあたしが手伝わせてるんだけどね。
泡を流す水が弾ける。
「それが幸せってモンじゃない?」
「まぁね」
時が過ぎるのは早いもので。
時計を見たらもう1時半。
「そんじゃ行くわ」
「見送る。って言ってもすぐそこだしね」
藤瀬家の玄関を開けて渡辺さんを見送る。
「じゃぁね」
そう言って渡辺さんがインターホンを押すとすぐにお母さんが出てくれたみたいだ。
あたしは無言で手を振りドアをバタンと閉めた。
- 13 :紗良:08/05(土) 10:46:34 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
アレ?え?何?オイ自分!
玄関を閉めてから世界にぽっかり穴が開いたような気がする。
なんでひとつひとつの会話だけで顔が赤く染まるの?
なんで今日まで全く関係なかったただの隣人にメシ食わせてるの?
なんでこんなに疑問が頭で渦巻くの?
自分が自分で恥ずかしい。
いつもなら「そのうち分かるから気にすんな」で流せるのに。
知っちゃいけないんだけど物凄くその意味を脳味噌が求めてる。
嫌な予感がする。
なんか嫌悪感。
でもどこかで弾ける浮かれるような感情。
もうなんて言えばいいんだこの状況。
「だぁーっ、もう!」
部屋にあるビーズクッションにこの気持ちをぶつけたけど床におちてぺしゃりと変形した。
「身体に良くないものは全て出すのがイチバンだしね・・・」
机の上においてあるケータイに手を伸ばす。
電話帳を開き由梨の名前で手をとめる。
そして電話の絵が描かれたボタンを押して通話状態にした。
それと同時に床にあたしは崩れる。
『もしもし亜季何ー?』
ケータイの奥から聞きなれた友達の声がした。
「即急聞きたいことがございましてね・・・」
- 14 :紗良:08/05(土) 15:18:08 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
『はぁ?』
「イヤもう何か不快で胸がちくちくちくちく・・・ホラ手の痙攣が止まらない」
『見えないって』
そんな馬鹿なやり取りが続く。
手が震えて止まらないのは事実だけど。
「なんか異様に拒否反応が・・・」
黒いケータイを左手で握りなおす。
「あのぅ、いちいちある人のことで過剰反応したり悩んだり手が痙攣したりするのはどういう症状ですか」
『手が痙攣するのはあんただけだよ多分』
「何か新種の病気か?」
由梨がケータイの奥で鼓膜が破れそうになる程大声で爆笑する。
『あんたも結局クソガキでもするんだよ』
「何を?」
『恋』
- 15 :あいうえお:08/05(土) 15:55:42 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- どうやって比喩表現とか学んだんですか?
- 16 :紗良:08/05(土) 17:20:00 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>あたしの場合は比喩とか擬人法とかは読んだり書いたりしてるうちになんとなくコツが掴めて来ます。
------------------------------------------------------
「・・・コイ?魚?濃密?それともcome?」
まさかあたしがするはずない。
“恋”だなんて。
根拠は無いけど恋って言う字はあたしには無い。
『だからloveだってば。恋』
あたしの体内で「プライド」という4文字が音を立てて粉々に崩れた。
「今ウチ亜季んち向かってる・・・ってかついた」
そう言ったと同時にインターホンのあの音が聞こえた。
インターホンを無視し玄関を開ける。
「お邪魔するよ。茶ぁくれ」
「へいへい」
リボンが目立つサンダルを脱ぎ捨てて由梨はあたしの部屋に入る。
ぶつぶついいながら麦茶とコップ2個を持って部屋に向かった。
「で、誰よ相手は?」
丸い折りたたみテーブルの上には麦茶のポットとコップ2個にしょっぱいスナック菓子。
「渡辺 潤司って人。隣人」
「ジュンジって階段するあの人か」
「渡辺ってトコからそっちじゃないだろ」
「中」に設定した扇風機の風があたし達を吹き付ける。
「隣人ってとなりのワタナベさん?」
「まぁね。ある意味近距離恋愛?」
麦茶をコップに継ぎ足す。
「問題は年の差だな」
「もしかしてワタナベ家の大黒柱じゃ・・・」
「馬鹿言え」
外で鳴く蝉が耳障りだ。
「音大に通うハタチですって」
あたしはまるで他人事のように言い捨てて床にゴロンと転がる。
「はぁ!?飛んだ初恋じゃん」
「まぁね。両想いの見込みゼロ」
蝉の鳴き声と扇風機の音しか聞こえない。
「あんた制服にシワ出来てるよ」
そういえばあたし着替えてないんだっけ。
「けどそれが?明日から夏休みだし」
「部活」
「アイロンかけるし」
淡々とした会話が続く。
「あんたのこといちおー応援するわ」
「ありがと」
太陽が西に傾いてもまだまだ暑い。
- 17 :紗良:08/08(火) 12:05:26 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「そんじゃね」
由梨はそれだけ話して帰った。
1度ケータイを手に取った。
他の子にも言おうかな、と。
「―うわっ!」
そう考えていた時に丁度ケータイが振動しながらあたしの好きな曲を歌った。
「もしもし・・・」
『もしもし亜季!?とうとうあんたもやっちゃったか』
1人が知っていることはみんな知ってる。
女子の法則って凄い。
「さっちゃん情報早いって」
『まぁね。さっきいろんな人にメールし・・・』
「いろんな人って誰!」
さっちゃんは男友達も女友達もゴマンといる。
『アド知ってる人殆どかな?』
「〜っ、由梨のアホー!」
本来には由梨の部分にさっちゃんが入るのだがあえて元凶者の名前を叫んだ。
「大学生が好きだなんて余計噂になんじゃん!」
まぁとっさに由梨に電話した自分も悪い。
『でもこれから夏休みだし?2学期になれば忘れるって』
「無責任な・・・」
『あたしだってまっくんと付き合ってるって噂はすぐ消えたし』
まっくんっていうのは一時期さっちゃんの席の隣だった奴でちょっと仲が良かっただけ。
『あ、まっくんにもメールしちゃった』
「勘弁してくだせぇ・・・」
本気で泣きそうだ。
『もうこの年になって茶化す人いないって。大丈夫大丈夫』
「あたし恋に疲れた・・・」
まだ恋始まって3時間だけど何かもうヤダ。
『そんなちょっとやそっとで何言ってんのよ』
またケータイの奥から豪快な笑い声がした。
『ヘタクソっ』
だからまだ初恋して3時間なんだってば。
『まぁあたしもそれなりの協力するし?』
「はぁ・・・それはどうも」
『んじゃ頑張ってね〜』
ブツッと2人の会話を引き裂く音が聞こえた。
- 18 :紗良:08/10(木) 08:09:47 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「うぇ・・・」
画面を覗き込むと10件以上のお問い合わせ。
1回1回返信しなくてはならない。
無視したら余計怪しまれる。
女子の法則って怖い。
好きな人できたんでしょ?良かったじゃん
なんで大学生なの?キツくね?
初恋じゃあ苦労するけど頑張んなさい
年上は苦労するから今のうちに諦めたらぁ?
いつでも相談待ってるよ
反応なんて十人十色。返信の文も十人十色。
ありがとう。一応頑張ってみる
好きになったもんはしょーがないのっ!
ありがとね。初恋からまだ3時間あまりでございますよ
まぁ両想いの見込みないからすぐ諦めるんじゃね?
何かあったらヨロシクねー
「疲れた・・・」
無意識にケータイが手から落ちた。
- 19 :紗良:08/10(木) 11:04:45 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 誤字発見;;
>>16 階段→怪談です。スミマセン;;
- 20 :紗良:08/10(木) 12:04:16 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「ふあぁぁっ・・・ってえっ!?」
あたしはあのまんま昼寝してたらしい。
っていうか夕寝かもしれない。
ケータイを開くとキャラクター待ち受けのど真ん中に18時30分を時計が示していた。
4時間は寝たかも。
「・・・初恋をして7時間」
あたしはまだ“恋”ってものを理解出来ていない。
辞書でも開いて調べてみようか。
遅い動作で身体を起こしてリビングまでよろよろと歩いた。
「・・・お前いつの間に人のDVDを」
「姉ちゃんが寝てる間」
「断ってよ」
「だって寝てたじゃん」
これ以上かけ合いするのは面倒だから美由紀と一緒に腐るほど観た映画を鑑賞することにした。
あたし的に洋画は字幕派だから吹き替え派の美由紀の考えが理解できない。
まぁ小学生だから読めない字があるから仕方ない。
妙に声が合わない主人公の女優を見て苦笑した。
ふと床に目をやると美由紀の少女マンガの単行本が落ちていた。
無駄に大きい目の面積で頬が無いキラキラした女の子のイラストが表紙。
日本語を喋るせいでハリウッドスター達の印象が悪くなりそうだからこっちを読むことにした。
「・・・なんつーベタなパターン」
異様にモテて女子からも人気がある女の子らしい天然主人公。
あたしにはぶりっ子にしか見えない。
そんな主人公が異様にモテて男子からも人気がある格好良い男子に恋をする。
好都合なんじゃないの。
でも彼のタイプは体育界系のスポーティな女の子!
主人公はバスケ部に入ることを決意する。
恋愛でこんなに人って動くものなのか?
1巻は主人公が入部届けを出しやる気にみちた表情で終わり。
「何なのこれ。スポコン青春ラブストーリー?ジャンル混ぜすぎ」
溜め息をつき2巻を読もうとした頃映画はエンドロールだった。
- 21 :ゅぅ:08/11(金) 03:18:57 HOST:ser357660005669858
- おもしろいですね!!!
こんなスゴイ小説が書けるなんて… 尊敬しますよ!!(★+O∀o*)♪+゚ これからも頑張って下さい!!
- 22 :紗良:08/11(金) 17:47:22 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- ゅぅさん>>凄いとか面白いとか褒められると照れちゃいまs(殴
有難う御座います、これからも頑張ります+゜
明日から出かける為、火曜日まで更新が出来ません。 スミマセン;;
- 23 :00:08/12(土) 13:49:21 HOST:KHP059140002150.ppp-bb.dion.ne.jp
- あげ
- 24 :ゅぅ:08/13(日) 22:57:33 HOST:ser357660005669858
- 紗良さん!!
どんどん照れちゃってください!!((ォィ どんどん褒めまわしますから!!(・∀・){ニパ 火曜日までですか−… じゃ次来たときに見つけやすいように どんどんageときますね(*'v`人)
- 26 :紗良:08/15(火) 18:24:21 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 本日帰ってきました・∀・
00さん、ゅぅさん、あいうえおさんあげ有難う御座います!
------------------------------------------------------
その辺に転がっていた2巻を見つけてページを開いた。
中途半端な時期に入ってきたこともあり、バスケ部のメンバーにイジメられる日々。
「ベタ・・・ってか王道?」
そんな泣きじゃくっている主人公に彼接近。
励まされて立ち直る。というより開き直るというのが正しいだろう。
まだダラダラと全6巻で完結のこのマンガを読むのは諦めることにして落ちてた場所に2巻を放り投げた。
少しでも何か参考になるかもなんて期待したあたしも馬鹿だ。
万国キチガイ少女大会があったら絶対あたしは優勝だ。
そんな自分に意味も無く同情した。
「蒸し厚い・・・」
エアコンは今故障中で扇風機生活。
精神的に短時間で疲れたあたしに追い討ちをかけているよう。
あたしはただ寝転がって動かない動物園のアザラシみたいだ。
ケータイは電源を切ったついでに充電されている。
今だに制服を着ていて由梨の忠告通りシワの楽園と化していた。
「やりきれねぇ・・・」
この日、日本で一番嬉しくて不愉快な夏休み初日を迎えたのはあたしだ。
- 27 :ゅぅ:08/16(水) 02:24:14 HOST:ser357660005669858
- 更新されてる〜!!
お帰りなさい!!(*'v`人) 待ってましたよ(★+O∀o*)♪+゚ また来ますね〜☆★
- 28 :紗良:08/16(水) 21:13:32 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- ゅぅさん>>ぶっちゃけ疲れました(爆
なんとか更新しますんでヨロシクです**
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「渡辺さんのアホー!どぅはっ!?クソ痛ぇ!」
やけになって叫びながら渡辺家側の壁に蹴りを入れると自分の足に激痛が走る。
もう訳の分からない奇声を発して酔っ払ったお父さんみたいだ。
どうやらあたしは渡辺さんにアルコールを注入されたらしい。
「美由紀・・・恋って怖いな」
「姉ちゃんの奇声の方がよっぽど怖い」
イヤミを言いながらも美由紀はあたしの足に湿布を貼ってくれた。
見ても楽しくないニュースと周りに合わせて見てるだけのバラエティ番組も終わり気付けば9時。
「ひもじいんですけど」
「超腹減った」
お互い腹が食べ物を要求している。
夕飯というより夜食まで約1時間。
あたしの腹の虫がパンクミュージックを始める。
「どうしてお腹が減るのかな・・・ケンカをすると減るのかな・・・」
有名な童謡を力無くあたしが歌っている時に賢い妹・美由紀はキッチンへ向かう。
冷蔵庫を開けて美由紀は溜め息をついた。
「調味料しか無い・・・」
「マジで?」
やっとあたしも体を起こしキッチンへ向かい冷蔵庫を確認した。
「拷問かよ」
また力なく床に倒れこんだ。
今日一日で何かがあたしの体から大量に抜けていったせいだ。
それと同時に何か大量に取り入れたのかもしれない。
「姉ちゃん」
「何」
「スパゲティならあるけど」
- 29 :ゅぅ:08/17(木) 03:17:43 HOST:ser357660005669858
- お疲れ様です〜。
じゃぁ無理しない程度に 頑張って下さい!! 下がってたらあげますし☆★ いや〜それにしても美由紀チャン賢いですね!!笑
- 30 :あいうえお:08/17(木) 12:56:11 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗良さんおかえり-,お土産は-??(((ぶ
- 31 :紗良:08/18(金) 20:02:13 HOST:ohta133071.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 更新遅れスンマセ;
ゅぅさん有難う御座います**・・・腹減った(爆 お土産?ゴメンナサイあいうえおさん、バスに忘れてきました(爆死
- 32 :あいうえお:08/21(月) 21:14:08 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- そんな… 楽しみにしてたのに…
- 33 :紗良:08/24(木) 19:11:08 HOST:ohta133062.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 人生そんなコトもあります★(何
では久々の更新
------------------------------------------------------
「・・・いらんわ」
意味の分からない嫌悪感で頭が支配され、腹の欲求を遮断した。
腹の虫は力無く鳴いて終わった。
いろいろと面倒になってきたし、顔が火照るのを自覚する前にあたしは寝ることにした。
朝、空腹と友に目が覚める。
「・・・暗っ」
のそりと汗でベタつく身体を起こしてケータイに手を伸ばす。
まだ4時にもならない時間を指していた。
腹減った
腹減った
腹減った!
腹の虫が凄まじい音でチューニングを始める。
とりあえず部屋を出てキッチンに向かう。
相変わらず冷蔵庫は殺風景だ。
キッチンのあらゆる場所という場所を食料探ししてみたが片栗粉や小麦粉、そして昨日と同じ量の調味料。
そんなことをしていると4時を過ぎた。
東側のベランダからオレンジの空が見える。
こんな風景を見たのは久しぶりだ。
食べ物は諦めてコーヒーを沸かしミルクだけを注いだホットコーヒーをかき混ぜる。
熱い湯気が立ち込め、カップの周りに水滴がついている。
「あちっ!」
あたしは猫舌ながら少しずつコーヒーを口にしながらベランダの窓を開ける。
- 34 :紗良:08/24(木) 20:36:51 HOST:ohta133062.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「わぁ・・・めっちゃ綺麗」
スズメやコオロギの鳴き声が聞こえる。
地平線の向こう側から太陽が頭を覗かせた。
空が切ないほどに綺麗。
「ホント綺麗だなー」
「だね・・・ぶっっっ!?」
あたしはコーヒーをアニメかマンガぐらいの勢いで吹き出してむせ返った。
つい昨日から初恋のお相手になった渡辺 潤司という人物がプラスチック板を挟んで隣にいる。
「おはよー」
寝癖でぐしゃぐしゃになった黒髪を気にせず笑いながら渡辺さんが言う。
「おっおおおはよう」
あまりにも突然で挙動不審と裏声をセットで披露してしまう。
渡辺さんは相変わらず笑顔が絶えない。
ちょっと可愛いな、なんて思ってみたりした。
丁度良い熱さになったコーヒーを一口飲んだ。
瞬間的に喉が温かくなる。
「何飲んでんの」
「コーヒー」
「中学生のクセして渋っ!」
渡辺さんはあくびしながらあたしのカップを覗き込んだ。
「ちょっとちょーだい」
渡辺さんはあたしの手からカップを取り、コーヒーを口にした。
「ミルクしか入れてないじゃん。ますます渋いな」
そう言いながらカップを返してもらった時にようやく気付いた。
関節キス。
- 35 :紗良:08/24(木) 22:47:23 HOST:ohta133062.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 関節じゃなくて間接じゃんか(爆死
誤字スミマセン::
- 36 :ゅぅ:08/25(金) 02:14:38 HOST:ser357660005669858
- あげます−(´艸`*)
- 37 :紗良:08/25(金) 14:25:24 HOST:ohta133062.catv.ppp.infoweb.ne.jp
ゅぅさんあげ有難う御座います**
---------------------------------------------------
開いた口が塞がらないという言葉が今のあたしの状況。
まぁ相手は20歳と書いてハタチと読む人だ。
こんなくだらないこと気にしないだろうと思って軽く流した。
そんなことを考えている間に沈黙が流れている。
残ったコーヒーをカップの底が見えるまで全て飲み干した。
ミルクしか入れてないのに歯が溶けそうなほど甘く感じたのは何故だろう。
もっとこの人と一緒にいたいという気持ちが脳味噌を横切った。
気付けば太陽はあっという間に眩しいいつもの輝きだった。
2人は無言でただぼーっとして空を眺めている。
隣にいるたげだけどなんか幸せ。
欲を言えばこの板を突き破りたいんだけどな。
“緊急時は破って逃げてください”なんて書いてある。
今は緊急時じゃないけどあたしの青春にとっては緊急時だ。
また馬鹿なことが頭で渦巻いていると渡辺さんが口を開く。
「あー良い匂い。俺腹減った・・・」
おいおい、昨日と丸っきり同じパターンじゃないか。
「あたしもひもじいわー。ホットケーキの匂いだな・・・」
甘ったるいハチミツの香りが鼻を通り過ぎる。
綺麗な空とハチミツの香りと隣には好きな人。
あぁ、幸せ。
そんな気分に浸ってられるのもほんの20分の出来事だった。
「亜季ぃ!おはよう!二日酔いしつつ元気なママが朝食を作ったわよ!」
窓を開けお母さんはストレッチしながら言った。
「おはよう。ホント元気だなぁもう」
横で渡辺さんがけらけらと笑った。
「それじゃまたね」
渡辺さんが軽く手を振ったので無言で振り返し、もう一度空を眺めてリビングへ戻る。
- 38 :紗良:08/26(土) 12:58:40 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「いただきます」
バターが溶けたのとハチミツが流れて止まらない一切れを口に押し込む。
相変わらずおたしのお母さんのホットケーキは焼き上がりが固い。
だから毎回こんなに黒く焦げているのだろう。
「間接ねぇ・・・」
腹の虫を落ち着かせるため5分で全て完食。
生温い紅茶を一気に流し込む。
心なしかさっきのコーヒーより物凄く苦い。
砂糖もミルクも大量に入ってるはずなのに。
味覚は体調や気分で変わるって本当なんだね。
「ごちそうさま」
「あら早いわね」
テレビから不景気なニュースが映し出されるニュースが延々と流れる朝。
ブラウン管も疲れるであろう。
- 39 :紗良:08/26(土) 22:21:22 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
亜季は14歳の女の子と思えないような馬鹿デカい口をおっぴろげてあくびをする。
恥知らずとはこいつのことであろう。
部屋に戻り、朝日を受けて黒光りするケータイに手を伸ばす。
相手は勿論由梨。
「・・・もしもし、何」
コールが8回ほど響き眠そうな声が聞こえた。
この電話で目が覚めたんだろう。
「おはよー、朝っぱらからだけどあたし間接キスとやらをしたらしいわ」
「・・・それだけ?」
「うん」
ケータイから由梨の溜め息がひとつ聞こえる。
「幸せボケ」
それだけ言われて一方的に電話がブツリと切れた。
幸せボケ?あたしがボケなのは生まれた時から知ってるけどさぁ。
恋する乙女は美しい。・・・いやいや
恋する乙女は頭がおかしい。
あたしはとりあえずこう解釈してみた。
あたしはしばらくやることもなくぼーっとしている。
スクールバックの中身を整理しているととんでもないプリントが出てきた。
「数学特別夏期講習・・・?ってえぇ!?」
心の中で原爆が投下されキノコ雲が立ち込めた。
しかも今日からだ。ボケすぎて補習を忘れていた。
しわしわな制服に着替え、スクールバックに数学のワークと筆箱を突っ込む。
鏡の前に立ち紺色のゴムで耳の下で髪を2つに結んで学生の完成。
補習の10時まであと10分。
「補習行って来ます!」
勢いよくドアを閉めて飛び出た。
- 40 :あいうえお:08/26(土) 23:57:45 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- ホットケーキ食べたいね,紗良さん
- 41 :紗良:08/27(日) 13:25:09 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>ホットケーキ良いですよね(何
小説書いててあたしはスパゲティ食いたくなりました(爆
-----------------------------------------------
勢い良く飛び出たけれど、降りるエレベーターと一緒にその勢いも降りる。
脳内に“サボる”という三文字がくっきり浮かぶ。
サボる。
ズル休み。
逃走。
バックレ。
『1階です』
エレベーターが1階につき口を開く。
『ドアが開きます』
面倒くさそうに出入り口が開いた。
「サボろーっと」
スクールバックに忍び込ませたケータイが怪しく光る。
「もしもしさっちゃん?暇?」
あたしのくだらないことに唯一付き合ってくれるのはこの人だけだ。
『うん暇ー』
「じゃああたしの社宅まて今から迎えに来い」
『まったくもう、横暴なんだから別にいいけどね』
- 42 :あいうえお:08/31(木) 11:10:12 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- さっちゃんはね
さちこっていうんだほんとはね だけどちっちゃいから 自分のことさっちゃんって呼ぶんだよ おかしいね,さっちゃん
- 43 :紗良:09/04(月) 23:29:26 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 事情で更新遅れてますスミマセン;
- 44 :紗良:09/06(水) 20:34:03 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>あーその曲懐かしいっすね(何
--------------------------------------------------
「ふぅー、暑い暑い・・・」
あたしはケータイの画面と睨めっこする。
数字が1分毎に変化する時計をじーっと見つめる。
真っ青な空と五月蝿い蝉と社宅と汗だくのあたし。
頬っぺたから流れた汗が地面に落ちて蒸発する。
「もー、さっちゃぁん!!」
社宅内にあたしの声が大きくこだました。
「はーい!!」
もっと大きくさっちゃんの声がこだまする。
「どぅわっ!?」
これはデジャヴって奴だろうか。
さっちゃんは歯磨き粉のCMに出られそうな程白い歯を剥き出して笑う。
「さっそくだけどどこ行く?」
「涼しい所」
とにかく暑い。
温度が高い上、湿度も高すぎる。蝉の鳴き声も雰囲気相等で不愉快だ。
「そんだな。キンキンに冷えた駅ビルフラつくべさ」
おいおい、さっちゃんはどこの人なのやら。
さっちゃんは乗ってきた真っ赤な自転車に鍵を挿した。
「乗りな」
「えぇ?2ケツぅ?」
そう言いながらもあたしは後ろの荷台にまたがる。
スカートだろうがどうでもいい。スパッツはいてるし。
「無限の彼方へさぁ行くぞ!」
「駅ビルだってば」
さっちゃんの決め台詞(であろう)一言で出発した。
- 45 : :09/08(金) 10:22:18 HOST:62.net059086065.t-com.ne.jp
- さっちゃんはね
ほんとは猿飛あやねっていうんだよ
だけどみんなが頭ごなしに
「猿!」「おい猿!」
っていうから
「やめなよ男子〜猿飛さん嫌がってるじゃん」
「猿飛さん、こっちおいでよ!もっと可愛いあだ名つけてあげる」
だからさっちゃんっていうんだよ
哀しいね
猿〜
by 10月から放送時間変わる某アニメ
--------------------------------------------------------------------------------
- 46 :紗良:09/09(土) 00:23:06 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 45さん>>アニメ全然見ないんですよねあたし(聞いてない
そろそろさっちゃんの本名出さなきゃかな。 ----------------------------------------------------
会話も無しに10分もすれば駅周辺の繁華街。
「降りな」
さっちゃんの肩に手をかけて自転車から降りる。
真っ赤な自転車は違法駐輪の集団と一緒に置いておいた。
「毎度のごとく人いっぱいで暑苦しいねぇ」
さっちゃんが髪をくしでとかしながら言う。
「暑いね」
「あっつーい」
他に話題はないのやら。
「ってか、今日渡辺さんに会ったよ」
自分でも唐突だなぁと思いながら言ってみた。
「ワタナベさんって初恋の奴か」
「うん」
「ふぅん。・・・ってオイオイオイなんだそりゃ」
さっちゃんの声が一瞬裏返る。
「なんかさ、たまたま今朝ベランダ越しで会ったわ」
「なんだぁ。つまんないの」
あんたは何を期待しているんだ。
「可笑しいね、さっちゃん」
あたしはまた童謡の1節を口にした。
「もうその歌やめてよー。別にあたしサチコじゃねぇし」
さっちゃんは苗字の左藤。因みに下の方は鈴子(レイコ)。
そっけなく笑いながら駅ビルの階段を上がる。
「―嘘っ!?」
なんかとんでも無いモン見ちゃったみたいなんですが。
- 47 :あいうえお:09/09(土) 11:55:33 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- もっと読みたいよ,紗良さん(・∀・`$)更新してーしてーしてー
- 48 :紗良:09/09(土) 17:15:24 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>有難う御座います**
------------------------------------------------------
ショックを受けた時、運命を感じたとき。
人の時間は一瞬本当に止まってしまう。
あたしは片付けてしまいたい程の人ごみの中でそれを見つけた。
「亜季ぃ?おーい」
何も知らない友人の能天気な手が目の前で揺れる。
それと同時に時間は戻ってしまう。
「だっだだだ誰・・・?」
ショックを受けたものの方向を指しながら金魚みたいに口をパクパクさせる。
そのままやる気と一緒にストンと腰が落ちて周りの視線がちらりと向けられる。
「何?どうしたあんた!?」
さっちゃんの声はまるで耳に入らない。
絶対そうだ。見間違いなんかじゃない。
かと言って認めたくないこの事実。
あの中途半端に高い身長と中途半端に長い黒髪と中途半端に似合うメガネ。
全部中途半端だなぁ。
でも確かにそんな中途半端で構成された人物こそあたしの初恋の相手なのだ。
それだけなら良かった。“それ”だけなら。
隣に不愉快なオマケがあるから。
- 49 :紗良:09/09(土) 17:36:52 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
誰ですかこの人。
走って聞きに行きたいぐらいだが今そんな元気は無い。
綺麗な茶色のショートヘア(これはボブっていう奴かもしれない)にぱっちりした目。
小柄で身長はあたしぐらいだろうか。
紫のロングスカートがとても似合っている。
笑顔も印象的だし、可愛いなーって思うのが普通だろう。
あたしには属に言う小悪魔にしか見えない。
いやむしろ悪の大魔王と言っても過言ではない。
何故かって改札の前で渡辺さんと幸せオーラ発して喋ってるから。
「スカートも心も紫・・・」
さっちゃんは頭の回転が速いので何を言いたいのかすぐ解ったらしい。
「ほぉー。アイツかワタナベさんってのは。見た目は普通だな」
あたしはなんとか立ち上がる。
「問題は隣はドチラ様ですかってこと」
あたしもさっちゃんも2人をじーっと見つめる。
「最悪の場合はこれだよね」
さっちゃんがそっけなく右手の小指を立てる。
あたしが補足した。
「かもね・・・。左手の薬指は見た限り無いから大丈夫だよ」
そんな会話をしている間に、大魔王と渡辺さんはどこかに移動する。
「やべっ、さっちゃん偵察するよ」
「はっ?ちょっと待ちなってば!」
強引にさっちゃんの腕をひっぱり、抜き足差し足で2人の後をつける。
逃げる(本人達にそんなつもりは無い)2人に追う2人。
前者はコーヒーのチェーン店に入った。
「今ハートバックス入ったよね」
さっちゃんがぼそりと言う。
「あたしらも行くよ」
「よっしゃ」
後者は妙なやる気が出てきているご様子。
- 50 :紗良:09/09(土) 19:22:49 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「さて、どうしますか」
一応店内に入り、2人と2人の距離は人5人で間隔があいたキワドイ所。
「とりあえず何か注文しなきゃ怪しいよあたしら」
「ですよね」
あたしとさっちゃんは彼らから離れたレジに行く。
「いらっしゃいませ。只今お召し上がりでよろしいですか?」
こっちの状況を何も知らない店員の笑顔がいつもより眩しい。
「はい。キャラメルマキアートのショートと・・・亜季どうすんの?」
「そんじゃエスプレッソのトールで。あとクリームのトッピング」
エスプレッソを飲む中学生。あぁ渋い。
その前に喫茶店に入る時点で渋い。
「以上でよろしいですか?」
「はい」
「では合計560円頂戴致します」
今更あることに気付いた。
「あたし財布無いわ」
「アホ」
結果さっちゃんに借金。
「それで?どうしたい訳?」
向こうはまったく気付かないので調子に乗ってテーブル1つ挟んで隣だ。
幸い隣には別のカップルがいると言ってもまだキワドイ。
コーヒーがストローに吸い上げられる度に頭が冷える。
「ってかあたし制服だしめっちゃ浮いてるよね」
「まぁね」
会話がそこから途切れる。
あたしがぼーっとしながらコーヒーとクリームを混ぜ合わせていた時。
「ワタナベさんと謎の女は学校のこと喋ってるみたいよ」
「え」
同じくぼーっとしているのかと思いきやバッチリ盗聴していたさっちゃん。
「なんか課題がどうとか、講義がどうとか」
「大学生も楽じゃないよねぇ」
「中学でも十分大変なのにねぇ」
随分年寄り染みた口調で話す本来の目的を忘れた追う2人。
- 51 :あいうえお:09/09(土) 22:16:52 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- もっとー(何
- 52 :紗良:09/10(日) 19:03:49 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- ではご希望にそって(何
---------------------------------------------------
なんか、今更なこと言ってもいいですか。
「・・・補習行けば良かった」
「何今更」
去年の補習は然程苦ではなかった。
プリントやって、隣の席の子とふざけて先生に怒鳴られるだけ。
いや、それもそれでちょっとアレだけど。
「ちょっ・・・!亜季!ピンチピンチ!!」
何を騒いでいるのやらと視線を横に移すと隣のカップルが席を立ってしまった。
ようするに、だ。
「あれ?アキちゃんじゃん」
あたし達の存在を強制的にオープンされた。
「えー、じゃあ2人とも音楽家志望なんですか」
「まぁ、そんなとこだよね」
「私はそんなつもりじゃなんだけど」
「訳分かんねぇよ」
あらまぁ御三方随分和やかですこと。
そんな状況の中独り虚しく口の周りについたクリームのヒゲを舐める。
大魔王は浜崎 美佐子(ハマザキ ミサコ)と言うらしい。
大学の同じ科で普段仲が良くてたまたまそこで会ったんだってさ。
さっちゃんがあたしに耳打ちする。
「訊きたいんでしょ?」
「はぁ、まぁ」
「あんたが訊くないんならあたしが訊く」
あたしはさっちゃんにアイコンタクトで「お任せしました」と合図する。
1度さっちゃんが咳払いをして、一番知りたいことを口にした。
「お2人は付き合ってらっしゃるんですか?」
- 53 :あいうえお:09/10(日) 20:38:16 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- アンコール! ぇ
- 54 :紗良:09/15(金) 20:58:08 HOST:ohta133105.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- さぁてTDLの花火終わったし更新。
アンコール行きます(何 -------------------------------------------------
気まずい空気が流れる。訊いちゃまずかったかな。
周りの雑音だけが伝わる。
美佐子さん(大魔王は失礼だと思って)と渡辺さんは微妙な表情になる。
量が少なくなったコーヒーのカップからチラリと目線を美佐子さんに移した。
どういう意味やら、美佐子さんの顔はもう完熟リンゴだ。
口にたまっているクリームが噴き出しそうになる。
「そそそそんなんじゃ無いよっ!ねっ、淳」
美佐子さんは大袈裟にぶんぶん手を振る。
渡辺さんは失笑しながら答えた。
「俺らそんなんに見えたか?面白れぇな中学生。ハハハハハ」
「そう?訊いてみただけだよね。ウフフフフ」
「そうそう。そういう年頃なんだよね!オホホホホ」
美佐子さんを除くあたし達は無表情で気味の悪い笑い声を上げた。
気付けばこれだけで1時間以上費やしていた。
そろそろおいとまってことで解散。
あたしとさっちゃんは自転車に揺られる。
「・・・ねぇ」
「何?」
ぼーっとしていた所、後ろに乗っかっているさっちゃんが話しかける。
行き来交代でこいでいるのだ。
「なーんかさ、美佐子さん不自然だったよね」
認めたくなかったけどその言葉に「うん」と頷く。
風が吹き、前カゴに乗っているスクールバックにぶら下がっているキャラクターマスコットが揺れる。
「もしかしたら、あんたと同じなんじゃない?」
沈黙が流れ、何も答えられない。
「かもしれない。けど好きになっちゃったらしょうがないんじゃないの?」
「言えてる」
生暖かいはずの風が冷たく肌に打ち付けられる。
- 55 :あいうえお:09/16(土) 11:09:41 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 行って来たの?あと,タイトルの意味となぜこれにしたかおせーてー
- 56 :紗良:09/18(月) 12:06:09 HOST:ohta133074.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>結構近いんでいつも花火見えます**
It is too bitter.は苦いとか切ないとかそんな感じの意味を込めて決めました。因みに直訳すると「それはとても苦いです。」
誤字発見;;; >>54 淳→潤です。スミマセン;
- 57 :???梨紗:09/18(月) 12:54:12 HOST:p36222-adsau18honb3-acca.tokyo.ocn.ne.jp
- 「そやな〜・・・。芸能活動をしてたせいで
残酷な事件も起こったし・・・」
「なんやそれ。聞いた事あらへんな。」
「あ、いや。なんでもないんや。美音にも聞いてみるか・・」
「そやな。美音ー!」
「なんや」
すべて話した。
- 58 :あいうえお:09/18(月) 15:22:06 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- ↑の人…?間違いかい?
紗良さんー紗良さんー更新してー…
- 59 :あいうえお:09/21(木) 16:47:08 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗ぁぁぁあぁぁ良ぁぁぁあぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
- 60 :紗良:09/24(日) 16:26:46 HOST:ohta133041.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 最近忙しくて更新できません(爆死
スミマセン;
- 61 :あいうえお:09/24(日) 17:50:32 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- _| ̄|○
- 62 :紗良:09/30(土) 20:35:14 HOST:ohta138017.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 更新再開します。大変お待たせしました;;
----------------------------------------------------
帰宅してからは部屋に塞ぎこんだ。
カバンを床に打ちつけるように置き、椅子に座り机に伏せた。
恋はとても甘くてとても苦いものという意味が今なら理解できる。
相手は1人でもいくらでも外野には敵がいる。
あたしはすべてを吐き出すために大きく溜め息をつく。
自分にしか吐息は聞こえない。
気付いた頃にはもう日は沈んでいて。
一応やろうと思って広げた宿題のノートは白紙。
なんか自分と同じようで嫌になり、ノートを閉じて棚に押し込んだ。
リビングまでのそのそと出て行くと冷めたカレーがひとつテーブルにあった。
「チンして食べなさい」
お母さんがテレビから視線を外さずに言う。
1度カレーを仰視し、冷蔵庫にあるチーズを乗せて電子レンジに入れる。
ボタンを二つ三つ押して数十秒突っ立ってればあら不思議。
冷めたカレーができたてのような温かいカレーになってしまう。
今って便利だなぁと改めて思ってみたりした。
あたしが他界した頃には恋すらこんな簡単になってしまうのだろうか。
・・・・・・想像してみたら恐ろしいことになっていたのできっと今のままだ、と心に言い聞かせた。
- 63 :芙稚:09/30(土) 22:33:04 HOST:07012390756292_vn.ezweb.ne.jp
- どうも、こんばんは。
お久しぶりです(・∀・) 確かに、未来は恋が簡単に叶うかどうか気になりますね((笑 だけど、色々苦しんだり悩んだりするのは恋の醍醐味ですよね! その醍醐味を数年味わって居ない私は、既におばちゃん化してます((爆 亜季ちゃんには、沢山味わって欲しいものですbb あげ
- 64 :あいうえお:10/01(日) 00:02:04 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- あげ
- 65 :まり:10/01(日) 09:10:07 HOST:p6097-ipbfp204kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
- 何この小説!!!!!!!!!!!!
激おもしろいじゃん(・∀・) 気づかなかったよ…今まで;;; もぉぉ!!!!!ageの連発ですッ♪♪
- 66 :紗良:10/01(日) 21:18:10 HOST:ohta133043.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- 芙稚さん>>お久しぶりです・∀・あげ有難う御座います**
数年・・・?ってことは数年前は味わってたんですか(爆 恋愛はそう簡単にいきませんからねぇ゚д。
あいうえおさん>>毎回あげ有難う御座います**
まりさん>>お褒めの言葉有難う御座います。おいしく消化いたしました(ぇ 気付いてくれただけでもありがたいです・∀・ あげも有難う御座います!
- 67 :あいうえお:10/03(火) 08:44:58 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗良さん,学校楽しい?高校も中学もつまんないよ'`;
- 68 :紗良:10/09(月) 12:06:14 HOST:ohta133043.catv.ppp.infoweb.ne.jp
あいうえおさん>>授業と苦手な人さえ居なければ楽しいです★(爆
----------------------------------------
温まり湯気が立ち込めるカレーを一口分スプーンですくう。
「辛っ・・・」
普段は美由紀に合わせて甘口なのに何故か今日は辛口だ。
「あー、甘口なかったから辛口でいいかなと思って」
お母さんは髪の毛をくしゃくしゃといじりながら言う。
あぁ、だから美由紀は麦茶を大量摂取してるのか。
普段甘口なのに辛口には刺激が強すぎたらしく、あたしの口がスゴいことになる。
舌が熱い以前に痛い。
味わう間もなく口に流し込んで事を終わらせた。
「ご馳走様」
麦茶を一杯だけ飲み、千鳥足で部屋に戻った。
女の嫉妬こんなにも恐いものなのだろうか。
生まれて14年経ってもあたしは食べ物の妬みしか経験していない。
今日は女の嫉妬デビュー記念日に認定された。
ビーズクッションの横にへにゃりと倒れる。
もう蛇か何かの抜け殻であろう。
逢って2日でもうココまで落ち目が出るなんて思ってなかった。
- 69 :あいうえお:10/11(水) 23:30:46 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗良さん,苦手な人とかいない気がする。中学生やり直したいわ
- 70 :紗良:10/13(金) 23:29:21 HOST:ohta133043.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>そうですか?割と多いんですが;
あたしも1年からやり直したいですorz
- 71 :紗良:10/14(土) 20:55:31 HOST:ohta133043.catv.ppp.infoweb.ne.jp
今日はもう寝よう。
そうだ、また明日早起きしてベランダにいれば
渡辺さんに会えるかもしれないし。
ひきっぱなしの布団に潜り込み着替えもせずに寝息を立てた。
朝5時に設定したケータイのアラームが部屋に響く。
「ん゛ー・・・」
布団からもぞもぞと手を伸ばし、ケータイを取る。
目覚めは悪いが、青春のために掛け布団を蹴っ飛ばした。
そういえば今日にいたっても制服だ。
もうかなりシワが出来ている。
少子化もこのぐらいの勢いで納まらないのかしら。
そんな事を考えながらキャミソールと夏物のカーディガンを羽織った。
白いスカートをはいて、ベランダまであくびしながらよたよた歩いた。
- 72 :紗良:10/15(日) 00:40:16 HOST:ohta133043.catv.ppp.infoweb.ne.jp
昨日と同じように、コーヒーを沸かしてミルクを注いだのを片手にベランダの窓を開ける。
今日は朝から雲が多い。夕方頃から雨が降るって天気予報で言ってたっけな。
それでも太陽は綺麗で、あたしはきっと慰められているのだろう。
そんな景色が心の感傷を誘う。
目を細めながら太陽を見つめて、コーヒーに口を付ける。
朝はまだ涼しいから暖かいコーヒーは丁度いい。
コーヒーは確か身体の不純物を排出してくれるらしい。
心に引っ掛ったモノを出してくれるモノはないのだろうか。
「両想い・・・しかないのかな」
また独り言をついたが、昨日みたいにひょっこり出てくる人はまだ現れない。
昨日はただの偶然だったのかな。
綺麗な太陽も。
甘いコーヒーも。
そして、彼も。
- 73 :あいうえお:10/15(日) 01:30:43 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- まぁみんなそんなもんだわな。紗良さんはすごく仲良い友達はいる?いないなら作っといた方がいいよ
- 74 :紗良:10/17(火) 20:47:43 HOST:ohta133031.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>んー、仲良い子はみんな均等だからすごくって子はどうだろ・・・。
それなりにグループできてるんで大丈夫かと・д・
-----------------------------------------------------
独りで静かな朝の風景を見つめたって何も楽しくなかった。
今更だけど、あたしは大雑把で気が短いタイプだ。
うじうじしてるのが基本的に嫌い。
だから今の自分が大が何個もつく程に嫌い。
「どうにかしようよ・・・」
そう呟いて屋内に戻る。
あれ、何してたっけ今まで。
気付けば時計は昼の11時を差していた。
椅子に座り机にはぼーっと読んでいた映画情報誌の今月号。
あたしは好きな俳優の写真を眺めていたらしい。
なんでこんなに輝けてる人とあたしみたいな灰色な人がいるんだろう・・・。
よくある庶民の嘆きのひとつに過ぎないのかな。
気付けば好きな人が出来て
気付けば隣で笑ってくれたのに。
美佐子さんって人が現れた途端に不安になった。
いつから自分はこんなに繊細なんだろっけ?
雑誌を閉じて机の一番下の引き出しにしまう。
机の上の黒いケータイに目をやり手に取った。
「で、どうしたいのよ」
由梨とさっちゃんを呼び出して安っちいファミレスでお食事中。
「なんつーかね、とりあえずどうにかしたいの」
「だかに何をどうしたいのよーっ!」
「わっ!熱っ!」
由梨が呆れた顔をしてあたしにお手拭を投げつけた。
「分かんないモンはわかんないんだよ・・・」
割り勘で食べたピザの皿を店員が下げに来る。
「由梨、座れ座れ。亜季がやっと女っ気を持ってくれたんだから」
「それもそーか」
納得されたあたりちょっと切なかったぞ今。
3人の溜め息が重なる。
「じゃあさ」
由梨が片手をテーブルにバシッと叩き付けた。
「結果はどうあれ告っちゃえばいいじゃん」
- 75 :紗良:10/17(火) 20:57:55 HOST:ohta133031.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「あたしもそれが良いと思う」
さっちゃんも腕を組んで遠くを見つめながら言った。
「こく・・・はく?」
しばしの沈黙が3人の空間を流れる。
「ホラ、昨日渡辺さん平日は大体帰れるのは5時半だって言ってたし。そんぐらいに玄関の外にでもいれば会えるよ」
だんだんさっちゃんが乗り気になる。
「ね、告ったらすっきりするよマジ。あたしも好きだった人に告ってフラれたけど言ってよかったと思ってる」
「じゃあ、頑張ってみる」
2人は笑顔で「頑張って」と言った。
その後、どうなるかわからないけど。
「あ、まだ言ってなかったけどマジであたしとまっくん付き合うことになったわ」
「えぇ!?」
さっちゃん、もっと早く言おうよそういうことは。
料金を払って、ファミレスを出てすぐに解散した。
期待と不安を胸に乗せて。
- 76 :紗良:10/20(金) 20:44:25 HOST:ohta133031.catv.ppp.infoweb.ne.jp
近所のコンビニで紙パックの紅茶を買った。ピーチティー。
無駄に量が多いわりには安いのであたし達の年代には有り難い。
いつものようにエレベーターに乗って。
いつものように自分の家まで足を向けて。
この前みたいに塀に腕を乗せて下を見下ろす。
「落ちたら痛いよなー」
ストローで甘ったるいピーチティーを吸い上げる。
紅茶の余韻が無いほど砂糖がかなり入っている。
ケータイの待ち受けを開くと、5時20分を差していた。
あと10分。
ぽつぽつと雨が降り始めた頃、心臓の動きが早くなるのがわかった。
- 77 :あいうえお:10/20(金) 20:59:20 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- ういうい
- 78 :紗良:10/20(金) 21:00:19 HOST:ohta133031.catv.ppp.infoweb.ne.jp
そろそろラストだったりします・д・ ----------------------------------
ピーチティーを飲み終えた頃には雨が激しさを増していて。
地面に打ちつけられては跳ね返りの繰り返しでどこか美しくもあった。
湿気が低く、今は珍しく涼しい。
玄関の前で大手の古本屋で買った話題の少女漫画を読んでいた。
雨はあたしの爪先あたりまで浸食している。
けどそれが?濡れてないんならいいじゃないの。
溜め息をついて、漫画に飽きて顔を上げた。
どうやら渡辺さんがご帰宅らしい。
時間は5時28分。
この前みたいにくだらない内容の雑談をした。
そろそろ、そろそろって心で繰り返しながら何分経ったんだろう。
もう嫌だ。
神様仏様マリア様。
隅っこでもいいから希望の光を分けてください―
そう願いながら息を吸う。
「・・・あのさっ」
以外にも同じ言葉が重なった。
大袈裟かもしれないが2日間の思い出が走馬灯の様に頭を駆巡った。
でも、でたのは別の言葉。
「えっと・・・美佐子さんってどう思う?」
なんで遠回しな聞き方しちゃうんだろう。
- 79 :rino (fqCqyuYEeo):10/21(土) 13:39:47 HOST:H017170.ppp.dion.ne.jp
- 苦い。苦いですよ(○´艸`●)
マヂおもしろいです。 文才ありますよ! 更新待ってます。
- 80 :紗良:10/21(土) 20:59:30 HOST:ohta138025.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- rinoさん>>この小説に甘い部分なんて必要ねぇ・・・カカオ99%です(どうした
お褒めの言葉有難う御座います** 文才といいますかなんといいますか、想像力が濃ゆいんです。ウェヘヘヘヘ←ポリス呼んで!
---------------------------------------------
間髪入れずに渡辺さんが答えた。
「俺も今ちょーどそのことについて喋ろうと思ってさ」
彼の笑顔があたしの胸を嫌な予感でいっぱいにした。
「嫌っ・・・」
自分でもびっくりした。ひっくり帰った声で「嫌」って。
「どうかした?」
「なんでも・・・ないよ」
目に溜まった水分を引き戻すように言った。
「実はなぁ」
本当に嫌な言葉しか予想できなくて
「昨日はあんなことほざいてたけど」
もう前向きなんて言葉は通用しないぐらいに
「俺ら、付き合うことになったんだ」
哀しさに溺れて。
- 81 :紗良:10/21(土) 21:15:35 HOST:ohta138025.catv.ppp.infoweb.ne.jp
雨の音が五月蝿い。
あたし達にも雨は打ちつけられて、全身が冷たい。
だけれど2人とも気にしなかった。
「なーんだぁ、やっぱその気あったんじゃんか!」
笑顔を渡辺さんに向ける。
涙が頬を伝うけれど、雨と嘘の笑顔で見えやしない。
「そーゆーのは照れくさいモンだろ!」
「まぁね。おめでとう」
渡辺さんは照れ笑いして美佐子さんの話を続けた。
あたしの想いを知らない貴方の瞳には、何が映るの?
目頭が熱くなって納まらない。
もう嫌。
哀しくて悔しくてたまらないじゃんか。
「そんでアイツがさぁー」
彼の話が終わらないうちにその場を乗り切ろうとした。
「ごめっ・・・あたし、用事おもっ、いだっしたっ」
意味の分からない切り方の日本語を残してその場から走り出した。
情けない自分から逃げるように。
- 82 :紗良:10/21(土) 23:54:12 HOST:ohta138025.catv.ppp.infoweb.ne.jp
渡辺さんから逃げて、エレベーターで1階まで降りて。
その後の記憶は殆ど無い。
とりあえずは無心に息を切らして国道沿いの歩道を歩いている。
通り過ぎていく人はずぶ濡れのあたしをびっくりした目で仰視する。
そりゃあ、あたしも自分にびっくりだよ。
自分も結局女だったのか。
いや、女じゃなかったら怖いけど。 ため息をつくとさっきの渡辺さんの話が頭を過る。
俺達が解散したあとのことなんだけどな。
あの先生がどうだとか、サークル活動がどうだとか雑談しながら歩いてたっけな。
「どうせ暇でしょ?どっか遊びに行こー」
美佐子がそう言って好き勝手に俺を連れ回した。
結構強引なトコがあったりするんだなぁと思いつつ。
正直言った話、ずっとあいつのことが気になってたんだよね。
素で可愛いなぁと思いながら俺よりちっちゃい美佐子を見下ろしてた。
したらいきなり顔を真っ赤にして泣き出してさぁ。
マジで焦って「どうした?」ってどもりながら聞いたら、
かすれた声で「潤が好き」って聞こえた。
- 83 :あいうえお:10/22(日) 13:47:20 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- どんな感じにこの話思いついたの?モデルがいたり?
- 84 :rino (fqCqyuYEeo):10/23(月) 20:07:57 HOST:N017108.ppp.dion.ne.jp
- カカオが濃すぎるぅ...
苦すぎてこっちまでなけて来ますよぉ(○T T●)
- 85 :紗良:10/25(水) 19:47:45 HOST:ohta133015.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>それは完結後のお楽しみですよ・∀・
rinoさん>>本作を御覧の際は甘い飲み物と溶かしながらご賞味ください(実際にカカオ99%チョコのパッケージに書いてありますw
------------------------------------------------
しゃくり上げながらフラフラ歩く謎の少女から通行人は目を背けながら行く。
あたしは行くあても無くとにかく真っ直ぐに国道を進んでいた。
派手なデコトラが横切ってから、区境の橋の所まで歩いてきたことを知った。
「寒っ・・・」
雨で約10m先は視界がぼやける。
自分の目的を見失って失望感や情けなさで幾度も想いと涙がしゃくりあげる。
普段は野球チームや家族連れに犬の散歩をする人たちで賑わっているのだが今日は誰もいない。
いるのは、あたしだけ。
何の意味があるのやら、黄緑色の電車が1回汽笛を鳴らして橋を渡っていく。
「・・・っ」
足がもつれて草原に座り込んだ。
ヒールのサンダルで長距離を歩いたせいか、痛々しいマメが出来ている。
寒いよ
苦しいよ
切ないよ
誰か、あたしを助けて・・・・・・?
- 86 :紗良:10/25(水) 20:06:55 HOST:ohta133015.catv.ppp.infoweb.ne.jp
夏なのに、こんなに寒い日ってあるんだね。
手がかじかんで全身が前かがみになり小刻みに震える。
何しにこんなとこまで来たのよ。
ひとりになりたかったから?
そうなのかな。
でも今、物凄く寂しいよ。
今までに無いくらいに。
気付けばあたりは真っ暗で、団地の部屋ひとつひとつから明かりが漏れていた。
今、何時?
あたし、どうなった?
由梨は夏休みの特番を何も考えず見ながらケラケラ笑っていた。
夕食も終わり、気分も安定した午後7時半。
宿題でもしようかな、と思い部屋にのそのそと歩いていった。
すると、部屋のドアを閉めたと同時に電話が鳴る音が聞こえた。
どうせお母さんがでるでしょう。
気にかけず机にプリントを広げた時、母の裏返った奇声が聞こえ、直後に走ってあたしの部屋までやって来た。
「ちょっとアンタ、亜季ちゃんが帰ってこないんですって。何か心あたりは?」
「はぁっ!?」
- 91 :紗良:11/03(金) 11:02:02 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- rinoさん>>小説書くときだけかしこまるタイプなので読者さんとタメ口きかない主義ですゲフゲフ←吐血
あげありがとうございます・∀・
あいうえおさん>>あたし86%限界ですよ。あんなモン食えるあいうえおさんはウンパルンパですか【何気失礼
まりさん>>あげありがとうございます**
--------------------------------------------
あんなボヘボヘした亜季が家出なんてことは考えたことも無い。
多分ワタナベさんと何かあってどこかでグレてるに違いない。
友達のカンがあってればいいけど。
とりあえず今はさっちゃんに連絡してウチに来てもらった。
「雨、やまないね」
「ね」
あたし達はお互いに言わずとも分かるから
あえて言わない。
失恋したのかな?なんて。
さっきっからケータイにメールも電話も入れるけど応答が無い。
「・・・行こっか、亜季探しに」
「手間がかかるヤツだなぁほんともう」
傘を手に取り、外へ出る。
一方、子供の友達が行方不明(大袈裟だけど正確)で大騒ぎの保護者たち。
とりあえず亜季のクラスじゅうには知れ渡ったみたいだ。
ひとり知ってることはみんなで分け合う。これぞ主婦の法則。
まだ学校に連絡は行ってない。2倍3倍に騒動が増してしまう。
「最近物騒だからこういうことがあると怖いわ」
「不審者目撃ってのもこの前学校から連絡あったよね」
「でもこの年代の子ってさ、よくグレるじゃない」
「渋谷に出向くな子には見えないけど」
「とにかく亜季ちゃんを探さないと」
集まった16名の主婦の口は止まらない。
事情を知らないって怖い。
その場には本人の母もいるわけで。
溜め息をつき、こう言った。
「もういいわ。お喋りはこのぐらいにして手分けして探しましょう」
亜季は知らないだろう
子供2人と主婦16人の膨大な捜索に広がったなんて。
- 92 :あいうえお:11/03(金) 13:50:40 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- ・・・バレた??
- 93 :rino (fqCqyuYEeo):11/03(金) 14:25:09 HOST:N020075.ppp.dion.ne.jp
- 主婦ってホント怖いですよね。
家も、兄姉がヤケドしただけで 家が全焼したとか言われた時期がありました(笑) アゲです。 亜季ちゃん早く見つかって欲しいです。
- 94 :紗良:11/04(土) 18:51:12 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
あいうえおさん>>やっぱりそうでしたか(ぇ rinoさん>>主婦怖いってか恐いです(笑 親って何してるんでしょうね。あげありがとうございます*
本日根気で完結いたします・∀・
---------------------------------------------------
雨は緩むこともなく、強まることもなく。
ただただ降り続けてあたしをひとりにする。
このあとで満月は見られるのかな。
明日はちゃんと晴れるのかな。
笑って渡辺さんと話せるのかな。
「・・・気持ち悪っ」
自分に悪口言って自傷してみたけど特に意味は無い。
もういいや、おとなしく帰っておとなしく怒られようかな。
ってか何て言えばいいんだ親に。
電源を切ったケータイを搾れそうなカバンの中で開いた。
嘘だ。もう8時過ぎだなんて。
待ち受けの下のほうには小さく「受信9件」の文字があったが見ずに閉じた。
馬鹿な姉ちゃんは何してんだろ。
とうとう不良にでもなったのかな。
小学生なりの勝手なイメージを美由紀が沸かせていた。
お父さんはのん気に煙草をふかすらしく、玄関の外に出た。
あたしがふとテーブルに目をやると青の容器に入ったライターが置いてある。
忘れたんだな、持っていってやろう。
あと数秒したらお父さんが玄関から「ライター持って来い」って言うに違いない。
亜季よりいくらか賢い美由紀は小走りで玄関を出た。
「お、美由紀気がきくな」
「まぁね」
お父さんがライターを受け取り、くわえた煙草に火をつけた。
煙が雨の中に消えていく。
見ていたテレビの続きでも見ようとドアノブに手をかけた時だった。
なんだっけ、あのスパゲティ食べに来た男の人。
- 95 :紗良:11/04(土) 19:02:35 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「えっと・・・ワタナベさん?」
あたしはぼそっと男の人に聞く。
「そうだよ。君は確かミユキちゃんだっけね」
ワタナベさんは右手にビニール傘、左手にコンビニの袋をさげていた。
ワタナベさんとお父さんは目が合い軽く「こんばんは」と言った。
「ウチの娘と知り合いですか」
「まぁ、ハイ」
ワタナベさんはあの日姉ちゃんが
「親に言ったら知らん奴入れるなって怒られるから黙っといて」
って言ってたのを覚えてたのだろう。それか説明がめんどくさいだけ。
その時、ワタナベさんは何かを思い出したように言った。
「あの、アキちゃんは・・・」
お父さんが口から白い煙をはいて言う。
「何があったのかは知らないけど帰ってこないよ」
「えっ?」
「全く手間のかかる姉だよ。なぁ美由紀」
お父さんとあたしが苦笑した。
それと同時にワタナベさんの顔が青くなり、走ってエレベーターまで向かっていった。
お父さんが不思議そうな顔で彼を見送ったけど、なんとなくあたしには予想がつく。
姉ちゃんを探しに行ったと。
- 96 :紗良:11/04(土) 19:18:58 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
特にあてがある訳じゃない。
でも俺が原因だと直感で思ったから走り出した。
俺が中学生の頃、似たようなことをした。
確か片想いしてた同じ部活の子に告白した。確か音楽室で。
したら「ごめん」とだけ言ってあの子はカバン持って走って帰ったんだ。
帰ってから部屋でひとりでずっと泣いてた。俺らしくなかった。
次の日目の上真っ赤に腫らせて学校行ったら校門で高校生数人に絡まれたっけ。
そんで近所の公園でボコされたっけな。
「人の女に手ェだしてんじゃねぇぞ」って。
ボロボロになりながらちっさい声で「ごめんなさい」って繰り返した。
あの子はこんな奴と、しかも高校生と付き合ってたなんて思いもしなかった。
高校生から開放された後は片足引きずりながらどこかに歩いていった。
確か土手だった。
冷たい土の上で倒れて泣いて、見つかったときには親やら先生、警察が複雑な表情で俺を見下ろしてた。
あの時は最高に恥ずかしくて、最高に悲しかった。
あのときの経緯は「高校生にリンチされた」としか人に語ったことは無い。
- 97 :紗良:11/04(土) 19:29:38 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
そんな事を思い出したせいか、俺の足は土手へと走っていく。
傘はささないで握り締めただけ。
時間だけが過ぎていく。
昨日さっちゃんと亜季が遊んだ繁華街にさっちゃんと由梨はいる。
「いない・・・」
「ホントどこ行っちゃったのもー」
疲れてきた頃、一緒に周囲を探していた保護者3人に会った。
「駅の東口には居ないみたいだわ」
「こっちも居ないみたいです・・・」
「どうしましょう、警察に連絡します?」
「イヤイヤ待ってくださいもうちょっと探しましょう」
さっちゃんがストップをかける。
そんな事件に巻き込まれたなんて信じたくない。
でも友達を早く見つけなきゃ。
複雑な気持ちが交差して5人は黙って立ち尽くす。
由梨は暗い顔をして交番を見つめた。
「でも・・・大丈夫だよ!だってなんか、そんな気がする」
友達の直感だけど。
正直言うと保護者たちも大事にはしたくないのだろう。
「じゃあ、もう一度二手に分かれて駅ビル内を探してみましょう」
ただ歩き回る。
みんな亜季がどこにいるのかなんて知らずに。
まるで、彼女の初恋みたいに。
- 98 :紗良:11/04(土) 19:41:18 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「どうしよ・・・」
なんか、涙は枯れたらしい。
ただ気だるさとこの先の騒動を考えると行動出来ない。
いっそこのまんま消えたい。
それほど渡辺さんはあたしにとって大きな存在だったのかな。
ひとつ溜め息をつき、体育座りで縮こまる。
雨、止まないかな。
誰か、見つけてくれないかな。
小さな希望だけ胸にしまって手をさすった。
いつから来てないっけ、この川。
息を切らしながら真っ直ぐに続くハイキングコースという道を歩く。
途切れ途切れの電灯だけを頼りに歩く。
聞こえるのは近くにいると思う子猫の鳴き声と俺の息。
傘をさしたついでに息を整える。
髪から冷たい水が滴る。
大きく息を吸うと雨と土のにおいがした。
- 99 :あいうえお:11/04(土) 21:11:26 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- よっしそれじゃあたしが完結立ち会いましょうか。安心して,この17のお姉様が側で見守っ(((氏。
- 100 :紗良:11/04(土) 21:48:48 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん>>17のお姉様素敵・∀・(ぇ
ついに100レス目です+゜
---------------------------------------------------
とりあえず前にある道を進む。それだけ。
ケータイの待ち受けを見ると丁度9時になったばかりだ。
透明で安っぽいビニール傘に雨が跳ねて落ちて消えていく。
アスファルトに馴染んでも太陽に照らされたらすぐに蒸発してしまう。
なんか、人間関係みたいだな。
寒さのせいで出た鼻水をすすりながらとにかく歩く。
「―ふぇっくしょい!」
ぼーっと何にも気付かずに歩いていると後ろからいきなり聞こえた。
びっくりして振り返る。
- 101 :紗良:11/04(土) 21:57:23 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「・・・え」
振り返ると、歩道からはずれた草原で縮まっている人がいる。
明かりがないのでよく分からないけど、あれはアキちゃんだ。
小走りで駆け寄り、彼女を見下ろす。
「アキちゃんだよね・・・?」
「アキちゃんだよね・・・?」
その声にあたしは人生最大のビックリを体験した。
「へっ?」
こんな展開って本当にあるんだね。
目をこすって2度3度まばたきすると、微笑む渡辺さんがいた。
「俺」
向けられた笑顔は初めて会ったときと同じだった。
こんなに近くてこんなに遠かった。
この笑顔はもう今日が最後のような気がする。
お隣さんだからいつでも会えるけど。
この笑顔は今日でお別れだな。
初恋の甘い部分なんてこれだけだったのかな。
そう思うとまた涙が込み上げてきた。
まだ枯れてなかったらしい。
- 102 :紗良:11/04(土) 22:17:02 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
雨も同情したのか、激しさが増した。
渡辺さんはあたしの前に黙ってしゃがんだ。
「立てるか?」
あたしは黙って首を横に振った。
雨か涙か分からない冷たい水が頬から幾度も零れる。
「はい」
渡辺さんは立ち上がり、片手を差し出した。
「・・・ありがと」
消えそうな声で言い、渡辺さんの手を借りて立ち上がった。
「帰ろう」
「・・・うん」
渡辺さんの手の平には温もりがあった。
何も言わずに手を引かれて足並みを揃える。
「―傘」
「え?」
彼はビニール傘をあたしに差し出した。
そういやさっきからずっと渡辺さんが占領していた。
あたしは黙って傘を受け取り、左手で傘を持った。
ひとりで入るのは嫌だったから、ふたりで入れるように持った。
優しさも全て今は哀しくて愛しくて。
また涙が溢れてきた。
もう嫌。
彼の前では絶対に泣かないつもりだったのに。
もう幾度と泣いてるから目は真っ赤だし。最悪。
気付いたらあたしの足は止まっていた。
それにあわせて渡辺さんの足も止まる。
「話せるところまででいいから、何があったか話してみ?」
- 103 :紗良:11/04(土) 22:18:47 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あ゛ぁ゛ぁ゛やっぱり今日中の完結は無理がありました;
明日に持ち越しますスミマセン(爆
- 104 :あいうえお:11/04(土) 22:32:22 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- なんですと…?うんぱるんぱとしてのプライドを捨てる気かねチミ!!!
- 105 :あいうえお:11/05(日) 11:59:36 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 紗良さんカムバーック!!!!!!
- 106 :紗良:11/08(水) 15:44:43 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あ゛ーゴメンナサイ(爆死
今日こそ今日こそ・・・
-----------------------------------------------
電車が通る音が聞こえた。
雨はめげずに降り続けている。
「・・・言えるか、そんなモン」
「それもそっか。あっさり言えたらこんなグレてねぇよな」
渡辺さんが小さく笑った。
自分が嫌いだと心底思った一瞬であった。
告白のタイミングだったのにな。
またしばらく黙って歩く。
「ねぇ、何て言い訳すんの?」
そう言えばそっちの問題も残っていた。
好きな人に彼女が出来て落ち込んでたなんて誰が言うか。
いや、待てよ。
これは一種のチャンスじゃあないんだろうか。
もう後戻りはしない。
「ねぇ」
「ん?」
どうせ結果が分かっていようとも。
- 107 :紗良:11/08(水) 15:56:52 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
「好きな人がいました」
「何いきなり」
雨がうるさい。
「つい最近知り合って、すぐに恋だと知りました」
あたしはいつだって遠回しなんだ。
「―へぇ、それで?」
なんとなく感づいたのだろうか、渡辺さんの表情が歪む。
「ホントに一瞬でしたが恋の辛いことも幸せなことも理解しました」
また涙目に溜まる。落ちないように傘を見上げる。
透明のビニールの上はひたすら空から雨が降っている。
「彼女は決心しました、告白です」
上をいくら向いても涙は止まらない。
「その時です。不運なことに彼に恋人ができたのを知らされました」
渡辺さんは黙って下を向いてあたしの手を引っ張るだけだ。
「13歳と20歳の恋愛は短い日々に散りました」
鼻をすすりながら続けた。
「短い、ホントに短い夏でした・・・」
あたしは渡辺さんの手をぎゅっと引っ張って歩くのを止めた。
「渡辺さんが好きだったのになぁ。あーあ・・・」
疲れた表情をしながら泣き続けた。
- 108 :紗良:11/08(水) 16:15:20 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
重い沈黙が流れる。空気が悪い、ものすごく。
「ついに告っちゃったよあたし」
渡辺さんが黙って振り返る。
「・・・ごめん」
一番聞きたくなかった。でも言われると分かってた。
あたしは溜め息を漏らす。
相変わらず涙は止まらない。
「でも、ありがと」
そう言って渡辺さんは静かに微笑んだ。
「ばぁーか。渡辺さんのばぁーか」
人生初めてと言っていい程激しく泣いた。
叱られた子供より泣いたと思う。
渡辺さんはものすごく困った表情で唸っていた。
「どうすりゃいいの俺」
「そんなモン知るか」
気分が悪いのが表情でむき出しになる。
あたしは傘を投げ出し、ひとりで元来た道を行く。
- 109 :紗良:11/08(水) 16:23:56 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
かじかんだ手に息を吐きながらスタスタと歩いた。
サンダルで来たものだから、靴擦れが痛む。
後ろから何かが走ってくる音が聞こえる。
それに比例してあたしも走って逃げる。
だけど前者の方が速く、腕を掴まれた。
くるりと振り向くと渡辺さんが息を切らしていた。
「何」
そっけなく聞いた。可愛くなぁ自分。
「・・・っ!?」
不意打ちだった。不意打ち。
軽く渡辺さんとあたしの唇が重なる。
- 110 :紗良:11/08(水) 16:48:46 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- すぐに状況が把握できなかった。
「初めてだったりした?」
「当たり前じゃん」
ふたりとも微妙な表情だったけど、しばらくしてくすくす笑い始めた。
「ごめん」
「いや、ありがと」
俯きながら隣にならんで歩いた。
ファーストキスって奴は、一応甘かった。
後味はかなり苦いけど。
渡辺さんがシャツのポケットに手を突っ込んで、中身をあたしに渡した。
「何コレ」
暗くて分からない。けど小さいものが2つ。
「飴。口直し」
「何それ」
苦笑しながらバックに放り入れた。
食べる気はしなかったから。
あたしはこんな初恋をしていたことを覚えている。
ホントに短かった。
あのあとこっぴどく親に怒られたことも、さっちゃんたちに心配されたことも。
告白したことも。
今となっては全部良い思い出で。
時々彼を見かけるけど、再びお互い関りのないひとになってしまった。
ちなみにあの日彼からもらった飴は食べてない。
後で見たらコーヒー味とミルク味だった。
何も考えずに渡したんだろうけど、ものすごく意味があるような気がする。なんでだろ。
今朝もミルクが入ったコーヒーをベランダで飲む。
片手にふたつの飴を握って。
好きな人が あたしの事を好きになってくれる
それだけの条件なのに恋は難しい。
It is too bitter.
END
- 111 :紗良:11/08(水) 16:56:37 HOST:ohta133100.catv.ppp.infoweb.ne.jp
完結いたしました!あげて下さった方々、有難う御座いました!! ってか誤字発見(爆 亜季は14歳だろ。なんだよ13歳って(爆死
この小説も保管願い出しておきます。 また、恋空で有名な小説サイト様のサーバーをお借りしてこの小説を保存しようと思います・∀・ 詳細は決まり次第この板にアップいたします。
それとですが、この小説について。
実際はこんなスペクタクルではありませんが、6歳差の片想いというのは実話です。 え?誰がしたって?
ゴメンナサイ、私です(土下座
実際問題現在進行形ですが・ω・`
まぁこんなカンジでしたが、最後まで愛読してくれた方々、 本当に有難う御座いました!!
- 112 :あいうえお:11/08(水) 22:21:52 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- 完結おめでとう。すごく良かった。紗良さんの世界観が好きです(((コクっちゃったわ。
だと思った 笑* あきちゃん,雰囲気があなたにそっくり。まぁ実際どうなのかわからないけども。ちなみにいつからよ??結構一途?お姉さんに教えなさいっ!!((おい
- 113 :rino (fqCqyuYEeo):11/09(木) 18:02:23 HOST:H017137.ppp.dion.ne.jp
- テストでこれない間に終わってるぅ!!!
苦いですよぉ! でもほんのり甘かったです。 おもしろかったです。 次作期待します
- 114 :芙稚:11/09(木) 21:46:09 HOST:07012390756292_vn.ezweb.ne.jp
- 完結、おめでとうございます!
この小説見て、恋って難しいなあー、と、しみじみ思いました。 いまだに余韻に浸ってます 笑 6歳とは、すごい歳の差を経験されいるんですねえ ((感心 でも、恋に年は関係無い!と良く言いますし、頑張って下さい^^ 次作に期待しています。 お疲れ様でした。
- 115 :紗良:11/10(金) 19:39:49 HOST:ohta133099.catv.ppp.infoweb.ne.jp
- あいうえおさん、rinoさん、芙稚さん有難う御座いました**
っていうか、実話は実話ですが
ゴメンナサイ、ドッキリでした★(いっぺん氏ね
お友達さんのよフフフフ腐。頑張っておくれ。
僕はジョニー・デップ様々なのよ(黙
次回作の予定はありませんが引き続き一般小説で「魔女の唄」 書いてます。読んでやってください・∀・
- 116 :あいうえお:11/10(金) 22:19:07 HOST:05004013918469_vi.ezweb.ne.jp
- (・∀・)和歌山の高校生なめちゃいけないよ。
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